中国南方カルストとは?世界遺産についての解説

中国南方カルストの構成
地域 特徴
雲南省石林 高さ30mの石柱が林立する景勝地
貴州省茘波 峰林、峰叢と呼ばれる円錐型の山々が連なる
重慶市武隆 天坑、天生三橋、芙蓉洞などが見られる
広西チワン族自治区桂林 漓江沿岸と陽朔県葡萄鎮に峰林、峰叢が発達
貴州省施秉 不溶性のドロマイトの峰叢と深い峡谷が見られる
重慶市金仏山 断崖絶壁に囲まれたテーブルマウンテン
広西チワン族自治区環江 峰叢と原生林が発達

1. 中国南方カルストとは

要約

中国南方カルストの概要

中国南方カルストは、中華人民共和国(中国)南部に広く見られる多様なカルスト地形の良好な代表例として、2007年6月27日にユネスコの世界遺産リストに登録されました。当初は、雲南省石林、貴州省茘波、重慶市武隆の3ヶ所でしたが、2014年の第38回世界遺産委員会で広西チワン族自治区桂林、貴州省施秉、重慶市金仏山、広西チワン族自治区環江の各カルスト地域が加わり、現在では8ヶ所となっています。

カルスト地形とは、石灰岩などの水に溶解しやすい岩石で構成された大地が、雨水、地表水、土壌水、地下水などによって侵食されてできた地形のことです。中国南方カルストは、約50万年~3億年という長い年月をかけて形成された、壮大で多様なカルスト地形が見られる地域として知られています。

中国南方カルストは、世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録されました。\n\n* 登録基準(vii):中国南方カルストは、桂林を含め、さまざまな形状のカルスト地形が見られるのが特徴で、森には希少種や絶滅危惧種なども生息しているという点。\n* 登録基準(viii):中国南方カルストは、約2億5000万年以上前の中生代から形成され、カルスト地形の発展が見られるのが特徴。特に桂林はカルスト地形の研究がされていて、独自の景観が見られるということ。

中国南方カルストの登録年
登録年 登録地域
2007年 雲南省石林、貴州省茘波、重慶市武隆
2014年 広西チワン族自治区桂林、貴州省施秉、重慶市金仏山、広西チワン族自治区環江

中国南方カルストの構成

中国南方カルストは、大きく分けて4つの地域に分けられます。\n\n* 雲南省石林:高さ30mにもなる槍のような形をした無数の岩がそびえ立つ景勝地。古生代ペルム紀の石灰岩層が雨水による溶食を受けて形成されました。\n* 貴州省茘波:溶食によって形成された峰林、峰叢と呼ばれる円錐型の小高い山々が連なる。大七孔と小七孔は景勝地として知られています。\n* 重慶市武隆:箐口天坑、天生三橋、芙蓉洞の3ヶ所が登録されています。箐口天坑は地下水が石灰岩層を溶食して巨大な洞窟が穿たれた結果、その天井部が崩落してできた大穴(ドリーネまたはシンクホール)です。天生三橋は同じく溶食によって形成された大きな洞窟が一部の天井を残して崩落、消滅し、3つの天然のアーチ(天然橋)となったものです。芙蓉洞は総延長およそ2800mの鍾乳洞です。\n* 広西チワン族自治区桂林:石灰岩が豊富な比較的に標高の低い盆地にあるため、雨水や水流による侵食作用が顕著であり、カルスト地形が極度に進化した形態を呈します。漓江沿岸と陽朔県葡萄鎮一帯に峰林、峰叢が非常に発達しており、この2か所は登録されています。

その他、貴州省施秉、重慶市金仏山、広西チワン族自治区環江の各カルスト地域も世界遺産に登録されています。

中国南方カルストの構成
地域 特徴
雲南省石林 高さ30mの石柱が林立する景勝地
貴州省茘波 峰林、峰叢と呼ばれる円錐型の山々が連なる
重慶市武隆 天坑、天生三橋、芙蓉洞などが見られる
広西チワン族自治区桂林 漓江沿岸と陽朔県葡萄鎮に峰林、峰叢が発達
貴州省施秉 不溶性のドロマイトの峰叢と深い峡谷が見られる
重慶市金仏山 断崖絶壁に囲まれたテーブルマウンテン
広西チワン族自治区環江 峰叢と原生林が発達

中国南方カルストの価値

中国南方カルストは、その壮大な景観だけでなく、生物多様性も高く評価されています。一帯には原生林が多く、希少な動植物が生息しています。また、カルスト地形は、地球の歴史や自然の力を感じることができる貴重な場所です。

まとめ

中国南方カルストは、中国南部に広がる壮大なカルスト地形であり、その多様性と美しさから世界遺産に登録されました。8つの地域に分けられ、それぞれ異なる特徴を持つカルスト地形を見ることができます。

