項目 | 内容 |
---|---|
生息地 | 北極圏、流氷域、海岸沿 |
特徴 | 体長2m前後、体重400~600kg、白い体毛、厚い脂肪層、鋭い爪 |
食性 | 肉食、アザラシ、魚類、鳥類、海藻など |
行動 | 単独行動、氷上を歩き、海を泳ぐ、冬眠はしない |
繁殖 | 一夫多妻、3年に1回出産、1~3頭の子を産む、着床遅延あり |
保護活動 | 国際協定、狩猟規制、環境汚染対策、地球温暖化対策 |
1. ホッキョクグマの生息地
ホッキョクグマの生息域
ホッキョクグマは、その名の通り北極圏に生息しています。具体的には、アメリカ大陸北部のアラスカやカナダ、ユーラシア大陸北部のノルウェー、グリーンランド、ロシア、アイスランドの北極圏寄りに生息しています。彼らは基本的に流氷が浮かぶ海域や海岸沿いで生活し、冬の時期になると流氷に乗って南下します。
ホッキョクグマは、生涯のほとんどを氷上で過ごすため、直射日光や風雪を避けるために巣穴を作ることもあります。簡易的な住居を作って生活をする姿を見ると、それなりの知能を持っていることも分かります。
ホッキョクグマは、地上に生息する生き物ながら生涯のほとんどを氷の上で過ごします。エサを獲るためには海に潜る必要がありますが、冷たい海の中でも数時間は泳ぐことが可能です。
ホッキョクグマは、北極圏の生産性の高い沿岸域に生息します。一生を海氷上で過ごす個体もいますが、基本は大陸棚を好みます。北緯90℃(北極点)~北緯53℃(カナダのジェームズ湾)まで分布し、個体数の約6割はカナダに生息しています。
地域 | 詳細 |
---|---|
アメリカ大陸北部 | アラスカ、カナダ |
ユーラシア大陸北部 | ノルウェー、グリーンランド、ロシア、アイスランド |
生息場所 | 流氷が浮かぶ海域、海岸沿 |
移動 | 冬の時期に流氷に乗って南下 |
ホッキョクグマと南極
ホッキョクグマは、その名のとおり北極に生息しているクマさんなのですが、同じく極寒の環境である南極には生息していません。
しかし実験の結果ホッキョクグマは南極の環境でも生息できることが判明しています!
もしかしたら今後「ホッキョクグマ(南極に生息)」というわけわからんことが起こるかもしれませんね!
南極 | 生息していない |
---|---|
実験結果 | 南極でも生息可能 |
将来 | 南極に生息する可能性も |
ホッキョクグマの生息地の変化
近年、地球の温度が年々高まっていることは周知の事実となりますが、そんな地球温暖化はホッキョクグマの生活にも影響を与えています。
まず、地球の温度が上がるとホッキョクグマが生活の拠点としている「流氷」が減ります。
これにより棲み処をなくしたホッキョクグマがエサを求め、人間の生活エリアまで移動してきてしまうことが懸念される問題のひとつです。(場合によっては駆除されてしまう)
また、温暖化の影響でホッキョクグマの主食となるアザラシなどが生息圏内から減ると、海の中に潜り魚を取る時間が増えます。こうなるとホッキョクグマの天敵であるシャチに襲われるリスクも上がり、ホッキョクグマは個体数を減らしてしまうわけです。
影響 | 詳細 |
---|---|
流氷減少 | 生息地が減少 |
エサ不足 | 陸地に追いやられる |
天敵増加 | シャチに襲われるリスク増加 |
まとめ
ホッキョクグマは、北極圏の厳しい環境に適応し、流氷の上で生活しています。しかし、地球温暖化の影響で流氷が減少し、彼らの生息地は脅かされています。
温暖化によって、ホッキョクグマは陸地に追いやられ、エサ不足に陥ったり、シャチに襲われたりするリスクが高まっています。
ホッキョクグマの生息地は、彼らの生存にとって非常に重要であり、温暖化による影響は深刻です。
2. ホッキョクグマの特徴
ホッキョクグマの大きさ
