項目 | 調査主体 | 調査対象 | 評価時点 | 公表時期 |
---|---|---|---|---|
公示地価 | 国土交通省 | 都市計画区域内 | 1月1日 | 3月 |
基準地価 | 都道府県 | 都市計画区域内外 | 7月1日 | 9月 |
路線価 | 国税庁 | 道路に面する土地 | 1月1日 | 7月 |
1. 公示地価とは
公示地価の概要
公示地価とは、国土交通省が毎年3月に公表する、1月1日時点の1㎡あたりの価格です。調査、評価をする基準点は全国に約26
公示地価は、不動産取引をする際の基準です。たとえば「自分の土地を売りたいけれど、いくらで売れそうなのか」を知りたいときの参考価格として役立ちます。土地の種類には、住宅地、商業地、工業地などがあり、基準価格がなければ取引金額を決められません。また、相続税評価や固定資産税評価の目安、金融機関の担保評価の指標としても活用されています。
公示地価を算出する際は、最新の取引事例や土地の将来性、収益性などが要素として盛り込まれます。近隣の再開発計画などは、地価に大きく影響する要素です。一方、南向きや角地といった土地の特性、土地の所有者の事情などは考慮されません。
用語 | 説明 |
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公示地価 | 国土交通省が公表する土地価格 |
公示価格 | 公示地価と基準地価の総称 |
公示地価の調べ方
公示地価は、インターネットで簡単に調べられます。公示地価を調査できるサイトは、国土交通省が運営する「標準値・基準値検索システム」です。都道府県から順に公示地価を調べたい土地を絞り込んでいくことで確認できます。検索結果が多すぎて分かりにくい場合は、地図の上部にある指定検索を利用しましょう。
用途 | 説明 |
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住宅地 | 住宅用地として利用されている土地 |
商業地 | 商業施設用地として利用されている土地 |
工業地 | 工場用地として利用されている土地 |
宅地見込地 | 将来、宅地として利用される見込みのある土地 |
公示地価と実勢価格の違い
不動産取引をする際、公示地価以外に参考となる情報として「実勢価格」もあります。実勢価格は、不動産市場で実際に土地の取引をする際につけられた価格です。一般的に実勢価格のほうが、1.1〜1.2倍ほど公示地価よりも高くなります。
実勢価格は公示地価を参考に、土地の売り手と買い手が最終的に合意した金額です。たとえば、売り手が「多少値引きしてもいいから早く売りたい」という場合は価格が下がり、買い手が多く集まったときは上がります。
公示地価を基準とした、実勢価格の算出方法の一例を紹介します。ただし、実勢価格は最終的に当事者双方の意見が反映されるため、あくまでも参考としてください。まず、国土交通省が運営する「標準値・基準値検索システム」から、調査対象となる土地の公示地価を調べます。その価格に面積を掛けて、さらに1.1倍したものが実勢価格の目安です。土地の条件によってはさらに高額となる場合もあります。
たとえば、公示地価が60
項目 | 公示地価 | 実勢価格 |
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定義 | 国土交通省が公表する土地価格 | 実際に取引された土地価格 |
特徴 | 客観的な指標 | 市場の需給状況を反映 |
関係 | 実勢価格の目安となる | 公示地価を参考に決定される |
まとめ
公示地価は、土地の売買価格を決める際の指標として、不動産取引において重要な役割を担っています。公示地価は、国土交通省のホームページから誰でも簡単に調べることができます。
公示地価は、あくまでも目安であり、実際の取引価格である実勢価格とは異なる場合があります。実勢価格は、土地の条件や市場の状況によって大きく変動します。
土地の売買を検討する際には、公示地価だけでなく、実勢価格も参考にしましょう。不動産会社に査定を依頼することで、より正確な価格を把握することができます。
2. 公示地価の決定方法
公示地価の算出方法
公示地価は、国土交通省の土地鑑定委員会が、地価公示法に則って定めた地点(標準地)1㎡当たりの土地の価値のことで、「正常価格」とも言われています。
