完全失業率とは?経済用語について説明

完全失業率に関する項目一覧
項目 説明
完全失業率 労働力人口に占める完全失業者の割合
労働力人口 15歳以上で働く意欲のある人の数
完全失業者 仕事がなく、就職活動をしている失業者のこと
有効求人倍率 求職者1人に対して企業からの求人がどれくらいあるかを示す指標
季節調整 経済指標の季節的な変動を取り除く手法
非完全失業率 完全失業者以外の失業者のこと
潜在失業者 仕事を探しているものの、求職活動を諦めてしまった人
求職断念者 仕事を探しているものの、適当な仕事が見つからないと判断して、求職活動を諦めてしまった人
フィリップス曲線 インフレ率と失業率の関係を示す経済モデル
デフレーション 物価が下落し続ける状態
終身雇用制度 従業員が定年まで雇用される制度
年功序列制度 年齢が上がるにつれて給与や地位が上がる制度
グローバル化 世界的な経済統合が進展すること
少子高齢化 出生率が低く、高齢者が増える社会現象

1. 完全失業率の定義と意味

要約

完全失業率とは?

完全失業率とは、労働力人口に占める完全失業者の割合のことです。労働力人口とは、15歳以上で働く意欲のある人の数を指します。完全失業者とは、仕事がなく、就職活動をしている失業者のことを言います。仕事がなくても就職活動をしていなければ、完全失業率には含まれません。

完全失業率は、総務省が毎月実施している労働力調査によって発表されます。ニュースで耳にするのは、総務省の発表に基づくものです。完全失業率の調査方法としては、全国で無作為に抽出された40

完全失業率は、景気動向を示す重要な指標の一つです。完全失業率が高いと、職探しをしている失業者が多いということを意味します。これは、企業が人材を雇用する意欲が低く、求人が少ない状況であることを示唆しています。

完全失業率は、経済政策を判断する上でも重要な指標となります。政府は、完全失業率の動向を注視し、雇用対策や経済対策を講じています。

完全失業者の条件
条件 説明
仕事がなく、調査期間中に少しも仕事をしなかった 就業者ではない
仕事があればすぐ就くことができる 就業が可能である
調査期間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた 求職活動をしている

完全失業率と有効求人倍率の違い

完全失業率と似た用語に有効求人倍率があります。有効求人倍率は、求職者1人に対して企業からの求人がどれくらいあるかを示す指標です。完全失業率は失業に関する指標ですが、有効求人倍率は求職に関する指標です。

完全失業率が高いと、就職活動中の失業者が多いことを表します。仕事を探しているのに職に就けない失業者がいるのですから、景気が悪いことを示すと言えますね。また、完全失業率が高いことで、企業も人件費に経営資源を割けないため、採用活動を控えていることも読み取れます。完全失業率を見ることで、失業に関して、景気動向が分かる経済指標となります。

有効求人倍率は、求職者1人に対して企業からの求人がどれくらいあるかを示します。有効求人倍率の基準は1です。1よりも有効求人倍率が大きいか、あるいは小さいかによって求職者1人あたりの求人の量が分かります。1より小さければ求人が少なく、1より大きければ求人が多いことになります。有効求人倍率は求職に関して、景気動向が分かる経済指標ということです。

完全失業率と有効求人倍率の違いは、定義や目的とするところも違いますが、いずれも景気動向を示す経済指標となることは同じですね。

完全失業率と有効求人倍率の比較
指標 定義 目的
完全失業率 労働力人口に占める完全失業者の割合 失業状況の把握
有効求人倍率 求職者1人に対する求人数 求人状況の把握

完全失業率の推移

日本の完全失業率は、リーマンショック東日本大震災などの影響で、一時的に上昇した時期もありましたが、近年は安定的に低下傾向にあります。

2008年の完全失業率は4.0%でしたが、リーマンショックによる不景気で2009~2010年の完全失業率は5.1%と大きく上昇しました。

2011年以降の完全失業率は低下傾向を示し、2014年には3%台まで下がりました。更に、2017年には2.8%、2018年には2.4%まで完全失業率は大きく低下したのでした。2012年から景気回復期間が続いたことから完全失業率の低下に繋がったのです。