ホッキョクグマは、オス:体長2.0m~2.5m、体重400kg~600kg、メス:体長1.8m~2.0m、体重200kg~350kgと、陸上で生活をする「肉食動物」の中ではもっとも大きなサイズです。
生き物の中にはオスよりメスの方が大きい種属も存在しますが、ホッキョクグマの場合はオスの方がメスより1.2~1.3倍ほど大きく成長します。
ちなみにオスのホッキョクグマの場合、最大800kg以上に成長することもあるそうです。また、妊娠しているときのメスの体重は500kgくらいまで増えることもあります。
日本に生息するクマだと「ヒグマ」が有名ですが、ヒグマのオスでも2m前後なのでホッキョクグマの方が大きな身体を持っています。
ホッキョクグマの体毛
ホッキョクグマの特徴と言えば、やはり真っ白な見た目です。前述の通りホッキョクグマは「シロクマ」とも呼ばれるほど白い体毛を持っていますが、実はホッキョクグマの体毛は白色ではなく「透明」ということをご存知でしょうか。
ホッキョクグマの体毛は透明かつ「内部が空洞」という特殊な構造をしています。そして、太陽光がこの体毛を照らすと細い空洞の中で光が乱反射し、結果として身体が白く見えるそうです。(ちなみにホッキョクグマの皮膚は黒色をしている)
また、ホッキョクグマの体毛が特殊な構造をしているのは、空洞の中に熱を留め身体を温めるためでもあります。ホッキョクグマは皮膚の下に分厚い脂肪を蓄えていますが、その脂肪に加え保温性の高い体毛があることによって厳しい環境でも生き抜いていけるわけです。
なお、ホッキョクグマは他のクマより首が長く、頭や耳が小さくなっているのですが、これもまた気温が低いところで生活するための進化と言われています。
特徴 | 詳細 |
---|---|
色 | 透明 |
構造 | 内部が空洞 |
機能 | 保温、太陽光吸収 |
皮膚 | 黒色 |
ホッキョクグマの足
ホッキョクグマは、大きな体を支える、太く大きな足、滑り止めの役割をする肉球、氷に刺さる鋭い爪の3つの特徴を持っています。
足裏の大きさはなんと30cm!!足裏はダイバーがつける足ヒレのような形状をしています。この足の形は泳ぐのに適しているだけでなく、体重を分散させます。体重を4つの手足に均等に分散することで、雪や氷にめり込むことなく動くことができるのです!雪山で使うカンジキのような役割を果たしています。
でも、たとえ雪や氷にめり込むことがなかったとしても、ツルツルのしている氷の上を歩くのは容易ではありません。そこで活躍するのが肉球です!ホッキョクグマの肉球には、滑り止めの役割をする小さな突起がついています。ある研究によると、これらの小さな突起が発達していることで、他の熊と比べて摩擦力が最大50%も増加しているとされています。
鋭い爪をもつホッキョクグマ。この爪が、氷に引っかかりチェーンスパイクのような役割を果たします。そのため、ツルツルの氷の上でも滑ることなく、歩いたり走ったりすることができるのです!実際、ホッキョクグマは氷の上でも時速40kmで走ることができるのだそう。すごい…。また、この爪は狩りをするときも役立ちます。獲物に向かって手を振りかざし、鋭い爪で致命傷を与えます。
部位 | 特徴 | 機能 |
---|---|---|
足裏 | 30cm、足ヒレ状 | 体重分散 |
肉球 | 小さな突起 | 滑り止め |
爪 | 鋭い | 氷に引っかかり、狩り |
まとめ
ホッキョクグマは、その大きな体格と、極寒の環境に適応した特徴的な身体構造を持っています。
大きな足は、氷や雪の上でも安定して歩行できるように進化し、肉球の突起は滑り止め効果を高めています。
さらに、透明で中空の体毛は、太陽光を効率よく吸収し、保温効果を高める役割を果たしています。
ホッキョクグマは、厳しい環境に適応した、まさに「地上最強」の生物と言えるでしょう。
3. ホッキョクグマの食性
ホッキョクグマの主食
