項目 | 内容 |
---|---|
国名 | ベリーズ |
登録年 | 1996年 |
登録基準 | (ⅶ)優れた自然美、(ⅸ)生態系、(ⅹ)生物多様性 |
面積 | 約963平方キロメートル |
特徴 | 世界第2位の広さの珊瑚礁、ブルーホール、多様な生物が生息 |
危機遺産登録 | 2009年~2018年 |
危機遺産登録理由 | 周辺のマングローブ林の伐採、過度の観光開発 |
危機遺産解除理由 | 石油開発の停止、保護林の規制強化、開発許可の厳格化 |
1. イントロダクション
ベリーズってどんな国?
中央アメリカに位置するベリーズは、メキシコとグアテマラに国境を接し、カリブ海に面しています。国土面積は約2.3万平方キロメートルで、四国の1.2倍程度の広さです。首都はベルモパン。1981年に英国から独立したアメリカ大陸で一番新しい国であり、公用語は中央アメリカで唯一の英語という特徴もあります。亜熱帯気候で、6~8月は雨季、12月~5月は乾季となっています。年間の平均気温は26度。夏の最高気温は36度、冬の最低気温は10度程度らしいので、日本より過ごしやすい気候かもしれませんね。砂糖、オレンジ、グレープフルーツ、ロブスターなどの農作物や水産物の輸出が主な産業となっています。マヤ遺跡やカリブ海のサンゴ礁などの豊かな観光資源も有しており、観光立国としても今後期待されているベリーズ。国土に対して、本当に豊かな自然を有している国ですね。
日本からの直行便は運航していないため、アメリカもしくはメキシコを経由して15時間程度でベリーズへアクセスできます。
項目 | 内容 |
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位置 | 中央アメリカ |
国土面積 | 約2.3万平方キロメートル |
首都 | ベルモパン |
独立 | 1981年(イギリスから) |
公用語 | 英語 |
気候 | 亜熱帯気候 |
平均気温 | 26度 |
主な産業 | 農作物・水産物の輸出、観光 |
アクセス | アメリカまたはメキシコ経由で15時間程度 |
ベリーズのバリア・リーフ保護区とは?
豊かな自然を有するベリーズにある「バリア・リーフ保護区」。1996年に世界自然遺産としても登録されています。ベリーズのバリア・リーフ保護地区は、オーストラリアのグレート・バリア・リーフに次ぐ世界第2位のサンゴ礁が沖から200キロにわたって群生しています。
オーストラリアのグレート・バリア・リーフについては、過去に紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。
ベリーズの海域は透明度が非常に高く、50メートル以上のエリアもあるんだとか。深さ50メートルまで見渡せるなんて、想像を超える透明度ですね!海水の温度は平均20度以上で、サンゴが育つ条件も非常に整っています。ブラック珊瑚(サンゴ)、ブレインコーラル、うみうちわなど約400種ものサンゴが生息していると言われています。
イルカやマナティと出会えるダイビングスポットとしても人気が高いです。加えて、ウミガメが産卵にやってくる場所でもあります。生態系の宝庫ですね。
項目 | 内容 |
---|---|
登録年 | 1996年 |
特徴 | 世界第2位の広さのサンゴ礁 |
面積 | 約200キロメートル |
生物 | サンゴ、ウミガメ、イルカ、マナティなど |
見どころ | ブルーホール |
危機遺産に登録されていた過去
こんな自然豊かなベリーズのバリア・リーフですが、2009年には危機遺産に登録されていました。危機遺産とは、世界遺産に登録されたのちに、自然災害や武力紛争、観光開発等の影響により、普遍的価値を損なうような重大な危機にさらされている世界遺産のことを指します。この危機遺産に登録されると、世界遺産基金へ財政支援を依頼することが可能です。
ベリーズが危機遺産に登録された理由は、周辺のマングローブ林の伐採や、過度の観光開発でしたが、2018年、石油開発の停止の決定、保護林の規制強化や開発許可の厳格化等々の海洋管理計画を打ち出したことで2022年現在では危機遺産リストから除去されています。
年 | 内容 |
---|---|
2009年 | 危機遺産に登録 |
2018年 | 危機遺産リストから解除 |
理由 | 周辺のマングローブ林の伐採、過度の観光開発 |
対策 | 石油開発の停止、保護林の規制強化、開発許可の厳格化 |
まとめ
ベリーズは、中央アメリカに位置する小さな国ですが、豊かな自然に恵まれた国です。特に、世界第2位の規模を誇るバリア・リーフは、その美しさだけでなく、多様な生態系を持つことから世界遺産に登録されています。
しかし、かつては周辺のマングローブ林の伐採や、過度の観光開発により危機遺産に登録されていましたが、ベリーズ政府の努力により、現在は危機遺産リストから外れています。
今後も、持続可能な観光開発を進め、この貴重な自然を守っていくことが重要です。
2. バリアリーフとは?
