ステークホルダーとは?経済用語について説明

ステークホルダーの種類と役割
ステークホルダーの種類	役割
株主・投資家	企業への資金提供、経営監視
従業員	業務遂行による企業目標達成への貢献
グループ会社・関連会社	グループ全体の経営戦略立案・遂行
債権者（金融機関など）	資金回収のための経営監視、助言
顧客・取引先	商品・サービスの購入、安定的な商品・サービス提供への貢献
利益団体	社会や政治への影響力行使
地域社会	企業活動への影響を受け、地域への貢献を求める
行政機関	法規制やガイドラインの遵守を監視
マスメディア	企業の評判を左右する情報発信

1. ステークホルダーとは何か
2. ステークホルダーの種類と役割
3. ステークホルダー分析の重要性
4. ステークホルダー関係の構築方法
5. ステークホルダーの関与と持続可能性
6. ステークホルダーとリスク管理

1. ステークホルダーとは何か

ステークホルダーの定義

ステークホルダーとは、企業活動に直接的または間接的に影響を与える、または影響を受ける個人や組織のことです。言い換えれば、企業の事業やプロジェクトに関わる全ての人々や団体を指します。従来は、企業の経済活動によるプラスの影響を期待する主体が強く含意されていましたが、現在では、好ましくない影響を及ぼす可能性のある主体に対する配慮が必須になっています。

ステークホルダーは、企業の活動によって利益を得る人だけでなく、企業が利益をあげることで売上減などの影響を受ける競合会社なども含まれます。

ステークホルダーという用語は、主に企業内で、株主に対する発信や、コンプライアンスの施策を検討する上で用いられます。たとえばステークホルダーは、株主を指して使われるケースも多いです。具体的には、株主総会での説明内容を検討するにあたり「ステークホルダーの理解を得られるように」というふうに言われます。

または、コンプライアンスの観点から、企業に関わる人を意識した経営を目指す上で、幅広い利害関係者を指して用いられます。その場合は、「ステークホルダーに対する情報発信が求められる」や、「ステークホルダーの利益を重視した経営」などという使い方がされます。

ステークホルダーと類似用語
用語	意味
ステークホルダー	企業活動に影響を与える、または影響を受ける個人や組織
ストックホルダー	企業の株式を保有する個人や団体（株主）
シェアホルダー	議決権を持つ大株主

ステークホルダーと似た言葉

ステークホルダーと似たシーンで使われる言葉が、ストックホルダーです。ストックホルダーとは、株を所有している人、つまり株主のこと。ストックホルダーは、ステークホルダーに含まれます。

シェアホルダーは、ストックホルダーと同じく、株主を意味します。ただ、ストックホルダーと区別して、単に株を持っている人をストックホルダー、その中で議決権を有する大株主を、シェアホルダーと呼ぶことがあります。シェアホルダーも、ステークホルダーのひとつです。

ステークホルダーは、企業活動に関係するすべての人のことを指し、ストックホルダーやシェアホルダーは、その中の株主を指す言葉です。

ステークホルダーが重視される理由

ではなぜ今、企業活動においてステークホルダーが重視されているのでしょうか。それは主に、CSRやSDGsなど、社会課題に関する取り組みが企業に求められているからです。

ステークホルダーは、CSRという言葉と同時に注目されました。CSRとはCorporate Social Responsibilityの略で、企業の社会的責任のこと。企業は、自社の利益だけでなく、従業員や取引先、株主の利益を追求し、社会全体に貢献すべきという考え方です。

会社が存続し成長していくためには、ステークホルダーに対する責任や、ステークホルダーの利益を意識してビジネスを行うべきという観点から、ステークホルダーが重要視されています。

SDGsの観点からも、ステークホルダーへの情報共有や、ステークホルダーとの関係強化が重視されています。SDGsとは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)。紛争や貧困、感染症などの危機を乗り越え、人々が長く、地球上で暮らし続けていくために2030年までに達成すべき17の目標のことです。

まとめ

ステークホルダーとは、企業活動に関係するすべての人のことを指します。顧客や株主など、金銭的に利益や損失を受ける人だけでなく、企業活動によって直接的、または間接的に何らかの影響を受けるすべての人を指します。

ステークホルダーという用語は、主に企業内で、株主に対する発信や、コンプライアンスの施策を検討する上で用いられます。

近年、CSRやSDGsなど、社会課題に関する取り組みが企業に求められていることから、ステークホルダーへの情報共有や、ステークホルダーとの関係強化が重視されています。