ホッキョクグマは、ほぼ完全な肉食動物です。彼らは80種以上のエサを食べることが知られています。その中には魚類や海鳥、海藻、シロイルカやイッカクなどの海生哺乳類、トナカイなどが含まれます。
また、冬眠から目覚めたメスグマや、陸に追いやられたクマは、ベリーなど植物質のものも食べます。しかしこれらは体の大きなホッキョクグマにとってはどれもおやつ程度。彼らのおなかを満たしてはくれません。
ホッキョクグマの真の主食は、アザラシです。アザラシといっても、タテゴトアザラシやズキンアザラシ、体重1t超えるセイウチなど、様々なアザラシが北極圏に生息しますが、特に体重約70㎏のワモンアザラシが重要です。
次に重要なのは体重400㎏もあるアゴヒゲアザラシですが、こちらは大人のオスしか倒せません。ホッキョクグマはこのアザラシの特に脂肪を好んで食べる、現生陸生哺乳類最大の肉食動物として知られています。
食物 | 詳細 |
---|---|
アザラシ | ワモンアザラシ、アゴヒゲアザラシなど |
その他 | 魚類、海鳥、海藻、シロイルカ、イッカク、トナカイなど |
植物 | ベリーなど(おやつ程度) |
ホッキョクグマの狩猟方法
ホッキョクグマの狩りで最も多いのが、スティル・ハントと呼ばれる、いわゆる待ち伏せです。アザラシは哺乳類なので、海に潜れても呼吸が必要です。そのため海氷には、彼らが呼吸するための穴、呼吸穴がいくつもありますが、ホッキョクグマはその呼吸穴で待ち伏せをするのです。
このほか、雪上や、海中から忍び寄って、海氷上で休息するアザラシを襲ったり、稀に海中でも狩りに成功します。狩りの成功率は約5%ですが、成功すれば多くのエネルギーを得ることができます。
アザラシ専門のハンター、ホッキョクグマは、平均5日に1頭のワモンアザラシを食べて厳しい北極で生活しています。
ホッキョクグマは、優れた嗅覚で匂いを察知し、氷を掘って巣穴にいる個体を襲う、氷上にある呼吸用の穴や流氷の縁で待ち伏せる、氷上にいる個体に忍び寄るなどの方法を取る[7]。学習能力は高い[31]。
方法 | 詳細 |
---|---|
待ち伏せ | 呼吸穴で待ち伏せ |
忍び寄り | 雪上や海中から忍び寄り |
成功率 | 約5% |
ホッキョクグマの食性と地球温暖化
地球温暖化の影響で、夏に海氷が溶けだすのが早くなり、夏が終わった後の海氷の再形成が遅くなっています。海氷がなくなった地域のホッキョクグマは陸に追いやられるため、エサ不足の期間が長くなります。
メスの冬眠もより過酷になるでしょう。また、ホッキョクグマは他の哺乳類と比べても寄生虫の種類や病気にかかることが非常に少ないですが、温暖化により新たな寄生虫や病原体が北極圏に進出してくる可能性が懸念されています。
化学物質による汚染も注意すべき脅威です。PCBやDDTといった残留性有機汚染物質(POPs)は、遠く離れた場所から北極圏に集まります。こうした物質は生物濃縮により、ホッキョクグマの体内に高濃度で蓄積していきます。
また、POPsは脂溶性で、脂肪食の彼らにはさらに危険です。このような物質は、ホッキョクグマの生殖能力の低下を引き起こすと考えられています。
影響 | 詳細 |
---|---|
海氷減少 | エサ不足の期間が長くなる |
冬眠 | メスの冬眠が過酷になる |
汚染物質 | PCBやDDTなどの蓄積 |
生殖能力 | 低下する可能性 |
まとめ
ホッキョクグマは、アザラシを主食とする肉食動物であり、優れた嗅覚と狩猟技術で獲物を捕らえます。
しかし、地球温暖化による海氷の減少は、ホッキョクグマの食料となるアザラシの数を減らし、彼らの生存を脅かしています。
さらに、環境汚染物質の蓄積も、ホッキョクグマの健康に悪影響を与えています。
ホッキョクグマの食生活は、地球温暖化の影響を大きく受けており、彼らの未来は危ぶまれています。
4. ホッキョクグマの行動
ホッキョクグマの移動
