アッシージ、聖フランチェスコ聖堂と関連遺跡群とは？世界遺産についての解説

アッシージ、聖フランチェスコ聖堂と関連遺跡群の構成要素
構成要素	説明
聖フランチェスコ聖堂	聖フランチェスコの功績を称えるため、1228年に教皇グレゴリウス9世によって建設された聖堂。ゴシック様式とロマネスク様式が融合した建築様式で、多くの芸術家によって描かれたフレスコ画が飾られている。
サンタ・キアラ修道院	聖フランチェスコの最初の信奉者である聖キアラを祀るために建てられた修道院。聖フランチェスコ聖堂の近くにある。
ミネルヴァ神殿	古代ローマ時代の神殿。現在は、サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会の一部となっている。
サン・ルフィーノ大聖堂	11世紀半ばに建設されたロマネスク様式の教会堂。聖フランチェスコと聖キアラはここで洗礼を受けたと言われている。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会	11～12世紀に建設されたロマネスク様式の教会堂。ローマ時代の初期キリスト教時代の教会堂の跡地に建てられた。
サン・ピエトロ教会	10世紀にベネディクト会によって建てられ、13世紀にゴシック様式で改修された教会堂。
ロッカ・マッジョーレ	山頂に立つ城塞。12世紀以前から要塞や砦が築かれていた。
サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ聖堂	ポルツィウンコラを収めるために建設された教会堂。聖フランチェスコと聖キアラが出家した場所であり、聖フランチェスコが亡くなった場所でもある。
ポルツィウンコラ	4世紀にパレスチナのキリスト教隠者が築いたと伝わる小さな礼拝堂。聖フランチェスコが「教会を直せ」という神の言葉を聞いて修復した。
カルチェリ庵	フランチェスコと仲間たちがしばしば訪れたスバシオ山中の隠れ家。山腹の洞窟を利用して瞑想を行った。
リヴォトルトの聖域	聖フランチェスコとその仲間が1208年に最初に定住した場所。小さき兄弟会発足の地。

1. 聖フランチェスコ聖堂の歴史
2. アッシージの世界遺産登録経緯
3. 聖フランチェスコ聖堂の建築様式
4. 聖フランチェスコ聖堂の宝物館
5. アッシージの観光スポット
6. 聖フランチェスコ聖堂の意義と影響

1. 聖フランチェスコ聖堂の歴史

聖フランチェスコの生涯

アッシジは、イタリア中部のウンブリア州にある人口2万人ほどの小さな町ですが、フランシスコ会の創立者である聖フランチェスコの出身地として知られています。聖フランチェスコは、1182年にアッシジの裕福な家に生まれました。若い頃は奔放な生活を送っていましたが、23歳の時に戦争の捕虜となり、重い熱病を患ったことをきっかけに敬虔なキリスト教徒へと回心していったと言われています。その後、彼は肉体労働をしつつ、托鉢で食事を得るという禁欲的な生活を送り、徐々に弟子が増えていき、巨大な修道会へと発展しました。彼は清貧と平和の思想のもと、小鳥にも説教することもあったことから「自然保護の聖者」とも呼ばれています。

聖フランチェスコは、1226年に亡くなりましたが、彼の功績を称えるため、1228年に教皇グレゴリウス9世によってサン・フランチェスコ聖堂の建設が始まりました。聖堂は、アッシジの丘の上に位置するため、細長い構造になっていて、段差のある上下2つの教会で構成されています。

聖フランチェスコ聖堂は、上部の聖堂がゴシック様式、下部の聖堂がロマネスク様式という、異なる建築様式が組み合わされた珍しい構造をしています。上部には、フランチェスコの生涯が描かれたフレスコ画が残り、画家ジョットによる『小鳥への説教』が有名です。他にも、チマブーエ、マルティーニ、ロレンツェッティ兄弟などの作品が並びます。

聖フランチェスコ聖堂は、1997年の大地震で損傷しましたが、ボランティアなどによって修復され、現在では元通りになっています。

聖フランチェスコの生涯における主な出来事
時期	出来事
1182年	アッシジに生まれる。
1205年	サン・ダミアーノ教会で神の声を聞く。
1208年	リヴォトルトで「小さき兄弟会」を発足。
1212年	キアラに女子修道会（クララ会）を発足。
1223年	フランチェスコ会が正式に認可される。
1226年	死去。
1228年	列聖される。

