哺乳類：コウモリについて説明

コウモリの分類
分類	特徴
哺乳綱	胎生、毛で覆われている、温血動物
コウモリ目	翼を持つ、飛行能力を持つ
オオコウモリ科	果実食、視覚が発達している、エコロケーション能力は限定的
コウモリ科	昆虫食、夜行性、エコロケーション能力に優れている
ナミコウモリ科	昆虫食、夜行性、エコロケーション能力に優れている
キクガシラコウモリ科	昆虫食、夜行性、エコロケーション能力に優れている
ツメナシコウモリ科	昆虫食、夜行性、エコロケーション能力に優れている

1. コウモリの種類と特徴

コウモリの分類

コウモリは、哺乳綱コウモリ目に属する動物の総称です。世界には約1000種類のコウモリが生息しており、哺乳類全体の4分の1を占めるほど多様性に富んでいます。コウモリは、鳥類と間違えられがちですが、人間や犬、猫と同じく哺乳類です。コウモリは、鳥類と次の5つの点で違いがみられます。\n① 卵生ではなく、胎生で子を産む\n② 羽毛ではなく、毛がある\n③ クチバシや足のウロコがない\n④ 翼は皮ふがのびたもの\n⑤ ぶら下がることに特化している

コウモリは、鳥類のように卵を産むのではなく、人間と同じようにお腹の中で子どもを育て、そのままのかたちで出産します。卵で産むことを「卵生」、お腹で育ててから産むことを「胎生」といいます。卵生で子を産む動物には「魚類」「両生類」「ハチュウ類」「鳥類」がいますが、「胎生」で子どもを産むのは「ホニュウ類」だけです。

コウモリには鳥類のような「羽毛」はありません。その代わりに、ヒトやイヌと同じように翼以外の部分は「毛」で覆われています。羽毛は、中心の軸になる部分から細かい羽がはえています。一方で、毛は分岐することなく、根元から同じ太さではえています。

コウモリは鳥類の特徴である「クチバシ」や「足のウロコ」をもちません。鳥類のクチバシには歯がありませんが、コウモリは犬歯や臼歯などの歯をもちます。また、足のウロコも鳥類にしか見られない特徴のひとつです。

コウモリの分類
分類	特徴
哺乳綱	胎生、毛で覆われている、温血動物
コウモリ目	翼を持つ、飛行能力を持つ
オオコウモリ科	果実食、視覚が発達している、エコロケーション能力は限定的
コウモリ科	昆虫食、夜行性、エコロケーション能力に優れている
ナミコウモリ科	昆虫食、夜行性、エコロケーション能力に優れている
キクガシラコウモリ科	昆虫食、夜行性、エコロケーション能力に優れている
ツメナシコウモリ科	昆虫食、夜行性、エコロケーション能力に優れている

コウモリの翼

鳥類とコウモリの翼ではつくりが少し異なります。鳥類の翼は、羽毛でつつまれていますが、コウモリの翼は「皮膜（ひまく）」とよばれる皮ふで覆われています。また、コウモリの手には人間と同じ５本の指があり、親指以外は皮膜の中に埋もれています。

皮膜の外に飛び出た親指は「鉤爪（かぎづめ）」としての役割を果たしており、排せつをするときに体を支えたり、地面をはい回るときに使われます。

鳥類は木にとまるときに頭を上にしてとまりますが、コウモリは頭を下にして逆さにぶら下がります。これには、足のつくりの違いが関係しています。

鳥類の足は筋肉が発達しており、自分の体重を簡単に支えることができます。そのため、頭を上にした体制の方が安定して木にとまることができます。一方で、コウモリの足は、自分のからだを支えるだけの筋肉がない代わりに、腱（けん）が発達しており、木などをつかむことに特化しています。また、コウモリは体が小さいため、血液が頭に集まり、頭痛が起こることもないため、リラックスした状態でぶら下がり続けることができます。

コウモリの翼の構造
部位	特徴
指	5本指、親指以外は皮膜の中に埋もれている
親指	鉤爪、排せつ時に体を支えたり、地面をはい回るときに使われる
皮膜	薄い皮膚、翼の役割を果たす
翼	鳥類とは異なる構造、指と皮膜で構成される

日本に生息するコウモリ

世界には、約１０００種類ものコウモリがいるといわれていますが、日本に生息しているコウモリは３５種類です。ちなみに、日本には在来種のホニュウ類が１００種類のみのため、日本のホニュウ類のうちの約３分の１がコウモリ類ということになります。