ホッキョクグマは1日に 20 km、あるいはそれ以上の移動をする。アラスカ沿岸で追跡された1頭のクマは、1年間に 1119 kmも移動した。
海氷と密接に関わり合った生活をしているので、冬には氷が広がる南の方へほとんどが移動し、それが後退する夏には北の方へと移動する。
交尾後の番と子グマをつれた雌を除いて、通常ホッキョクグマは単独生活者である。しかし、例えばクジラやセイウチの死体といったごちそうに恵まれたようなときはたくさんが集まり、お互いに寛容さを示すことがある。
あるいは氷が溶けてしまい、岸に上がらざるを得ないときなども同様で、30~40頭ものクマが1ヵ所で見られたこともある。
移動距離 | 詳細 |
---|---|
1日 | 20km以上 |
1年 | 1,120km |
移動時期 | 冬は南へ、夏は北へ |
移動手段 | 氷上を歩く、泳ぐ |
ホッキョクグマの睡眠
ホッキョクグマは、冬眠をしない。例外として、妊娠したメスのみ巣穴にこもり出産および育児を行い、春先に仔を連れて巣穴を出る。
逆に夏場はアザラシなどの海獣の狩りが不能になるため餌が不足するため、代謝を低下させつつ海藻や花などの植物までも食して飢えを凌ぐ[36]。
ホッキョクグマは、クマ類でもっとも鋭い嗅覚を持つ。1 km離れた場所から、アザラシの呼吸穴の位置を特定できる。
時期 | 状態 |
---|---|
夏 | 代謝を低下させ、植物を食べる |
冬 | 冬眠はしない |
睡眠時間 | 夏は20時間、冬は7.5時間 |
ホッキョクグマの泳ぎ
ホッキョクグマは泳ぎが得意です。歩行の5倍のエネルギーを要するため、基本は海氷上を歩きますが、必要に迫られれば連続で100㎞以上を泳ぐことができるようです。
最長687㎞連続で泳いで移動したという記録があります。潜水は通常5m以内、潜水時間は35~75秒が普通です。
ホッキョクグマは、巨体ながら頭部は小さい。まさにロケットのようなフォルム!この体型のおかげで、水の抵抗をほとんど受けません。水しぶきなくをほとんど立てることなく入水し、大きな手と体の形を生かして効率よく水の中を進むことができるのです。
実際、時速10kmで100km近くも泳ぎ続けられるのだそう!最新の研究によると、1頭のメスのホッキョクグマが、これまで知られていた中では最長となる連続9日間、687kmの海中移動を行ったことが明らかになりました。
特徴 | 詳細 |
---|---|
速度 | 時速10km |
距離 | 100km以上 |
潜水時間 | 35~75秒 |
最長距離 | 687km |
まとめ
ホッキョクグマは、広大な北極圏を移動し、氷の上を歩き、海を泳ぎます。
彼らは、獲物を求めて長距離を移動し、厳しい環境の中でも生き延びるための適応能力を持っています。
しかし、地球温暖化の影響で、海氷が減少しているため、彼らの移動は困難になり、生存が脅かされています。
5. ホッキョクグマの繁殖と子育て
ホッキョクグマの繁殖
ホッキョクグマは、一夫多妻の配偶システムをとります。メスは冬眠に入る前、通常の2~3倍も体重を増やします。メスは約3年に1度、この栄養状態によって1~3頭の赤ちゃんを冬眠中に産みます。
ホッキョクグマでは着床遅延が見られます。見かけ上の妊娠期間は7~9ヵ月ですが、実際の妊娠期間は2ヵ月になります。出産後約3ヵ月は巣穴の中で眠りながら育児します。
生まれたばかりの赤ちゃんは600~700gしかありませんが、巣穴を出るころには10~12㎏にまでなります。これは脂肪分が3割にもなる高質な母乳のおかげです。
離乳は2歳半ごろで、このころ独り立ちします。メスが母親の行動圏近くで暮らす一方、オスはより遠くへ分散します。性成熟は4~7歳のころ。寿命は通常20~25年です。
特徴 | 詳細 |
---|---|
交尾 | 春頃に交尾 |
妊娠期間 | 195~265日 |
