タラゴーナの遺跡群とは？世界遺産についての解説

タラゴーナの遺跡群の構成要素
要素	説明
ローマ劇場	古代ローマ時代の娯楽施設。剣闘士や猛獣の戦いが行われた。
サーカス遺跡	戦車のレースが行われた競技場。
パウカスタン建物	ローマ時代の都市計画や建築技術を示す建造物。
プレトリウム	ローマ時代の長官の公邸。
ローマ壁	タラゴナを囲んでいた城壁。
水道橋	フランコリ川から水を引くために建造された橋。
パレンティナの遺跡	タラゴナの豊かな歴史と文化を物語る遺跡。
文化遺産	タラゴナの伝統や文化を伝える遺産。

1. タラゴーナの遺跡群の歴史と由来

タラゴナの古代ローマ時代

スペイン東部にあるタラゴナは、かつてタッラコと呼ばれ、古代ローマ時代はスペイン最大の植民都市でした。遺跡のほとんどは都市の下に埋もれていますが、円形劇場や「悪魔の橋」とも呼ばれる水道橋など、ローマ時代の建築物が現在も見られます。タラゴナは、イベリア半島でも最初期のローマ人の入植地であり、ローマ時代はヒスパニア・タラコネンシス州の州都となりました。ここはローマ皇帝も訪れるほど栄え、当時はイベリア半島の政治・経済の中心地でもありました。

現在のタラゴナには紀元前3世紀ころから初期のキリスト教時代までの都市遺跡が残っています。遺跡の上に街が重なるように建物が作られたため、市内に遺跡が個々に見られ、円形劇場、邸宅跡、フォーラム（公共広場）、教会、墓地遺跡、水道橋などが点在しています。タラゴナは、ローマの都市計画がよく見られ、官庁エリアから商業エリア、住宅街の跡がよく分かります。そして、周囲1kmの城壁はローマの軍事技術が見られるものです。

タラゴナは、ユリウス・カエサルによる都市整備と後の歴代ローマ皇帝が好んで在留する皇帝直属の都市になったことから多くの建物が建てられ、発展を遂げました。ローマ帝国は紀元前218年にタラゴナを植民地にしましたが、イベリア半島全体では三つの行政地区に分けられて統治されていました。

後にはスペインの多くの都市と同じように、西ゴート族、イスラム勢力のウマイヤ王朝、レコンキスタによるキリスト教化、という歴史を辿りますが、ローマ時代にこれだけ発展した都市はあまり類を見ません。その名残で、毎年5月の後半の2週間には「タラコ・ビバ」というローマ時代にちなんだお祭りがあります。この期間は町中がローマ時代にタイムスリップ。円形競技場ではグラディエーター（剣闘士）たちが衣装をつけて戦うイベントがあり人気があります。

タラゴナの古代ローマ時代
時代	説明
紀元前3世紀	ローマ人の入植が始まる。
ローマ時代	ヒスパニア・タラコネンシス州の州都として繁栄。
5世紀	西ゴート王国の支配下に入る。
8世紀	ウマイヤ朝に征服され、破壊される。
1118年	バルセロナ伯ラモン・バランゲー3世に征服され、再建される。

タラゴナの遺跡群の世界遺産登録

タラゴナの考古遺跡群が評価されたのが、以下の点です。\n登録基準（ii）タラゴナのローマ時代の遺跡は、当時の都市計画が見られ、ローマ帝国内の植民都市のモデルともなったということ。\n登録基準（iii）タラゴナの遺跡からは、古代の地中海世界の発展が見られるという点。

タラゴナは古代ローマ時代、イベリア半島において最大の都市だっただけあって、優れた都市計画が見られ、これが帝国の領土内のモデル都市とされるほどであったという点で評価されています。

タラゴナは、地中海に面した港湾都市で、昔も今も物流の要所として知られています。ローマ時代にイベリア半島の中心地として栄えた歴史があり、紀元前1世紀には人口が100万人を超えていたといいます。

その時代から円形競技場、大聖堂、水道橋、凱旋門、長官公邸などの建物が次々と建てられました。今回はそんな2000年に世界遺産に登録された「タラゴナの考古遺跡群」をご紹介します。