聖キアラの生涯

聖キアラは、アッシジの貴族の娘で、聖フランチェスコの最初の信奉者でした。彼女は、聖フランチェスコの教えに従い、清貧・貞節・従順の精神を貫き通しました。その後、彼女はフランチェスコ会の女子修道会キアーラ（クララ）会の創設者となりました。

聖キアラは、1253年に亡くなりましたが、彼女の死後、13世紀中頃に、彼女を祀るためにサンタ・キアラ修道院が建設されました。修道院は、聖フランチェスコ聖堂の近くにあります。

サンタ・キアラ修道院は、アッシジの町にも多く使われている白とばら色の大理石を縞模様に積み重ね、中央にバラ窓と入口がひとつずつあるだけでシンプルな外観をしています。

修道院地下には、聖キアラの遺骸を収めた部屋があります。

聖キアラの生涯における主な出来事
時期	出来事
1194年	アッシジに生まれる。
1212年	フランチェスコのいるポルツィウンコラを訪れる。
1212年	サン・ダミアーノ教会でクララ会を立ち上げる。
1253年	死去。
1255年	列聖される。

フランチェスコ会の発展

聖フランチェスコの死後、フランチェスコ会は、彼の教えである清貧の精神が共感を得て、13世紀中に会員を数万人まで増やしました。1288年には、フランチェスコ会の総長だったニコラウス4世が教皇に就任しました。

フランチェスコ会は、世界中に広がり、ローマ・カトリック最大の修道会に発展しました。

フランチェスコ会は、他の宗教集団に対しても寛容なメッセージを発信し、世界平和に貢献しました。

フランチェスコ会の活動は、美術や建築の発展にも大きく貢献しました。

フランチェスコ会発展の主な出来事
時期	出来事
1288年	フランチェスコ会の総長だったニコラウス4世が教皇に就任。
1294年	フランチェスコ会の修道士モンテ・コルヴィノが元の大都（現在の北京）で宣教を行う。
13世紀	フランチェスコ会は、世界中に広がり、ローマ・カトリック最大の修道会に発展。
1447年	世俗の信徒を集めた修道会（第三会）が正式に認可される。

まとめ

聖フランチェスコは、裕福な家に生まれながらも、清貧の精神を貫き、多くの弟子を集めてフランチェスコ会を創設しました。彼の教えは、世界中に広がり、現在でも多くの信者によって受け継がれています。

聖フランチェスコの功績を称えるために建てられたサン・フランチェスコ聖堂は、ゴシック様式とロマネスク様式が融合した独特の建築様式で、多くの芸術家によって描かれたフレスコ画が飾られています。

聖フランチェスコ聖堂は、アッシジの街のシンボルであり、世界遺産に登録されています。

聖フランチェスコ聖堂は、キリスト教の歴史において重要な役割を果たしただけでなく、芸術や建築の発展にも大きな影響を与えました。

2. アッシージの世界遺産登録経緯

世界遺産登録基準

アッシジ、フランチェスコ聖堂と関連修道施設群は、2000年に世界遺産に登録されました。

世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された（以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である）。

(i) アッシジに残るサン・フランチェスコ大聖堂は、ヨーロッパと世界の美術史における基礎になるほどに優れた建造物であるという点。

(ii) フランシスコ会の精神は、世界に広まり、美術や建築の発展に大きく貢献したということ。

アッシージ、フランチェスコ聖堂と関連修道施設群の世界遺産登録基準
基準	説明
(i)	人類の創造的な才能を示す傑作。
(ii)	フランシスコ会の活動は世界の芸術や建築の発展に大きく寄与。
(iii)	古代から現代まで一貫して聖域として発展を続けた稀有な都市。
(iv)	サン・フランチェスコ聖堂は芸術と建築の発展に大きな影響を与えた。
(vi)	フランシスコ会発祥の地であるアッシジは中世以来、フランシスコ会の信仰と普及に関する世界的な活動の拠点。

アッシジの歴史的背景

アッシジは、ローマ帝国時代から政治・経済の重要な地位を占めた古い都市でもあり、紀元前1世紀頃には「ミネルバ神殿」も建てられました。

アッシジは、中世に丘の上に作られた都市国家で、南東から北西に斜面が延びていて、城壁に囲まれた要塞都市でした。

12世紀にこの町で生まれたアッシジのフランチェスコが、キリスト教の修道会を開くと、彼の功績を称えるために大聖堂が築かれ、女子修道院などが築かれました。

アッシジは、フランシスコ会と強く結びついた街で、世界へと布教していくと同時に、街には建築と美術の宝庫であるサン・フランチェスコ大聖堂が作られ、フランチェスコの教えは美術や建築物に影響を与えているという点に評価されています。

