アルベロベッロのトゥルッリとは?世界遺産についての解説

アルベロベッロのトゥルッリ:概要
項目 内容
トゥルッリ イタリア南部プーリア州の伝統的な家屋。白い円筒形の住居の上に、灰色の円錐形のとんがり屋根が乗っかった独特な形状
トゥルッリの起源 ギリシャ起源説や税金逃れ説など、諸説あり
トゥルッリの構造 石灰岩を積み上げて作られた家屋。モルタルを使用せず、乾式工法で造られる
トゥルッリの観光スポット モンティ地区、アイア・ピッコラ地区、新市街など
世界遺産登録 1996年にユネスコ世界遺産に登録。歴史的、文化的、建築的な価値が高く評価された
トゥルッリの魅力 独特の景観、歴史と文化、建築技術など、多くの魅力を兼ね備えている

1. トゥルッリとは何か

要約

トゥルッリとは?

トゥルッリとは、イタリア南部プーリア州の伝統的な家屋のことです。白い円筒形の住居の上に、灰色の円錐形のとんがり屋根が乗っかった独特な形状をしています。アルベロベッロはトゥルッリが密集していることで有名ですが、トゥルッリはアルベロベッロ周辺の「イトリアの谷」と呼ばれる地域全体で見られます。

トゥルッリは、1つの屋根に1つの部屋というシンプルな構造で、複数の部屋が集まって1つの家になります。アルベロベッロでは、トゥルッリが密集して町を形成しているため、他の地域とは異なる独特の景観を呈しています。

トゥルッリは、白くて灰色の屋根のメルヘンチックなものだけでなく、全体が灰色のちょっと地味なものもあります。この地味なトゥルッリは、イトリアの谷どころか、プーリア州からその北側のアブルッツォ州でも見られます。

トゥルッリは、農作業小屋として使われていることが多いです。プーリア州~アブルッツォ州あたりを鉄道で通る際には、車窓からトゥルッリ探しをすると、結構見つかります。

トゥルッリのタイプ
タイプ 特徴
メルヘンチックなトゥルッリ 白くて灰色の屋根
地味なトゥルッリ 全体が灰色
農作業小屋 全体が灰色で、プーリア州からアブルッツォ州で見られる

トゥルッリの起源

トゥルッリの起源はよくわかっていないようですが、ギリシャ起源という説もあります。また、作りやすく、壊しやすい構造のため、家屋ごとに税をかけていたスペイン支配時代に、税をごまかすために建てられたとも言われています。

トゥルッリはイタリア語で「Turlli」ですが、これは複数形で、一軒のトゥルッリを指すときは、単数形の「Trullo(トゥルッロ)」が使われます。

トゥルッリは、農民の生活様式や歴史、文化、そして自然環境が複雑に絡み合って生まれた建築様式と言えるでしょう。

トゥルッリは、単なる家屋ではなく、この地域の文化や歴史を象徴する存在なのです。

トゥルッリと白川郷
共通点 内容
伝統的な家屋 集落を形成している
観光客が去ると静かな集落になる 日常が垣間見える
姉妹都市 白川郷とアルベロベッロは姉妹都市

トゥルッリと白川郷

アルベロベッロは、日本の白川郷のある白川村と姉妹提携を結んでいます。そのため、アルベロベッロの土産物屋では白川郷の提灯を見ることもできます。

確かに、伝統的な家屋が立ち並んでいるところなどは、白川郷に似ていなくもない。それに、観光客が去れば静かな集落になる点もそっくりである。

「白川郷と姉妹提携している」というのは、ある意味アルベロベッロの一部の土産物屋の殺し文句でもある。日本人なら財布のひもが20%ほど緩くなるに違いない。

アルベロベッロと白川郷は、どちらも伝統的な建築様式と美しい景観を持つ世界遺産として、世界中の人々に愛されています。

まとめ

トゥルッリは、イタリア南部プーリア州の伝統的な家屋で、その独特の形状と歴史から、世界中の人々に愛されています。

アルベロベッロは、トゥルッリが密集していることで有名で、世界遺産に登録されています。

トゥルッリは、農民の生活様式や歴史、文化、そして自然環境が複雑に絡み合って生まれた建築様式と言えるでしょう。

トゥルッリは、単なる家屋ではなく、この地域の文化や歴史を象徴する存在なのです。

2. トゥルッリの歴史

要約

アルベロベッロの歴史

アルベロベッロは、イタリア南部のプーリア州にある小さな町です。アルベロベッロは、イタリア語で「美しい木」という意味を持ちます。

アルベロベッロの歴史は、14世紀半ばまでさかのぼります。当時、地域一帯は無人の土地だったものの、当時の領主がナポリ王に無断で街を興し、土地開拓のために農民たちを移住させました。