出産 | 11~1月に巣穴の中で出産 |
出産数 | 1~4頭(通常2頭) |
性成熟 | メスは4~5歳、オスは6歳 |
ホッキョクグマの子育て
ホッキョクグマは、哺乳類の中でもとくに繁殖率が低い動物です。一生のうちに5頭ほどしか子を残せません。
基本、単独行動をとるホッキョクグマ。繁殖期のみオスとメスが出会います。オスは6歳ごろ、メスは4~5歳で性成熟をむかえます。
おとなメスのホッキョクグマは3月~6月にかけて発情期に入ります。オスは発情しているメスが出す「におい」を追跡すると考えられています。
繁殖可能なメスをめぐりオス同士は戦います。そして、優位となったオスがより多くのメスと交尾できます。カップルとなったオスとメスは1週間以上ともに過ごします。
期間 | 詳細 |
---|---|
子育て期間 | 約2年半 |
母乳 | 脂肪分が3割、栄養価が高い |
離乳 | 2歳半ごろ |
性成熟 | 5~6歳 |
ホッキョクグマの子育てと地球温暖化
ホッキョクグマの繁殖の成否は、健康状態に大きく左右されます。氷の解けている期間がこのまま長期化してゆけば、ホッキョクグマの総個体数はどんどん減少するおそれがあります。
また、気温の上昇は、降水量の増加も招きます。雨は氷と雪でできた巣を壊し、ホッキョクグマやワモンアザラシなどの赤ちゃんから隠れ家を奪ってしまうのです。
「北極圏の生態系に地球温暖化がどう影響しているかを調べるためには、北極圏の食物連鎖のトップに位置するホッキョクグマを調査するのが一番良いのです」と、ホッキョクグマの研究者であるイアン・ステアリング博士は述べています。
影響 | 詳細 |
---|---|
海氷減少 | エサ不足、冬眠が過酷になる |
降水量増加 | 巣穴が壊れる |
母乳不足 | 子グマが育たない |
生存率 | 低下する可能性 |
まとめ
ホッキョクグマは、繁殖率が低く、子育てに長い期間を要する動物です。
地球温暖化は、ホッキョクグマの繁殖に大きな影響を与えており、彼らの生存を脅かしています。
海氷の減少は、アザラシの数を減らし、ホッキョクグマの食料を奪うだけでなく、出産や子育てにも悪影響を与えています。
ホッキョクグマの繁殖と子育ては、彼らの種の存続にとって非常に重要であり、地球温暖化の影響は深刻です。
6. ホッキョクグマの保護活動
ホッキョクグマの保護活動の現状
ホッキョクグマは、いくつかの脅威にさらされています。最も重要なのは地球温暖化です。温暖化の影響で、夏に海氷が溶けだすのが早くなり、夏が終わった後の海氷の再形成が遅くなっています。
海氷がなくなった地域のホッキョクグマは陸に追いやられるため、エサ不足の期間が長くなります。メスの冬眠もより過酷になるでしょう。また、ホッキョクグマは他の哺乳類と比べても寄生虫の種類や病気にかかることが非常に少ないですが、温暖化により新たな寄生虫や病原体が北極圏に進出してくる可能性が懸念されています。
化学物質による汚染も注意すべき脅威です。PCBやDDTといった残留性有機汚染物質(POPs)は、遠く離れた場所から北極圏に集まります。こうした物質は生物濃縮により、ホッキョクグマの体内に高濃度で蓄積していきます。
また、POPsは脂溶性で、脂肪食の彼らにはさらに危険です。このような物質は、ホッキョクグマの生殖能力の低下を引き起こすと考えられています。
脅威 | 詳細 |
---|---|
地球温暖化 | 海氷減少、エサ不足、冬眠の悪化 |
環境汚染 | PCBやDDTなどの蓄積 |
狩猟 | 規制されているが、一部地域では許可されている |
ホッキョクグマの保護活動の取り組み
ホッキョクグマ生息国(カナダ・アメリカ合衆国・ノルウェー・ロシア・デンマーク)により、1973年に「ホッキョクグマの保護に関する国際協定」が締結されており、定期的に会議が開かれている[48]。