タラゴナの遺跡群の世界遺産登録
登録基準	説明
(ii)	ローマ帝国内の植民都市のモデルとなった。
(iii)	古代の地中海世界の発展を示す物証。

タラゴナの現代

ちなみに、今のタラゴナは10万人程度の人々が住む小都市です。これは8世紀にイスラム勢力によって破壊されて以来、カタルーニャ州の中心がバルセロナへ移ったため、その後、人はここに住むことも少なくなったためです。

タラゴナは、ユネスコが認定する世界遺産が2つもある街です。バルセロナから電車で1時間ちょっととアクセスも簡単。地中海が輝く明るい街で歴史にどっぷりひたってみませんか？

円形競技場やサンタ・マリア大聖堂、巨大水道橋など外せない見どころの入場料や営業時間などもまとめました。

タラゴナは、かつてタッラコと呼ばれた都市で、古代ローマ時代はスペイン最大の植民都市でした。遺跡のほとんどは都市の下に埋もれていますが、円形劇場や「悪魔の橋」とも呼ばれる水道橋など、ローマ時代の建築物が現在も見られます。

まとめ

タラゴナは、古代ローマ時代から続く歴史を持つ街であり、その歴史は現在も街の至る所に残っています。ローマ帝国の支配下にあった時代には、イベリア半島最大の都市として栄え、多くの重要な建造物が建設されました。

その後、西ゴート族やイスラム勢力の支配を経て、再びキリスト教世界へと戻り、現在に至ります。タラゴナは、古代ローマ時代の遺跡群が世界遺産に登録されていることからもわかるように、歴史的な価値の高い街です。

現在では、観光客も多く訪れる街として知られており、古代ローマ時代の遺跡だけでなく、中世の町並みも美しく、魅力的な街です。

タラゴナを訪れる際には、古代ローマ時代の遺跡を巡りながら、街の歴史を感じてみてください。また、地中海沿いの美しい海岸線も魅力の一つです。

2. ローマ劇場とサーカス遺跡の魅力

ローマ円形劇場

タラゴナの代表的な風景として名高い地中海に面した高台に建つ円形競技場。1世紀後半から2世紀初めにかけて作られた14

海から近いので、海外から動物を運びこみ、見世物にもしていたそうです。地下室には剣闘士の休憩室や猛獣の檻、地下から競技場まで動物を滑車を使って引き揚げる手動エレベーターもありました。

また4世紀にローマの国教がキリスト教になるまでは、キリスト教徒を処刑する公開処刑場の役割もあったと言われています。

タラゴナは、地中海に面し、フランコリ川（スペイン語版）の河口左岸に位置する。面積、人口とも同地を中心とするコマルカで最大である。隣接する自治体は、北がクンスタンティー、アルス・パリャレーズス、アル・カッリャーとリエーラ・ダ・ガイアー、東がアルタフーリャ、西がビラ＝セカとレウスで、南は地中海に面している。近隣の都市としては、約80 km東にバルセロナ、200 km北西にサラゴサが位置している。

ローマ円形競技場
特徴	説明
規模	14,000人収容
用途	剣闘士対剣闘士、剣闘士対猛獣の戦い
時代	1世紀後半から2世紀初め
その他	地下室には剣闘士の休憩室や猛獣の檻、手動エレベーターなどがある。

シルク・ローマ

円形競技場に肩を並べるほど魅力的な遺跡の一つとされるプレトリとシルク・ローマ。考古学博物館の隣にあり、大きな角塔が目印の遺跡です。

シルク・ローマは、もともとローマ時代の馬のレースに使われてた建物で、長さが325m、幅115mの細長い形状をしていて、観客数は3万人だったとか。西洋で1番保存状態がよく残っていると考えられてる。

この長い地下通路は、観客席の下にあたります。2000年前にこの通路を競技の準備をしたローマ人たちが通っていった姿を想像すると、歴史のロマンを感じます。

タラゴナは、古代ローマ時代の遺跡が数多く残されており、これらはユネスコによって世界遺産「タッラコの考古遺跡群（カタルーニャ語版）」として登録されている。

シルク・ローマ
特徴	説明
用途	二頭立ての戦闘用馬車による競走
規模	長さが325m、幅115m
観客数	3万人
その他	地下通路は観客席の下にあたる。

ローマ劇場

1世紀後半から2世紀初めにかけて建てられた、幅86.5m、長さ109.5mあり1

タラゴナは、古代ローマ時代、イベリア半島において最大の都市だっただけあって、優れた都市計画が見られ、これが帝国の領土内のモデル都市とされるほどであったという点で評価されています。

