キジ島の木造教会とは?世界遺産についての解説

キジ島木造教会の概要
項目 内容
場所 ロシア連邦カレリア共和国オネガ湖
登録年 1990年
登録基準 (i)(iv)(v)
特徴 釘を使わない木造建築、玉ねぎ型のドーム、複数の建築による空間構成
アクセス ペトロザヴォーツクから高速船で約1時間強
見どころ プレオブラジェンスカヤ教会、ポクローフスカヤ教会、鐘楼、農家、風車など
宿泊 島内には宿泊施設なし、ペトロザヴォーツクに宿泊

1. キジ島の木造教会とは?

要約

キジ島とは?

キジ島は、ロシア連邦カレリア共和国のオネガ湖に浮かぶ島です。オネガ湖は琵琶湖の10倍以上の大きさがあり、キジ島は全長約7km、幅500mのこぢんまりとした島です。1990年には、「キジ島の木造教会」として世界遺産に登録されました。

キジ島全体は「保全区歴史建築民族国立野外博物館」として、景観が保護されています。ロシア各地から集められた貴重な木造建築物が移築され、現在でも83もの建物が点在しています。

個人の家や風車なども移築され、内部が資料館のようになっていて見学も可能です。移築された建物の中には、14世紀に建てられたロシアで現存する最古の木造教会「聖ラザロ復活教会」やキジ島のシンボル「プレオブラジェンスカヤ教会」など多くの木造教会があり、これらが「キジ島の木造教会」として世界遺産に指定されています。

キジ島の概要
項目 内容
場所 ロシア連邦カレリア共和国オネガ湖
面積 全長約7km、幅500m
登録年 1990年
登録名 キジ島の木造教会

プレオブラジェンスカヤ教会

遠目からみても目立つ、キジ島のシンボル「プレオブラジェンスカヤ教会」は、ロシア正教の教会の特徴である玉ねぎ型ドームが22個も巧みに配置された、高さ37メートルもある教会です。

驚くべきことにプレオブラジェンスカヤ教会は釘を1本も使わずに、複雑な木組みを駆使して作られており、伝説では“一本の斧で作られた”と言われています。銀色に輝いているように見えるところも木材です。

プレオブラジェンスカヤ教会の概要
項目 内容
特徴 玉ねぎ型ドーム22個、高さ37m
建築方法 釘を使わずに木組みで建設
用途 夏季専用の教会

アクセス

キジ島へは、オネガ湖畔のペトロザヴォーツクまでモスクワかサンクトペテルブルクから列車で行き、船でアクセスするのが一般的です。ペトロザヴォーツクからキジ島までは水中翼船で約1時間30分です。

冬場は湖が凍結するので休業ですが、冬季はヘリコプターでも行けます。

キジ島へのアクセス
交通手段 ペトロザヴォーツクから水中翼船
所要時間 約1時間30分
冬季 湖が凍結するため運休、ヘリコプター利用可能

まとめ

キジ島は、ロシア正教の木造教会建築群で知られる世界遺産です。特に、プレオブラジェンスカヤ教会は、釘を1本も使わずに建てられた、玉ねぎ型のドームを持つ壮大な教会として有名です。

キジ島は、ロシア各地から移築された木造建築物が集まる野外博物館のような場所でもあります。

アクセスは少し大変ですが、ロシアの伝統的な木造建築を間近で見ることができる貴重な場所です。

2. キジ島の木造教会の歴史

要約

キジ島の歴史

キジ島は、かつて先住民のフィン・ウゴル系民族が宗教儀式を執り行う場でした。その後、ロシア人の移住が進み、ロシア正教会の拠点へと変わっていきました。

16世紀には、すでに「プレオブラジェンスカヤ教会」「ポクローフスカヤ教会」の原型があったとされています。しかし、17世紀には落雷や老朽化により、両教会とも焼失または破却されました。

18世紀には、ピョートル大帝の治世のもと、現在の教会が再建されました。この時代は、サンクトペテルブルクの造営など、新たな社会建設が進められた時代であり、キジ島における木造建築の勃興にも影響を与えたと考えられています。

キジ島の歴史
時代 出来事
16世紀 周辺の島嶼の中心地
1690年 顕栄聖堂が落雷で焼失
1700年~ 北方戦争により教会の再建中断
1714年 顕栄聖堂再建
1764年 生神女庇護聖堂建造
1874年 鐘楼建立