カルスト地形は、石灰岩などの岩石が水に溶解されて形成されるため、長い年月をかけて独特の景観を作り出します。中国南方カルストは、地球の歴史と自然の力を感じることができる貴重な場所であり、生物多様性も高いことから、世界遺産として保護されています。

2. カルスト地形の形成過程

要約

カルスト地形の形成

カルスト地形は、石灰岩などの水に溶解しやすい岩石で構成された大地が、雨水や地下水などによって侵食されて形成されます。石灰岩は、水に溶けやすい性質を持つため、雨水や地下水が石灰岩に含まれる炭酸カルシウムを溶かし、長い年月をかけてさまざまな地形を形成していきます。

カルスト地形の形成には、以下の3つの段階があります。\n\n1. 溶解:雨水や地下水が石灰岩に含まれる炭酸カルシウムを溶かし、小さな穴や溝を形成します。\n2. 侵食:溶解によってできた穴や溝が拡大し、谷や洞窟などが形成されます。\n3. 崩壊:侵食が進むと、洞窟の天井が崩落したり、岩盤が崩壊したりして、天坑や天生橋などの地形が形成されます。

カルスト地形の形成過程
段階 説明
溶解 雨水や地下水が石灰岩を溶かし、小さな穴や溝を形成
侵食 溶解によってできた穴や溝が拡大し、谷や洞窟などが形成
崩壊 侵食が進むと、洞窟の天井が崩落したり、岩盤が崩壊したりして、天坑や天生橋などの地形が形成

中国南方カルストの形成過程

中国南方カルストは、約50万年~3億年という長い年月をかけて形成されました。中国南部は、かつては海底だった場所であり、地殻変動によって隆起し、石灰岩層が露出しました。その後、雨水や地下水による浸食作用が働き、現在のカルスト地形が形成されました。

中国南方カルストの形成には、以下の要因が考えられます。\n\n* 石灰岩層の分布:中国南部には、古生代ペルム紀から中生代にかけて形成された石灰岩層が広く分布しています。\n* 降水量:中国南部は、年間降水量が多く、石灰岩の溶解と侵食が活発に行われています。\n* 地形の起伏:中国南部は、山岳地帯が多く、地形が複雑です。そのため、雨水や地下水の浸食作用が複雑に働き、多様なカルスト地形が形成されました。

カルスト地形の多様性

カルスト地形は、その形成過程によって、さまざまな形態に変化します。代表的なカルスト地形には、以下のものがあります。\n\n* 峰林:円錐形の尖った山々が密集して林立している地形。\n* 峰叢:峰林よりも規模が大きく、山々が連なっている地形。\n* 天坑:地下水が石灰岩層を溶食して巨大な洞窟が穿たれた結果、その天井部が崩落してできた大穴。\n* 天生橋:溶食によって形成された大きな洞窟が一部の天井を残して崩落、消滅し、天然のアーチとなったもの。\n* 鍾乳洞:地下水が石灰岩層を溶食してできた洞窟。洞窟内には、鍾乳石、石筍、石柱などの鍾乳洞生成物が形成されます。

代表的なカルスト地形
地形 説明
峰林 円錐形の尖った山々が密集して林立している地形
峰叢 峰林よりも規模が大きく、山々が連なっている地形
天坑 地下水が石灰岩層を溶食して巨大な洞窟が穿たれた結果、その天井部が崩落してできた大穴
天生橋 溶食によって形成された大きな洞窟が一部の天井を残して崩落、消滅し、天然のアーチとなったもの
鍾乳洞 地下水が石灰岩層を溶食してできた洞窟。洞窟内には、鍾乳石、石筍、石柱などの鍾乳洞生成物が形成されます。

まとめ

カルスト地形は、石灰岩が水に溶解されて形成される過程で、さまざまな形態に変化します。中国南方カルストは、長い年月をかけて形成された、壮大で多様なカルスト地形が見られる地域です。

中国南方カルストの形成には、石灰岩層の分布、降水量、地形の起伏など、さまざまな要因が関係しています。カルスト地形は、地球の歴史と自然の力を感じることができる貴重な場所であり、世界遺産として保護されています。

3. 中国南方カルストの生態系

要約

生物多様性

中国南方カルストは、その壮大な景観だけでなく、生物多様性も高く評価されています。一帯には原生林が多く、希少な動植物が生息しています。

カルスト地形は、独特の環境を作り出すため、そこに生息する動植物も特殊な進化を遂げてきました。中国南方カルストには、以下の様な希少な動植物が生息しています。\n\n* トラキピテクス・フランソワ:中国南方カルストに生息する霊長類。絶滅危惧種に指定されています。\n* ヒノビウス科:中国南方カルストに生息する両生類。絶滅危惧種に指定されています。\n* キンブツサンホウチク:重慶市金仏山に生息する竹の一種。タケノコは重要な特産品です。

