GNIとは?経済用語について説明

GNIと関連指標の比較
指標 定義 対象範囲 考慮要素
GNI 国民全体が国内外で得た所得の合計 国内外 海外からの所得、海外への所得支払
GDP 国内で生産された財やサービスの価値の合計 国内 国内での生産活動
GNP 国民が国内外で生産した財やサービスの価値の合計 国内外 国民がどこで生産したかに関係なく、その全体
NNP GNPから減価償却費を差し引いたもの 国内外 GNPから減価償却費を差し引いたもの
NI 国民が得た所得の合計 国内 NNPから間接税を控除して、補助金を加えたもの
NNI GNIから減価償却費を差し引いたもの 国内外 GNIから減価償却費を差し引いたもの

1. GNIとは?

要約

GNIの定義

GNI(国民総所得)とは、Gross National Incomeの略で、ある国の国民全体が1年間で直接的または間接的に生み出した所得の合計額を指します。これは、国内で生産された財やサービスの価値に加えて、海外からの所得(利子、配当、賃金など)を加え、海外への所得支払いを差し引いたものです。つまり、GNIは国民全体が国内外でどれだけの所得を得ているかを表す指標です。

GNIは、以前はGNP(国民総生産)と呼ばれていましたが、1993年に国連がGNIという用語に変更しました。これは、GNPが生産活動に焦点を当てていたのに対し、GNIは所得に焦点を当てていることを明確にするためです。

GNIは、国の経済力を測る上で重要な指標の一つです。GNIが高いほど、その国の国民は豊かであると一般的に考えられます。しかし、GNIは国民全体の所得を示すため、所得の不均衡や地域間の格差を考慮しないという弱点もあります。そのため、GNIだけでなく、GDPや人間開発指数(HDI)など他の指標と合わせて評価することが重要です。

GNIの構成要素
要素 説明
国内生産 国内で生産された財やサービスの価値
海外からの所得 海外への投資から得られる利子や配当、海外で働く国民の賃金など
海外への所得支払 日本の企業が外国人に支払った賃金や利子、海外事業の利益送金など

GNIの例

例えば、日本の国民が海外で投資を行って得た利子や配当は、日本のGNIに含まれます。また、日本の企業が海外で事業を行って得た利益も、日本のGNIに含まれます。逆に、日本の企業が外国人に支払った賃金や利子は、日本のGNIから差し引かれます。

このように、GNIは国内だけでなく、海外での経済活動も考慮に入れた指標です。そのため、GNIはGDPよりも、より包括的な経済指標として捉えることができます。

GNIとGDPの違い

GNIとGDPは、どちらも国の経済力を測る指標ですが、その対象範囲が異なります。GDPは、国内で生産された財やサービスの価値の合計を指します。一方、GNIは、国民が国内外で得た所得の合計を指します。

つまり、GDPは国内の経済活動に焦点を当てているのに対し、GNIは国民の所得に焦点を当てています。そのため、GNIはGDPよりも、より広範な経済活動を反映していると言えます。

例えば、日本の企業が海外で事業を行って得た利益は、日本のGDPには含まれませんが、日本のGNIには含まれます。これは、日本の企業が海外で事業を行って得た利益は、日本の国民の所得に含まれるからです。

GNIとGDPの比較
指標 定義 対象範囲
GNI 国民全体が国内外で得た所得の合計 国内外
GDP 国内で生産された財やサービスの価値の合計 国内

まとめ

GNIは、国民全体が国内外で得た所得の合計額を指す指標です。GNIは、GDPよりも、より包括的な経済指標として捉えることができます。GNIは、国の経済力を測る上で重要な指標の一つであり、国際比較や経済政策の策定においても重要な役割を果たしています。

2. GNIの重要性

要約

経済成長の指標

GNIは、国の経済成長を測る上で重要な指標の一つです。GNIが増加しているということは、国民全体の所得が増加していることを意味します。これは、国民の生活水準の向上や経済活動の活発化を示す重要な指標となります。

GNIの増加は、国内での生産活動の拡大や海外からの所得の増加によって実現されます。例えば、国内での投資や消費の増加、海外企業からの投資や海外での事業の拡大などが、GNIの増加に貢献します。

