分類 | 特徴 |
---|---|
ウツボ亜科 | 背びれが肛門より前方から始まる |
キカイウツボ亜科 | ひれがまったくないか、尾端部にのみ存在する |
ウツボ属 | 多くのウツボ類が含まれる |
ゼブラウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
ハナヒゲウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
モヨウタケウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
コケウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
タケウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
アラシウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
タカマユウツボ属 | キカイウツボ亜科に属する |
アミキカイウツボ属 | キカイウツボ亜科に属する |
キカイウツボ属 | キカイウツボ亜科に属する |
1. ウツボの分類と特徴
ウツボの分類
ウツボは、ウナギ目ウツボ科 (Muraenidae) に分類される魚類の総称です。世界には15属185種ほど知られていますが、日本近海には10属約57種が報告され、そのうちの多くは沖縄諸島以南に分布しています。ウツボは、細長く側扁した体型で、皮膚には鱗がなく、一般に肥厚しています。鰓孔は小さく丸く、舌がありません。腹びれと胸びれがなく、多くは背びれと臀びれがあって尾びれと連続しています。後鼻孔は目の前縁の上方に開き、種類によってはよく発達した鼻管を形成します。体色および斑紋は多様で変化に富み、種類の判別上重要な特徴となります。また、歯の形状とその配列も属や種の特徴となります。
分類 | 特徴 |
---|---|
ウツボ亜科 | 背びれが肛門より前方から始まる |
キカイウツボ亜科 | ひれがまったくないか、尾端部にのみ存在する |
ウツボ属 | 多くのウツボ類が含まれる |
ゼブラウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
ハナヒゲウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
モヨウタケウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
コケウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
タケウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
アラシウツボ属 | ウツボ亜科に属する |
タカマユウツボ属 | キカイウツボ亜科に属する |
アミキカイウツボ属 | キカイウツボ亜科に属する |
キカイウツボ属 | キカイウツボ亜科に属する |
ウツボ亜科とキカイウツボ亜科
ウツボ類は、ウツボ亜科Muraeninaeとキカイウツボ亜科Uropterygiinaeに分類されます。ウツボ亜科は、ゼブラウツボ属、ハナヒゲウツボ属、モヨウタケウツボ属、コケウツボ属、タケウツボ属、アラシウツボ属およびウツボ属を含み、多くのウツボ類はウツボ属に属します。垂直鰭がよく発達し、背びれは肛門より前方から始まります。キカイウツボ亜科は、タカマユウツボ属、アミキカイウツボ属およびキカイウツボ属を含み、日本での種数は少ないです。その特徴は、ひれがまったくないか、あるいは尾端部にのみ存在することや、尾部の長さが躯幹部(胴部)の長さにほぼ等しいことなどです。
ウツボの幼生
ウツボ類のレプトセファルス(葉形幼生)は、一般に非常に退化した胸びれをもち、また尾端部が通常は幅広くて丸みを帯びます。消化管はまっすぐで膨らみがない。
まとめ
ウツボは、ウナギ目ウツボ科に属する魚類の総称であり、世界中に様々な種類が生息しています。日本近海では、ウツボ亜科とキカイウツボ亜科に分類され、ウツボ亜科には多くの種類が含まれます。ウツボは、細長い体型、鱗がないこと、腹びれと胸びれがないこと、鋭い歯を持つことなどが特徴です。
2. ウツボの生態と採餌行動
ウツボの生息環境
ウツボは、温暖な地域の浅海に生息し、特にサンゴ礁や岩礁に生息する種類が多いです。一部の種類は、マングローブを含む汽水域や淡水域にも侵入します。表皮が湿っていれば、粘膜を介した皮膚呼吸によって30分ほどは水中でなくても活動が可能なので、強力な嗅覚で、潮溜まりに這い上がって小魚を狩ったり、岩場で魚をさばいている釣り人のところへ上がってきたりすることがあり、注意を要します。
ウツボの行動パターン
ウツボは、基本的には巣穴からあまり動かず、岩陰や洞窟に潜んで獲物を待ち伏せしますが、夜になると海底近くを泳ぎ回ることもあります。食性は肉食性で、魚類・甲殻類・頭足類などの小動物を大きな口で捕食します。特にタコ類にとっては、有力な天敵の一つとなっています。また、テトラポッドや岩礁の食物ピラミッドの頂点でもあります。
ウツボの攻撃性
自分より大きな敵が近づいた時は、大きな口を開けて威嚇し、それでも敵が去らない場合は咬みつくことがあります。毒はないですが、歯は鋭く顎の力も強いので、人間が咬みつかれると深手を負うことになるため、ウツボ類の分布域では、潜水や釣りなどの際に十分な注意が必要です。ただし、見た目のイメージと違い臆病な所もあり、人間の側から無用な攻撃や接近をしない限りは積極的に噛み付いてくることは少ないです。潜水中にウツボと遭遇した際には、ゆっくりと離れれば攻撃を受けることは少ないです。また、ダイバーが魚の切身や魚肉ソーセージ等の餌を見せると、巣穴から出てきてそれに喰らいつくことがあります。ダイバーに慣れたウツボの中には、巣穴から出てきて餌をねだったりする行動も見られます。