保護した仔を野生に戻す試みに、他の野生の子連れ母熊を里親にするというものがある。通常、母熊は仔をかぎ分け、よその仔を相手にしないが、保護した仔にヴィックスヴェポラッブを塗り、体臭をカモフラージュして近づけるという方法が、カナダで行われる[49]。
アラスカの先住民族イヌピアトが捕鯨を行うときは、ホッキョクグマの餌が不足する時期でもあるため、解体したクジラの一部を浜辺に残しホッキョクグマの食糧とする[50]。
カナダで危険だと判断されたり、問題を起こした個体は、ホッキョクグマ刑務所(英語版)に一時収容され、野に返される前の調査では、体重測定、口元に入れ墨を入れ、歯を1本抜かれ、耳にタグが付けられる[51]。
取り組み | 詳細 |
---|---|
国際協定 | ホッキョクグマの保護に関する国際協定 |
里親制度 | 保護した仔を野生に戻す |
捕鯨との共存 | クジラの死骸をホッキョクグマの食糧とする |
ホッキョクグマ刑務所 | 問題を起こした個体を一時収容 |
私たちにできること
地球温暖化の影響を最小限にとどめるために、WWFは専門家集団としてさまざまな影響調査報告や温暖化対策を発表するとともに、世界的なネットワークを活かして各国政府や産業界に働きかけています。
簡単にできるのが、電力プランの見直しです。ご自宅の電力使用力に応じて、基本料金と従量料金のバランスを考えましょう。
例えば、家族が多いなど頻繁に電力を使用するような場合は、基本料金よりも従量料金の電力単価が低いプランを選びます。一方、一人暮らしなどの場合は、基本料金が安いプランにするほうがお得といえるでしょう。
そして、電力の使用量が多い家電製品№1は、冷蔵庫といわれています。特に、冷蔵庫に物を入れ過ぎると空気の循環が悪くなり無駄な電力を消費してしまいます。食材はできるだけ買いためず、賞味期限の近いものから消費しましょう。また、冷蔵庫内の整理ができれば開けている時間を減らせるので、節電につながります。さらに、窓やドアのすき間をテープやフィルムでガードして、外気をできるだけ室内に入れないことを心がけましょう。
取り組み | 詳細 |
---|---|
節電 | 電力プランの見直し、冷蔵庫の整理、窓やドアのすき間を塞ぐ |
省エネ | エアコンの設定温度を見直す、洗濯機の効率的な使い方 |
リサイクル | ゴミを減らす、資源を有効活用する |
まとめ
ホッキョクグマは、地球温暖化や環境汚染など、様々な脅威にさらされています。
国際的な協定や保護活動によって、彼らの生存は守られていますが、地球温暖化は依然として大きな課題です。
私たち一人ひとりが、日々の生活の中でできることを実践することで、ホッキョクグマの未来を守ることに貢献できます。
地球温暖化防止のために、節電や省エネ、リサイクルなど、できることから始めていきましょう。
参考文献
・ホッキョクグマとは – 生態や形態の特徴解説 – Zukan(図鑑)
・ホッキョクグマの特徴・生態!地球温暖化による影響について …
・ホッキョクグマ(シロクマ)の生態・豆知識11選!天敵や危険性 …
・【ホッキョクグマ|動物図鑑】特徴と生態 | 動物生き物サイト
・ホッキョクグマについての魅力的な事実 – Greelane.com
・ホッキョクグマがいる動物園・水族館と全33頭紹介!生態・白い …
・ホッキョクグマの生態に迫る!毛の秘密やハンターとしての …
・ホッキョクグマ | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
・ホッキョクグマの生態や特徴!生息地が減って絶滅しそうって …
・ホッキョクグマ | ANIMALS ハローネイチャーのどうぶつたち | Hello …
・ホッキョクグマの生態【過酷】野生ホッキョクグマの一生 – zoo …
・知られざる「ホッキョクグマの生態調査」という世界 広大な …
コメント