16世紀半ば頃から、農民たちは家を建てることを許可されましたが、この地で採れるキアンカレッレという石灰岩のみで造ることが条件でした。

税金をかけられるモルタルなど接着剤を絶対使わない家を建てることが必須でした。

アルベロベッロの歴史
時代 出来事
14世紀半ば 領主がナポリ王に無断で街を興す
16世紀半ば 農民が家を建てることを許可される
17世紀 領主が税金対策としてトゥルッリを建設させる
1797年 封建制が終了し、トゥルッリの建設が衰退

トゥルッリの誕生

トゥルッリは、17世紀にこの村を治めていた領主が、税金対策のために住民に強要していた建築方法によって建てられたものでした。

当時のナポリ王は、屋根の数に応じて税金の徴収をしていたため、領主はすぐに解体できる家を造って、支払いを免れようとしていたのです。

トゥルッリの屋根はさんかく形になっていますが、これは平らな石灰岩を円錐形に積み上げているだけで、接着剤などは使われていません。

さらに、土台や骨組みもないので簡単に解体できた、というわけなのです。

トゥルッリの誕生
理由 内容
税金逃れ 屋根の数に応じて税金が課せられていたため、簡単に壊せるトゥルッリを建設
農民の統制 農民の反抗を抑えるため、簡単に壊せるトゥルッリを建設

トゥルッリの変遷

当時の住民・農民にとっては、税金の取り立て人が来るたびに家を壊されるので、とても困る政策だったと言われています。

現在のトゥルッリは、石が積み上げられているのは屋根のみで、壁部分はしっかり接着されているそうですよ。

トゥルッリは、すぐに手に入る石灰岩を積み上げただけの簡素な造りではありますが、強い日差しを遮り、雨水の有効利用に適した構造になっています。

壁の中が二重になっており、砂が入れられているため雨が降ると砂を通ってろ過された雨水が地下に排水されます。そのため、壁の隙間から雨水が浸み出てくることはありません。

まとめ

トゥルッリは、税金対策や農民の統制のために生まれた建築様式ですが、今ではアルベロベッロの象徴的な存在となっています。

トゥルッリは、歴史的な背景を持つだけでなく、その構造や機能性も注目されています。

トゥルッリは、アルベロベッロの歴史と文化を物語る貴重な遺産であり、これからも大切に守られていくことでしょう。

トゥルッリは、アルベロベッロの街並みを美しく彩り、訪れる人々に感動を与え続けています。

3. トゥルッリの造り方

要約

トゥルッリの構造

トゥルッリは、石灰岩を積み上げて作られた家屋です。

壁は石灰岩の切石や岩などを積み上げたもので構成されています。

そして、モルタルを使用せずに作られるというのが特徴です。

屋根はドーム型に灰色の切石を積み立てていて、円錐型になっているため、どのトゥルッリもキノコのような形状になるのです。

トゥルッリの構造
部位 特徴
石灰岩の切石や岩を積み上げて作られる
屋根 灰色の切石を積み上げて作られる。円錐形
内部 仕切りがなく、カーテンなどで区切られる
特徴 モルタルなどの接着剤を使用しない乾式工法

トゥルッリの屋根

トゥルッリの屋根は、石灰岩の平たい石を積み重ねて作られています。

モルタルなどの接着剤は使用せず、石を積み重ねるだけの乾式工法で造られています。

屋根には、石灰で神話・宗教的なシンボルが描かれるのもトゥルッリの大きな特徴です。

屋根の石は、ただ積んでいるだけで、50年に1度交換されるようです。

トゥルッリの屋根
特徴 内容
素材 石灰岩の平たい石
構造 モルタルなどの接着剤を使用しない乾式工法
装飾 石灰で神話・宗教的なシンボルが描かれる
交換 50年に1度交換される