プレオブラジェンスカヤ教会の再建

1714年に再建された「プレオブラジェンスカヤ教会」は、高さ37m、幅20m、奥行き29mの壮大な教会です。

教会の頂上付近には、大きな玉ねぎ型の円蓋屋根を中心に据え、周囲に22もの小さな玉ねぎ型の小円蓋を配した構造になっています。

約3万枚も使われている、柔らかな木材から作られた屋根瓦は、陽光の加減でバラ色に輝いたり、銀色の鱗の様な光沢を見せる微妙な変化を生み出し、とても木造とは思えぬほどの美しさです。

ポクローフスカヤ教会と鐘楼の建設

プレオブラジェンスカヤ教会の隣には八角形の鐘楼が立ち、その横には1764年建造のやや小ぶりな「ポクローフスカヤ教会」があります。

ポクローフスカヤ教会は、プレオブラジェンスカヤ教会が夏季専用であったのに対し、冬季専用の教会として建造されました。

1874年には鐘楼が建立され、こうして160年の歳月を掛けて、3つの木造教会建築群が完成しました。

まとめ

キジ島の木造教会は、16世紀に原型ができたとされていますが、落雷や老朽化により焼失または破却され、18世紀に再建されました。

プレオブラジェンスカヤ教会は1714年、ポクローフスカヤ教会は1764年、鐘楼は1874年に完成し、3つの教会建築群が形成されました。

これらの教会は、ロシア正教会の信仰の中心地として、長い歴史の中で人々に寄り添ってきました。

3. キジ島の木造教会の特徴

要約

釘を使わない建築

キジ島の木造教会建築群の最も特筆すべき特徴は、釘をまったく使用していないことです。

鉄以外の金属はおろか、目地さえも木から作るという徹底振りを無名の職人たちは示しました。

この技術は、ロシアの厳しい寒さや雪の中でも、木造建築を安定的に維持するために開発されたと考えられています。

釘を使わない建築
特徴 内容
使用材料 木材のみ
接合方法 重ね継ぎ、鳩尾継ぎ
目的 厳しい寒さや雪の中でも安定的に維持するため

玉ねぎ型のドーム

キジ島の教会建築群の特徴として、玉ねぎ型のドームが挙げられます。

プレオブラジェンスカヤ教会には22個、ポクローフスカヤ教会には9個の玉ねぎ型のドームが配置されています。

これらのドームは、木材を組み合わせることで作られており、釘を使わない技術の粋を集めたものです。

玉ねぎ型のドーム
教会 ドーム数
プレオブラジェンスカヤ教会 22個
ポクローフスカヤ教会 9個

空間構成

キジ島の教会建築群は、様式の異なる複数の建築によって構成されています。

プレオブラジェンスカヤ教会、ポクローフスカヤ教会、鐘楼という3つの建物が、それぞれ異なるデザインと機能を持ちながらも、調和のとれた空間を形成しています。

この空間構成は、ロシア建築に大きな影響を与え、後の木造建築のモデルとなりました。

まとめ

キジ島の木造教会建築群は、釘を使わない技術、玉ねぎ型のドーム、複数の建築による空間構成など、多くの特徴を持っています。

これらの特徴は、ロシアの伝統的な木造建築技術の粋を集めたものであり、世界遺産に登録されるほどの高い評価を受けています。

キジ島の教会建築群は、ロシアの伝統文化と技術の素晴らしさを象徴する存在です。

4. キジ島の木造教会が世界遺産に認定された理由

要約

世界遺産登録基準

キジ島の木造教会建築群は、ユネスコの世界遺産に登録されています。

世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録されました。

(i) 人類の創造的才能を表す傑作。

(iv) 建築様式、技術、記念物、景観などの点で、特定の文化圏における歴史的時期を代表する建築物群。

世界遺産登録基準
基準 内容
(i) 人類の創造的才能を表す傑作
(iv) 特定の文化圏における歴史的時期を代表する建築物群
(v) 伝統的な人間の居住地または土地利用の優れた例
(vi) 特定の文化的伝統または文明の代表的な建造物
(vii) 自然美と美的重要性を持つ顕著な自然現象
(viii) 地球史上の主要な段階を示す顕著な例
(ix) 陸または海の生態学的および生物学的プロセスにおける顕著な例
(x) 生物多様性における顕著な例

