1. 型枠大工の仕事とは？
1-1. 建築の基礎を支える職人
建物の基礎となるコンクリート部分を成形するために必要なのが「型枠」です。型枠大工とは、その型枠を設計図に基づいて正確に作り上げる職人です。建物の形状や強度を左右する重要な役割を担っており、建築現場には欠かせない存在です。まさに「建築の影の立役者」と言えるでしょう。
1-2. 型枠工事の流れ
型枠大工の仕事は、建物の基礎工事から始まります。まず、設計図をもとに型枠の形状やサイズを計算し、必要な資材を準備します。次に、木材や合板などを用いて型枠を組み立て、コンクリートを流し込むための空間を作ります。コンクリートが固まったら型枠を解体し、次の工程へと進みます。
1-3. 様々な構造物に対応
型枠大工が手がけるのは、建物の基礎部分だけではありません。壁や柱、梁、床など、コンクリートが使われるあらゆる構造物に携わります。そのため、それぞれの構造物の特性や強度を理解し、適切な型枠を設計・施工することが求められます。また、近年ではデザイン性の高い建築物が増えており、複雑な形状の型枠を作る技術も必要とされています。
2. 型枠の種類と役割
2-1. 型枠の種類
型枠には様々な種類があり、使用される材料や構造によって分類されます。代表的な型枠の種類には以下のようなものがあります。
2-1. 合板型枠
最も一般的な型枠で、コンクリートパネルやベニヤ板などを用いて作られます。加工が容易でコストも比較的安価なため、広く使用されています。
2-2. 鋼製型枠
鋼鉄製の型枠で、耐久性や耐水性に優れています。繰り返し使用することができ、高層ビルや橋梁など大型構造物の施工に適しています。
2-3. プラスチック型枠
軽量で取り扱いが容易なプラスチック製の型枠です。複雑な形状にも対応でき、近年需要が高まっています。
2-2. 型枠の役割
型枠は単にコンクリートを流し込むための容器ではありません。建物の強度や耐久性を確保するために、以下の役割を果たしています。
2-1. コンクリートの形状を形成する
型枠はコンクリートを流し込むための空間を作るだけでなく、建物の形状を正確に形成する役割があります。型枠の精度が建物の品質に直結するため、型枠大工には高い技術が求められます。
2-2. コンクリートの強度を確保する
コンクリートが固まるまで、型枠は外圧からコンクリートを守り、強度を確保する役割があります。そのため、型枠には十分な強度と剛性が必要です。
2-3. コンクリートの表面仕上げを左右する
型枠の表面状態は、コンクリートの表面仕上げに影響を与えます。美しい仕上がりを実現するためには、型枠の表面を平滑に仕上げることが重要です。
3. 型枠大工に必要なスキルと資格
3-1. 型枠大工に必要なスキル
型枠大工には、専門的な知識や技術が必要です。主なスキルは以下の通りです。
3-1. 設計図の読解力
型枠を作るためには、設計図を正確に読み解く能力が不可欠です。平面図や断面図などから型枠の形状やサイズを把握し、施工方法を検討します。
3-2. 計算力
型枠の材料や数量を計算したり、強度や安定性を確認したりするために、数学的な計算力が必要です。
3-3. 木材加工の技術
型枠は主に木材や合板を用いて作られるため、木材の加工技術が求められます。のこぎりやカンナなどの工具を適切に使いこなす必要があります。
3-4. 空間認識能力
平面の設計図から立体的な型枠をイメージする空間認識能力が必要です。また、施工現場で型枠を組み立てる際には、周囲の状況を把握し、安全に作業を進める能力も重要です。
3-5. 体力
型枠の組み立てや解体は重労働です。体力や持久力が必要とされます。
3-2. 型枠大工の資格
型枠大工になるために必須の資格はありませんが、以下の資格を取得することで、スキルや知識を証明し、仕事の幅を広げることができます。
3-1. 型枠施工技能士
型枠施工に関する技能を認定する国家資格です。1級から3級まであり、実務経験や学科試験、実技試験を経て取得できます。
3-2. 建築大工技能士
建築大工に関する技能を認定する国家資格です。型枠施工だけでなく、建築全般の知識や技術を身に付けることができます。
4. 型枠大工のやりがいと魅力
4-1. 物づくりの醍醐味を味わえる
型枠大工は、設計図から実物の型枠を作り上げることで、直接的に建物の形を作り出すことができます。自分の手で作り上げた型枠が建物の基礎となり、形になっていく過程を見るのは、大きなやりがいを感じられる瞬間です。また、完成した建物を目にするたびに、自分の仕事が形に残る喜びを味わうことができます。
4-2. 技術を磨き、成長を実感できる
型枠大工の仕事は、常に技術の向上を求められます。新しい工法や材料が登場したり、複雑な形状の型枠を設計したりする際には、新たな知識や技術を習得する必要があります。技術を磨き、成長を実感できることは、型枠大工の魅力の一つです。
4-3. チームワークで大きな仕事を成し遂げる
型枠工事は、多くの職人と協力して行うチームワークが essential な仕事です。仲間と協力して大きな仕事を成し遂げたときの達成感は、他の仕事では味わえないものです。また、現場でのコミュニケーションを通じて、人間関係を築くこともできます。
5. 型枠大工になるには？
5-1. 型枠大工になるための進路
型枠大工になるためには、いくつかの進路があります。
5-1. 高校卒業後、型枠工事会社に就職する
最も一般的な進路です。型枠工事会社に就職し、先輩職人から技術を学びます。実務経験を積みながら、型枠施工技能士などの資格取得を目指すことができます。
5-2. 建築系の専門学校や職業訓練校で学ぶ
建築の基礎知識や型枠施工の技術を学ぶことができます。専門学校によっては、型枠工事会社への就職サポートを行っているところもあります。
5-3. 建設系の高校で学ぶ
建築や土木に関する基礎知識を学ぶことができます。卒業後は、型枠工事会社に就職したり、専門学校に進学したりすることができます。
5-2. 型枠大工に必要な資質
型枠大工になるためには、以下の資質が求められます。
5-1. 物づくりが好き
型枠大工は、自分の手で物を作り上げる仕事です。物づくりが好きな人は、仕事にやりがいを感じることができるでしょう。
5-2. 体力がある
型枠工事は重労働です。体力や持久力が必要です。
5-3. チームワークを大切にできる
型枠工事は、多くの職人と協力して行う仕事です。チームワークを大切にできる人が求められます。
5-4. 責任感が強い
型枠は建物の強度や耐久性に直結する重要な部分です。責任感を持って仕事に取り組む必要があります。
6. 型枠大工の将来性と展望
6-1. 建設業界における需要
型枠大工は、建築業界において必要不可欠な存在です。建物がある限り、型枠工事の需要はなくなりません。特に、都市部での再開発やインフラ整備など、建設需要は今後も堅調に推移すると予想されており、型枠大工の仕事は安定した需要が見込まれます。
6-2. 技術の進歩と対応
建設業界では、技術の進歩が著しいです。プレキャストコンクリートや3Dプリンターなど、新しい技術が次々と登場しています。型枠大工は、こうした技術の進歩に対応していくことが求められます。新しい技術を積極的に学び、スキルアップに努めることで、将来性のある職業として活躍し続けることができるでしょう。
6-3. 働き方改革への期待
建設業界は、長時間労働や休日が少ないなど、労働環境の改善が課題となっています。近年では、働き方改革が進められており、型枠大工の労働環境も改善されつつあります。将来的には、より働きやすい環境が整い、若い世代や女性も活躍できる職業となることが期待されます。
