コルヴァイのカロリング朝ヴェストヴェルクとキウィタスとは？世界遺産についての解説

コルヴァイのカロリング朝ヴェストヴェルクとキウィタスに関する項目
項目	内容
コルヴァイ修道院の歴史	カロリング朝時代に創設され、ザクセン地方の文化的・宗教的中心地として発展。その後、衰退し、三十年戦争で大きな被害を受けた。
キウィタスの意味	ラテン語で「都市」や「市民」を意味し、中世ヨーロッパでは修道院や城などの周辺地域を含む集落を指す。
世界遺産登録の経緯	1999年から暫定リストに掲載され、2014年に正式登録。独創性、正統性、完全性を満たすことが評価された。
カロリング朝ヴェストヴェルクの特徴	カロリング朝時代の建築様式を示す重要な例。独特なデザインと構造、フレスコ画や彫刻などの装飾が特徴。
キウィタスの強みと魅力	カロリング朝時代のヴェストヴェルクをはじめ、多くの歴史的な建造物や遺跡が残されている。歴史と文化の宝庫であり、中世ヨーロッパの壮大さと深淵さを体感できる。
コルヴァイとキウィタスの関連性	コルヴァイ修道院はキウィタスの中心的な存在であり、宗教的な指導、教育、経済的な支援など、様々な役割を果たしていた。ヴェストヴェルクはキウィタスの宗教的な中心であり、同時に、政治的な権力の中心地でもあった。

1. コルヴァイとは何か
2. キウィタスの意味とは
3. コルヴァイの世界遺産登録の経緯
4. カロリング朝ヴェストヴェルクの特徴
5. キウィタスの強みと魅力
6. コルヴァイとキウィタスの関連性

1. コルヴァイとは何か

コルヴァイ修道院の歴史

コルヴァイは、ドイツ連邦共和国ノルトライン＝ヴェストファーレン州の都市ヘクスター市にある旧修道院です。815年頃にフランク王でローマ皇帝でもあったルートヴィヒ１世（ルイ１世／ルイ敬虔王）によって創設されました。現存する建物の多くは12世紀以降にロマネスク様式やバロック様式で再建・改修されたものですが、旧修道院教会のウェストワーク（ドイツ語でヴェストヴェルク。教会堂の顔となる西側の特別な構造物。西構え）は９世紀のフランク王国カロリング朝期の建築がいまに伝えられています。

コルヴァイは、カロリング朝で最も重要な修道院の一つであり、当時としてはこの国で最も価値の高い図書館の一つを有していました。この修道院は数多くの司教を輩出しています。この修道院は 9世紀から 10世紀にザクセン地方の文化的、宗教的、経済的中心地に発展しました。危機の段階を経て、コルヴァイは11世紀に改革修道院となりました。その後、神聖ローマ帝国の聖界領邦としてのコルヴァイ修道院領が成立しましたが、中世後期にその重要性は失われました。

836年にフランスのサン＝ドニ大聖堂からローマ帝国の迫害を受けて殉教したルカニアの聖ヴィトゥスの聖遺物が寄贈されたことで、コルヴァイはザクセン最大の巡礼地となりました。カロリング朝によって税の免除や市場・採掘・造幣の権利をはじめさまざまな特権を与えられ、またザクセン人の貴族から多くの財産を寄贈・譲渡されたことでドイツでもっとも裕福な修道院となりました。

修道院はザクセンにおける文化的・宗教的中心地となり、周辺にはコルヴァイとヘクスターというふたつの修道院城下町が発達しました。修道院はこの時代、ふたつの町に加えてメッペンなど数多くの修道院領を保有し、最盛期には60以上の修道院や教会堂を従えていました。

コルヴァイ修道院の歴史
時代	出来事
815年頃	ルートヴィヒ１世によって創設
9世紀～10世紀	ザクセン地方の文化的・宗教的中心地として発展
11世紀	改革修道院となる
12世紀以降	ロマネスク様式やバロック様式で再建・改修
1355年	聖ヴィトゥスの聖遺物がプラハの聖ヴィート大聖堂に流出
1618～1648年	三十年戦争で大きな被害
1792年	修道院が廃院
1803年	コルヴァイ司教領が廃止
現在	世界遺産として登録

コルヴァイの衰退

11世紀に入るとドイツでは聖職者の任命権（聖職叙任権）や課税を巡って教皇と神聖ローマ皇帝の対立が激化し、諸侯や都市も教皇派（ゲルフ）と皇帝派（ギベリン）に分かれて争いました。また、修道院領を持ち、封建領主として振る舞う修道院への反発が高まり、修道院改革運動が進められました。コルヴァイも教皇派と皇帝派の争いに巻き込まれ、修道院の改革が進められました。