中国南方カルストに生息する希少な動植物
種名 分類 特徴
トラキピテクス・フランソワ 霊長類 絶滅危惧種
ヒノビウス科 両生類 絶滅危惧種
キンブツサンホウチク 重慶市金仏山に生息する竹の一種。タケノコは重要な特産品です。

カルスト地形と生態系

カルスト地形は、水はけが良く、土壌が薄いため、植物の生育には厳しい環境です。しかし、その一方で、カルスト地形は、独特の生態系を育んでいます。

カルスト地形には、以下の様な特徴があります。\n\n* 乾燥した環境:石灰岩は水を通しやすく、土壌が薄いため、乾燥しやすい環境です。\n* 栄養分の少ない土壌:石灰岩は、植物の生育に必要な栄養分をほとんど含んでいません。\n* 地下水の影響:カルスト地形では、地下水が豊富に存在し、植物の生育に影響を与えています。

カルスト地形の環境特徴
特徴 説明
乾燥した環境 石灰岩は水を通しやすく、土壌が薄いため、乾燥しやすい環境
栄養分の少ない土壌 石灰岩は、植物の生育に必要な栄養分をほとんど含んでいません。
地下水の影響 カルスト地形では、地下水が豊富に存在し、植物の生育に影響を与えています。

カルスト地形と人間生活

中国南方カルスト地域には、古くから人々が住んでおり、カルスト地形と密接な関係を持つ生活を営んできました。

カルスト地形は、農業には適さない環境ですが、人々は、その環境に適応した独自の農業方法を開発してきました。また、カルスト地形は、石材や地下水などの資源も提供してきました。

まとめ

中国南方カルストは、その壮大な景観だけでなく、生物多様性も高く評価されています。一帯には原生林が多く、希少な動植物が生息しています。

カルスト地形は、独特の環境を作り出すため、そこに生息する動植物も特殊な進化を遂げてきました。中国南方カルストは、地球の歴史と自然の力を感じることができる貴重な場所であり、生物多様性も高いことから、世界遺産として保護されています。

4. 世界遺産に登録された理由

要約

カルスト地形の価値

中国南方カルストは、その壮大な景観と多様なカルスト地形から、世界遺産に登録されました。

カルスト地形は、地球の歴史と自然の力を感じることができる貴重な場所です。中国南方カルストは、約50万年~3億年という長い年月をかけて形成された、壮大で多様なカルスト地形が見られる地域として知られています。

生物多様性の価値

中国南方カルストは、その壮大な景観だけでなく、生物多様性も高く評価されています。一帯には原生林が多く、希少な動植物が生息しています。

カルスト地形は、独特の環境を作り出すため、そこに生息する動植物も特殊な進化を遂げてきました。中国南方カルストには、トラキピテクス・フランソワやヒノビウス科などの希少な動植物が生息しています。

文化的価値

中国南方カルストは、その壮大な景観だけでなく、文化的価値も高く評価されています。

カルスト地形は、古くから人々が住んでおり、その環境に適応した独自の文化を育んできました。中国南方カルスト地域には、イ族、シュイ族、ミャオ族、ヤオ族などの少数民族が暮らしており、それぞれの民族独自の文化や伝統を守っています。

まとめ

中国南方カルストは、その壮大な景観、生物多様性、文化的価値から、世界遺産に登録されました。

カルスト地形は、地球の歴史と自然の力を感じることができる貴重な場所であり、そこに暮らす人々の文化や伝統も重要な価値を持っています。中国南方カルストは、世界遺産として保護され、未来の世代に引き継がれていくべき場所です。

5. 観光名所としての魅力

要約

石林

雲南省石林は、中国南方カルストの中でも特に有名な観光地です。高さ5~30メートルの石柱が林立する様子は、まさに「石の海」と呼ぶにふさわしい壮観な景色です。

石林は、古代の化石が発掘されているエリアとして化石保護区に指定されています。また、石器時代にイー族などの祖先により描かれた壁画が発見されていたりと、考古学的にも重要な地域です。

石林には、大石林、小石林、乃古石林など、いくつかのエリアがあります。大石林は、石柱が密集して林立するエリアで、望峰亭からは石林全体を見渡すことができます。小石林は、大石林よりも規模が小さく、石柱がまばらに立っています。乃古石林は、大石林や小石林よりも黒っぽい石灰岩で構成されています。

石林のエリア
エリア 特徴
大石林 石柱が密集して林立するエリア
小石林 大石林よりも規模が小さく、石柱がまばらに立っている
乃古石林 大石林や小石林よりも黒っぽい石灰岩で構成されている

