ヴェズレーの教会と丘とは?世界遺産についての解説

ヴェズレーの教会と丘の概要
項目 内容
位置 フランス・ブルゴーニュ地方
登録年 1979年
登録基準 (i) ブルゴーニュ地方のロマネスク様式の傑作であること
(vi) 12世紀に中世のキリスト教の巡礼地であったこと
主な見どころ サント=マドレーヌ教会、ティンパヌム、柱頭彫刻、ヴェズレーの丘からの眺望
アクセス パリからTGVでモンバール駅、バスでアヴァロン、タクシーでヴェズレー

1. ヴェズレーの歴史とは何か

要約

ヴェズレーの起源とマグダラのマリアの聖遺物

フランスの中部、ブルゴーニュ地方にあるヴェズレーは、9世紀にベネディクト会士によって築かれた歴史ある街です。この街のシンボルともいえるサント=マドレーヌ教会は、861年に建立されました。当時、修道士の一人がプロヴァンス地方のサン=マクシマンへ赴き、マグダラのマリアの聖遺物を持ち帰ったとされています。878年には、ローマ教皇ヨハネス8世によって、この教会はマグダラのマリアに捧げられ、聖遺物が公開されました。この聖遺物は様々な奇跡を起こしたとされ、ヴェズレーは巡礼地として栄え始めました。

ヴェズレーは、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の始点のひとつとして、多くの巡礼者を引きつけました。11世紀から12世紀にかけて、ブルゴーニュ公ユーグ2世や、イングランド王リチャード1世、フランス王ルイ9世など、多くの権力者も巡礼に訪れた記録が残っています。

1120年には、大火災に見舞われ、多くの犠牲者が出ました。この火災によって、教会は大きな被害を受けましたが、1138年にロマネスク様式で再建されました。この再建時に、現在も残る正面扉上の美しいティンパヌムが彫られました。

しかし、1279年にサン=マクシマンでマグダラのマリアの聖遺物と称するものが発見されたことで、ヴェズレーの聖遺物は偽物とされ、巡礼者は激減しました。その後、宗教改革やフランス革命の影響を受け、ヴェズレーは衰退の一途をたどりました。

ヴェズレーの歴史年表
出来事
861年 ベネディクト会士がサント=マドレーヌ教会を建立
878年 ローマ教皇ヨハネス8世によって教会がマグダラのマリアに捧げられる
1120年 大火災が発生
1138年 ロマネスク様式で再建
1279年 サン=マクシマンでマグダラのマリアの聖遺物と称するものが発見され、ヴェズレーの聖遺物は偽物とされる
1840年 建築家ウジェーヌ・ヴィオレ=ル=デュックによる再建開始
1876年 再建が完成
1912年 再び巡礼地として人気を集め始める
1979年 ユネスコの世界遺産に登録

ヴェズレーの復興と世界遺産登録

19世紀後半、建築家のウジェーヌ・ヴィオレ=ル=デュックによって、サント=マドレーヌ教会は再建されました。そして、20世紀には再び巡礼地として人気を集め始めました。

ヴェズレーの教会と丘は、1979年にユネスコの世界遺産に登録されました。登録基準は、(i) ブルゴーニュ地方のロマネスク様式の傑作であること、(vi) 12世紀に中世のキリスト教の巡礼地であったこと、の2つです。

ヴェズレーは、中世のキリスト教文化と巡礼の歴史を伝える重要な場所として、世界中から観光客を集めています。

現在も、サント=マドレーヌ教会は、ロマネスク様式の傑作として、多くの観光客を魅了しています。

ヴェズレーを訪れた著名人
人物 訪問年
ブルゴーニュ公ユーグ2世 1084年
イングランド王リチャード1世 1190年
フランス王ルイ9世 1248年

ヴェズレーの伝説とマグダラのマリア

ヴェズレーには、マグダラのマリアの聖遺物が持ち込まれたという伝説が残っています。マグダラのマリアは、イエスの死後、パレスチナから南フランスへと移住し、苦行を行った後、サン=マクシマンの墓に埋葬されたという伝承があります。

8世紀に聖遺物は隠されたとされ、ヴェズレーの件はなかったことにし、13世紀に「発見された」とされます。そして、ここにも修道院が建造。結局、どこにマリアの聖遺体があるかは今でも不明なまま。

マグダラのマリアは、「イエスの妻」であったという説が現代では人気で、このネタは『ダヴィンチ・コード』を含め、よくイエス・キリストの聖杯伝説の元ネタになったりします。

