タジク国立公園(パミール山脈)とは?世界遺産についての解説

タジク国立公園の概要
項目 内容
位置 中央アジア、タジキスタン共和国の東部、ゴルノ・バダフシャン自治州
面積 260万ヘクタール以上
登録基準 (vii) – 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
(viii) – 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
登録年 2013年6月21日

1. タジク国立公園の概要

要約

タジク国立公園の位置と面積

タジク国立公園は、中央アジアに位置するタジキスタン共和国の東部、ゴルノ・バダフシャン自治州に位置しています。公園は、タジキスタン国内最大の自然保護区であり、キルギスとの国境地域に広がっています。面積は260万ヘクタールを超え、タジキスタン国土の約20%を占めています。

公園は、ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に次いで世界で3番目に高い山系であるパミール山脈のほぼ全体を網羅しています。パミール高原は、ユーラシア大陸の最高峰の山脈が交差する場所である「パミールの結び目」の中心に位置し、インド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートが衝突する地域です。そのため、頻繁に強い地震が発生し、プレートテクトニクスと沈み込み現象の研究にとって重要な地域となっています。

公園内は、標高7000メートルを超える峰を含む険しい山々、ユーラシア大陸最大かつ極地以外では世界最長のフェドチェンコ氷河をはじめとする1000以上の氷河、氷河の峰に囲まれた深い峡谷の数々、170の河川、400以上の湖など、雄大な自然が風光明媚な景観を演出しています。

タジク国立公園の場所と面積
項目 内容
位置 中央アジア、タジキスタン共和国の東部、ゴルノ・バダフシャン自治州
面積 260万ヘクタール以上
国土の割合 約20%

タジク国立公園の気候

タジク国立公園は、標高が高いため、気温の季節変動が非常に激しいです。夏は比較的温暖で、日中の気温は20度を超えることもありますが、夜は冷え込みます。冬は厳寒で、気温は氷点下20度以下になることもあります。

降水量は少なく、乾燥した気候です。特に、パミール高原は、年間降水量が200ミリメートル以下と、非常に乾燥しています。

タジク国立公園を訪れる際は、季節によって気温が大きく変わるため、適切な服装を準備することが重要です。特に、冬は防寒対策をしっかりとしていく必要があります。

タジク国立公園の気候
季節 気温
日中20度以上、夜は冷え込み
氷点下20度以下
降水量 少なく、乾燥した気候

タジク国立公園の登録基準

タジク国立公園は、2013年6月21日にUNESCOの世界自然遺産に登録されました。登録基準は、以下の2つです。

(vii) – 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。

(viii) – 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。

タジク国立公園の登録基準
基準 内容
(vii) 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
(viii) 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。

まとめ

タジク国立公園は、中央アジアに位置するタジキスタン共和国の東部、ゴルノ・バダフシャン自治州に位置する、面積260万ヘクタールを超える広大な国立公園です。

公園は、ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に次いで世界で3番目に高い山系であるパミール山脈のほぼ全体を網羅しており、標高7000メートルを超える峰を含む険しい山々、ユーラシア大陸最大かつ極地以外では世界最長のフェドチェンコ氷河をはじめとする1000以上の氷河、氷河の峰に囲まれた深い峡谷の数々、170の河川、400以上の湖など、雄大な自然が風光明媚な景観を演出しています。

タジク国立公園は、2013年6月21日にUNESCOの世界自然遺産に登録され、最上級の自然現象や地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本として、その価値が認められています。

2. タジク国立公園のワイルドライフ

要約

タジク国立公園の植物相

タジク国立公園には、南西部と中央アジアの植物相に属する多くの植物種が生育しています。標高の高い地域では、高山植物が咲き乱れ、特に夏には、鮮やかな花々が咲き誇ります。