日本国内では、種数の多いコウモリ類ですが、数が少ない種も多く、絶滅が心配されている種も多くいます。そのため、今後はコウモリの種数が減少してしまうかもしれません。

日本にいる３５種類のコウモリの全てを紹介することはできないため、今回は、「アブラコウモリ」「オガサワラオオコウモリ」「二ホンウサギコウモリ」「キクガシラコウモリ」４種類のみ紹介したいと思います。

市街地でみかけるコウモリのほとんどがアブラコウモリであるといわれており、東京の都心でも夕方～夜にかけてみることができます。日本では唯一人の家をすみかとする種で、別名「イエコウモリ」ともいわれています。アブラコウモリは夜行性のため、夕方になると活動をはじめ、飛んでいる小型の昆虫を食べます。また、１１月～３月中旬には基本的には冬眠をしていまが、都心部では冬眠の機関でも暖かい日には飛んでいる姿がみられます。

日本に生息するコウモリの種類
種類	特徴
アブラコウモリ	日本に最も多く生息する、家屋に多く住み着く
オガサワラオオコウモリ	小笠原諸島に生息する、絶滅危惧種
二ホンウサギコウモリ	ウサギのような大きな耳を持つ、北海道から本州に生息
キクガシラコウモリ	菊の花のような鼻を持つ、北海道から九州に生息

まとめ

コウモリは、鳥類と多くの共通点を持つ一方で、哺乳類としての特徴も持ち合わせています。コウモリは、鳥類とは異なる独自の進化を遂げ、空を飛ぶ能力を獲得した哺乳類です。

コウモリは、世界中で約1000種類が生息しており、その多くは夜行性で、昆虫や果実を食べて生活しています。

日本には35種類のコウモリが生息しており、その中でもアブラコウモリは、人間の家屋に最も多く住み着く種類です。

コウモリは、生態系において重要な役割を果たしており、その保護と研究は、今後も重要な課題です。

2. コウモリの生態と習性

コウモリの食性

コウモリの食性は、種類によって大きく異なります。世界中のコウモリの約75％は昆虫やクモなどの節足動物を食べる「食虫性」です。日本のコウモリのほとんどがこれにあたります。

次に多いのが、約20％弱を占める果実食のコウモリで、日本ではオオコウモリ科がこれにあたります。

その他、少数派ではあるが花蜜・花粉食や肉食（カエルや魚、ネズミ、コウモリなど）、血液食のコウモリも存在する。餌とする食物に応じて、歯や舌、吻部の形態が大きく分化しているのもコウモリの特徴の一つである。

コウモリは、餌となる昆虫個体群の抑制や種子散布、送粉といった生態系サービスを有していることが知られている。コウモリを保全していくことは、われわれの生活環境を良好な状態に維持していくことにもつながる。

コウモリの食性
食性	特徴
食虫性	昆虫やクモなどを食べる、最も多いタイプ
果実食	果実を食べる、オオコウモリ科に多い
花蜜・花粉食	花蜜や花粉を食べる、特殊なタイプ
肉食	カエルや魚、ネズミ、コウモリなどを食べる、特殊なタイプ
血液食	動物の血を食べる、特殊なタイプ

コウモリの住処

コウモリというと、まず洞穴をイメージすることが多い。もちろん、多くの種が洞穴を休息場所（ねぐら）として利用するが、そのほかにも樹洞や樹皮下、岩の割れ目、家屋など、さまざまな環境（タイプ）をねぐらとする種が存在する。

コウモリが利用するねぐらのタイプは、１種につき１つであるとは限らない。季節や性などによって複数のタイプを使い分けることが多い。「樹洞性」「洞穴性」「家屋性」とは一概に分けられないのはこのためである。

コウモリの生活スタイルは気候帯によって異なるが、日本の場合、多くの種は春から初夏にメスが出産哺育ねぐらに移動、集合する。多くの種が１産１子で、6〜7月にかけて出産するが、中にはアブラコウモリやヒナコウモリのように複数子を出産する種も知られる。

幼獣は１カ月ほどで成獣と同じ大きさになり、独立飛翔する。その後、秋にかけて移動と交尾の時期を迎える。

コウモリの住処
住処	特徴
洞窟	多くの種が利用する、安定した環境
樹洞	森林に生息する種が利用する、自然の空洞
樹皮下	森林に生息する種が利用する、木の皮の下
岩の割れ目	岩場などに生息する種が利用する
家屋	アブラコウモリなど、人間の家屋に多く住み着く

