心技体を鍛える: 少林寺拳法の世界へようこそ

1. 少林寺拳法とは:歴史と理念を探る

1-1. 少林寺拳法の誕生

第二次世界大戦終戦直後の1947年、日本で宗道臣によって創始されたのが少林寺拳法です。宗道臣は中国で武術を学び、帰国後に人々の平和と幸福に貢献できる道を模索し、少林寺拳法を創案しました。少林寺拳法は、単なる護身術ではなく、精神性を重視した人間形成を目的とする点に特徴があります。

1-2. 「力愛不二」と「護身錬鍛」

少林寺拳法の理念を端的に表す言葉が「力愛不二」です。これは、力と愛は一体であり、自分自身の力を高めると同時に、他者への愛や思いやりを持つことが大切であるという意味です。また、少林寺拳法は「護身錬鍛」を掲げています。これは、護身術としての技法を磨くことで心身を鍛錬し、自己確立を目指すことを意味します。

1-3. 技法体系

少林寺拳法の技法は、突き、蹴り、投げ、関節技など多岐にわたります。これらの技法は、効率的に相手を制圧することを目的としており、護身術としての実践性を重視しています。また、技法の習得を通じて、身体の柔軟性や筋力、バランス感覚などを鍛えることができます。

1-4. 道場での修行

少林寺拳法は、全国各地に道場があり、老若男女を問わず多くの人々が修行に励んでいます。道場では、基本的な技法の習得から始まり、組演武や運用法など段階的に技術を磨いていきます。また、精神性を高めるための座禅や講話なども行われています。少林寺拳法は、護身術を学びたい方だけでなく、心身の健康増進や人間形成を目指す方にもおすすめの武道です。

2. 護身術としての少林寺拳法:技法体系の基本

2-1. 剛法と柔法

少林寺拳法の技法は、大きく分けて「剛法」と「柔法」の2種類に分類されます。剛法は、突きや蹴りなどの打撃技を主体とした技法で、相手の攻撃を制圧することを目的としています。一方、柔法は、投げ技や関節技など、相手の力を利用して制する技法です。少林寺拳法では、状況に応じて剛法と柔法を使い分けることで、より効果的な護身術を実現します。

2-2. 基本技法の種類

少林寺拳法の基本技法は多岐にわたり、突き、蹴り、受け、投げ、固め、抜きなどがあります。突き技では正拳突きや裏拳突き、蹴り技では前蹴りや回し蹴りなどが代表的です。また、相手の攻撃を受け流す受け技や、相手を投げ飛ばす投げ技、関節を極める固め技など、状況に応じて様々な技法を駆使します。

2-3. 組演武と運用法

少林寺拳法の修行では、2人1組で行う「組演武」と、実戦を想定した「運用法」を学びます。組演武は、あらかじめ決められた技の攻防を演武することで、基本技法の習得や正確な動作を身につけることを目的としています。一方、運用法は、より自由な状況設定の中で、技法を応用して相手を制圧する練習を行います。

2-4. 護身術としての有効性

少林寺拳法は、実戦的な護身術として非常に有効です。多様な技法体系と、剛法と柔法を使い分けることで、様々な状況に対応することができます。また、修行を通じて心身を鍛錬することで、とっさの判断力や冷静な対応力を養うことができます。

3. 心身の鍛錬:精神性と健康増進

3-1. 精神鍛錬の重要性

少林寺拳法は、技法の習得だけでなく、精神性の向上も重視しています。少林寺拳法の開祖である宗道臣は、「拳禅一如」という言葉を掲げ、拳法の修行と禅の精神は一体であると説きました。修行を通じて、自己中心的にならず、他者への思いやりや感謝の気持ちを持つことが大切であるとされています。

3-2. 座禅と講話

少林寺拳法の修行では、技法の練習だけでなく、座禅や講話も行われます。座禅は、心を落ち着かせ、自分自身と向き合うことで、精神力を鍛えることができます。また、講話では、少林寺拳法の理念や歴史、日常生活における心構えなどについて学びます。

3-3. 健康増進の効果

少林寺拳法の修行は、心身の健康増進にも効果的です。技法の練習を通じて、筋力や柔軟性、バランス感覚など身体能力の向上が期待できます。また、有酸素運動と無酸素運動の両方の要素を含むため、脂肪燃焼や心肺機能の向上にも効果があります。

3-4. ストレス解消と精神安定

少林寺拳法の修行は、ストレス解消や精神安定にも役立ちます。身体を動かすことでストレス発散につながるだけでなく、座禅や精神鍛錬を通じて、心の落ち着きや安定感を得ることができます。

4. 修行の道:昇級昇段システムと大会

4-1. 昇級昇段システム

少林寺拳法には、技術の習熟度に応じて級位と段位が認定される昇級昇段システムがあります。級位は9級から1級まで、段位は初段から十段まであり、段階的に技術を習得していくことで昇級昇段を目指します。昇級昇段審査では、基本技法や組演武、運用法などの技術審査に加え、学科試験や論文試験なども行われます。

4-2. 大会の種類

少林寺拳法には、様々な大会が開催されています。主な大会として、全国大会、地方大会、演武大会、運用法大会などがあります。全国大会は、毎年開催される最も大きな大会で、各地方大会の予選を勝ち抜いた選手たちが集結し、技を競い合います。演武大会では、組演武の美しさや正確性を競い、運用法大会では、実戦形式で技の応用力を競います。

4-3. 大会出場への道

少林寺拳法の大会に出場するためには、所属する道場の推薦が必要です。道場での日々の稽古を通じて技術を磨き、昇級昇段審査で一定の級位を取得することで、大会出場資格を得ることができます。大会出場は、自身の技術向上や目標達成のモチベーションにもつながります。

4-4. 修行の継続と目標設定

少林寺拳法の修行は、昇級昇段や大会出場だけを目標とするものではありません。大切なのは、継続的に修行を続けることで、心身を鍛錬し、人間性を高めていくことです。昇級昇段や大会出場は、修行の過程における一つの目標であり、その先にはさらなる成長が待っています。

5. 少林寺拳法の広がり:国内外の活動

5-1. 国内における普及活動

少林寺拳法は、日本全国に約1500の道場があり、約15万人の会員が修行に励んでいます。道場では、子供から大人まで幅広い年齢層の人々が、護身術の習得や心身の鍛錬に取り組んでいます。また、学校や企業などでの少林寺拳法の指導も行われており、社会体育としての普及も進んでいます。

5-2. 海外での活動展開

少林寺拳法は、日本だけでなく世界各国で普及しています。現在、世界34カ国に支部があり、約50万人の会員が修行に励んでいます。海外での普及活動は、日本人指導者による指導や、現地指導者の育成などを通じて行われています。また、国際大会も開催されており、世界各国の少林寺拳法家が交流を深めています。

5-3. 社会貢献活動

少林寺拳法は、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。国内外で災害支援活動や、青少年育成活動、地域活性化活動などを行っています。また、国連のNGOとして、平和活動や国際協力活動にも参加しています。

5-4. 少林寺拳法の未来

少林寺拳法は、創始から70年以上の歴史を持ち、現在も国内外で多くの人々に親しまれています。護身術としての有効性だけでなく、心身の鍛錬や人間形成を目的とした武道として、今後もさらなる発展が期待されます。

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