企業は、自社の利益だけでなく、従業員や取引先、株主の利益を追求し、社会全体に貢献すべきという考え方を持ち、ステークホルダーとの良好な関係を築くことが重要です。

2. ステークホルダーの種類と役割

ステークホルダーの種類

企業経営者にとって、ステークホルダーとは具体的に誰を指すのでしょうか。ステークホルダーは、「直接的ステークホルダー」と「間接的ステークホルダー」のふたつに分類されます。

直接的ステークホルダーとは、その企業の活動が直接、影響を与える人や組織のこと。具体的には、従業員、サービスや商品を買う顧客、仕入先などの取引先、株主、企業に融資する金融機関などを指します。

間接的ステークホルダーとは、企業活動が直接影響を与えることはないものの、間接的に影響を及ぼす人や組織のことです。たとえば、経営者や従業員の家族、労働組合、企業が活動するエリアの地域社会や地域住民、または行政機関などの官公庁も間接的ステークホルダーにあたります。

企業の発展や、CSRやSDGsの観点からも重要なステークホルダーとの関係性。それを強化するためには、どのような取り組みが有効なのでしょうか。

ステークホルダーの分類
分類	説明
直接的ステークホルダー	企業活動に直接的な影響を与える、または影響を受ける人や組織
間接的ステークホルダー	企業活動に直接的な影響を与え、または影響を受けないものの、間接的に影響し合う人や組織

ステークホルダーの役割

ステークホルダーは、企業の存続と成長に重要な役割を果たします。顧客からの需要や支持を得ることでビジネスの継続性を確保し、従業員のモチベーションや協力を得ることで組織の成果を最大化することができます。また、株主や投資家との信頼関係を築くことで、資金調達や投資のサポートを受けることができます。

ステークホルダーとの連携は、リスク管理と回避にも役立ちます。顧客や従業員、地域社会などのステークホルダーとの密接な関係を築くことで、潜在的なリスクや問題を早期に検出し、適切な対策を講じることができます。ステークホルダーのニーズや関心事に敏感に対応することで、リスクを最小限に抑えることができます。

ステークホルダーとの連携は、企業の信頼性と評判に直結します。ステークホルダーの関心や要求に真摯に応えることで、企業は信頼を築き上げることができます。信頼を得ることは、ブランド価値の向上や顧客の忠誠心の醸成につながります。また、ステークホルダーの支持を受けることで、企業は競争力を強化し、市場での優位性を確保することができます。

ステークホルダーとの連携は持続可能な経営を実現するためにも重要です。環境保護や社会的責任の遂行、持続可能なビジネスモデルの構築など、ステークホルダーの期待に応える取り組みが求められます。ステークホルダーとの連携を通じて、企業は社会的価値の創造と長期的な成果の両立を図ることができます。ステークホルダーの関与を通じて、社会や環境の課題に対して共同で取り組むことができます。

ステークホルダーの役割
役割	説明
事業の持続や成長	顧客、従業員、株主との良好な関係構築
リスクマネジメント	ステークホルダーとの連携によるリスクの早期発見と対応
信頼や評判の構築	ステークホルダーからの信頼獲得による企業価値向上
持続可能な経営	環境保護や社会貢献など、ステークホルダーの期待に応える取り組み

ステークホルダーエンゲージメント

ステークホルダーエンゲージメントとは、ステークホルダーとの良好な関係を築く目的で、その期待や関心を理解するための取り組みです。エンゲージメントとは、所属・関係する組織に対する愛着や信頼感の度合いのこと。ステークホルダーエンゲージメントという、ステークホルダーに寄り添う取り組みによって得た課題や改善事項に対処し、彼らの期待に応えることが相互的な信頼につながります。

ステークホルダーエンゲージメントの一例は、株主に対する株主総会、IR説明会、株主向けの説明会など、株主に情報を提供する取り組みです。また、ショールームや展示会での商品紹介、お客様窓口の運営、顧客満足度調査など、顧客の要望に応える取り組みも、ステークホルダーエンゲージメントです。

そのほか、従業員満足度の調査や、サプライヤー向け説明会など、社員や取引先とのコミュニケーションも、ステークホルダーとのつながりを深める有効な施策です。

ステークホルダーエンゲージメントは、ステークホルダーとの良好な関係を築くための重要な取り組みです。

まとめ

ステークホルダーは、企業の活動に直接的または間接的に影響を与える、または影響を受ける個人や組織のことです。

ステークホルダーには、直接的ステークホルダーと間接的ステークホルダーの2種類があります。

ステークホルダーエンゲージメントとは、ステークホルダーとの良好な関係を築く目的で、その期待や関心を理解するための取り組みです。

企業は、ステークホルダーとの関係を強化し、彼らのニーズに応えることで、より良いビジネス成果を達成することができます。

3. ステークホルダー分析の重要性

ステークホルダー分析とは

ステークホルダー分析とは、企業活動に関わる様々なステークホルダーを特定し、それぞれの立場、利害関係、影響力などを分析することです。これにより、企業はステークホルダーとの関係性をより深く理解し、効果的なコミュニケーション戦略を策定することができます。