コウモリの冬眠

温帯性コウモリの繁殖方法は独特で、交尾後にメスの生殖道内に精子を貯蔵して翌春に排卵・受精する精子貯蔵型と、交尾から受精まで進んだ後に胚盤胞の段階で発生を中断して翌春に着床する着床遅延型がある。

餌資源の乏しい冬季には、体温を環境温度と同程度まで下げて冬眠する。そして春になると、夏のねぐらへの移動が開始される。この際、メスは生まれた場所に戻る傾向が強いが、オスの場合は分散してしまうことが多いようである。

このような周年サイクルを繰り返すコウモリは、同サイズの哺乳類（ネズミなど）に比べて長寿であることも知られている。10年以上生存するのが一般的で、中には20年という記録もある。海外では41年以上生きたホオヒゲコウモリの仲間も知られる。

長寿をもたらす要因には諸説あり、医学の分野で盛んに研究が行われている。

コウモリの冬眠
時期	特徴
11月中旬～3月頃	気温が低下すると冬眠に入る
冬眠場所	洞窟、屋根裏、壁の隙間など
冬眠中の状態	体温を低下させ、代謝を抑制する
冬眠から覚める時期	3月下旬頃、気温が上昇すると活動を開始

まとめ

コウモリは、夜行性で、主に昆虫や果実を食べて生活しています。

コウモリは、洞窟や樹洞、家屋など、さまざまな場所に巣を作ります。

コウモリは、冬眠することで、厳しい冬を乗り越えます。

コウモリは、同サイズの哺乳類に比べて長寿で、その理由は、まだ完全には解明されていません。

3. コウモリの繁殖と子育て

コウモリの繁殖

コウモリの繁殖期は、種類によって異なりますが、一般的には春から夏にかけてです。

メスは、出産前に巣となる場所を探し、そこに集まります。

コウモリは、ほとんどの種類が1産1子で、1回の出産で1匹の子どもを産みます。

生まれた子どもは、母親の乳を飲んで成長し、数週間で飛ぶことができるようになります。

コウモリの繁殖
時期	特徴
春～夏	繁殖期
出産場所	巣となる場所、洞窟、樹洞、家屋など
出産数	ほとんどの種類は1産1子
出産時期	種類によって異なる、一般的には6～7月

コウモリの子育て

コウモリの母親は、子どもを育てるために、多くの時間を費やします。

母親は、子どもに乳を与え、危険から守ります。

子どもは、母親から独立するまで、母親と一緒に生活します。

コウモリの子育ては、他の哺乳類と同様に、母親の愛情と献身によって支えられています。

コウモリの子育て
行動	特徴
授乳	母親は子どもに乳を与える
保護	母親は子どもを危険から守る
共同生活	子どもは母親から独立するまで、母親と一緒に生活する

コウモリの繁殖と子育ての特殊性

コウモリの繁殖には、いくつかの特殊な特徴があります。

コウモリのメスは、交尾後、精子を体内に貯蔵し、翌春に排卵・受精させる「精子貯蔵型」という繁殖方法をとる種類もいます。

また、コウモリのメスは、受精後、胚盤胞の段階で発生を中断し、翌春に子宮に着床させる「着床遅延型」という繁殖方法をとる種類もいます。

これらの特殊な繁殖方法は、コウモリが厳しい環境に適応するために進化したと考えられています。

コウモリの繁殖の特殊性
繁殖方法	特徴
精子貯蔵型	交尾後、精子を体内に貯蔵し、翌春に排卵・受精させる
着床遅延型	受精後、胚盤胞の段階で発生を中断し、翌春に子宮に着床させる

まとめ

コウモリは、春から夏にかけて繁殖期を迎えます。

メスは、出産前に巣となる場所を探し、そこに集まります。

コウモリは、ほとんどの種類が1産1子で、1回の出産で1匹の子どもを産みます。

コウモリの母親は、子どもを育てるために、多くの時間を費やし、愛情と献身をもって子育てをします。

4. コウモリの健康と疾病

コウモリと感染症

コウモリは、さまざまなウイルスや菌の宿主として知られています。

コウモリが保有するウイルスや菌の中には、人間にも感染する可能性のあるものも含まれています。

コウモリが媒介する感染症には、狂犬病、リッサウイルス感染症、ニパウイルス感染症、ヘンドラウイルス感染症、日本脳炎、重症急性呼吸器症候群 (SARS) などがあります。