円形競技場やサンタ・マリア大聖堂、巨大水道橋など外せない見どころの入場料や営業時間などもまとめました。

ローマ劇場
特徴	説明
規模	1,4000人収容
時代	1世紀後半から2世紀初め
ロケーション	地中海を見下ろす高台
その他	青く輝く海を背景にした素晴らしいロケーション。

まとめ

タラゴナのローマ劇場とサーカス遺跡は、古代ローマ時代の壮大な建築物であり、当時の生活様式や文化を垣間見ることができます。

特に、地中海を背景にした円形競技場は、その雄大なスケールと美しい風景で、訪れる人々を魅了します。

また、シルク・ローマの地下通路は、当時の競技の準備の様子を想像力を掻き立て、歴史へのロマンを感じさせてくれます。

これらの遺跡は、タラゴナの歴史と文化を理解する上で重要な役割を果たしており、世界遺産に登録されているのも納得です。

3. パウカスタン建物とプレトリウムの特徴

パウカスタン建物

タラゴナには、円形競技場や水道橋など、多くのローマ時代の遺跡が残っています。これらの遺跡は、古代ローマの建築技術の高さを示すものであり、世界遺産に登録されているのも納得です。

タラゴナには1856年9月16日に開業したタラゴナ駅（スペイン語版）が設置されている。さらに、2006年12月にはマドリードからサラゴサを経由する高速鉄道AVEがタラゴナまで開通した。ただし、AVEの駅（Camp de Tarragona）は、タラゴナ市から北に8 kmの別の自治体に位置する。マドリードからは1日3便、約3時間で結ばれる。バルセロナからの列車は1時間に2、3便あり、1時間から1時間半である。

タラゴナには古代ローマ時代の遺跡が数多く残されており、これらはユネスコによって世界遺産「タッラコの考古遺跡群（カタルーニャ語版）」として登録されている。

パウカスタン建物
特徴	説明
用途	ローマ時代の都市計画や建築技術を示す建造物。
時代	古代ローマ時代
その他	タラゴナの遺跡群の一部として世界遺産に登録されている。

プレトリウム

紀元前1世紀に建てられたローマ時代のプレトリとは、長官の公邸で、中世の時代には王の居城としても利用されていました。今は修復されて歴史博物館になっています。プレトリでは、ローマ時代の壁画や大理石像などが展示され、ジオラマもあります。

見学が終わったらテラスに上がってみましょう。ここから見えるタラゴナの街と地中海の眺めはまさに絶景です。隣にある1世紀に作られた楕円型の競技場へは地下通路で繋がっています。また、この地下通路はライトアップされていて幻想的な雰囲気を味わえますよ。

タラゴナと言えば円形競技場と水道橋の名前ばかりがあがりますが、実はとても興味深いローマ遺跡があるんですよ。それはプレトリです。

プレトリウム
特徴	説明
用途	ローマ時代の長官の公邸。
時代	紀元前1世紀
その他	中世には王の居城としても利用された。現在は歴史博物館になっている。

パウカスタン建物

まとめ

パウカスタン建物とプレトリウムは、タラゴナのローマ時代の遺跡の中でも特に重要な建造物です。

パウカスタン建物は、ローマ時代の都市計画や建築技術の高さを示すものであり、プレトリウムは、当時の権力者の生活様式や文化を垣間見ることができます。

これらの遺跡は、タラゴナの歴史と文化を理解する上で欠かせない存在であり、訪れる人々に深い印象を与えます。

タラゴナを訪れる際には、これらの遺跡を巡り、古代ローマ時代のロマンを感じてみてください。

4. ローマ壁や水道橋の建築技術

ローマ壁

タラゴナ市壁の建設工事が、紀元前３世紀の終わり頃に始まりました。タラゴナ港から円周４キロの城壁が造られましたが、現在、１キロしか残っていません。残っている１キロの城壁は、イタリア以外で、最も古い古代ローマの遺跡ですよ。