バリアリーフの定義
バリアリーフとは、海岸線から離れた沖合に、サンゴ礁が防波堤のように連なって形成された地形のことです。サンゴ礁は、サンゴ虫という小さな生物が作り出す骨格が積み重なってできたものです。
バリアリーフは、波のエネルギーを吸収し、海岸線を保護する役割を果たしています。また、バリアリーフは、多様な生物が生息する豊かな生態系を育んでいます。
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 海岸線から離れた沖合に、サンゴ礁が防波堤のように連なって形成された地形 |
役割 | 波のエネルギーを吸収し、海岸線を保護 |
生態系 | 多様な生物が生息する豊かな生態系 |
バリアリーフの形成
バリアリーフは、サンゴ虫が成長しやすい環境で形成されます。サンゴ虫は、光合成を行う藻類と共生しており、光が届く浅い海でよく成長します。また、サンゴ虫は、海水温が20度以上、水質が綺麗で、栄養塩が少ない環境を好みます。
バリアリーフは、長い年月をかけて形成されます。サンゴ虫が成長し、その骨格が積み重なって、徐々に大きくなっていきます。バリアリーフの形成には、数千年から数万年かかることもあります。
項目 | 内容 |
---|---|
光 | サンゴ虫は光合成を行う藻類と共生しているため、光が届く浅い海でよく成長する |
水温 | サンゴ虫は海水温が20度以上を好む |
水質 | サンゴ虫は水質が綺麗で、栄養塩が少ない環境を好む |
時間 | 数千年から数万年かけて形成される |
バリアリーフの役割
バリアリーフは、海岸線を保護する役割を果たしています。バリアリーフは、波のエネルギーを吸収し、海岸線が浸食されるのを防ぎます。また、バリアリーフは、多様な生物が生息する豊かな生態系を育んでいます。
バリアリーフは、漁業資源の宝庫でもあります。バリアリーフには、多くの魚介類が生息しており、地元の人々の生活を支えています。また、バリアリーフは、観光資源としても重要です。美しいサンゴ礁や熱帯魚を見ることができることから、世界中から多くの観光客が訪れます。
項目 | 内容 |
---|---|
海岸線保護 | 波のエネルギーを吸収し、海岸線が浸食されるのを防ぐ |
生態系 | 多様な生物が生息する豊かな生態系を育む |
漁業資源 | 多くの魚介類が生息し、地元の人々の生活を支える |
観光資源 | 美しいサンゴ礁や熱帯魚を見ることができることから、世界中から多くの観光客が訪れる |
まとめ
バリアリーフは、サンゴ礁が海岸線から離れた沖合に連なって形成された地形であり、波のエネルギーを吸収し、海岸線を保護する役割を果たしています。
また、バリアリーフは、多様な生物が生息する豊かな生態系を育み、漁業資源の宝庫であり、観光資源としても重要です。
しかし、近年、地球温暖化や海洋汚染などの影響により、世界中のバリアリーフが危機にさらされています。
3. ベリーズのバリアリーフ保護区の歴史
ベリーズの歴史
ベリーズは、1981年にイギリスから独立した、アメリカ大陸で一番新しい国です。かつてはイギリス領ホンジュラスと呼ばれていました。
ベリーズは、マヤ文明の遺跡やカリブ海のサンゴ礁など、豊かな自然に恵まれた国です。しかし、独立後も、環境問題や経済問題を抱えています。
年 | 内容 |
---|---|
1981年 | イギリスから独立 |
1996年 | 世界自然遺産に登録 |
2009年 | 危機遺産に登録 |
2018年 | 危機遺産リストから解除 |
ベリーズのバリアリーフ保護区の設立
ベリーズのバリアリーフ保護区は、1996年に世界自然遺産に登録されました。これは、ベリーズの豊かな自然を世界にアピールし、保護を強化するための取り組みでした。
しかし、その後、周辺のマングローブ林の伐採や、過度の観光開発などが進み、2009年には危機遺産に登録されてしまいました。
