縁の下の医療ヒーロー:臨床検査技師の仕事と知識

1. 臨床検査技師の役割と仕事内容

1-1. 臨床検査技師とは

臨床検査技師とは、血液や尿、組織など、さまざまな検体を用いて検査を行い、その結果を分析・評価する医療専門職です。医師の診断や治療方針の決定をサポートする重要な役割を担っており、「縁の下の力持ち」とも言える存在です。

1-2. 仕事内容

臨床検査技師の仕事は多岐にわたり、大きく以下の3つに分類されます。

1. 検体検査:血液検査や尿検査、細菌検査など、患者さんから採取した検体を分析し、病気の診断や治療効果の判定に必要な情報を提供します。

2. 生理機能検査:心電図検査や脳波検査、超音波検査など、患者の体の機能を測定し、病気の診断や進行状況の把握に役立てます。

3. 輸血検査:血液型判定や交差適合試験などを行い、安全な輸血が行えるよう管理します。

1-3. 働く場所

臨床検査技師の活躍の場は、主に以下のような場所です。

1. 病院:総合病院や大学病院など、さまざまな診療科と連携を取りながら検査を行います。

1-2. 検査センター:病院などから依頼された検体を専門的に分析する施設です。

3. 保健所や衛生研究所:感染症の予防や検査など、公衆衛生に関わる業務を行います。

4. 研究機関や企業:新しい検査方法や機器の開発など、研究分野での活躍も期待されています。

2. 検査の種類とそれぞれの目的

2-1. 検体検査の種類と目的

検体検査とは、血液や尿、便など、患者さんから採取した検体を分析し、病気の診断や治療効果の判定を行う検査です。主な検体検査の種類と目的は以下の通りです。

1. 血液検査:赤血球や白血球、血小板の数や機能を調べることで、貧血や感染症、白血病などの診断に役立ちます。また、血糖値やコレステロール値など、体の状態を把握するための指標も調べることができます。

2. 尿検査:尿中の成分を調べることで、腎臓や尿路の病気、糖尿病などの診断に役立ちます。

3. 便検査:便中の血液や寄生虫、細菌などを調べることで、消化器系の病気や感染症の診断に役立ちます。

4. 組織検査:病変部から採取した組織を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無や種類などを診断します。

2-2. 生理機能検査の種類と目的

生理機能検査とは、心電図や脳波、超音波など、体の機能を測定し、病気の診断や進行状況の把握を行う検査です。主な生理機能検査の種類と目的は以下の通りです。

1. 心電図検査:心臓の電気的な活動を測定し、不整脈や心筋梗塞などの診断に役立ちます。

2. 脳波検査:脳の電気的な活動を測定し、てんかんや脳腫瘍などの診断に役立ちます。

3. 超音波検査:超音波を用いて体内の臓器や血管の状態を観察し、腫瘍や炎症などの診断に役立ちます。

4. 呼吸機能検査:肺活量や換気量などを測定し、呼吸器系の病気の診断や重症度の判定に役立ちます。

3. 臨床検査技師に必要な知識とスキル

3-1. 幅広い知識

臨床検査技師は、人体や病気に関する幅広い知識が必要です。解剖学や生理学、病理学、薬理学など、医学・生物学の基礎知識はもちろん、各検査項目の原理や解釈、最新の検査技術など、専門的な知識も求められます。

3-2. 検査技術

臨床検査技師は、正確かつ迅速に検査を行うための技術が必要です。血液や尿などの検体を採取する技術、顕微鏡や検査機器を操作する技術、検査結果を分析・評価する技術など、さまざまな技術を習得しなければなりません。

3-3. コミュニケーション能力

臨床検査技師は、医師や看護師、患者さんなど、さまざまな人とコミュニケーションを取る必要があります。検査結果をわかりやすく説明する能力、患者さんの不安に寄り添う能力、チーム医療の一員として連携する能力など、高いコミュニケーション能力が求められます。

3-4. 問題解決能力

臨床検査では、予期せぬ事態が起こることもあります。そのような場合でも、冷静に状況を判断し、適切な対処法を選択できる問題解決能力が必要です。

4. 臨床検査技師の活躍の場

4-1. 病院

臨床検査技師の主な活躍の場は病院です。総合病院や大学病院など、さまざまな診療科と連携を取りながら、血液検査や尿検査、生理機能検査など、多岐にわたる検査を行います。また、手術中の患者の状態を管理する手術室や、緊急を要する患者の検査を行う救急部門など、専門性の高い部門で活躍する臨床検査技師もいます。

4-2. 検査センター

検査センターは、病院などから依頼された検体を専門的に分析する施設です。大規模な検査センターでは、自動分析装置などを用いて大量の検体を効率的に処理し、迅速に結果を提供しています。

4-3. 保健所や衛生研究所

保健所や衛生研究所では、感染症の予防や検査など、公衆衛生に関わる業務を行います。臨床検査技師は、感染症の検査や疫学調査、食品衛生検査など、地域住民の健康を守るために活躍しています。

4-4. 研究機関や企業

新しい検査方法や機器の開発など、研究分野で活躍する臨床検査技師もいます。また、製薬会社や医療機器メーカーなどで、製品の開発や品質管理に携わる臨床検査技師もいます。

5. 臨床検査技師になるには? 必要な資格と進路

5-1. 臨床検査技師になるために必要な資格

臨床検査技師になるためには、国家資格である「臨床検査技師免許」を取得する必要があります。臨床検査技師免許を取得するためには、以下のいずれかの方法があります。

5-1. 大学や専門学校で臨床検査技師養成課程を卒業し、国家試験に合格する。

5-2. 厚生大臣が指定する臨床検査技師養成所を卒業し、国家試験に合格する。

5-2. 大学や専門学校での学び

大学や専門学校の臨床検査技師養成課程では、医学・生物学の基礎知識から、検体検査、生理機能検査、輸血検査などの専門知識、検査機器の操作技術まで、幅広く学びます。また、病院実習などを通して、実践的な技術やコミュニケーション能力を身につけます。

5-3. 国家試験

臨床検査技師国家試験は、毎年3月に実施されます。試験科目は、基礎医学、臨床検査医学、公衆衛生学など多岐にわたり、合格率は例年70%前後です。

5-4. 臨床検査技師の将来性

臨床検査技師は、医療現場に欠かせない存在であり、高齢化社会の進展に伴い、今後も需要が高まると予想されています。また、新しい検査技術や機器の開発も進んでおり、臨床検査技師の活躍の場はさらに広がっていくと考えられます。

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