公示地価は毎年、更新されており、国土交通省が毎年1月1日時点における標準値の価格を発表することを地価公示といいます。
土地の売買価格を決める際の指標にもなるため、土地を売却したいという人は一度チェックしてみると良いでしょう。調べ方は非常に簡単で、国土交通省のホームページから誰でも確認できるようになっています。
標準地・基準地検索システム~国土交通省地価公示・都道府県地価調査~ただし地域によっては、公示地価が全く当てにならない場合もありますので注意してください。特に地方圏は異様に高水準の地域も多く、正しい値段設定の参考にならないケースも少なくありません。
段階 | 内容 |
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1. 鑑定評価 | 2人以上の不動産鑑定士が鑑定評価を実施 |
2. 審査・調整 | 土地鑑定委員会が鑑定結果を審査・調整 |
3. 公示 | 国土交通省が公示地価を公表 |
標準地の選定
標準地の選定は、国土交通省の土地鑑定委員会によって行われます。例えば住宅地や商業地のように、同じ用途で使われる一団の土地から、利用状況や環境、地積や形状を考慮して、標準的だと考えられる土地が選ばれます。
標準地の地価は、周辺の類似する土地の水準となり、代表する性質があるため、突出した性質を持った土地は、標準地から除外されます。
例えば、極端に小さい土地や、極端に不整形な土地を標準地に選定してしまうと、周辺の土地を評価する際に参考にできません。また、標準地が標準的であるかどうかは毎年チェックされ、標準地として不適正になった場合は、標準地が新たに選ばれます。
基準 | 説明 |
---|---|
用途 | 住宅地、商業地など、同じ用途で使われる土地 |
環境 | 周辺環境が類似している土地 |
地積 | 周辺の土地と地積が近い土地 |
形状 | 整形地で、道路に面している土地 |
公示区域
公示地価は全国の隅々まで公示されておらず、標準地の選定は限定的です。地価が公示される区域のことを公示区域と呼び、公示区域には法律上の定義があります。
都市計画区域とは、都市として総合的に整備し、開発・保全する必要があると判断された区域のことです。都市計画区域は都道府県が指定し、必ずしも市町村の行政区域とは一致していません。
一帯の都市を形成する区域であれば、複数市町村が含まれることもありますし、市街地以外の周辺地域も当然含まれます。
用語 | 説明 |
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都市計画区域 | 都市として総合的に整備し、開発・保全する必要があると判断された区域 |
公示区域 | 都市計画区域など、土地取引が相当程度見込まれる区域 |
まとめ
公示地価は、国土交通省の土地鑑定委員会が、地価公示法に基づいて、標準地と呼ばれる土地の価格を決定しています。
標準地は、周辺の土地を代表するような、標準的な土地が選ばれます。公示地価は、都市計画区域内が主な対象ですが、都市計画区域外でも土地取引が考えられる地域の土地は鑑定を行い公表します。
公示地価は、2人以上の不動産鑑定士が鑑定評価を行い、その結果を土地鑑定委員会が審査・調整して、最終的な正常価格として公示されます。
3. 公示地価の影響
公示地価の利用シーン
一般に公表されている地価なので、個人・法人問わず、誰でも利用できますし、公示地価を使って何かの水準とすることにも制限はありません。
むしろ、公示地価は基準・規準とされる想定で公表されています。例えば、個人が土地の価格を知りたいときに、目安として使うこともあるでしょう。
同様に不動産会社が、顧客の所有地の価格を聞かれて、公示地価に周辺の環境と取引事例など加味して、金額を提示しているケースもあるはずです。
また、売買関係ではなくても、一般企業が自ら保有する資産を大まかに把握するため、公示地価を使って自社所有の土地を評価することも考えられます。もっとも、企業の場合には個人と違ってアバウトな数字が許されない状況もあるため、その場合は不動産鑑定士に鑑定依頼します。
シーン | 説明 |
---|---|
土地取引 | 売買価格の目安 |
税金計算 | 固定資産税、相続税などの評価額の基準 |
土地収用 | 補償金額の目安 |
資産評価 | 企業が保有する土地の価値を評価 |
土地収用の際の基準