ステークホルダー分析を行うことで、以下のメリットが期待できます。

ステークホルダー分析を通じて、企業活動に影響を与える可能性のあるステークホルダーを把握することができます。例えば、環境問題に関心の高い地域住民や、企業の倫理的な行動に敏感な投資家などが挙げられます。これらのステークホルダーからの潜在的なリスクを早期に特定し、対応することで、企業は大きな損失を回避することができます。

ステークホルダー分析では、それぞれのステークホルダーのニーズや期待を明確化することができます。これにより、企業はステークホルダーに対して、より効果的なコミュニケーション戦略を策定することが可能となります。例えば、顧客に対しては、製品やサービスに関する情報を積極的に提供し、地域住民に対しては、企業の社会貢献活動に関する情報を発信することで、それぞれのステークホルダーとの信頼関係を構築することができます。

ステークホルダー分析の手法

ステークホルダー分析を行うことで、以下のメリットが期待できます。

ステークホルダー分析は、企業の事業戦略を改善する上でも重要な役割を果たします。例えば、新規事業を検討する際には、ステークホルダーの意見を収集することで、事業の成功可能性を高めることができます。また、既存事業の改善においても、ステークホルダーからのフィードバックを参考に、事業戦略を修正することができます。

現代社会では、企業は様々なステークホルダーとの関係性を構築し、維持していくことが求められます。ステークホルダー分析を通じて、それぞれのステークホルダーとの関係性を深く理解し、効果的なコミュニケーション戦略を策定することで、企業は持続的な成長と発展を実現することができます。

ステークホルダー分析の手法
手法	説明
ステークホルダー分析マトリクス	影響度と関心度を軸にステークホルダーを分類
SWOT分析	ステークホルダーの強み、弱み、機会、脅威を分析

ステークホルダー分析の重要性

まとめ

ステークホルダー分析は、企業がステークホルダーとの関係性を理解し、効果的なコミュニケーション戦略を策定するために不可欠なプロセスです。

ステークホルダー分析を通じて、企業は潜在的なリスクを早期に特定し、対応することで、大きな損失を回避することができます。

ステークホルダー分析は、企業の事業戦略を改善する上でも重要な役割を果たします。

4. ステークホルダー関係の構築方法

ステークホルダーエンゲージメント

ステークホルダーエンゲージメントとは、ステークホルダーの要望や関心事を理解し、企業活動や意思決定プロセスに組み込むことです。目的によって採用すべき手法は変わってきますが、エンゲージメント手法の具体例として以下のようなものがあります。

ステークホルダーエンゲージメントは、広報や企業のイメージアップのためではなく、事業の見直し・計画のための情報収集や、トレンド観察、企業の透明性確保などのために行うものです。

ステークホルダーマップ

ステークホルダーマップとは、企業活動や一つのプロジェクトにかかわるさまざまなステークホルダーとの関係性を、図式化したものです。

一口にステークホルダーマップといっても、マインドマップ型、マトリクス型、表型など型式はさまざまで、簡単にステークホルダーマップを作成できる便利なツールやテンプレートも多数リリースされています。

ステークホルダーマップを作成してステークホルダーとの関係性を整理することで、企業を取り巻く環境の全体像や、モノ・情報・お金の流れ、一つの変化が与える影響などを把握できます。そのため、企業活動やプロジェクトをより効果的に進められるようになるでしょう。

ステークホルダーマップの種類
種類	説明
相関図	ヒト・モノ・カネ・情報の動きを図式化
象限図	影響度と関心度を軸にステークホルダーを分類
サークルマップ	自社を中心とする同心円状にステークホルダーをマッピング

ステークホルダーとのコミュニケーション

ステークホルダーとのコミュニケーションは、企業にとって重要な課題です。上記のポイントを参考に、それぞれのステークホルダーとの関係性を理解し、効果的なコミュニケーション方法を検討することで、企業の持続的な成長と発展に繋がるでしょう。