アッシジの歴史における主な出来事
時期	出来事
紀元前1000年	集落がすでに存在。
紀元前3世紀	ローマ人が街を築く。
11～12世紀	商人たちの活躍で町が回復。
13世紀	教皇領に組み込まれ、フランシスコ会の拠点として整備がはじまる。
15～18世紀	町がさらに発展し、貴族がルネサンスやバロック様式の宮殿を建設。
1861年	イタリア王国として統一。
1997年	地震に見舞われる。
2000年	世界遺産に登録される。

アッシジの文化的景観

アッシジは、ローマ時代からの歴史を誇る都市で、丘の上に修道会が開かれ、建築物が並ぶようになり、巡礼地となったという独特の例であり、それらを含めて文化的景観となっているという点。

アッシジの街は、中世からフランシスコ会と密接に関わっていて、特にフランシスコ会は他の宗教集団に対しても寛容なメッセージを発しているという点。

まとめ

アッシジは、聖フランチェスコの出身地であり、フランチェスコ会発祥の地として、世界遺産に登録されました。

アッシジは、ローマ帝国時代から続く歴史と、フランチェスコ会との深い関わりを持つ街です。

アッシジは、サン・フランチェスコ聖堂をはじめとする多くの歴史的建造物と、美しい自然景観を有する文化的景観として評価されています。

アッシジは、世界遺産登録基準の(i)～(iv)と(vi)を満たしており、世界遺産としての価値が認められています。

3. 聖フランチェスコ聖堂の建築様式

サン・フランチェスコ聖堂の構造

サン・フランチェスコ聖堂は、アッシジの丘の上に位置するため、細長い構造になっていて、段差のある上下2つの教会で構成されています。

上部の聖堂はゴシック様式、下部の聖堂はロマネスク様式という、異なる建築様式が組み合わされた珍しい構造をしています。

上部には、フランチェスコの生涯が描かれたフレスコ画が残り、画家ジョットによる『小鳥への説教』が有名です。

下部には、同じく有名な画家チマブーエの描いた「玉座の聖母と4人の天使と聖フランチェスコ」もあります。

サン・フランチェスコ聖堂の構造
部分	説明
上部聖堂	ゴシック様式。フランチェスコの生涯を描いたフレスコ画が飾られている。
下部聖堂	ロマネスク様式。チマブーエ、マルティーニ、ロレンツェッティ兄弟などの作品が飾られている。
鐘楼	ロマネスク様式。1239年に建設された。
クロイスター	ロマネスク様式。ピンクと白の石を並べたポリクロミアが見られる。

サン・フランチェスコ聖堂の建築様式の特徴

サン・フランチェスコ聖堂は、ゴシック様式とロマネスク様式が融合した独特の建築様式で、多くの芸術家によって描かれたフレスコ画が飾られています。

聖堂は、上下2つの教会で構成されており、上部はゴシック様式、下部はロマネスク様式となっています。

上部の聖堂は、フランチェスコの生涯を描いたフレスコ画が飾られており、画家ジョットによる『小鳥への説教』が有名です。

下部の聖堂は、チマブーエ、マルティーニ、ロレンツェッティ兄弟などの作品が並びます。

サン・フランチェスコ聖堂の建築様式の特徴
特徴	説明
ゴシック様式	上部聖堂に採用されている。尖頭アーチやバラ窓などが特徴。
ロマネスク様式	下部聖堂に採用されている。アーチや柱などが特徴。
フレスコ画	聖堂内部の壁や天井に描かれている。チマブーエ、ジョット、マルティーニなどの作品がある。
ポリクロミア	ピンクと白の石を並べた縞模様。クロイスターに見られる。