国際比較の指標

GNIは、異なる国の経済力を比較する際にも重要な指標です。GNIを比較することで、各国の国民の所得水準や経済規模を把握することができます。

例えば、世界銀行は、各国のGNIに基づいて、高所得国、上位中所得国、下位中所得国、低所得国の4つのカテゴリーに分類しています。この分類は、国際的な援助の配分や経済政策の策定において重要な役割を果たしています。

世界銀行によるGNI分類
分類 1人当たりGNI
高所得国 1万3846ドル以上
上位中所得国 4036ドル~1万3845ドル
下位中所得国 1036ドル~4035ドル
低所得国 1035ドル以下

政策決定の指標

GNIは、政府が経済政策を策定する際にも重要な指標です。GNIの動向を分析することで、政府は経済政策の有効性を評価したり、新たな政策を立案したりすることができます。

例えば、政府はGNIの増加を目標に、投資や消費を促進するための政策を策定することがあります。また、GNIの減少を抑制するために、景気対策を講じることもあります。

まとめ

GNIは、経済成長、国際比較、政策決定など、様々な場面で重要な役割を果たす指標です。GNIは、国の経済力を測る上で重要な指標の一つであり、国際的な経済状況を把握するためにも不可欠な指標です。

3. GNIの計算方法

要約

GNIの計算式

GNIは、以下の公式で計算されます。

GNI = GDP + 海外からの要素所得受取 – 海外への要素所得支払

この公式は、国内で生産された価値(GDP)に、海外からの所得(要素所得受取)を加え、海外への所得支払(要素所得支払)を差し引くことで、GNIを算出することを示しています。

GNIの計算式
GNI GDP + 海外からの要素所得受取 – 海外への要素所得支払

要素所得受取と要素所得支払

要素所得受取とは、海外からの所得のことです。具体的には、海外への投資から得られる利子や配当、海外で働く日本人が得た賃金などが含まれます。

要素所得支払とは、海外への所得支払いのことです。具体的には、日本の企業が外国人に支払った賃金や利子、日本の企業が海外で事業を行って得た利益を海外に送金した場合などが含まれます。

要素所得受取と要素所得支払の例
要素所得受取 海外への投資から得られる利子や配当 海外で働く日本人が得た賃金
要素所得支払 日本の企業が外国人に支払った賃金や利子 日本の企業が海外で事業を行って得た利益を海外に送金した場合

GNIの計算例

例えば、日本のGDPが500兆円、海外からの要素所得受取が10兆円、海外への要素所得支払が5兆円の場合、日本のGNIは505兆円となります。

GNI = 500兆円 + 10兆円 – 5兆円 = 505兆円

まとめ

GNIは、GDPに海外からの所得受取を加え、海外への所得支払を差し引くことで計算されます。GNIは、国内の経済活動だけでなく、海外との経済的なつながりも考慮に入れた指標です。

4. GNIとGDPの違い

要約

対象範囲の違い

GNIとGDPは、どちらも国の経済力を測る指標ですが、その対象範囲が異なります。GDPは、国内で生産された財やサービスの価値の合計を指します。一方、GNIは、国民が国内外で得た所得の合計を指します。

つまり、GDPは国内の経済活動に焦点を当てているのに対し、GNIは国民の所得に焦点を当てています。そのため、GNIはGDPよりも、より広範な経済活動を反映していると言えます。

GNIとGDPの対象範囲
指標 対象範囲
GNI 国民全体が国内外で得た所得
GDP 国内で生産された財やサービスの価値

海外との経済活動の影響

GNIは、海外との経済活動の影響を大きく受けます。例えば、日本の企業が海外で事業を行って得た利益は、日本のGDPには含まれませんが、日本のGNIには含まれます。これは、日本の企業が海外で事業を行って得た利益は、日本の国民の所得に含まれるからです。

逆に、日本の企業が外国人に支払った賃金や利子は、日本のGNIから差し引かれます。これは、日本の企業が外国人に支払った賃金や利子は、日本の国民の所得から差し引かれるからです。

GNIとGDPの比較

GNIとGDPは、必ずしも一致するわけではありません。海外からの所得受取が海外への所得支払よりも多い場合は、GNIはGDPよりも高くなります。逆に、海外への所得支払が海外からの所得受取よりも多い場合は、GNIはGDPよりも低くなります。

近年、日本の企業の海外進出が活発化しているため、日本のGNIはGDPよりも高くなっています。これは、日本の企業が海外で事業を行って得た利益が、日本のGNIに含まれるためです。