日本の完全失業率の推移から読み取れることは、景気の動向と共に完全失業率は推移していくということです。不景気になれば完全失業率が5%台まで上昇しますし、逆に景気回復に移れば完全失業率は低下傾向を示していくのです。完全失業率が経済指標ということがよく理解できますね。

完全失業率の推移
完全失業率
2008年 4.0%
2009年 5.1%
2010年 5.1%
2011年 4.5%
2012年 4.3%
2013年 4.0%
2014年 3.6%
2015年 3.1%
2016年 3.0%
2017年 2.8%
2018年 2.4%
2019年 2.4%
2020年 2.8%
2021年 2.7%
2022年 2.6%
2023年 2.8%

まとめ

完全失業率は、労働力人口に占める完全失業者の割合を示す重要な経済指標です。完全失業率は、景気動向や雇用情勢を反映し、経済政策の判断材料として活用されます。

完全失業率は、失業者の数だけでなく、就職活動をしているかどうかという条件も考慮されているため、実際の失業状況を完全に反映しているとは限りません。

完全失業率は、他の経済指標と合わせて分析することで、より正確な経済状況を把握することができます。

完全失業率は、今後も注目すべき経済指標の一つです。

2. 完全失業率の計算方法

要約

完全失業率の計算式

完全失業率は、以下の式で計算されます。

完全失業率 = (完全失業者数 ÷ 労働力人口) × 100 (%)

完全失業者数は、仕事がなく、就職活動をしている失業者の数を指します。労働力人口は、15歳以上で働く意欲のある人の数を指します。

完全失業率は、労働力人口に占める完全失業者の割合を表すため、パーセンテージで表されます。

完全失業率の計算式
説明
完全失業率 = (完全失業者数 ÷ 労働力人口) × 100 (%) 完全失業率の計算方法

労働力人口の定義

労働力人口は、15歳以上で働く意欲のある人の数を指します。

労働力人口には、就業者完全失業者が含まれます。

就業者とは、調査期間中に1時間以上働いた人を指します。

完全失業者とは、仕事がなく、就職活動をしている失業者のことを指します。

労働力人口の分類
分類 説明
就業者 調査期間中に1時間以上働いた人
完全失業者 仕事がなく、就職活動をしている失業者

完全失業者の定義

完全失業者とは、以下の3つの条件をすべて満たす人を指します。

1. 仕事がなく、調査期間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない)。

2. 仕事があればすぐ就くことができる。

3. 調査期間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)。

完全失業者の定義
条件 説明
仕事がなく、調査期間中に少しも仕事をしなかった 就業者ではない
仕事があればすぐ就くことができる 就業が可能である
調査期間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた 求職活動をしている

まとめ

完全失業率は、完全失業者数を労働力人口で割って計算されます。

労働力人口は、15歳以上で働く意欲のある人の数を指し、就業者と完全失業者を含みます。

完全失業者は、仕事がなく、就職活動をしている失業者のことを指します。

完全失業率は、労働力調査によって毎月発表されます。

3. 完全失業率と季節調整

要約

季節調整とは?

季節調整とは、経済指標の季節的な変動を取り除くことで、本来のトレンドを把握しやすくするための手法です。

完全失業率は、季節要因によって変動することがあります。例えば、年末年始やゴールデンウィークなどの時期には、一時的に失業者が増える傾向があります。

季節調整を行うことで、これらの季節的な変動の影響を取り除き、より正確な経済状況を把握することができます。

季節調整された完全失業率は、季節調整値と呼ばれます。

季節調整の目的
目的 説明
本来のトレンドを把握 季節的な変動の影響を取り除くことで、経済指標の長期的な傾向を把握する
比較可能性を高める 異なる時期の経済指標を比較しやすくする
分析精度を高める 季節的な変動の影響を取り除くことで、経済指標の分析精度を高める