ヴェズレーの教会と丘は、マグダラのマリアの伝説と深く結びついており、その神秘的な魅力は、多くの人々を惹きつけています。

まとめ

ヴェズレーは、マグダラのマリアの聖遺物を巡る伝説と、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の始点という歴史的な役割を担ってきた街です。

中世には、キリスト教信仰の中心地として栄え、多くの巡礼者や権力者を集めました。

その後、衰退を経験しましたが、19世紀に再建され、再び巡礼地として人気を集め、世界遺産に登録されました。

ヴェズレーの歴史は、キリスト教文化と巡礼の歴史、そして、街の復興と発展の歴史を物語っています。

2. ヴェズレーの教会の特徴とは

要約

サント=マドレーヌ教会の建築様式

サント=マドレーヌ教会は、バシリカ式と呼ばれる建築様式で建てられています。バシリカ式とは、身廊を側廊によって取り囲み、列柱によって分けるスタイルです。

教会は、9世紀にベネディクト会士によって建てられた初期カロリング様式でしたが、1120年の大火災によって、ロマネスク様式で再建されました。

ロマネスク様式は、10世紀から12世紀にかけてヨーロッパで流行した建築様式で、アーチや円柱、重厚な壁などが特徴です。

サント=マドレーヌ教会は、ロマネスク様式の建築様式と、ゴシック様式の要素を融合させた、独特の建築様式を持つ教会です。

サント=マドレーヌ教会の建築様式
様式 特徴
バシリカ式 身廊を側廊によって取り囲み、列柱によって分けるスタイル
初期カロリング様式 9世紀に流行した建築様式
ロマネスク様式 10世紀から12世紀にかけてヨーロッパで流行した建築様式。アーチや円柱、重厚な壁などが特徴

ロマネスク彫刻の傑作:ティンパヌム

サント=マドレーヌ教会の正面扉上にあるティンパヌムは、ロマネスク彫刻の傑作として知られています。

ティンパヌムには、「使徒に使命を与えるキリスト」が彫られています。キリストは、両手を広げ、弟子たちに世界に福音を宣べ伝えるよう命じています。

このティンパヌムは、1125年から1130年の間に彫られたもので、ロマネスク彫刻の技術の高さを示す作品です。

ティンパヌムは、教会の正面に位置し、訪れる人々に強い印象を与えます。

ティンパヌムの彫刻
題材 説明
使徒に使命を与えるキリスト キリストが両手を広げ、弟子たちに世界に福音を宣べ伝えるよう命じている

柱頭彫刻の芸術

サント=マドレーヌ教会の身廊の柱頭には、聖書の物語や、動物、植物などが彫刻されています。

これらの彫刻は、ロマネスク彫刻の特徴である、力強さと繊細さを兼ね備えています。

柱頭彫刻は、教会内部を華やかに彩り、訪れる人々に聖書の物語や、当時の文化を伝えています。

柱頭彫刻は、教会内部の装飾としてだけでなく、当時の信仰や文化を伝える重要な役割を担っています。

まとめ

サント=マドレーヌ教会は、ロマネスク様式の建築様式と、精緻な彫刻によって、訪れる人々に深い感動を与えます。

特に、正面扉上のティンパヌムと、身廊の柱頭彫刻は、ロマネスク彫刻の傑作として、世界中から注目を集めています。

教会の建築様式と彫刻は、中世のキリスト教文化と芸術の粋を集めたものであり、ヴェズレーの教会と丘の魅力を象徴しています。

サント=マドレーヌ教会は、建築と彫刻の芸術を通して、中世の信仰と文化を現代に伝える貴重な遺産です。

3. ヴェズレーの丘の景観と自然環境

要約

ヴェズレーの丘からの眺望

ヴェズレーの教会と丘は、ブルゴーニュ地方のなだらかな丘陵地帯に位置しています。

丘の上にあるサント=マドレーヌ教会からは、周囲の豊かな自然を一望できます。

眼下に広がるのは、緑豊かな田園風景と、遠くに見えるモルヴァン山脈です。

ヴェズレーの丘からの眺望は、雄大で美しい景観であり、訪れる人々に深い感動を与えます。

モルヴァン自然公園

ヴェズレーの丘のすぐ近くには、モルヴァン自然公園が広がっています。

モルヴァン自然公園は、フランスで最も美しい自然公園のひとつとして知られています。

公園内には、広大な森林や、湖沼、渓谷など、豊かな自然が広がっています。

モルヴァン自然公園は、ハイキングやサイクリング、カヌーなどのアウトドアアクティビティを楽しむのに最適な場所です。

モルヴァン自然公園の見どころ
見どころ 説明
森林 広大な森林が広がり、ハイキングやサイクリングに最適
湖沼 美しい湖沼があり、カヌーなどのアクティビティを楽しめる
渓谷 雄大な渓谷があり、自然の壮大さを体感できる