トゥルッリの壁

トゥルッリの壁は、石灰岩の切石を積み上げて作られています。

壁は石灰で塗られているため白くなっており、強い日差しを跳ね返すのがメリットです。

また、ペスト流行時の殺菌作用の名残だともいわれています。

壁の中が二重になっており、砂が入れられているため雨が降ると砂を通ってろ過された雨水が地下に排水されます。

トゥルッリの壁
特徴 内容
素材 石灰岩の切石
仕上げ 石灰で白く塗られる
効果 強い日差しを跳ね返す
構造 二重構造で、砂が入れられているため雨水が地下に排水される

まとめ

トゥルッリは、石灰岩という地元で手に入る素材を最大限に活用した、環境に配慮した建築様式と言えるでしょう。

トゥルッリは、シンプルな構造でありながら、機能性と美しさを兼ね備えています。

トゥルッリは、先人の知恵と技術が結集した、まさに「エコ建築」の傑作と言えるでしょう。

トゥルッリは、現代の建築にもヒントを与えてくれる、貴重な存在です。

4. トゥルッリの観光スポット

要約

モンティ地区

アルベロベッロの観光のメッカはなだらかな丘陵になっているモンティ地区(Rione Monti)です。

駅から来ると、まずモンティ地区の裾、マルテッロッタ広場(Largo Martellotta)に着きます。

そこから伸びる緩やかな坂道、モンテ・サボティーノ通り(Via Monte Sabotino)、もしくはモンテ・サン・ミケーレ通り(Via Monte San Michele)を上るやいなや道の両脇にトゥルッリが立ち並ぶ光景が広がります。

トゥルッリのほとんどは土産物店、もしくは飲食店です。

モンティ地区
特徴 内容
トゥルッリ 1000軒以上のトゥルッリが密集
施設 土産物店、飲食店など
雰囲気 観光客でにぎわう
アクセス 駅から徒歩でアクセス可能

アイア・ピッコラ地区

地元の人々が日常生活を営むアイア・ピッコラ地区(Rione Aia Piccola)には約400のトゥルッリが並びます。

多くの観光客や土産物店でにぎわうモンティ地区と対照的で、人通りも少なく、ひっそりとしていますが、洗濯物が干され、思い思いの花や緑が飾られている生活感あるトゥルッリもまた味わい深いもの。

ただし、地元の人々のご迷惑にならないよう、マナーを守って観光しましょう。

騒々しい音を立てたり、勝手に敷地に入り込んだりすることのないようお気をつけください。

アイア・ピッコラ地区
特徴 内容
トゥルッリ 約400軒のトゥルッリが並ぶ
施設 住宅
雰囲気 静かで、生活感がある
アクセス モンティ地区から徒歩でアクセス可能

新市街

アルベロベッロにいらっしゃる観光客の殆どがモンティ地区のトゥルッリ群と土産物店を見たら次の町へ移動してしまうようですが、地元の方々が日常の買物をする店が並ぶのは新市街です。

食品、カフェ、レストランなど、地元の方々がひいきにする店が並びます。

町の主要教会、サンティ・メディチ・コズマ・エ・ダミアーノ聖堂やアルベロベッロで最も大きく、稀少な2階建て造りのトゥルッリであるトゥルッロソヴラーノなども新市街に位置しています。

ぜひ足を運んでみてください!

新市街
特徴 内容
施設 食品、カフェ、レストランなど
雰囲気 地元の人々がひいきにする店が並ぶ
アクセス モンティ地区から徒歩でアクセス可能

まとめ

アルベロベッロは、トゥルッリが密集しているモンティ地区と、地元の人々が暮らすアイア・ピッコラ地区、そして新市街と、それぞれ異なる魅力を持つエリアがあります。

それぞれのエリアを散策することで、アルベロベッロの多様な魅力を感じることができます。

アルベロベッロを訪れる際は、それぞれのエリアの特徴を理解した上で、観光プランを立ててみましょう。

きっと、あなたにとって忘れられない旅になるでしょう。

5. トゥルッリの世界遺産登録

要約

世界遺産登録の理由

アルベロベッロのトゥルッリは、1996年にユネスコ世界遺産に登録されました。

世界遺産登録の理由は、以下の3つの基準を満たしているからです。

(iii) 人類の創造性、芸術的表現、思想、信仰、技術などの歴史的発展を例証する建造物であること。

(iv) 建築様式、技術、空間的配置、景観などの点で、人類の歴史上重要な時期を例証する建造物であること。

世界遺産登録の理由
基準 内容
(iii) 人類の創造性、芸術的表現、思想、信仰、技術などの歴史的発展を例証する建造物であること
(iv) 建築様式、技術、空間的配置、景観などの点で、人類の歴史上重要な時期を例証する建造物であること
(v) 現在も人々が住み続け、保護されている住居であること