国や自治体が公共事業に用地取得(土地収用)を必要とすれば、地権者に対して土地の買い取り(正確には地権者が失う権利の補償)が打診されます。
よくあるパターンでは、道路の拡張に伴う後退や移転などです。用地取得をする際、買収・補償金額を決定しますが、公示地価が参考にされます。
公示地価を規準にすることで地権者との交渉を容易にしたり、概算の見積もりをしやすくなるというメリットがあるからです。
税金計算の基準
土地には毎年固定資産税が課税され、相続が発生すると相続税も課税されます。
固定資産税や相続税は、土地の評価が高いほど高額になる特徴から、対象の土地を適正に評価する必要があり、市街地では公示地価をベースとした路線価を用います。
税金は公平性が強く求められ、公示地価をベースとした路線価から算出することで、その公平性が保たれていると言えます。(固定資産税と相続税の路線価については後述します)
まとめ
公示地価は、土地の取引価格の指標となるだけでなく、税金計算や土地収用の際の基準としても利用されています。
公示地価は、土地の価値を客観的に評価するための重要な指標であり、不動産取引や税金計算など、さまざまな場面で活用されています。
公示地価は、土地の価格を把握する上で役立つ指標ですが、あくまでも目安であり、実際の取引価格とは異なる場合があります。
4. 公示地価と不動産価格
公示地価と実勢価格の関係
公示地価は時価と言われていますが、実際には実勢価格(時価または市場価格のこと)とはかけ離れていることが多いです。
地価公示が実勢価格を反映できない理由のひとつは、その目的が税金徴収の計算根拠となっているからです。
地価公示価格を実際の時価と連動して変動させると、地価上昇時には、固定資産税や相続税の税金が大きく上がることになります。
税金が急激に上がると、納税者からの反発が強まるため、実勢価格に連動させて上げることができないのです。
項目 | 公示地価 | 実勢価格 |
---|---|---|
定義 | 国土交通省が公表する土地価格 | 実際に取引された土地価格 |
特徴 | 客観的な指標 | 市場の需給状況を反映 |
関係 | 実勢価格の目安となる | 公示地価を参考に決定される |
公示地価と不動産査定
一方で、地価下落時に実勢価格と連動して地価公示価格を下げてしまうと、自治体の税収が大きく落ち込むことになります。
税収が不安定になれば、公共サービスの提供も不安定となってしまうため、実勢価格に連動させて下げることもできないのです。
地価公示は、土地の価格上昇時は低く、土地の価格下落時は高くなる傾向にあります。また、土地価格の上昇が激しい都心部では、地価公示価格はかなり安めの傾向にあります。
一方、税収の厳しい地方では、地価公示価格は高い傾向にあります。地方自治体にとって、固定資産税は市区町村税であり、大切な税収となっている背景もあるでしょう。
公示地価と不動産売買
このように、地価公示は税金の徴収を目的としていることから、実勢価格を反映しきれていません。あくまでも、「時価になんとなく近い価格」になります。
土地の取引時には、ひとつの参考にとなるものの、あくまでも参考程度であり、地価公示から時価を把握することはできません。
不動産売買をするときは、しっかりと査定を取り、適切な価格を把握することが重要です。
まとめ
公示地価は、不動産取引の際に参考となる指標ですが、実勢価格とは異なる場合があります。
公示地価は、税金などの影響を受けて、実勢価格を正確に反映していない場合があります。
不動産売買を行う際には、公示地価だけでなく、複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な価格を把握することが重要です。
5. 公示地価と都市計画
都市計画と公示地価の関係
公示地価は、都市計画区域内が主な対象となっています。都市計画区域とは、都市として総合的に整備し、開発・保全する必要があると判断された区域のことです。
都市計画区域は、都道府県が指定し、必ずしも市町村の行政区域とは一致しません。一帯の都市を形成する区域であれば、複数市町村が含まれることもありますし、市街地以外の周辺地域も当然含まれます。
都市計画区域内では、土地の利用や開発が規制されるため、公示地価は都市計画の影響を大きく受けています。
項目 | 説明 |
---|---|
都市計画区域 | 都市として総合的に整備し、開発・保全する必要があると判断された区域 |
公示地価 | 都市計画区域内の土地価格を公表 |