ヴェズレーの街並み

ヴェズレーの街並みは、中世の面影を残す、美しい街並みです。

石畳の道や、古い石造りの建物が、当時の雰囲気を漂わせています。

街の中心部には、サント=マドレーヌ教会があり、その周りを、カフェやレストラン、お土産屋さんなどが囲んでいます。

ヴェズレーの街並みは、歴史と文化を感じることができる、魅力的な街並みです。

まとめ

ヴェズレーの丘は、周囲の豊かな自然と、歴史的な街並みが調和した、美しい景観を形成しています。

丘の上からは、雄大な自然を一望でき、街並みからは、中世の雰囲気を感じることができます。

ヴェズレーの丘は、自然と文化が融合した、魅力的な場所です。

ヴェズレーの丘は、訪れる人々に、忘れられない感動を与えてくれる場所です。

4. ヴェズレーの教会と丘へのアクセス方法

要約

パリからのアクセス

ヴェズレーは、パリから南東へ約230kmのところに位置しています。

パリからヴェズレーへは、高速列車TGVでモンバール駅まで行き、そこからバスでアヴァロンまで行き、タクシーでヴェズレーまで行くのが一般的です。

パリからヴェズレーまでは、車で約3時間です。

ヴェズレーへのアクセスは、公共交通機関でも、自家用車でも可能です。

パリからのアクセス方法
交通手段 所要時間
TGV 約3時間
自動車 約3時間

周辺都市からのアクセス

ヴェズレーは、ブルゴーニュ地方の他の観光地からもアクセスしやすい場所です。

例えば、ワインの産地として有名なボーヌからは、車で約1時間半です。

シャブリからも、車で約1時間です。

ヴェズレーは、周辺の観光地と組み合わせて訪れるのに最適な場所です。

周辺都市からのアクセス方法
都市 所要時間
ボーヌ 約1時間半
シャブリ 約1時間

ヴェズレーの街の中での移動

ヴェズレーの街の中は、徒歩で十分に散策できます。

サント=マドレーヌ教会から、街の中心部までは、徒歩で約10分です。

街の中心部には、お土産屋さんやレストランなどが集まっているので、ゆっくりと散策を楽しむことができます。

ヴェズレーの街の中は、コンパクトで歩きやすく、観光しやすい街です。

まとめ

ヴェズレーへのアクセスは、パリや周辺都市から、公共交通機関や自家用車で行くことができます。

ヴェズレーの街の中は、徒歩で十分に散策できます。

ヴェズレーは、アクセスしやすい場所にあるので、気軽に訪れることができます。

ヴェズレーを訪れる際は、事前にアクセス方法を調べておくと、スムーズに観光を楽しむことができます。

5. ヴェズレーの世界遺産登録に至るまでの過程

要約

世界遺産登録の基準

ヴェズレーの教会と丘は、1979年にユネスコの世界遺産に登録されました。

登録基準は、(i) ブルゴーニュ地方のロマネスク様式の傑作であること、(vi) 12世紀に中世のキリスト教の巡礼地であったこと、の2つです。

(i) の基準は、建築や彫刻などの芸術的価値を評価する基準です。

(vi) の基準は、歴史的、文化的、宗教的な価値を評価する基準です。

世界遺産登録基準
基準 説明
(i) 建築や彫刻などの芸術的価値
(vi) 歴史的、文化的、宗教的な価値

登録に至るまでの経緯

ヴェズレーの教会と丘は、1970年代に、世界遺産に登録されるべき場所として注目され始めました。

1979年に、ユネスコの世界遺産委員会によって、世界遺産に登録されました。

世界遺産登録は、ヴェズレーの教会と丘の価値を世界的に認め、保護するための重要な一歩となりました。

世界遺産登録によって、ヴェズレーは、世界中から観光客を集める、人気の観光地となりました。

世界遺産登録後のヴェズレー

世界遺産登録後、ヴェズレーは、観光客の増加と、街の活性化を経験しました。

サント=マドレーヌ教会は、世界遺産登録によって、より多くの観光客に知られるようになりました。