危機遺産からの脱却
ベリーズ政府は、危機遺産に登録されたことを受け、環境保護対策を強化しました。石油開発の停止、保護林の規制強化、開発許可の厳格化などの対策を講じました。
その結果、2018年には危機遺産リストから外れることができました。
まとめ
ベリーズのバリアリーフ保護区は、1996年に世界自然遺産に登録されましたが、その後、環境問題により危機遺産に登録されました。
しかし、ベリーズ政府は、環境保護対策を強化し、2018年には危機遺産リストから外れることができました。
ベリーズのバリアリーフ保護区は、世界遺産の価値を維持するために、持続可能な観光開発を進めていく必要があります。
4. 世界遺産への登録
登録基準
ベリーズのバリアリーフ保護区は、ユネスコの世界遺産に登録される際に、以下の3つの基準を満たしているとして認められました。
(ⅶ) 優れた自然美:ベリーズのバリアリーフ保護区は、透き通った青い海と、色鮮やかなサンゴ礁が織りなす、素晴らしい景観を有しています。
(ⅸ) 生態系:ベリーズのバリアリーフ保護区は、多様な生物が生息する豊かな生態系を有しています。サンゴ礁、マングローブ林、海草藻場など、様々な環境が存在し、多くの生物が生息しています。
(ⅹ) 生物多様性:ベリーズのバリアリーフ保護区は、世界でも有数の生物多様性を有しています。サンゴ礁には、400種以上のサンゴ、1500種以上の魚類、4000種以上の軟体動物が生息しています。
基準 | 内容 |
---|---|
(ⅶ) | 優れた自然美 |
(ⅸ) | 生態系 |
(ⅹ) | 生物多様性 |
登録の意義
ベリーズのバリアリーフ保護区が世界遺産に登録されたことは、ベリーズの豊かな自然を世界にアピールし、保護を強化するための大きな一歩となりました。
世界遺産に登録されることで、国際的な注目を集め、保護のための資金や技術支援を得ることが期待されます。
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | ベリーズの豊かな自然を世界にアピールし、保護を強化する |
効果 | 国際的な注目を集め、保護のための資金や技術支援を得る |
世界遺産としての課題
世界遺産に登録された後も、環境問題や開発問題は依然として存在しています。
観光客の増加による環境負荷、周辺地域での開発による影響、海洋汚染など、様々な課題があります。
項目 | 内容 |
---|---|
課題 | 環境問題、開発問題 |
具体例 | 観光客の増加による環境負荷、周辺地域での開発による影響、海洋汚染 |
まとめ
ベリーズのバリアリーフ保護区は、優れた自然美、豊かな生態系、高い生物多様性を有しており、世界遺産に登録されました。
世界遺産に登録されたことで、国際的な注目を集め、保護のための資金や技術支援を得ることが期待されます。
しかし、環境問題や開発問題は依然として存在しており、世界遺産の価値を維持していくためには、持続可能な観光開発を進めていく必要があります。
5. バリアリーフの生態系
サンゴ礁
ベリーズのバリアリーフ保護区には、65種類ものサンゴが生息しています。サンゴ礁は、サンゴ虫という小さな生物が作り出す骨格が積み重なってできたものです。
サンゴ礁は、多様な生物が生息する豊かな生態系を育んでいます。サンゴ礁には、魚類、甲殻類、軟体動物など、多くの生物が生息しています。
サンゴ礁は、地球温暖化や海洋汚染などの影響を受けやすく、近年、白化現象などが問題となっています。
項目 | 内容 |
---|---|
種類 | 65種類以上のサンゴ |
生物 | 魚類、甲殻類、軟体動物など |
問題 | 地球温暖化や海洋汚染による白化現象 |
その他の生物
ベリーズのバリアリーフ保護区には、サンゴ礁以外にも、ウミガメ、イルカ、マナティなど、多くの生物が生息しています。