影響 | 都市計画によって土地の利用や開発が規制されるため、公示地価は都市計画の影響を大きく受ける |
都市計画と地価変動
都市計画では、土地の用途や開発などが規制されるため、公示地価は都市計画の影響を大きく受けています。
例えば、再開発計画が発表された地域では、公示地価が上昇する傾向があります。逆に、開発が制限される地域では、公示地価が下落する傾向があります。
都市計画は、土地の価値に大きな影響を与えるため、公示地価の変動要因として重要な要素となっています。
都市計画 | 公示地価への影響 |
---|---|
再開発計画 | 地価上昇 |
開発制限 | 地価下落 |
都市計画と不動産投資
都市計画は、不動産投資を行う上でも重要な要素です。都市計画によって、土地の価値が大きく変動する可能性があるため、投資を行う際には、都市計画の内容をしっかりと把握しておく必要があります。
例えば、再開発計画が発表された地域では、将来的な地価上昇が見込めるため、投資対象として魅力的です。
しかし、開発が制限される地域では、地価下落のリスクがあるため、投資には注意が必要です。
まとめ
公示地価は、都市計画の影響を大きく受けています。都市計画によって、土地の利用や開発が規制されるため、公示地価は都市計画の内容によって変動します。
都市計画は、不動産投資を行う上でも重要な要素です。都市計画の内容をしっかりと把握することで、投資のリスクを軽減することができます。
公示地価は、都市計画の動向を把握する上で役立つ指標です。
6. 公示地価の変動要因
経済状況
公示地価は、経済状況の影響を大きく受けます。景気が良い時には、土地の需要が高まり、公示地価が上昇する傾向があります。
逆に、景気が悪い時には、土地の需要が低くなり、公示地価が下落する傾向があります。
特に、住宅地や商業地は、経済状況の影響を受けやすいと言われています。
経済状況 | 公示地価への影響 |
---|---|
景気上昇 | 地価上昇 |
景気下降 | 地価下落 |
人口動態
人口動態も、公示地価に影響を与えます。人口増加が見込まれる地域では、土地の需要が高まり、公示地価が上昇する傾向があります。
逆に、人口減少が見込まれる地域では、土地の需要が低くなり、公示地価が下落する傾向があります。
特に、住宅地は、人口動態の影響を大きく受けます。
人口動態 | 公示地価への影響 |
---|---|
人口増加 | 地価上昇 |
人口減少 | 地価下落 |
社会情勢
社会情勢も、公示地価に影響を与えます。例えば、交通網の整備やインフラの充実など、生活環境が改善される地域では、公示地価が上昇する傾向があります。
逆に、治安が悪化したり、環境問題が発生したりする地域では、公示地価が下落する傾向があります。
社会情勢は、土地の価値に大きな影響を与えるため、公示地価の変動要因として重要な要素となっています。
社会情勢 | 公示地価への影響 |
---|---|
交通網整備 | 地価上昇 |
治安悪化 | 地価下落 |
環境問題 | 地価下落 |
まとめ
公示地価は、経済状況、人口動態、社会情勢など、さまざまな要因によって変動します。
公示地価の変動要因を理解することで、土地の価格の動向を予測することができます。
公示地価は、不動産投資を行う上でも重要な指標です。公示地価の変動要因を分析することで、投資のリスクを軽減することができます。
参考文献
・公示価格とは?評価方法や調べ方、基準地価との違いを解説 …
・公示価格とは?実勢価格との違いと活用法をわかりやすく解説 …
・時価・公示地価・路線価の違いは?地価の種類について解説 …
・公示価格とは?調べ方や実勢価格との違いを分かりやすく解説 …
・公示地価とは?基準地価・実勢価格・路線価との違いや活用 …
・公示地価とは何か?制度や実勢価格との関係を解説|URILABO
・公示地価、基準地価、路線価の違い | 誰でもわかる不動産売買
・公示地価とは?決め方・路線価との違い・推移などをわかり …
・地価公示価格とは?路線価・実勢価格との違いや国土交通省 …
・公示地価とは?実勢価格との違いや基本的な知識から調べ方 …
・土地・不動産・建設業:第1 地価公示制度の概要 – 国土交通省
・公示地価(コウジチカ)とは? 意味や使い方 – コトバンク
・公示地価・基準地価・路線価の違いは? それぞれの特徴を …
・公示地価とは?基準地価・実勢価格・路線価との違いをわかり …