魚:カワヨシノボリについて説明

カワヨシノボリ飼育ガイド
項目 内容
分布 西日本を中心に分布、近年は関東でも確認
生息地 上流域のきれいな流れのある河川
外見 ハゼらしい体型、頭部が扁平で大きく、口も大きい
特徴 胸ビレが大きく、吸盤状の腹ビレで岩場やガラス面に吸い付く
体色 灰色から茶色、黒褐色まで変化、頭部にはオレンジ色のラインが入る
識別ポイント 胸鰭の分枝軟条数が15~17本
食性 肉食性の強い雑食魚、水生昆虫や魚卵などを食べる
餌付け 冷凍赤虫から始めて、徐々に人工飼料に慣らす
繁殖 オスがメスを巣穴に誘い込み、メスが卵を産む。オスが卵を守る
他のヨシノボリと比べて大きく、孵化までに時間がかかる
飼育水槽 30cm以上の水槽がおすすめ
水温 25℃くらいを上限とし、夏場は水槽用のファンなどで管理
水質 週に1回程度の水換えを行い、清潔な状態を保つ
病気 白点病、尾ぐされ病、水カビ病などにかかりやすい
混泳 ヨシノボリ同士を一緒に飼育する場合は注意が必要。土管などのシェルターが必須
その他 飛び出し防止対策が重要

1. カワヨシノボリの分布と生息地

要約

カワヨシノボリの分布域

カワヨシノボリは、西日本を中心に広域に分布するヨシノボリです。本種は西日本では最も一般的なヨシノボリであり、西日本の上流域の河川で川遊びをして採れるヨシノボリは、多くの場合本種でしょう。東日本にも一部生息しますが、静岡県富士川水系よりも東に分布するものは全て人為的な移入によるものと考えられています。

カワヨシノボリは、日本海側は富山県以西、太平洋側は静岡県以西であれば多くの川に分布しています。西日本ではふつうによく見られるヨシノボリです。

カワヨシノボリは、大きく分けて5タイプいると言われており、その中でも最も広範囲に生息する本タイプは”無斑型”と呼ばれています。

カワヨシノボリの分布域
地域 分布状況
日本海側 富山県以西
太平洋側 静岡県以西
東日本 人為的移入による生息

カワヨシノボリの生息環境

カワヨシノボリは、湖や水田、沼などの水が淀んだ場所には生息している種類は少なく、河川上流や中流などある程度の流れがあって水が綺麗な場所を好んでいます。

多くのヨシノボリは孵化後海に下る種類が多い中、本種は孵化後海には下ることなく、一生を淡水で暮らします。

カワヨシノボリは、ヨシノボリ属魚類のなかでは唯一の大卵型で、ヨシノボリとしては大きめの卵を産みます。

カワヨシノボリの生息環境
環境 特徴
水質 きれいな流れのある水
生息場所 河川上流や中流
繁殖 一生を淡水で過ごす
大きめの卵を産む

カワヨシノボリの生息域の拡大

カワヨシノボリは、本来は関東には生息していない「国内外来種」となります。誰かが放してしまったのでしょうか?黒目川や近くの落合川でも生息が確認されており、すでにかなり個体数が増加しています。

「外来種」というと悪い生き物と思う方もいるかもしれません。しかし、陸や淡水の生き物は海を越えて他の国には行けませんし、移動の範囲も限られます。つまり、何かのために本来生息していた場所から人が移動させてしまうことによりこうした問題が起きています。

そして、全ての生き物は今回のカワヨシノボリのように子孫を残そうと与えられた環境の中で一生懸命頑張っていかなければなりません。一人一人が他の生き物に対してしっかり考えて行動をしていかなくてはいけないと感じた出来事です。