公園内には、乾燥した気候に適応した植物が多く見られます。例えば、乾燥に強い針葉樹や、砂漠地帯に生える低木などが生育しています。

また、公園内には、薬用植物や食用植物も数多く存在しています。

タジク国立公園の植物相
種類 特徴
高山植物 標高の高い地域に生育
乾燥に強い植物 針葉樹、砂漠地帯に生える低木など
薬用植物 薬効のある植物
食用植物 食用に適した植物

タジク国立公園の動物相

タジク国立公園には、ユキヒョウ、マルコポーロアルガリ羊、シベリアヤギなど、絶滅の危機に瀕した鳥類や哺乳類が生息しています。

ユキヒョウは、標高の高い山岳地帯に生息する希少な動物で、タジク国立公園では、その生息数が比較的多いと言われています。

マルコポーロアルガリ羊は、パミール高原に生息する大型の野生羊で、その雄大な姿は、多くの観光客を魅了しています。

タジク国立公園の動物相
種類 特徴
ユキヒョウ 標高の高い山岳地帯に生息する希少な動物
マルコポーロアルガリ羊 パミール高原に生息する大型の野生羊
シベリアヤギ パミール高原に生息する野生ヤギ
イリオモテヤマネコ 西表島に生息する希少な動物
通し回遊魚 河川流域や湿地、河口、沿岸に生息する魚類
汽水性の魚類 河川流域や湿地、河口、沿岸に生息する魚類

タジク国立公園の希少種

タジク国立公園には、ユキヒョウ、マルコポーロアルガリ羊、シベリアヤギなどの希少種に加えて、他の希少な動物も生息しています。

例えば、イリオモテヤマネコは、西表島の森林だけではなく河川流域や河口の湿地・マングローブ林にも頻繁に出没し、カエル・甲殻類・水鳥等の水辺の生きものを主な食物としてきました。

また、南西諸島において近年特に危機的な状況にある生物群として、河川流域や湿地、河口、沿岸に生息し、開発の影響を直接受けやすい、通し回遊魚や汽水性の魚類の絶滅危惧種が増えています。

タジク国立公園の希少種
種類 特徴
ユキヒョウ 絶滅危惧種
マルコポーロアルガリ羊 絶滅危惧種
シベリアヤギ 絶滅危惧種
イリオモテヤマネコ 絶滅危惧種
通し回遊魚 絶滅危惧種
汽水性の魚類 絶滅危惧種

まとめ

タジク国立公園には、南西部と中央アジアの植物相に属する多くの植物種が生育しており、乾燥に強い針葉樹や砂漠地帯に生える低木などが生育しています。

また、薬用植物や食用植物も数多く存在しています。

動物相は、ユキヒョウ、マルコポーロアルガリ羊、シベリアヤギなど、絶滅の危機に瀕した鳥類や哺乳類が生息しており、これらの希少種を保護するために、公園は重要な役割を果たしています。

3. タジク国立公園の観光スポット

要約

フェドチェンコ氷河

フェドチェンコ氷河は、タジク国立公園内にある、北極圏以外で最も長い谷氷河です。全長77キロメートル、面積992平方キロメートル、氷の厚さは500メートル以上あり、その壮大なスケールは圧巻です。

フェドチェンコ氷河は、上流は白く、下流は紫色に見えます。これは、標高が高い地域は太陽の反射で白く見え、下流に流れるにしたがって、反射が弱くなり紫色にみえるんだとか。

フェドチェンコ氷河は、タジク国立公園の最も人気のある観光スポットの一つで、多くの観光客が訪れます。

フェドチェンコ氷河
項目 内容
全長 77キロメートル
面積 992平方キロメートル
氷の厚さ 500メートル以上
特徴 北極圏以外で最も長い谷氷河
上流は白く、下流は紫色