たとえば皇帝ハインリヒ４世や５世は選挙を無視して修道院長を任命して介入し、一方教皇も司教を派遣して司教区の支配を強化しました。聖職叙任権闘争は皇帝ハインリヒ５世と教皇カリストゥス２世の間で結ばれたヴォルムス協約によって、皇帝が権利を放棄する形で一応の決着を見た。これにより皇帝の権威は失墜し、ザクセン公国（1296年からザクセン＝ヴィッテンベルク、1356年からザクセン選帝侯領）の独立が進みました。

ザクセン公のような諸侯やケルン大司教のような聖界諸侯が力を増す中で修道院の影響力は減りつづけ、修道院領の多くが没収されました。12～13世紀、神聖ローマ皇帝の座をホーエンシュタウフェン家が占めるホーエンシュタウフェン朝の時代になるとドイツの中心は南へ移動し、コルヴァイの地理的重要性が減って都市としても衰退しました。1265年にはパーダーボルン司教とヘクスターの市民がコルヴァイに攻め込んで町を破壊しました。

これでコルヴァイの中心部にあたる修道院周辺のコミュニティ＝キヴィタス・コルヴァイは放棄され、二度とその繁栄を取り戻すことはなかった。1355年には聖ヴィトゥスの聖遺物がボヘミア・プラハの聖ヴィート大聖堂（世界遺産）に流出。1618～48年の三十年戦争とその後の混乱で修道院教会や図書館がほぼ全壊するなど大きな被害を受けた。1792年に修道院は廃院となり、マインツ大司教の下でコルヴァイ司教領を形成したが、これも1803年に廃止された。その後、ホーエンローエ家やラティボール家の私有地となってコルヴァイ宮殿として整備され、旧修道院教会については聖ステファヌス・ヴィトゥス教会に委譲されました。

コルヴァイの衰退
時代	出来事
11世紀	聖職叙任権闘争が激化
12～13世紀	ホーエンシュタウフェン朝の時代、ドイツの中心が南へ移動
1265年	パーダーボルン司教とヘクスターの市民がコルヴァイを破壊
1355年	聖ヴィトゥスの聖遺物がプラハの聖ヴィート大聖堂に流出
1618～1648年	三十年戦争で大きな被害
1792年	修道院が廃院
1803年	コルヴァイ司教領が廃止

コルヴァイの現在

現在、コルヴァイは、かつての修道院の建物群と、その周辺の遺跡からなる世界遺産として、多くの人々に知られています。特に、カロリング朝時代のウェストワークは、その時代の建築様式と技術を伝える貴重な遺構として、世界中から注目を集めています。

コルヴァイは、かつての修道院の建物群と、その周辺の遺跡からなる世界遺産として、多くの人々に知られています。特に、カロリング朝時代のウェストワークは、その時代の建築様式と技術を伝える貴重な遺構として、世界中から注目を集めています。

まとめ

コルヴァイは、カロリング朝時代に重要な役割を果たした修道院であり、その歴史は、フランク王国の興亡、キリスト教文化の伝播、そしてヨーロッパ史そのものと深く結びついています。

かつては、ザクセン地方の文化的・宗教的中心地として栄え、多くの学者や聖職者を輩出しましたが、その後は衰退し、三十年戦争などの影響で大きな被害を受けました。

しかし、現在も残るカロリング朝時代のウェストワークは、その時代の建築様式と技術を伝える貴重な遺構として、世界中から注目を集めています。

コルヴァイは、歴史と文化の宝庫であり、訪れる人々に、中世ヨーロッパの壮大さと深淵さを体感させてくれる場所です。

2. キウィタスの意味とは

キウィタスの語源と意味

キウィタス（Civitas）は、ラテン語で「都市」や「市民」を意味する言葉です。古代ローマ時代には、都市国家や自治都市を指す言葉として用いられていました。

中世ヨーロッパでは、キウィタスは、都市や町だけでなく、修道院や城などの周辺地域を含む、ある程度の規模を持つ集落を指す言葉として用いられるようになりました。

コルヴァイの場合、キウィタス・コルヴァイは、コルヴァイ修道院とその周辺の集落を合わせた、中世の都市的なコミュニティを指しています。

キウィタスは、単なる地理的な場所ではなく、政治、経済、文化、宗教など、様々な側面が複雑に絡み合った、中世社会の重要な単位であったと言えるでしょう。

キウィタスの語源と意味
言葉	意味
キウィタス	都市、市民
キウィタス・コルヴァイ	コルヴァイ修道院とその周辺の集落を合わせた中世の都市的なコミュニティ

コルヴァイにおけるキウィタスの役割

コルヴァイ修道院は、カロリング朝時代に、ザクセン地方におけるキリスト教文化の中心地として重要な役割を果たしました。

修道院は、周辺の集落に対して、宗教的な指導、教育、経済的な支援など、様々な役割を果たしていました。

コルヴァイ修道院とその周辺の集落は、キウィタス・コルヴァイとして、中世ヨーロッパにおける都市的なコミュニティの典型的な例として、世界遺産に登録されました。

キウィタス・コルヴァイは、中世ヨーロッパにおける都市的なコミュニティの典型的な例として、世界遺産に登録されました。

キウィタスとヴェストヴェルクの関係

コルヴァイのカロリング朝ヴェストヴェルクは、キウィタス・コルヴァイの中心的な建造物であり、その威容は、周辺の集落の人々にとって、宗教的な象徴であり、政治的な権威の象徴でもありました。