まとめ

ステークホルダーとの良好な関係を築くためには、ステークホルダーマネジメント、ステークホルダーエンゲージメント、ステークホルダー分析の三つのアプローチが重要です。

5. ステークホルダーの関与と持続可能性

ステークホルダーの関与

ステークホルダーの関与とエンゲージメントは、プロジェクトやビジネスの円滑な進行にとって極めて重要です。エンゲージメントを効果的に行うためには、ステークホルダーの期待やニーズを理解し、継続的なコミュニケーションとフィードバックを行うことが必要です。

エンゲージメントの第一歩は、ステークホルダーマップを作成し、各ステークホルダーの関心と影響力を把握することです。これにより、どのステークホルダーとどの程度関与すべきかが明確になります。

次に、ステークホルダーとのコミュニケーションプランを構築します。このプランには、目的、コミュニケーションチャネル、頻度などを明記し、各ステークホルダーが期待する情報を適切なタイミングで提供します。例えば、主要な投資家には定期的なステータス報告を行い、従業員とは日常的なフィードバックを交換するなど、ステークホルダーごとに異なるアプローチが必要です。

また、ステークホルダーのエンゲージメントを持続可能にするためには、彼らのフィードバックを積極的に取り入れ、プロジェクトやビジネスの改善に活用することが重要です。これにより、ステークホルダーは自分たちの意見が尊重されていると感じ、プロジェクトへの積極的な参加と協力を引き出すことができます。

持続可能な経営

ステークホルダー管理の基本には、関係者全員の期待値を設定し、透明性のあるコミュニケーションを確立することが含まれます。プロジェクトの成功を左右する重要な要素であるため、良好なエンゲージメント戦略を策定し、ステークホルダーの満足度を高め続けることが求められます。

ステークホルダーとSDGs

企業がステークホルダーとの関係を強化し、SDGsに貢献するために活動している具体例を三つ紹介しましょう。

金属加工を手掛ける企業が、安心して働ける職場づくりに取り組んだ事例です。

地域におけるリユースやリサイクルの活動を展開しているジモティーは、自社事業をとおして、大量生産・大量消費・大量廃棄という問題からの脱却を目指しています。

「あなたの専属漁師」をコンセプトにした「完全受注漁」による持続可能な漁業をする邦美丸の事例です。

まとめ

ステークホルダーとの積極的な対話は、SDGs達成に向けた道のりにおいて中心的な役割を果たします。

企業がこれらの活動に取り組むことで、地球環境の保護や社会的平等の促進、経済的成長の持続が可能となります。

持続可能な未来への投資は、単に倫理的な選択ではなく、企業の長期的な成功にとって不可欠な戦略です。

私たち一人ひとりがこれらのことを自覚し、SDGsの目標実現に向けてともに歩みを進めることが、最終的によりよい世界の創造に貢献するでしょう。

6. ステークホルダーとリスク管理

ステークホルダー視点のリスク管理

企業活動やプロジェクトを成功させるためには、様々な利害関係者との良好な関係構築が不可欠です。そこで重要となるのが、「ステークホルダー」という考え方です。本記事では、ステークホルダーの意味や種類、具体的な事例、関係構築の重要性について詳しく解説します。ステークホルダーとの良好な関係を築くためのヒントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ステークホルダーとは、企業活動やプロジェクトに何らかの利害関係を持つ人や組織のことです。つまり、企業の活動によって影響を受けたり、影響を与えたりする存在を指します。

例えば、企業のステークホルダーには、顧客、従業員、株主、取引先、地域住民、政府機関などが挙げられます。顧客は企業の製品やサービスを利用することで利益を得るため、企業に対して質の高い商品やサービスの提供を求めます。従業員は企業に雇用され、給与や福利厚生を得ることで生活を維持しています。そのため、企業に対して安定した雇用環境や働きやすい環境を求めます。株主は企業に投資を行い、企業の成長によって利益を得ることを期待しています。そのため、企業には収益向上や株価上昇を求めます。このように、それぞれのステークホルダーは企業に対して異なる期待や要求を持っているのです。

ステークホルダーという概念は、近年ますます重要視されています。なぜなら、企業は社会の一員として、ステークホルダーとの良好な関係を築き、社会全体の持続可能な発展に貢献する必要があるからです。

ステークホルダー分析

ステークホルダーとの関係性を構築し、維持するためには、ステークホルダー分析が重要となります。ステークホルダー分析とは、企業活動に関わる様々なステークホルダーを特定し、それぞれの立場、利害関係、影響力などを分析することです。これにより、企業はステークホルダーとの関係性をより深く理解し、効果的なコミュニケーション戦略を策定することができます。

ステークホルダー分析を行うことで、以下のメリットが期待できます。