季節調整の必要性

季節調整を行うことで、経済指標の本来のトレンドを把握することができます。

季節調整を行うことで、経済指標の比較可能性を高めることができます。

季節調整を行うことで、経済指標の分析精度を高めることができます。

季節調整は、経済指標の分析を行う上で重要な手法です。

季節調整の必要性
必要性 説明
経済指標の本来のトレンドを把握 季節的な変動の影響を取り除くことで、経済指標の長期的な傾向を把握する
経済指標の比較可能性を高める 異なる時期の経済指標を比較しやすくする
経済指標の分析精度を高める 季節的な変動の影響を取り除くことで、経済指標の分析精度を高める

季節調整の方法

季節調整には、様々な方法がありますが、一般的には移動平均法X-11法などが用いられます。

移動平均法は、過去のデータの平均値を用いて、季節的な変動を平滑化する方法です。

X-11法は、移動平均法をさらに発展させた方法で、より複雑な季節変動に対応することができます。

季節調整は、統計ソフトを用いて行うことができます。

季節調整の方法
方法 説明
移動平均法 過去のデータの平均値を用いて、季節的な変動を平滑化する方法
X-11法 移動平均法をさらに発展させた方法で、より複雑な季節変動に対応できる

まとめ

季節調整は、経済指標の季節的な変動を取り除くことで、本来のトレンドを把握しやすくするための手法です。

季節調整を行うことで、経済指標の比較可能性、分析精度を高めることができます。

季節調整は、経済指標の分析を行う上で重要な手法です。

季節調整された完全失業率は、季節調整値と呼ばれます。

4. 完全失業率と非完全失業率の違い

要約

非完全失業率とは?

非完全失業率とは、完全失業者以外の失業者のことを指します。

非完全失業者には、潜在失業者求職断念者などが含まれます。

潜在失業者とは、仕事を探しているものの、求職活動を諦めてしまった人を指します。

求職断念者とは、仕事を探しているものの、適当な仕事が見つからないと判断して、求職活動を諦めてしまった人を指します。

非完全失業者の種類
種類 説明
潜在失業者 仕事を探しているものの、求職活動を諦めてしまった人
求職断念者 仕事を探しているものの、適当な仕事が見つからないと判断して、求職活動を諦めてしまった人

完全失業率と非完全失業率の違い

完全失業率は、就職活動をしている失業者のみを対象とするのに対し、非完全失業率は、就職活動を諦めてしまった失業者も含みます。

そのため、完全失業率は、実際の失業状況を完全に反映しているとは限りません。

非完全失業率は、完全失業率よりも、より広範囲の失業状況を反映しています。

非完全失業率は、潜在的な失業を把握する上で重要な指標です。

完全失業率と非完全失業率の比較
指標 対象 説明
完全失業率 就職活動をしている失業者 就職活動をしている失業者の割合
非完全失業率 就職活動を諦めてしまった失業者を含む より広範囲の失業状況を反映

非完全失業率の測定

非完全失業率は、労働力調査では直接測定されません。

非完全失業率を測定するためには、追加調査が必要となります。

追加調査では、就職活動を諦めてしまった理由や、仕事を探しているかどうかなどを尋ねます。

非完全失業率の測定は、困難な場合があります。

非完全失業率の測定方法
方法 説明
追加調査 労働力調査では直接測定されないため、追加調査が必要

まとめ

非完全失業率は、完全失業者以外の失業者のことを指します。

非完全失業者には、潜在失業者や求職断念者などが含まれます。

非完全失業率は、完全失業率よりも、より広範囲の失業状況を反映しています。

非完全失業率は、潜在的な失業を把握する上で重要な指標です。

5. 完全失業率の影響と対策

要約

完全失業率が経済に与える影響

完全失業率が高いと、経済に様々な悪影響を及ぼします。

消費支出の減少: 失業者は収入が減るため、消費支出が減少し、経済全体が停滞する可能性があります。

生産性の低下: 企業は人材不足に陥り、生産性が低下する可能性があります。

社会不安の増加: 失業者は生活困窮に陥りやすく、犯罪や自殺などの社会不安が増加する可能性があります。

完全失業率が経済に与える影響
影響 説明
消費支出の減少 失業者は収入が減るため、消費支出が減少し、経済全体が停滞する可能性がある
生産性の低下 企業は人材不足に陥り、生産性が低下する可能性がある
社会不安の増加 失業者は生活困窮に陥りやすく、犯罪や自殺などの社会不安が増加する可能性がある