ヴェズレーは、世界遺産登録によって、街の価値を高め、世界中の人々に知られるようになりました。

ヴェズレーは、世界遺産登録によって、街の未来を大きく変えました。

まとめ

ヴェズレーの教会と丘は、世界遺産登録によって、その価値を世界的に認められ、保護されました。

世界遺産登録は、ヴェズレーの観光客の増加と、街の活性化に大きく貢献しました。

ヴェズレーは、世界遺産登録によって、街の未来を大きく変え、世界中の人々に愛される街となりました。

ヴェズレーの教会と丘は、世界遺産登録によって、その価値を永遠に守り続けることができます。

6. ヴェズレーの教会と丘の魅力を体験しよう

要約

サント=マドレーヌ教会の見学

サント=マドレーヌ教会は、ヴェズレーを訪れる際に必ず訪れたい場所です。

教会の内部には、ロマネスク彫刻の傑作であるティンパヌムや、柱頭彫刻など、見どころがたくさんあります。

教会の内部は、静かで厳かな雰囲気に包まれており、心落ち着く空間です。

教会の内部をゆっくりと散策し、ロマネスク彫刻の美しさに浸りましょう。

サント=マドレーヌ教会の見どころ
見どころ 説明
ティンパヌム ロマネスク彫刻の傑作。使徒に使命を与えるキリストが彫られている
柱頭彫刻 聖書の物語や動物、植物などが彫刻されている
内部空間 静かで厳かな雰囲気に包まれている

ヴェズレーの街並みを散策

サント=マドレーヌ教会の周辺には、中世の面影を残す、美しい街並みが広がっています。

石畳の道や、古い石造りの建物が、当時の雰囲気を漂わせています。

街の中心部には、カフェやレストラン、お土産屋さんなどが集まっているので、ゆっくりと散策を楽しむことができます。

ヴェズレーの街並みを散策し、中世の雰囲気に浸りましょう。

ヴェズレーの丘からの眺望

ヴェズレーの丘からは、周囲の豊かな自然を一望できます。

眼下に広がるのは、緑豊かな田園風景と、遠くに見えるモルヴァン山脈です。

ヴェズレーの丘からの眺望は、雄大で美しい景観であり、訪れる人々に深い感動を与えます。

ヴェズレーの丘から、雄大な自然を眺めましょう。

まとめ

ヴェズレーの教会と丘は、歴史、文化、自然が融合した、魅力的な場所です。

サント=マドレーヌ教会の見学、街並みの散策、丘からの眺望など、ヴェズレーには、多くの魅力があります。

ヴェズレーを訪れて、その魅力を体感しましょう。

ヴェズレーは、忘れられない旅の思い出をプレゼントしてくれる場所です。

参考文献

フランスの世界遺産「ヴェズレーの教会と丘」とは?世界遺産 …

ヴェズレーの教会と丘 | フランス, ヨーロッパ | 世界遺産ガイド

ヴェズレーの教会と丘 | フランス | 世界遺産オンラインガイド

サント=マドレーヌ大聖堂 (ヴェズレー) – Wikipedia

【世界遺産】ヴェズレーの教会と丘 ロマネスク彫刻の傑作とは …

ヴェズレーの教会と丘(ヴェズレーのきょうかいとおか)とは …

【ヴェズレー】の丘と神秘のサント・マドレーヌ大聖堂-ココ …

世界遺産の村!聖なる丘に佇むフランスの美しい村 …

ヴェズレー! フランスで最も美しい村の1つ、スペイン巡礼路の …

ヴェズレーの教会と丘 – 世界遺産を学ぶ

研究員ブログ83 世界遺産は何のため?……ヴェズレーの教会と丘

サント=マドレーヌ大聖堂 (ヴェズレー) – サント=マドレーヌ …

ブルゴーニュ地方の世界遺産の村「ヴェズレー」で中世の彫刻 …

ブルゴーニュ地方の世界遺産、白ワインの村「ヴェズレー」の …

フランス ヴェズレーの丘と教会を訪ねて – fleur de coeur

『ヴェズレー ☆ロマネスクの聖堂と丘☆』ヴェズレー(フランス …

歴史ある教会がこんな姿に。稚拙極まりない修復に「文化財に …

フランスの世界遺産(9) ヴェズレーの教会と丘、ブールジュ …

タイトルとURLをコピーしました