まとめ

GNIとGDPは、どちらも国の経済力を測る指標ですが、対象範囲や考慮される要素が異なります。GNIは、海外との経済活動の影響を大きく受け、GDPよりも、より広範な経済活動を反映していると言えます。

5. GNIの利用例

要約

国際援助の配分

GNIは、国際的な援助の配分において重要な指標として使用されます。世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの国際機関は、各国のGNIに基づいて、援助の規模や対象国を決定しています。

GNIが低い国ほど、援助の対象となる可能性が高くなります。これは、GNIが低い国ほど、国民の生活水準が低く、経済的な支援が必要とされることが多いからです。

経済力の評価

GNIは、国の経済力を評価する際にも重要な指標として使用されます。GNIが高い国ほど、経済力が強いと一般的に考えられます。

GNIは、国の経済規模や国民の所得水準を示す指標であり、国際的な経済ランキングや経済政策の策定において重要な役割を果たしています。

生活水準の指標

GNIは、国民の生活水準を測る指標としても使用されます。GNIが高いほど、国民の生活水準は高いと一般的に考えられます。

ただし、GNIは国民全体の所得を示すため、所得の不均衡や地域間の格差を考慮しないという弱点があります。そのため、GNIだけでなく、他の指標と合わせて評価することが重要です。

まとめ

GNIは、国際援助の配分、経済力の評価、生活水準の指標など、様々な場面で利用されています。GNIは、国の経済状況を総合的に把握する上で重要な指標であり、国際的な経済活動や政策決定においても重要な役割を果たしています。

6. GNI指標の今後の展望

要約

グローバル化の影響

近年、グローバル化が加速し、企業の海外進出や国際的な投資が活発化しています。そのため、GNIは、GDPよりも、より重要な指標として注目されています。

GNIは、海外での経済活動の影響を大きく受けます。そのため、GNIは、国の経済力をより正確に反映していると言えます。

持続可能な開発目標(SDGs)との関連

GNIは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも重要な役割を果たしています。SDGsは、貧困の撲滅や格差の解消など、世界共通の課題を解決するための目標です。

GNIは、国の経済力や国民の所得水準を示す指標であり、SDGsの達成状況を評価する上で重要な指標となります。

データの精度向上

GNIのデータは、近年、より正確に測定されるようになってきています。これは、国際的な統計基準の統一やデータ収集方法の改善が進んでいるためです。

GNIのデータの精度向上は、国際比較や経済政策の策定において、より正確な情報に基づいた判断を可能にします。

まとめ

GNIは、グローバル化やSDGsの達成など、今後の経済社会においてますます重要な指標となることが予想されます。GNIのデータの精度向上や分析方法の進化により、GNIは、より包括的な経済指標として、国際的な経済活動や政策決定において重要な役割を果たしていくでしょう。

参考文献

GNIとは何か? 経済の分野で重要な概念を解説 | sasa-dango

Gdpとgni(Gnp)の違いについて : 経済社会総合研究所 – 内閣府

今さら聞けない!Gdp、Gnp、Gniの意味やそれぞれの違いとは?わかりやすく解説 – タスマガジン

わかりやすい用語集 解説:Gni(じーえぬあい) | 三井住友dsアセットマネジメント

今なぜ「Gdp」ではなく「Gni」が日本経済にとって重要なのか? | 伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論 | ダイヤモンド・オンライン

【3分で読める】Gniとは?わかりやすく説明します!~貧困の度合いを測る方法を簡単に解説!~│国際協力 基本のキ

国民総所得(GNI)とは?わかりやすく説明|中小企業診断士試験に出題される用語辞典

国民総所得(Gni)とは 67カ国・地域が「高所得国」 きょうのことば – 日本経済新聞

国民総所得 – Wikipedia

GNI と GDP: 違いと比較 – Ask Any Difference

「GDP」「GNI」「GNP」「NNP」「NI」「NNI」の意味の違い

【GDP】何の略?日本や世界の現状や意味、GNPやGNIとの違い

GNI│SMBC日興証券

Gni | 金融・証券用語解説集 | 大和証券

Gni(ジーエヌアイ)とは? 意味や使い方 – コトバンク

GNI|証券用語解説集|野村證券

国民所得(Gni)の分かりやすい解説 – It&ビジネスブログ

GDPはプラス成長も…昨年度の国民総所得(GNI)は10年前目標額の半分 日本経済失速の懸念:東京新聞 TOKYO Web

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