魚：エポーレットシャークについて説明

1. エポーレットシャークの分類と特徴
2. エポーレットシャークの生息地と生態
3. エポーレットシャークの繁殖と生活史
4. エポーレットシャークの保護状況と脅威
5. エポーレットシャークと他の魚類との関係
6. エポーレットシャーク観察保護の取り組み

1. エポーレットシャークの分類と特徴

エポーレットシャークの分類

エポーレットシャークは、テンジクザメ目テンジクザメ科モンツキテンジクザメ属に分類されるサメの一種です。学名はHemiscyllium ocellatumで、英名ではEpaulette sharkと呼ばれています。この名前は、胸鰭の後ろにある大きな黒色の斑点が肩章（エポーレット）に似ていることから付けられました。

エポーレットシャークは、オーストラリアとニューギニア島の浅瀬に生息しています。体色は茶色で、胸鰭の後ろには大きな黒い紋があります。細長い体型で尾が長く、全長は1m以下です。

エポーレットシャークは、櫂状の胸鰭と腹鰭を持ち、浅瀬や海底を”歩く”ことができるという特徴があります。この歩行は、胸鰭と腹鰭を足のように使って、体をくねらせて移動するもので、他のサメには見られない行動です。

エポーレットシャークの分類
目	テンジクザメ目
科	テンジクザメ科
属	モンツキテンジクザメ属

エポーレットシャークの特徴

エポーレットシャークは、他のサメと比べて小型で、最大でも1m程度にしかなりません。また、他のサメと比べて、胸鰭と腹鰭が大きく発達しており、歩くための筋肉も発達しています。

エポーレットシャークは、夜行性で、サンゴ礁や潮だまりで底生無脊椎動物や小魚を捕食します。潮だまりの酸素は減少しやすいですが、エポーレットシャークは無酸素環境でも1時間は生存することができ、最も溶存酸素の減少に強い脊椎動物であると考えられています。

エポーレットシャークは、卵生で、8-12月にかけて2週間おきに産卵します。卵は、長さ10cm、幅4cmほどで、120-130日で14-16cmの稚魚が孵化します。

エポーレットシャークの英名

エポーレットシャークは、英名ではEpaulette sharkと呼ばれています。これは、胸鰭の後ろにある大きな黒色の斑点が肩章（エポーレット）に似ていることから付けられました。

エポーレットシャークは、他の英名として、\”itar shark\”、\”blind shark\”（この名はシロボシホソメテンジクザメ Brachaelurus waddi にも用いられる）があります。

エポーレットシャークの英名
英名	Epaulette shark
由来	胸鰭の後ろにある黒い斑点が肩章に似ていることから

まとめ

エポーレットシャークは、テンジクザメ目テンジクザメ科モンツキテンジクザメ属に分類されるサメの一種で、オーストラリアとニューギニア島の浅瀬に生息しています。

特徴的なのは、胸鰭と腹鰭を使って海底を歩くことができる点です。また、無酸素環境にも耐えることができ、卵生で、8-12月にかけて産卵します。

エポーレットシャークは、英名ではEpaulette sharkと呼ばれ、肩章のような斑点が特徴です。

2. エポーレットシャークの生息地と生態

エポーレットシャークの分布

エポーレットシャークは、ニューギニア島南岸からシドニーまでのオーストラリア北岸に分布しています。グレートバリアリーフのCapricorn‐Bunker礁群には特に個体数が多く、ヘロン島周辺のサンゴ礁には数千個体が生息すると推定されています。

また、不確実なデータではあるものの、マレーシア・スマトラ・ソロモン諸島からも報告があります。

エポーレットシャークの分布
地域	オーストラリア北部	ニューギニア島南岸	シドニー	グレートバリアリーフ	マレーシア	スマトラ	ソロモン諸島
生息数	多い	多い	多い	多い	不確実	不確実	不確実

エポーレットシャークの生息環境

エポーレットシャークは、50m以浅の浅海に生息し、体が辛うじて浸かるくらいの浅瀬にもよく出現します。潮だまりやサンゴ礁の浅瀬、ミドリイシ属の上などを好みます。

エポーレットシャークは、複雑なサンゴ礁地形への適応として、櫂状の胸鰭と腹鰭で地面を押しながら、体をくねらせて”歩く”ことができます。泳ぐのは危険から逃れる場合が主で、遊泳速度はあまり速くないです。

エポーレットシャークは、主に夜行性で、干潮時に活発になります。サンゴの間や下で休息していることがあり、頭部が隠れれば、他の部分がはみ出しても気にしないようです。

エポーレットシャークの食性

エポーレットシャークは、日和見的捕食者で、底生甲殻類・多毛類・小魚などを食べます。ヘロン島では、獲物の90%が多毛類とカニで、幼体は主に多毛類、成体はカニを食べていました。

エポーレットシャークは、主に嗅覚と電気受容器に頼って隠れた餌を探し、筋肉質の口腔を広げることで餌を吸い込みます。餌を探している間は時折、頭部や吻で堆積物を掘り返し、餌とともに吸い込んだ砂礫は鰓孔から吐き出します。

エポーレットシャークは、他のサメと異なり、餌を5–10分間よく噛んで食べます。歯を倒して平面を形成し、獲物の硬い殻を噛み砕くのに用いることができます。

エポーレットシャークの食性
餌	底生甲殻類	多毛類	小魚
捕食方法	嗅覚と電気受容器で餌を探す	筋肉質の口腔で餌を吸い込む	歯で獲物を噛み砕く

まとめ

エポーレットシャークは、ニューギニア島南岸からシドニーまでのオーストラリア北岸に分布し、50m以浅の浅海に生息しています。

潮だまりやサンゴ礁の浅瀬、ミドリイシ属の上などを好み、櫂状の胸鰭と腹鰭を使って歩くことができます。

夜行性で、底生甲殻類・多毛類・小魚などを食べ、嗅覚と電気受容器を使って餌を探します。

3. エポーレットシャークの繁殖と生活史

エポーレットシャークの繁殖

エポーレットシャークは、卵生で、8-12月に産卵します。雌は14日おきに2個（まれに4個）の卵嚢を産み、年間で20-50個になります。

卵嚢は長さ10cm、幅4cmほどで、120-130日で14-16cmの稚魚が孵化します。

エポーレットシャークの繁殖
産卵時期	8-12月
産卵頻度	2週間おきに2個
年間産卵数	20-50個
卵の大きさ	長さ10cm、幅4cm
孵化までの期間	120-130日
孵化時の稚魚の大きさ	14-16cm