登録理由

キジ島の木造教会建築群は、ロシア北部の伝統的な木造建築技術の粋を集めたものであり、その美しさ、技術の高さ、歴史的価値が認められました。

特に、釘を使わない建築技術は、世界でも類を見ないものであり、当時の職人たちの卓越した技術力を物語っています。

また、キジ島の教会建築群は、ロシアの伝統文化と技術の素晴らしさを象徴する存在であり、世界遺産に登録されるにふさわしい価値があると判断されました。

世界遺産としての意義

キジ島の木造教会建築群は、世界遺産に登録されることで、その価値が広く認められ、保護されるようになりました。

世界遺産としての登録は、キジ島の教会建築群を未来へ継承していくための重要な役割を果たしています。

また、世界遺産としての登録は、ロシアの伝統文化と技術を世界に発信する機会となっています。

まとめ

キジ島の木造教会建築群は、その美しさ、技術の高さ、歴史的価値が認められ、世界遺産に登録されました。

世界遺産としての登録は、キジ島の教会建築群を保護し、その価値を世界に発信する役割を果たしています。

キジ島の教会建築群は、人類共通の遺産として、未来へ継承されていくことが期待されています。

5. キジ島の木造教会の魅力

要約

幻想的な風景

キジ島の木造教会建築群は、オネガ湖に浮かぶ小島に佇む、幻想的な風景を作り出しています。

玉ねぎ型のドームが連なる教会は、まるで童話の世界から飛び出してきたような美しさです。

湖畔の静かな風景と調和し、訪れる人々に特別な感動を与えてくれます。

職人たちの技術

キジ島の教会建築群は、釘を1本も使わずに建てられたという、驚異的な技術力によって作られています。

当時の職人たちは、鋸、ノミ、キリなどの道具を使い、木材を組み合わせて、複雑な構造を作り上げてきました。

彼らの卓越した技術力は、現代においても高く評価されています。

歴史と文化

キジ島の教会建築群は、ロシアの歴史と文化を物語る貴重な遺産です。

教会建築群は、ロシア正教会の信仰、伝統的な木造建築技術、そしてロシアの人々の生活様式を反映しています。

キジ島を訪れることで、ロシアの歴史と文化に触れることができます。

まとめ

キジ島の木造教会建築群は、幻想的な風景、職人たちの技術、歴史と文化など、多くの魅力を兼ね備えています。

訪れる人々に、忘れられない感動と貴重な体験を提供してくれる場所です。

キジ島は、ロシアの伝統文化と技術を体感できる、おすすめの観光スポットです。

6. キジ島の木造教会を訪れる際のポイント

要約

アクセス

キジ島へのアクセスは、ロシア連邦カレリア共和国の首都ペトロザヴォーツクから高速船で約1時間強です。

ペトロザヴォーツクまでは、モスクワまたはサンクトペテルブルクから列車で行くのが一般的です。

冬場はオネガ湖が凍結するため、船の運航は休止されます。

キジ島へのアクセス
交通手段 ペトロザヴォーツクから高速船
所要時間 約1時間強
冬季 湖が凍結するため運休、ヘリコプター利用可能

見学

キジ島には、プレオブラジェンスカヤ教会、ポクローフスカヤ教会、鐘楼などの教会建築群のほか、農家、風車など、様々な木造建築物が移築されています。

島内は自由に散策できますが、教会内部の見学は、修復作業などの都合により、制限される場合があります。

事前に、見学可能な時間や場所などを確認しておくと良いでしょう。

キジ島の見学
見どころ 内容
教会建築群 プレオブラジェンスカヤ教会、ポクローフスカヤ教会、鐘楼など
その他 農家、風車など
注意点 教会内部の見学は制限される場合あり

滞在

キジ島には宿泊施設がないため、日帰りで訪れるのが一般的です。

ペトロザヴォーツクには、様々なホテルやゲストハウスがあります。

キジ島を訪れる際は、宿泊場所も事前に予約しておくと安心です。

キジ島周辺の宿泊
場所 内容
ペトロザヴォーツク ホテル、ゲストハウスなど
キジ島 宿泊施設なし

まとめ

キジ島を訪れる際は、アクセス方法、見学時間、宿泊場所などを事前に確認しておきましょう。

キジ島は、ロシアの伝統文化と技術を体感できる貴重な場所です。

事前に計画を立てて、安全で快適な旅を楽しみましょう。

参考文献

匠の技が光る最高傑作!キジ島にある世界遺産の木造教会 …

キジー・ポゴスト(キジ島の木造教会建築) | ロシア | 世界 …

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