カラクル湖

カラクル湖は、タジク国立公園内にある、標高3

カラクル湖は、隕石の衝突によってできたクレーター湖であると考えられており、その神秘的な雰囲気も魅力の一つです。

カラクル湖は、タジク国立公園の代表的な観光スポットの一つで、多くの観光客が訪れます。

カラクル湖
項目 内容
標高 3,600メートル
特徴 隕石の衝突によってできたクレーター湖
周囲 雪を頂いた山々がそびえ立つ
青色の水面

サレズ湖

サレズ湖は、タジク国立公園内にある、標高3

サレズ湖は、その深さと、周囲の険しい山々とのコントラストが美しい景観を作り出しています。

サレズ湖は、タジク国立公園の隠れた名所の一つで、知る人ぞ知る観光スポットです。

サレズ湖
項目 内容
標高 3,200メートル
特徴 1911年に発生した大規模な地滑りによって形成された堰き止め湖
深さ 深さがある
周囲 険しい山々に囲まれている

まとめ

タジク国立公園には、フェドチェンコ氷河、カラクル湖、サレズ湖など、多くの観光スポットがあります。

フェドチェンコ氷河は、北極圏以外で最も長い谷氷河で、その壮大なスケールは圧巻です。

カラクル湖は、隕石の衝突によってできたクレーター湖で、その神秘的な雰囲気も魅力の一つです。

サレズ湖は、大規模な地滑りによって形成された堰き止め湖で、その深さと周囲の険しい山々とのコントラストが美しい景観を作り出しています。

4. タジク国立公園の歴史

要約

タジク国立公園の設立

タジク国立公園は、1992年7月20日にタジキスタン政府により国立公園に指定されました。

この公園は、もともと、タジク・ソビエト社会主義共和国時代の1991年にアンヴァール・ブズルコフ (Anvar Buzurukov) 監修のもと、国内初の自然保護区であるシルケント自然歴史公園(フランス語版)に続く国内2番目の自然保護区として設立されました。

当初、タジク国立公園は「パミール自然保護区」と呼ばれていましたが、独立後に起こったタジキスタン内戦とその後の国内派閥争いにより公園の名称が変更になりました。

タジク国立公園の設立
出来事
1991年 シルケント自然歴史公園に続く国内2番目の自然保護区として設立
1992年7月20日 タジキスタン政府により国立公園に指定
1990年代 タジキスタン内戦の影響を受け、名称が変更
2010年 世界遺産候補リストに登録
2013年6月21日 世界遺産委員会登録会議において、タジキスタン初の自然遺産に登録

世界遺産登録

タジク国立公園は、2010年に世界遺産候補リストに登録され、2013年6月21日、カンボジアで開催された世界遺産委員会登録会議において、タジキスタン初の自然遺産に登録されました。

タジク国立公園は、世界遺産登録後、タジキスタンの観光の大きな目玉の一つになっています。

多くの旅行者が、様々な希少性のある動物や鳥類などを見るためにタジク国立公園を訪れます。

歴史的建造物

タジク国立公園は、歴史的にも重要な地点であり、今も多くの歴史的建築物が残されています。

中世初期、タジク国立公園のあった一帯はシルクロードの経由地としてキャラバンの隊商による交易で栄えた場所(バザール・ダラ – Bazar-Dara)であり、当時を忍ばせるモニュメントが複数存在しています。