武隆カルスト

重慶市武隆にある武隆カルストは、天坑三橋、芙蓉洞、地縫など、さまざまなカルスト地形が見られる場所です。

天坑三橋は、地中に開いていた洞窟に天井から水が注ぎ込み、巨大な空間を形成したスポットです。高さ80mのエレベーターで天坑の下まで行き、1~2時間ほどの道程を経て出口まで向かうことができます。

芙蓉洞は、全長2.8kmの鍾乳洞です。広大な空間はライトアップされていて、奇岩鑑賞を楽しむことができます。

地縫は、森林浴をしながらのハイキングにぴったりです。川が大地を削り生まれた約350mの断崖の中に遊歩道が整備されています。

武隆カルストの見どころ
スポット 特徴
天坑三橋 地中に開いていた洞窟に天井から水が注ぎ込み、巨大な空間を形成したスポット
芙蓉洞 全長2.8kmの鍾乳洞
地縫 川が大地を削り生まれた約350mの断崖の中に遊歩道が整備されている

貴州荔波カルスト

貴州省茘波にある貴州荔波カルストは、森林割合が90%を超える自然豊かな地域です。

地球上の北緯25度地帯はほとんど砂漠化している中で、「地球のベルトに輝くエメラルド地帯」と称される茂蘭国家自然保護区は原生林が保たれています。4

自然景観のみならず大七孔、小七孔観光区内に建設された清代の石橋も景勝地として有名です。藤やシダがアーチ型の橋脚にからみつく様子は時の流れを感じさせ、風情がありますよ。水はエメラルドに澄み渡っていて、まさに絶景を拝むことのできる世界遺産と言えます。

まとめ

中国南方カルストは、その壮大な景観と多様なカルスト地形から、世界遺産に登録されました。

石林、武隆カルスト、貴州荔波カルストなど、それぞれ異なる特徴を持つカルスト地形を見ることができます。

中国南方カルストは、地球の歴史と自然の力を感じることができる貴重な場所であり、生物多様性も高いことから、世界遺産として保護されています。

6. 中国南方カルストの保護活動

要約

保護活動の必要性

中国南方カルストは、その壮大な景観と多様なカルスト地形から、世界遺産に登録されました。しかし、近年、観光開発や環境問題など、さまざまな課題に直面しています。

観光開発は、経済効果をもたらす一方で、環境破壊や文化の消失につながる可能性があります。また、気候変動や大気汚染などの環境問題も、カルスト地形に影響を与えています。

そのため、中国南方カルストの保護活動は、ますます重要になっています。

保護活動の内容

中国政府は、中国南方カルストの保護活動に力を入れており、以下の様な取り組みを行っています。\n\n* 観光客の増加抑制:観光客の増加は、環境破壊や文化の消失につながるため、観光客の数を制限したり、観光ルートを限定したりするなどの対策が取られています。\n* 環境保護:原生林の保護、水質汚染の防止、ゴミ問題の対策など、さまざまな環境保護活動が行われています。\n* 文化保護:少数民族の文化や伝統を守るための活動が行われています。

地元住民も、カルスト地形の保護活動に積極的に参加しています。

中国南方カルストの保護活動
内容 説明
観光客の増加抑制 観光客の数を制限したり、観光ルートを限定したりするなどの対策
環境保護 原生林の保護、水質汚染の防止、ゴミ問題の対策など
文化保護 少数民族の文化や伝統を守るための活動

国際的な協力

中国南方カルストの保護活動は、国際的な協力も不可欠です。

ユネスコや国際的な環境保護団体などが、中国政府と協力して、保護活動を進めています。

まとめ

中国南方カルストは、世界遺産として保護されていますが、観光開発や環境問題など、さまざまな課題に直面しています。

中国政府は、観光客の増加抑制、環境保護、文化保護など、さまざまな保護活動を行っています。国際的な協力も不可欠であり、今後も継続的な保護活動が必要です。

参考文献

中国南方カルスト|中国世界遺産の旅ーアラチャイナ(AraChina …

時の流れが造り出した芸術的景観の数々!中国南方カルスト …

中国南方カルスト – Wikipedia

中国の世界遺産「中国南方カルスト」とは?世界遺産マニアが解説

中国南部のカルスト地形 – 世界遺産を学ぶ

中国南方カルスト_旅情中国

中国南方カルスト | 世界遺産オンラインガイド

【世界遺産】中国南方カルストとは?|地球の神秘をたっぷり …

一時間目:世界遺産めぐり、中国南方カルスト – 中国国際放送局

中国南方カルスト 中国南方カルストの概要 – Weblio 辞書

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世界遺産旅行記【92】中国南方カルスト – フォートラベル

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