まとめ
ウツボは、温暖な浅海域の岩礁やサンゴ礁に生息し、夜行性で、魚類、甲殻類、頭足類などを捕食する肉食魚です。ウツボは、強力な顎と鋭い歯を持ち、人間が咬みつかれると深手を負う可能性があります。しかし、臆病な面もあり、人間が近づかなければ積極的に攻撃することは少ないです。
3. ウツボの繁殖と成長過程
ウツボの産卵
ウツボの産卵期は、種類によって異なりますが、一般的には7~9月です。産卵行動は、夜間に岩礁やサンゴ礁の近くで行われることが多いです。オスとメスは、尾部を絡ませたり、体をこすり合わせたりしながら、卵と精子を放出します。ウツボの卵は、浮性卵で、水中に漂いながら成長します。
ウツボの成長
ウツボの幼生は、レプトセファルスと呼ばれる葉形幼生で、非常に小さく、透明な体を持っています。レプトセファルスは、プランクトンを食べて成長し、やがて変態してウツボの姿になります。ウツボは、成長が遅く、成魚になるまでには数年かかります。
ウツボの寿命
ウツボの寿命は、種類によって異なりますが、一般的には10年以上と言われています。中には、20年以上生きるウツボもいるようです。
まとめ
ウツボは、温暖な海域で繁殖し、夜間に産卵を行います。卵は浮性卵で、水中に漂いながら成長します。ウツボは、成長が遅く、成魚になるまでには数年かかります。寿命は、種類によって異なりますが、一般的には10年以上と言われています。
4. ウツボと人間の関係
ウツボと漁業
ウツボは、釣りや延縄、各種の網など沿岸漁業で漁獲されることがあります。しかし、鋭い歯で網や釣り糸を切断したり、暴れて網をもつれさせたりする上、水揚げしても咬みついてくる危険が大きいので十分に注意を要します。釣り上げた場合には、道糸ごと切断して逃がす釣り人もいます。
ウツボの食用
生息するほとんどの地域では利用されませんが、食用にする地域も各地に点在します。日本では、南房総・紀伊半島・四国・九州・沖縄、中国では福建省・広東省・海南省などでウツボ漁が行われています。多くは、長い筒状の筌(うけ)を多数海底に沈めて漁獲し、この中に餌を入れて誘い込む場合もあります。これらの筌は、地方によって「うつぼ篭」「戻り篭」「もんどり」などと呼ばれます。地域によって食用にする種には違いがあります。ウツボ属の魚でも、骨などが多く食用に適さない種類やドクウツボのようにシガテラ毒を持つものもおり、大型個体を食用にする際は、咬みつきに加え中毒にも注意が必要となります。
地域 | 料理 |
---|---|
南房総 | 干物 |
紀伊半島 | 干物 |
高知県 | タタキ |
和歌山県南部 | 干物 |
中国 | 唐揚げ、スープ |
ウツボの利用
食用以外にも、厚く丈夫な皮膚をなめし、皮革として利用することがあります。また、体色が多種多彩なこと、大きな威嚇の動作をすること、共生動物が多いこと、前述したように餌に釣られることなどから、スキューバダイビングなどでは観察や撮影の対象となりやすいです。
まとめ
ウツボは、漁業においては、網や釣り糸を切断するなど、厄介な存在として扱われることがあります。しかし、一方で、食用として利用される地域もあり、特に日本では、南房総、紀伊半島、四国、九州、沖縄などでウツボ漁が行われています。ウツボは、独特の食感と風味を持つ魚として、地域によっては珍味として扱われています。
5. ウツボの生息地と分布
ウツボの生息域
ウツボは、温暖な地域の浅海に生息し、特にサンゴ礁や岩礁に生息する種類が多いです。一部の種類は、マングローブを含む汽水域や淡水域にも侵入します。
ウツボの分布
日本では、南西諸島及び、ここを通り流れる黒潮が通る海域に多くの種類が分布しています。具体的には、太平洋側は千葉県以南、日本海側は島根県以南の海域に生息しています。
ウツボの生息場所
ウツボは、岩陰や洞窟、テトラポットの隙間などに生息しています。潮が澄んでいる時は、岸壁やテトラの隙間から頭を出している状況もよく見られます。
まとめ
ウツボは、温暖な地域の浅海に生息し、特にサンゴ礁や岩礁に生息する種類が多いです。日本では、南西諸島や黒潮が通る海域に多く分布しています。ウツボは、岩陰や洞窟、テトラポットの隙間などに生息し、潮が澄んでいる時は、岸壁やテトラの隙間から頭を出していることもあります。
6. ウツボの保護と環境への影響
ウツボの保護
ウツボは、生態系のなかでも強者に位置しますが、繁殖力が極端に強かったり成長が速いわけでもありません。繊細なターゲットではないので、そこに居ればほぼほぼ釣れてしまう魚です。そのため、乱獲や環境変化によって、生息数が減少する可能性があります。ウツボの保護のためには、乱獲を控え、適切な漁獲方法を心がけることが重要です。
ウツボと環境
ウツボは、食物連鎖の頂点に位置する魚であり、生態系において重要な役割を果たしています。ウツボの生息数が減少すると、生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。ウツボの生息環境を守るためには、海洋汚染や環境破壊を防ぐことが重要です。
ウツボの保護活動
ウツボの保護活動としては、ウツボの生息状況を調査したり、ウツボの保護区を設けたりすることが考えられます。また、ウツボの生態や重要性を啓発することで、人々の意識を高めることも重要です。
まとめ
ウツボは、生態系において重要な役割を果たす魚であり、その保護は、海洋環境の保全にとって重要です。ウツボの保護のためには、乱獲を控え、適切な漁獲方法を心がけること、海洋汚染や環境破壊を防ぐこと、ウツボの生態や重要性を啓発することが重要です。
参考文献
・海のギャング『ウツボ』とは?生態や習性は? | Slow Surf Style …
・ウツボは危険な海の生き物!生態や釣り方、食べ方まで詳しく …
・知られざるウツボの写真も!夏の海中、生物たちの産卵行動を激写
・意外と知らないウツボの生態 見た目は凶暴だが性格は温厚 …
・ウツボの種類とその特徴とは?飼育方法やおすすめの調理方法 …
コメント