ウミガメは、産卵のために、毎年、ベリーズのバリアリーフ保護区を訪れます。イルカは、サンゴ礁の周辺でよく見られます。マナティは、海草を食べて生活しています。
これらの生物は、ベリーズのバリアリーフ保護区の生態系にとって重要な役割を果たしています。
生物 | 特徴 |
---|---|
ウミガメ | 産卵のためにベリーズのバリアリーフ保護区を訪れる |
イルカ | サンゴ礁の周辺でよく見られる |
マナティ | 海草を食べて生活する |
ブルーホール
ベリーズのバリアリーフ保護区で最も有名なスポットは、ブルーホールです。ブルーホールは、直径300メートル、深さ約130メートルの巨大な穴です。
ブルーホールは、サンゴ礁が陥没してできたと考えられています。ブルーホールの内部には、鍾乳洞があり、ダイビングスポットとしても人気があります。
ブルーホールは、神秘的な美しさを放ち、世界中のダイバーを魅了しています。
項目 | 内容 |
---|---|
大きさ | 直径300メートル、深さ約130メートル |
形成 | サンゴ礁が陥没してできた |
内部 | 鍾乳洞があり、ダイビングスポットとして人気 |
特徴 | 神秘的な美しさ |
まとめ
ベリーズのバリアリーフ保護区は、サンゴ礁、ウミガメ、イルカ、マナティなど、多くの生物が生息する豊かな生態系を有しています。
特に、ブルーホールは、世界でも有数のダイビングスポットとして有名です。
ベリーズのバリアリーフ保護区は、生物多様性に富んだ貴重な場所であり、その保護が重要です。
6. 保全活動と今後の課題
保全活動
ベリーズ政府は、バリアリーフ保護区の保全活動に力を入れています。
石油開発の禁止、マングローブ林の保護、観光客の増加抑制などの対策を講じています。
また、地元住民への環境教育も積極的に行っています。
項目 | 内容 |
---|---|
対策 | 石油開発の禁止、マングローブ林の保護、観光客の増加抑制 |
その他 | 地元住民への環境教育 |
今後の課題
ベリーズのバリアリーフ保護区は、地球温暖化、海洋汚染、乱獲などの影響を受けています。
これらの問題を解決するためには、国際的な協力が必要です。
観光客の増加も課題の一つです。観光客の増加は、環境負荷の増加につながります。
項目 | 内容 |
---|---|
問題 | 地球温暖化、海洋汚染、乱獲 |
解決策 | 国際的な協力 |
課題 | 観光客の増加による環境負荷 |
持続可能な観光
ベリーズのバリアリーフ保護区の持続可能な観光を実現するためには、環境保護と経済発展のバランスをとることが重要です。
環境保護を意識した観光客の誘致、地元住民の雇用創出、環境保護のための資金調達など、様々な取り組みが必要です。
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 環境保護と経済発展のバランス |
取り組み | 環境保護を意識した観光客の誘致、地元住民の雇用創出、環境保護のための資金調達 |
まとめ
ベリーズのバリアリーフ保護区は、世界遺産の価値を維持していくために、保全活動を強化していく必要があります。
地球温暖化、海洋汚染、乱獲などの問題を解決するためには、国際的な協力が必要です。
また、持続可能な観光を実現することで、環境保護と経済発展の両立を目指していく必要があります。
参考文献
・ベリーズの世界遺産「ベリーズ珊瑚礁保護区」とは?世界遺産 …
・世界第2位の広さ!世界遺産に登録された「ベリーズ珊瑚礁保護 …
・「ベリーズのバリアリーフ保護区 〜 絶景!カリブ海の楽園 …
・ダイバーが夢見るカリブの宝石、ベリーズの世界遺産バリア …
・ベリーズ・バリア・リーフ自然保護区 (ベリーズ・バリア …
・世界遺産紹介 (27) ベリーズ・バリア・リーフ自然保護区
・世界遺産:「怪物の寝床」? 巨大なブルーホール、楽園のよう …
・世界遺産センター | UNESCO World Heritage Centre