また、バザール・ダラ付近には石器時代の壁画やヤチュムン砦址(タジク語: Ячмун)、カークハ(タジク語: Каакха)など歴史的な建築物が点在しています。

タジク国立公園の歴史的建造物
場所 特徴
バザール・ダラ シルクロードの交易で栄えた場所
ヤチュムン砦址 石器時代の壁画
カークハ 歴史的な建築物

まとめ

タジク国立公園は、1992年に国立公園に指定され、2013年にUNESCOの世界自然遺産に登録されました。

公園は、タジキスタン内戦の影響を受けながらも、その価値が認められ、世界遺産に登録されました。

タジク国立公園は、歴史的にも重要な地点であり、シルクロードの交易で栄えた場所であり、今も多くの歴史的建築物が残されています。

5. タジク国立公園の地域住民

要約

パミール高原の住民

パミール高原には、タジク人、キルギス人、アフガン人など、様々な民族が暮らしています。

パミール高原の住民は、厳しい自然環境の中で、伝統的な生活様式を維持してきました。

遊牧民は、牛や馬、羊などを育てながら生活し、農耕民は、限られた土地で農作物を栽培しています。

パミール高原の住民
民族 特徴
タジク人 パミール高原の主要な民族
キルギス人 遊牧民
アフガン人 アフガニスタンとの国境付近に居住

地域住民との交流

タジク国立公園を訪れる際は、地域住民との交流も楽しみの一つです。

地元の人々は、温かく親切で、観光客に親切に接してくれます。

地域住民との交流を通して、タジキスタンの文化や歴史に触れることができます。

地域住民の生活

タジク国立公園の地域住民は、厳しい自然環境の中で、自給自足の生活を送っています。

農業や畜産が主な産業で、観光業も近年発展しています。

地域住民は、自然環境と共存し、伝統的な生活様式を守りながら暮らしています。

地域住民の生活
産業 特徴
農業 限られた土地で農作物を栽培
畜産 牛や馬、羊などを飼育
観光業 近年発展している

まとめ

タジク国立公園には、タジク人、キルギス人、アフガン人など、様々な民族が暮らしており、厳しい自然環境の中で、伝統的な生活様式を維持してきました。

地域住民は、温かく親切で、観光客に親切に接してくれます。

地域住民との交流を通して、タジキスタンの文化や歴史に触れることができます。

6. タジク国立公園の環境保護活動

要約

環境保護の重要性

タジク国立公園は、世界的に貴重な自然環境を有しており、その保全は非常に重要です。

公園は、頻繁な強い地震にさらされており、人口はまばらで、農業や常設の人間の居住地の影響をほとんど受けていません。

しかし、近年、観光客の増加や開発による環境への影響が懸念されています。

環境保護活動

タジク国立公園では、環境保護活動が積極的に行われています。

公園管理者は、希少な動植物の保護、自然環境の保全、観光客への啓発活動などに取り組んでいます。

また、地元住民も環境保護活動に積極的に参加しています。

タジク国立公園の環境保護活動
活動 内容
希少な動植物の保護 生息地の保全、保護活動
自然環境の保全 ゴミの回収、環境教育
観光客への啓発活動 環境保護の重要性を啓発

持続可能な観光

タジク国立公園では、持続可能な観光を推進しています。

観光客は、自然環境への影響を最小限に抑えるように、配慮する必要があります。

例えば、ゴミを捨てない、動植物を傷つけない、騒音を立てないなど、基本的なマナーを守ることが重要です。

持続可能な観光
項目 内容
ゴミ ゴミを捨てない
動植物 動植物を傷つけない
騒音 騒音を立てない

まとめ

タジク国立公園は、世界的に貴重な自然環境を有しており、その保全は非常に重要です。

公園では、希少な動植物の保護、自然環境の保全、観光客への啓発活動など、環境保護活動が積極的に行われています。

持続可能な観光を推進することで、自然環境と観光のバランスを保ち、将来世代に引き継いでいくことが重要です。

参考文献

最高峰が交差する力強い山脈!世界遺産タジク国立公園 …

タジキスタン国立公園(パミールの山脈) – 世界遺産を学ぶ

タジキスタンの世界遺産「タジキスタン国立公園(パミールの …

タジキスタン国立公園 – Wikipedia

タジク国立公園〈パミール山脈〉(タジクこくりつこうえん …

一生分の絶景が見られる場所!タジキスタンの秘境「パミール …

タジキスタン国立公園 (パミールの山々) | 世界遺産 …

世界の屋根「タジキスタン」の世界遺産 | Tabippo.net

タジキスタン国立公園とは – わかりやすく解説 Weblio辞書

タジク国立公園(パミール山脈) | アジア, タジキスタン | 世界遺産ガイド

タジキスタン国立公園(パミールの山々) | 世界遺産ランキングガイド

タジク国立公園(パミール山脈) – トラベルタウンズ

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