完全失業率対策

政府は、完全失業率対策として、様々な政策を実施しています。

雇用創出: 公共事業や税制優遇などの政策を通じて、雇用を創出します。

失業対策: 失業保険や職業訓練などの政策を通じて、失業者の生活を支援し、再就職を促進します。

経済活性化: 消費税減税や金融緩和などの政策を通じて、経済を活性化させます。

政府による完全失業率対策
対策 説明
雇用創出 公共事業や税制優遇などの政策を通じて、雇用を創出する
失業対策 失業保険や職業訓練などの政策を通じて、失業者の生活を支援し、再就職を促進する
経済活性化 消費税減税や金融緩和などの政策を通じて、経済を活性化させる

企業における完全失業率対策

企業は、完全失業率対策として、以下の様な取り組みを行うことができます。

人材育成: 従業員のスキルアップを支援することで、人材の流出を防ぎ、競争力を強化します。

労働時間管理: 労働時間の短縮やフレックスタイム制の導入など、従業員のワークライフバランスを支援することで、定着率を高めます。

多様な働き方: テレワークや副業の導入など、多様な働き方を許容することで、人材の確保を容易にします。

企業による完全失業率対策
対策 説明
人材育成 従業員のスキルアップを支援することで、人材の流出を防ぎ、競争力を強化する
労働時間管理 労働時間の短縮やフレックスタイム制の導入など、従業員のワークライフバランスを支援することで、定着率を高める
多様な働き方 テレワークや副業の導入など、多様な働き方を許容することで、人材の確保を容易にする

まとめ

完全失業率が高いと、経済に様々な悪影響を及ぼします。

政府は、完全失業率対策として、雇用創出、失業対策、経済活性化などの政策を実施しています。

企業は、人材育成、労働時間管理、多様な働き方などの取り組みを通じて、完全失業率対策に取り組むことができます。

完全失業率対策は、政府と企業の連携が不可欠です。

6. 完全失業率の国際比較と今後の展望

要約

国際比較

日本の完全失業率は、他の先進国と比較すると低い水準にあります。

これは、日本の終身雇用制度年功序列制度などの影響が大きいと考えられます。

日本の企業は、不況時でも従業員を解雇することをためらい、雇用維持に努める傾向があります。

しかし、近年では、グローバル化少子高齢化などの影響で、日本の雇用情勢も変化しつつあります。

主要国の完全失業率
完全失業率
日本 2.8%
アメリカ 3.6%
イギリス 3.8%
ドイツ 2.9%
フランス 7.2%
イタリア 8.0%

今後の展望

今後の完全失業率は、経済状況雇用政策によって大きく左右されます。

人口減少技術革新などの影響で、労働市場は今後も変化していくと考えられます。

政府は、雇用対策を強化し、人材育成を促進することで、完全失業率の安定化を目指していく必要があります。

企業は、人材の確保育成に積極的に取り組み、変化する労働市場に対応していく必要があります。

完全失業率の今後の展望
要因 影響
人口減少 労働力不足
技術革新 労働市場の変化
経済状況 景気変動による雇用への影響
雇用政策 政府による雇用対策の効果

完全失業率と私たちの生活

完全失業率は、私たちの生活に密接に関わる重要な指標です。

完全失業率が高いと、就職活動が難しくなり、生活水準が低下する可能性があります。

また、社会不安経済停滞などの問題を引き起こす可能性もあります。

完全失業率の動向を注視し、自分自身のキャリア社会全体の経済状況について考えていくことが重要です。

まとめ

日本の完全失業率は、他の先進国と比較すると低い水準にあります。

しかし、人口減少や技術革新などの影響で、日本の雇用情勢も変化しつつあります。

政府と企業は、雇用対策を強化し、人材育成を促進することで、完全失業率の安定化を目指していく必要があります。

完全失業率は、私たちの生活に密接に関わる重要な指標です。

参考文献

完全失業率とは?推移や計算方法や完全失業者数の定義

失業率とは? 完全失業率、日本の失業率の状況、影響、対策

【景気を知る指標(雇用状況)】完全失業率をわかりやすく解説 …

【2020年】完全失業率とは?計算方法は?グラフの推移で …

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