コウモリは、感染症の潜在的な脅威となるため、注意が必要です。

コウモリが媒介する感染症
感染症	症状
ハンタウイルス症	発熱、頭痛、悪寒、疲労感、乾いた咳
エボラ出血熱	発熱、頭痛、めまい、嘔吐
狂犬病	全身の倦怠感、発熱、頭痛、筋肉痛、のどの痛み
リッサウイルス感染症	発熱、頭痛、めまい、嘔吐
ニパウイルス感染症	発熱、頭痛、めまい、嘔吐
ヘンドラウイルス感染症	発熱、頭痛、めまい、嘔吐
日本脳炎	発熱、頭痛、めまい、嘔吐
重症急性呼吸器症候群 (SARS)	発熱、頭痛、めまい、嘔吐

コウモリの健康

コウモリは、さまざまなウイルスや菌と共存できる、強い免疫システムを持っています。

コウモリがなぜこれほどの強力な免疫系を獲得するに至ったか現段階ではまだわかっていませんが、飛行に必要な極めて高い代謝系を持っていることと関係しているという仮説もあります。

コウモリの免疫システムの研究は、人間の健康にも役立つ可能性があります。

コウモリの健康と疾病に関する研究は、今後も重要です。

コウモリと人間の健康

コウモリは、人間にとって、感染症の潜在的な脅威となる一方で、生態系において重要な役割を果たしています。

コウモリの保護と研究は、人間の健康を守るためにも重要です。

コウモリと人間の共存は、今後も重要な課題です。

コウモリの健康と疾病に関する研究は、人間の健康を守るためにも重要です。

まとめ

コウモリは、さまざまなウイルスや菌の宿主として知られており、人間にも感染する可能性のあるものも含まれています。

コウモリは、強い免疫システムを持っていますが、そのメカニズムは完全には解明されていません。

コウモリの健康と疾病に関する研究は、人間の健康を守るためにも重要です。

コウモリと人間の共存は、今後も重要な課題です。

5. コウモリと人間の関係性

コウモリと文化

コウモリは、古くから、さまざまな文化の中で、象徴的な存在として扱われてきました。

西洋文化では、コウモリは、吸血鬼や悪魔と結びつけられ、不吉な存在として扱われることが多いです。

一方、東洋文化では、コウモリは、幸福や長寿の象徴として扱われることが多いです。

コウモリは、文化によって、異なるイメージで捉えられています。

コウモリのイメージ
文化	イメージ
西洋文化	吸血鬼、悪魔、不吉な存在
東洋文化	幸福、長寿、縁起の良い存在

コウモリと文学

コウモリは、文学作品にも多く登場します。

有名な例としては、ブラームスの交響曲第2番の第4楽章「コウモリの飛行」があります。

コウモリは、文学作品の中で、さまざまな役割を担っています。

コウモリは、文学作品の中で、神秘的な存在として描かれることが多いです。

コウモリと科学

コウモリは、科学研究の対象としても注目されています。

コウモリの超音波を使ったエコロケーション能力は、音響学やロボット工学などの分野で研究されています。

コウモリの免疫システムは、人間の健康を守るための研究にも役立つ可能性があります。

コウモリは、科学研究において、重要な役割を果たしています。

まとめ

コウモリは、文化、文学、科学のさまざまな分野で、重要な役割を果たしています。

コウモリは、人間にとって、興味深い存在であり、今後も研究が続けられるでしょう。

コウモリは、私たちに多くのことを教えてくれる、貴重な存在です。

コウモリは、自然界の神秘と多様性を象徴する存在です。

6. コウモリの保護と環境への影響

コウモリの保護

コウモリは、生息地の減少や環境汚染などの影響を受けて、その数が減少しています。

コウモリの保護は、生態系のバランスを保つために重要です。

コウモリの保護活動には、生息地の保全、コウモリの巣箱の設置、コウモリに関する啓発活動などがあります。

コウモリの保護は、私たち一人ひとりの意識と行動によって支えられています。

コウモリの保護活動
活動	内容
生息地の保全	森林伐採の抑制、洞窟の保護
巣箱の設置	コウモリが安全に巣を作れる場所を提供
啓発活動	コウモリの生態や重要性を啓発する

コウモリと環境

コウモリは、生態系において重要な役割を果たしています。

コウモリは、昆虫を食べることで、害虫の発生を抑える役割を果たしています。

コウモリは、果実を食べることで、植物の種子を散布する役割を果たしています。

コウモリは、生態系のバランスを保つために、重要な役割を果たしています。

コウモリの環境への影響
影響	内容
害虫の抑制	昆虫を食べることで、害虫の発生を抑える
種子の散布	果実を食べることで、植物の種子を散布する
送粉	花蜜を食べることで、植物の受粉を助ける