ヴェストヴェルクは、キウィタス・コルヴァイの宗教的な中心であり、同時に、政治的な権力の中心地でもありました。

まとめ

キウィタスは、中世ヨーロッパにおける都市的なコミュニティを指す言葉であり、コルヴァイのキウィタスは、修道院とその周辺の集落が一体となって形成された、宗教、文化、経済の中心地でした。

キウィタス・コルヴァイは、カロリング朝時代の建築様式と宗教的、文化的な重要性を示す貴重な例であり、世界遺産に登録されたことで、その価値が広く認められました。

キウィタス・コルヴァイは、中世ヨーロッパにおける都市的なコミュニティの典型的な例として、世界遺産に登録されました。

3. コルヴァイの世界遺産登録の経緯

世界遺産登録への取り組み

コルヴァイは、1999年以降、ユネスコの世界遺産の暫定リストに掲載され、2014年に正式登録されました。

世界遺産登録に向けた取り組みは、ノルトライン＝ヴェストファーレン州、ラティボル公家、聖ステファヌス・ヴィートゥス教会、そして市、郡、ヴェストファーレン＝リッペ地方連盟の代理人によって行われました。

提案資料は、提案分本体とマネージメントプランを含んでおり、コルヴァイとパーダーボルンで2度の国際シンポジウムの研究報告に基づく集会を開き、啓発資料を作成しました。

この提案は、2012年12月にウーテ・シェーファーによってノルトライン＝ヴェストファーレン州政府の署名がなされました。

世界遺産登録への取り組み
年	出来事
1999年	ユネスコの世界遺産の暫定リストに掲載
2012年12月	ノルトライン＝ヴェストファーレン州政府が提案資料に署名
2014年6月21日	世界遺産に登録

世界遺産登録の基準

世界遺産登録のための最も重要な選考基準は、独創性、正統性（歴史的真正性）、完全性です。

コルヴァイの特徴は、最も古く、類例のない、ほぼ完全に保存されたカロリング時代のヴェストヴェルクを有していることです。

中央の三方をバルコニーに囲まれた、上階にあるメインの空間は、その形や本来の芸術的調度が古風なモデルに遡ることができます。

等身大の石膏像をもつ調度、建築的な構成を持つ彩色された空間把握、装飾的なフリーズ、神話の壁画（これは、現在知られているカロリング時代唯一の壁画である）といった、本質的な部分が保存されています。

世界遺産登録の基準
基準	内容
(ii)	建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた
(iii)	文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在
(iv)	歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本

世界遺産登録後の取り組み

世界遺産の承認には、現状の維持・管理、将来の建築・保存・開発計画、学問的裏付けの保全に関する将来計画、利害の衝突による紛争の予防・管理計画、教会の本来の利用に対する保護、経済的・観光上の圧力に対する首尾一貫した持続可能なコンセプト、国内・国際的認知の定着といった目標が課されました。

2013年9月、ICOMOSの委員がコルヴァイを訪れ、情報を通知しました。

2014年6月21日、「コルヴァイのカロリング朝のヴェストヴェルクとキウィタス」の名称の下、かつてのコルヴァイ修道院全体が、UNESCO により公式に世界遺産として登録され、ドイツで39件目の世界遺産となりました。

コルヴァイは、世界遺産登録によって、その歴史的、文化的、建築的価値が広く認められ、世界中から注目を集めるようになりました。

まとめ

コルヴァイは、世界遺産登録に向けて、関係機関や専門家による長年の努力と協力によって、その価値が認められ、世界遺産に登録されました。

世界遺産登録は、コルヴァイの保護と保存、そしてその価値を世界に発信していくための重要な一歩となりました。

コルヴァイは、世界遺産登録によって、その歴史的、文化的、建築的価値が広く認められ、世界中から注目を集めるようになりました。

4. カロリング朝ヴェストヴェルクの特徴

ヴェストヴェルクの建築様式

コルヴァイのヴェストヴェルクは、カロリング朝時代の建築様式を示す重要な例であり、その独特なデザインと構造は他に類を見ません。

特に、2階建ての西側構造物は、その時代の建築技術と美学を反映しています。

ヴェストヴェルクは、カロリング朝時代の建築様式を示す重要な例であり、その独特なデザインと構造は他に類を見ません。

特に、2階建ての西側構造物は、その時代の建築技術と美学を反映しています。

ヴェストヴェルクの建築様式
特徴	説明
2階建ての西側構造物	カロリング朝時代の建築技術と美学を反映
独特なデザインと構造	他に類を見ない建築様式
フレスコ画や彫刻などの装飾	当時の信仰と文化を反映した貴重な資料