サン・フランチェスコ聖堂の修復

聖フランチェスコ聖堂は、1997年の大地震で損傷しましたが、ボランティアなどによって修復され、現在では元通りになっています。

聖堂は、地震によって損傷した部分も修復され、現在では元の美しい姿を取り戻しています。

聖堂の修復には、多くのボランティアが参加し、世界中から支援が集まりました。

聖堂の修復は、歴史的建造物の保存と、文化遺産の継承という点で大きな意義を持っています。

まとめ

聖堂は、上下2つの教会で構成されており、上部はゴシック様式、下部はロマネスク様式となっています。

聖堂は、1997年の大地震で損傷しましたが、ボランティアなどによって修復され、現在では元の美しい姿を取り戻しています。

サン・フランチェスコ聖堂は、建築様式だけでなく、歴史的背景や芸術作品など、多くの魅力を持つ建造物です。

4. 聖フランチェスコ聖堂の宝物館

宝物館の概要

サン・フランチェスコ聖堂には、宝物館があります。

宝物館には、聖フランチェスコに関連する貴重な品々や、聖堂の歴史を物語る資料などが展示されています。

宝物館は、聖堂の地下にあります。

宝物館は、聖堂を訪れた際にぜひ立ち寄りたい場所です。

宝物館の見どころ

宝物館の見どころは、聖フランチェスコの遺品や、聖堂の建設当時の資料などです。

聖フランチェスコの遺品は、彼の遺髪や、彼が身につけていた衣服などです。

聖堂の建設当時の資料は、聖堂の設計図や、建設の様子を描いた絵画などです。

宝物館には、聖フランチェスコの生涯や、フランチェスコ会の歴史を学ぶことができる貴重な資料が展示されています。

宝物館へのアクセス

宝物館は、サン・フランチェスコ聖堂の地下にあります。

聖堂の入口から、地下への階段を降りると、宝物館があります。

宝物館は、聖堂の開館時間内に見学できます。

宝物館の見学には、別途料金がかかります。

まとめ

サン・フランチェスコ聖堂の宝物館には、聖フランチェスコに関連する貴重な品々や、聖堂の歴史を物語る資料などが展示されています。

宝物館は、聖堂を訪れた際にぜひ立ち寄りたい場所です。

宝物館は、聖フランチェスコの生涯や、フランチェスコ会の歴史を学ぶことができる貴重な場所です。

宝物館は、聖堂の地下にあります。聖堂の開館時間内に見学できます。見学には、別途料金がかかります。

5. アッシージの観光スポット

サン・フランチェスコ聖堂

サン・フランチェスコ聖堂は、アッシジの街のシンボルであり、世界遺産に登録されています。

聖堂は、聖フランチェスコの功績を称えるために建てられたもので、ゴシック様式とロマネスク様式が融合した独特の建築様式で、多くの芸術家によって描かれたフレスコ画が飾られています。

聖堂は、上下2つの教会で構成されており、上部はゴシック様式、下部はロマネスク様式となっています。

聖堂は、1997年の大地震で損傷しましたが、ボランティアなどによって修復され、現在では元の美しい姿を取り戻しています。

サンタ・キアラ修道院

サンタ・キアラ修道院は、聖フランチェスコの最初の信奉者である聖キアラを祀るために建てられた修道院です。

修道院は、聖フランチェスコ聖堂の近くにあります。

修道院は、アッシジの町にも多く使われている白とばら色の大理石を縞模様に積み重ね、中央にバラ窓と入口がひとつずつあるだけでシンプルな外観をしています。

修道院地下には、聖キアラの遺骸を収めた部屋があります。

その他の観光スポット

アッシジには、サン・フランチェスコ聖堂やサンタ・キアラ修道院以外にも、多くの観光スポットがあります。

例えば、古代ローマ時代のミネルヴァ神殿や、サン・ルフィーノ大聖堂、サンタ・マリア・マッジョーレ教会などがあります。

これらの観光スポットは、アッシジの歴史や文化を学ぶのに最適な場所です。

アッシジは、歴史と文化が豊かな街なので、一日かけてゆっくりと散策するのがおすすめです。

アッシージのその他の観光スポット
観光スポット	説明
ミネルヴァ神殿	古代ローマ時代の神殿。
サン・ルフィーノ大聖堂	11世紀半ばに建設されたロマネスク様式の教会堂。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会	11～12世紀に建設されたロマネスク様式の教会堂。
サン・ピエトロ教会	10世紀にベネディクト会によって建てられ、13世紀にゴシック様式で改修された教会堂。
ロッカ・マッジョーレ	山頂に立つ城塞。
サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ聖堂	ポルツィウンコラを収めるために建設された教会堂。
ポルツィウンコラ	4世紀にパレスチナのキリスト教隠者が築いたと伝わる小さな礼拝堂。
カルチェリ庵	フランチェスコと仲間たちがしばしば訪れたスバシオ山中の隠れ家。
リヴォトルトの聖域	聖フランチェスコとその仲間が1208年に最初に定住した場所。