カワヨシノボリの生息域の拡大
地域 状況
関東地方 人為的移入による生息拡大
黒目川 個体数増加
落合川 個体数増加

まとめ

カワヨシノボリは、西日本を中心に分布し、上流域のきれいな流れのある河川に生息しています。

近年では、人為的な移入によって関東地方でも生息が確認されています。

カワヨシノボリは、他のヨシノボリと比べて、一生を淡水で過ごすという特徴を持ち、大きめの卵を産むことも特徴です。

2. カワヨシノボリの外見と特徴

要約

カワヨシノボリの体型と特徴

カワヨシノボリは、ハゼの仲間らしい体型をしています。頭はやや扁平で大きく、口も大きいです。目は頭部の上寄りに位置しており、つぶらな目をしています。

胸ビレはウチワ型で大きく、主にこのヒレを使って川底をピョンピョンと跳ねるように移動します。

背ビレは第一、第二と分かれており、成長したオスの個体の第一背ビレの一部は長く伸長します。第二背ビレと尻ビレは丸みを帯びた平行四辺形、尾ビレは若干エッジのあるウチワ型です。

腹ビレは吸盤状になっており、これで岩場や水槽のガラス面に吸い付くことができます。

カワヨシノボリの体型と特徴
部位 特徴
頭部 扁平で大きく、口も大きい
頭部の上寄りに位置し、つぶらな目
胸ビレ ウチワ型で大きく、川底を跳ねるように移動
背ビレ 第一、第二と分かれ、オスの第一背ビレは長く伸長
腹ビレ 吸盤状で、岩場やガラス面に吸い付く
尾ビレ 若干エッジのあるウチワ型

カワヨシノボリの体色と模様

カワヨシノボリの体色は、淡い灰色〜茶色、黒褐色に変わり、頭部には橙〜朱色のラインが入ります。

体色が明るい時は、体表にオレンジ色の細かいドット模様が浮かびます。

また、各ヒレの内側が濃い赤色、それを縁取るように外側は白〜黄色の発色を見せ、ハゼの中でも派手な部類に入ります。

カワヨシノボリの体色と模様
体色 特徴
基本 淡い灰色〜茶色、黒褐色
頭部 橙〜朱色のラインが入る
体表 オレンジ色の細かいドット模様
ヒレ 内側が濃い赤色、外側は白〜黄色

カワヨシノボリの識別ポイント

カワヨシノボリは、模様の個体差が激しいため、他のヨシノボリで用いられるような各部の模様での判定はあまりあてになりません。

カワヨシノボリと断定できる特徴は、ほとんどの場合胸鰭の分枝軟条になると思います。

カワヨシノボリであれば15~17本です。

カワヨシノボリの識別ポイント
部位 特徴
胸鰭の分枝軟条 15~17本

まとめ

カワヨシノボリは、ハゼらしい体型で、頭部が扁平で大きく、口も大きいのが特徴です。

胸ビレは大きく、吸盤状の腹ビレで岩場やガラス面に吸い付くことができます。

体色は灰色から茶色、黒褐色まで変化し、頭部にはオレンジ色のラインが入ります。

胸鰭の分枝軟条数が15~17本であることが、カワヨシノボリを他のヨシノボリと区別するポイントとなります。

3. カワヨシノボリの餌と食性

要約

カワヨシノボリの食性

カワヨシノボリは、野生下では主にカワゲラの幼虫やボウフラ、イトミミズ等の水生生物や魚の卵、口に入れば小魚やエビ、ミミズ等も捕食しています。

時々岩場や川底に生えた藻類を食べる事もあります。

とても食欲旺盛な魚なので、飼育下では人工飼料にもすぐに慣れてくれ、飼育しやすい面があります。

カワヨシノボリの食性
水生生物 カワゲラの幼虫、ボウフラ、イトミミズ
卵、稚魚
その他 エビ、ミミズ、藻類

カワヨシノボリの餌付け

カワヨシノボリは、人工飼料に慣れやすい種類ではないと思っておいた方がいいです。

まずは冷凍赤虫に慣らせる⇒その赤虫のにおいを付けたクリルを沈めて与える⇒そのクリルのにおいを付けたキャットや金魚の餌を与える。この流れで早ければ1~2週間くらいで人工飼料に餌付きます。