ローマ壁
特徴	説明
時代	紀元前3世紀
規模	円周4km
その他	イタリア以外で最も古い古代ローマの遺跡。

水道橋

旧市街から北へ約4kmの位置にある水道橋。フランコリ川から水を引くために建造された2層アーチの橋で、高さは約27m、長さは217mほど。あまりにも短期間で建造されたために「悪魔の橋」と呼ばれるようになりました。

ラス・ファレラス水道橋はタラゴナ郊外にある、全長217m、二層のアーチ構造の巨大な水道橋です。紀元前1世紀頃に、フランコリ川からタラゴナの街まで水を供給するために造られました。

この橋は、当時の技術からすると、考えられないほど短期間で建築されました。その信じられない出来事から、これは悪魔の仕業に違いないとささやかれ、「悪魔の橋」の異名を持っています。

橋の上の水路は、幅が約1mあり、歩いて渡ることができるようになっています。

水道橋
特徴	説明
時代	紀元前1世紀
規模	高さ27m、全長217m
その他	悪魔の橋の異名を持つ。

ローマ壁

まとめ

タラゴナのローマ壁と水道橋は、古代ローマ時代の高度な建築技術を象徴する建造物です。

ローマ壁は、当時の軍事技術の粋を集めたものであり、水道橋は、水資源を効率的に管理するための技術革新の成果です。

これらの建造物は、現代においてもその構造の素晴らしさや技術力の高さを感じさせてくれます。

タラゴナを訪れる際には、これらの建造物を実際に見て、古代ローマ人の技術力に驚嘆してみてください。

5. パレンティナの遺跡と文化遺産

パレンティナの遺跡

パレンティナの文化遺産

タラゴナは、古代ローマ時代の遺跡だけでなく、中世の町並みも美しく、魅力的な街です。

パレンティナの遺跡

まとめ

パレンティナの遺跡は、タラゴナの豊かな歴史と文化を物語る貴重な遺産です。

これらの遺跡は、古代ローマ時代の栄華を偲ばせるだけでなく、中世の時代を経て現代に至るまで、タラゴナの人々の生活と文化を形作ってきた証でもあります。

パレンティナの遺跡を訪れることで、タラゴナの長い歴史と文化に触れ、その魅力を深く理解することができます。

タラゴナを訪れる際には、これらの遺跡を巡り、歴史のロマンを感じてみてください。

6. タラゴーナの遺跡群へのアクセス方法と観光情報

アクセス方法

タラゴナは、バルセロナから電車で約1時間半と比較的容易にアクセスできます。バルセロナ最大のターミナル駅である「サンツ駅」から、国際列車やマドリッドへのAveを利用することで、スムーズに移動することができます。

また、バルセロナから日帰りで訪れることも可能な距離ですので、気軽に訪れてみましょう。

タラゴナの中心地から約4km離れた場所には、「ラス・ファレラス水道橋」があります。こちらはローマ時代の遺跡で、その壮大な姿は訪れる人々を魅了します。タラゴナの中心地からは、バスやタクシーを利用してアクセスすることができます。

また、歩いて訪れることも可能ですが、少し距離がありますので、体力に自信のある方におすすめします。

アクセス方法
交通手段	所要時間
電車	バルセロナから約1時間半
バス	タラゴナの中心地からラス・ファレラス水道橋まで約10分
徒歩	タラゴナ駅からは徒歩でも10数分程度

観光情報

タラゴナは、その美しい地中海沿いの風景と、数多くのローマ遺跡が魅力の地域です。バルセロナからのアクセスも良好で、日帰り旅行にも最適な場所です。

また、タラゴナは、地中海に面した港湾都市で、昔も今も物流の要衝として知られています。ローマ時代にイベリア半島の中心地として栄えた歴史があり、紀元前1世紀には人口が100万人を超えていたといいます。

その時代から円形競技場、大聖堂、水道橋、凱旋門、長官公邸などの建物が次々と建てられました。

観光スポット
スポット	説明
円形競技場	古代ローマ時代の娯楽施設。
水道橋	フランコリ川から水を引くために建造された橋。
ローマ壁	タラゴナを囲んでいた城壁。
プレトリウム	ローマ時代の長官の公邸。
パレンティナの遺跡	タラゴナの豊かな歴史と文化を物語る遺跡。