世界遺産登録基準

アルベロベッロのトゥルッリは、地中海で数千年の歴史のある石積みの技術が使用されていることを示すという点で、基準(iii)を満たしています。

アルベロベッロのトゥルッリは、旧市街に残る伝統家屋として非常に優れたものであるということから、基準(iv)を満たしています。

アルベロベッロのトゥルッリは、今でも人々が住み続け、保護されている住居であるという点で、基準(v)を満たしています。

アルベロベッロのトゥルッリは、歴史的、文化的、建築的な価値が高く評価され、世界遺産に登録されました。

世界遺産登録後の変化

世界遺産登録後、アルベロベッロは観光客が増加し、経済効果も期待されています。

しかし、世界遺産登録に伴い、住民は生活様式の変化や観光客による影響に直面しています。

世界遺産登録は、地域にとって大きな喜びと同時に、課題も生み出しています。

アルベロベッロの住民は、世界遺産としての価値を守りながら、持続可能な観光を実現するために努力しています。

まとめ

アルベロベッロのトゥルッリは、世界遺産に登録されることで、その価値が世界的に認められました。

世界遺産登録は、アルベロベッロの観光振興に大きく貢献していますが、同時に、住民の生活や環境への影響も考慮する必要があります。

アルベロベッロのトゥルッリは、これからも世界中の人々に愛され、大切に守られていくことでしょう。

アルベロベッロのトゥルッリは、人類の文化遺産として、未来へと受け継がれていくことでしょう。

6. トゥルッリの魅力

要約

トゥルッリの魅力1:独特の景観

アルベロベッロのトゥルッリは、その独特の景観で、訪れる人々を魅了しています。

白い壁に灰色の円錐形の屋根が乗ったトゥルッリは、まるで童話の世界から飛び出してきたような可愛らしさがあります。

トゥルッリが密集して立ち並ぶ風景は、どこを見ても絵になるほど美しく、写真映えも抜群です。

アルベロベッロのトゥルッリは、まさに「おとぎの国」の風景と言えるでしょう。

トゥルッリの魅力
魅力 内容
独特の景観 白い壁に灰色の円錐形の屋根が乗った可愛らしい形状
歴史と文化 税金対策や農民の統制のために生まれた建築様式
建築技術 石灰岩という地元で手に入る素材を最大限に活用した環境に配慮した建築様式

トゥルッリの魅力2:歴史と文化

トゥルッリは、単なる家屋ではなく、この地域の文化や歴史を物語る貴重な遺産です。

トゥルッリは、税金対策や農民の統制のために生まれた建築様式ですが、今ではアルベロベッロの象徴的な存在となっています。

トゥルッリは、アルベロベッロの歴史と文化を深く理解するための重要な鍵と言えるでしょう。

トゥルッリは、アルベロベッロの人々の暮らしと文化を伝える、貴重な遺産です。

トゥルッリの魅力3:建築技術

トゥルッリは、石灰岩という地元で手に入る素材を最大限に活用した、環境に配慮した建築様式と言えるでしょう。

トゥルッリは、シンプルな構造でありながら、機能性と美しさを兼ね備えています。

トゥルッリは、先人の知恵と技術が結集した、まさに「エコ建築」の傑作と言えるでしょう。

トゥルッリは、現代の建築にもヒントを与えてくれる、貴重な存在です。

まとめ

アルベロベッロのトゥルッリは、その独特の景観、歴史と文化、そして建築技術など、多くの魅力を兼ね備えています。

トゥルッリは、訪れる人々に感動を与え、忘れられない思い出をプレゼントしてくれるでしょう。

アルベロベッロのトゥルッリは、世界遺産に登録されるにふさわしい、貴重な文化遺産です。

アルベロベッロのトゥルッリは、これからも世界中の人々に愛され、大切に守られていくことでしょう。

参考文献

アルベロベッロのトゥルッリ | イタリア, ヨーロッパ | 世界遺産 …

イタリアの世界遺産「アルベロベッロのトゥルッリ」とは …

イタリアの世界遺産・アルベロベッロを観光!歴史や魅力 …

アルベロベッロのトゥルッリ – Wikipedia

【歴史編】どこよりも詳しいアルベロベッロ徹底解説書 – Buono …

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