それでもなかなか食べてくれないという場合、水質の悪化や混泳魚にいじめられているなどの原因が考えられます。

カワヨシノボリの餌付け
段階
1 冷凍赤虫
2 赤虫のにおいを付けたクリル
3 クリルのにおいを付けたキャットや金魚の餌

カワヨシノボリの餌の選び方

カワヨシノボリは、自然界では雑食性なので、金魚の餌に慣れさせた方がいいかと思います。

人工飼料で餌付けしたい場合は、赤虫などでキープしながら『徐々に慣らす』つもりで準備しておくのが良いでしょう。

キャットは【肉食魚】用の人工飼料になります。

カワヨシノボリの餌の選び方
餌の種類 特徴
キャット 肉食魚用の人工飼料
金魚の餌 雑食魚用の人工飼料

まとめ

カワヨシノボリは、野生では水生昆虫や魚卵などを食べる肉食性の強い雑食魚です。

飼育下では、冷凍赤虫から始めて、徐々に人工飼料に慣らすのがおすすめです。

人工飼料に餌付かない場合は、水質や混泳魚との関係を見直す必要があります。

4. カワヨシノボリの繁殖と産卵行動

要約

カワヨシノボリの繁殖行動

カワヨシノボリは、繁殖期になるとオスはメスに対して行動を取り、メスを巣穴にエスコートします。

この時のオスの動きはダンスに例えられる事もあります。

エスコートされたメスは巣穴の天井部分に細長い形をした卵を産み付け、産卵後は卵をオスに託して巣穴を出ていってしまいます。

カワヨシノボリの繁殖行動
行動 特徴
オス メスを巣穴に誘い込む
メス 巣穴の天井に卵を産み付ける
産卵後 メスは巣穴を出て、オスが卵を守る

カワヨシノボリの卵と稚魚

残ったオスは1匹で甲斐甲斐しく孵化するまで卵を守り育てるのです。

カワヨシノボリは、他のヨシノボリの仲間と違い卵も大きく、孵化の期間も長くなります。

孵化した稚魚は海へ降河し、海で成長して再び川をさかのぼる。ただし降河せずに一生を川で過ごす種類や、海の代わりにダムや湖で成長するものもいる。

カワヨシノボリの卵と稚魚
特徴 内容
他のヨシノボリと比べて大きい
孵化期間 長い
稚魚 海に降河し、海で成長。一部は淡水で一生過ごす

カワヨシノボリの巣穴

カワヨシノボリは、野生下では平たい石の下に巣穴を作る事が知られています。

狭くて暗い場所を再現するため、繁殖用にアイテムを量産しても良いかも知れません。

塩ビパイプを縦に割った物や欠けた植木鉢も活用してくれますが、筆者が敢えてオススメするのは「竹炭」です。

カワヨシノボリの巣穴
場所
野生 平たい石の下
飼育 塩ビパイプ、植木鉢、竹炭

まとめ

カワヨシノボリは、繁殖期にオスがメスを巣穴に誘い込み、メスが卵を産みます。

産卵後はオスが卵を守り、孵化するまで世話をするという特徴があります。

カワヨシノボリの卵は他のヨシノボリと比べて大きく、孵化までに時間がかかります。

5. カワヨシノボリの水槽での飼育方法

要約

カワヨシノボリ飼育に必要な水槽の選び方

カワヨシノボリは、大きくても10㎝程度なので、単独飼育であれば30㎝キューブ水槽でも飼育可能ですし、他の魚と混泳する場合であってもその混泳相手にもよりますが45㎝水槽や60㎝水槽があれば問題ないでしょう。

ヨシノボリは、水槽内を動き回ったり、ガラス面に吸い付いたりするので、小さな水槽だと飛び出してしまうこともあります。

大きな水槽の方が水質が安定しやすいので、水質を少し気にするヨシノボリには水量の多い水槽の方が適しています。

カワヨシノボリ飼育に必要な水槽の選び方
飼育方法 水槽サイズ
単独飼育 30cmキューブ水槽
混泳 45cm水槽以上

カワヨシノボリ飼育に必要な水温管理

カワヨシノボリは、河川の中~上流に住んでいるので、やはり高水温は好みません。25℃くらいを上限とするのが理想的ですが、夏場はあまり現実ではないでしょう。

水槽用のクーラーは高価なので、現実的には【水槽用のファン】を使用することになるでしょう。

水槽用のファンは、ろ過槽のふたを開けてそこを通っている水にファンを当てることで、飛び出しを防止しつつ、水温を下げられます。

カワヨシノボリ飼育に必要な水温管理
方法 特徴
水槽用クーラー 高価
水槽用ファン 安価で効果的、ろ過槽のふたを開けて水に当てる

カワヨシノボリ飼育に必要な水質管理

カワヨシノボリは、水質の悪化には比較弱いです。

週1回、全水量の1/3程度の定期的な水換えは欠かさないようにしましょう。

カワヨシノボリ飼育に必要な水質管理
頻度 内容
水換え 週に1回、全水量の1/3程度

まとめ

カワヨシノボリは、小型の魚なので、30cm以上の水槽で飼育できます。

水温は25℃くらいを上限とし、夏場は水槽用のファンなどで水温を管理する必要があります。

水質は、週に1回程度の水換えを行い、清潔な状態を保つようにしましょう。

6. カワヨシノボリの病気とその対処法

要約

カワヨシノボリがかかりやすい病気

カワヨシノボリは、飼育環境が適切であれば病気にかかりにくいですが、水質が悪化したり、水温が急変したりすると、病気にかかりやすくなります。

カワヨシノボリがかかりやすい病気には、白点病、尾ぐされ病、水カビ病などがあります。

カワヨシノボリがかかりやすい病気
病気 症状
白点病 体全体に白い斑点
尾ぐされ病 尾びれの先端が白く濁り、充血
水カビ病 体表にカビのようなものが付着

白点病

体全体に白い斑点が付く病気です。

まず、水槽の1/3~1/2の水換えを行い、白点虫を追い出します。

その後、ニューグリーンF、アグデン、グリーンFリキッド、グリーンFクリアーなどを投入して薬浴します。

白点病の治療
方法 内容
水換え 水槽の1/3~1/2の水換え
薬浴 ニューグリーンF、アグデン、グリーンFリキッド、グリーンFクリアーなどを投入
塩浴 0.5%程度の濃度で食塩を投入

尾ぐされ病

初期段階では、尾びれの先端が白く濁り、そこが赤く充血します。

症状が進行するとヒレがとけ始め、重症化すると鰭条部分だけになってしまいます。

飼育水を1/2程度換え、グリーンFゴールドなどの尾ぐされ病治療用の薬を投薬します。

尾ぐされ病の治療
方法 内容
水換え 飼育水を1/2程度交換
薬浴 グリーンFゴールドなどの尾ぐされ病治療用の薬を投薬
塩浴 0.5%程度の濃度で食塩を投入

まとめ

カワヨシノボリは、白点病、尾ぐされ病、水カビ病などの病気にかかりやすいです。

これらの病気は、水質の悪化や水温の急変などが原因で発生することがあります。

病気の症状が見られた場合は、適切な治療を行う必要があります。

参考文献

【カワヨシノボリの生態!】生息地や最大の大きさなど …

カワヨシノボリとは – 生態や形態の特徴解説 – Zukan(図鑑)

カワヨシノボリ | よくわかる!日本のヨシノボリ

カワヨシノボリ | 淡水魚図鑑(在来種) | 図鑑 | 大阪府立 …

カワヨシノボリ – Web魚図鑑 | ズカンドットコム

日本淡水魚 カワヨシノボリ | Fc2

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淡水魚類図鑑 ヨシノボリ属の見分け方 | 神奈川県ホームページ

ヨシノボリ – Wikipedia

カワヨシノボリの稚魚が生まれました。 – ロクトリポート

カワヨシノボリの繁殖 – 東京大学

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