カーセレスの旧市街とは?世界遺産についての解説

カーセレス旧市街の概要
項目 内容
位置 スペイン西部エストレマドゥーラ州カセレス県の県都
人口 約9万6千人
世界遺産登録年 1986年
主な見どころ サンタ・マリア大聖堂、マヨール広場、プハコの塔、城壁、星の門
アクセス マドリッドから急行列車で約4時間、高速バスで約3時間弱
気候 大陸性気候だが、比較的太平洋に近いため寒暖差は大きくない。夏は暑く冬は温暖。

1. カーセレスの歴史と由来

要約

ローマ時代からイスラム時代へ

カセレスは、スペイン西部エストレマドゥーラ州カセレス県の県都で、人口は約9万6千人です。この地は、先史時代から人が住んでいたことが確認されており、旧石器時代や青銅器時代の遺跡や遺物が発見されています。紀元前25年には、ローマ人によって都市が建設され、ルシタニアと呼ばれる一帯の中心地として発展しました。カセレスは、銀の道と呼ばれる、セビーリャとサラマンカを結ぶ南北の交易路の要衝でもありました。しかし、5世紀頃には西ゴート族がローマ人を駆逐し、カセレスは歴史から姿を消します。その後、8世紀から9世紀にかけてイスラム教徒が到着し、カセレスはキリスト教徒に対する軍事拠点となりました。12世紀には要塞化され、イスラム教徒の支配が強まりました。

しかし、13世紀にはキリスト教徒の勢力が強まり、カセレスはキリスト教徒に降伏しました。キリスト教徒は、主に北部からの移民を入植させ、街を再興しました。カセレスは、領主不在の自由都市となり、交易によって繁栄しました。しかし、権力者同士の衝突が絶えず、15世紀末には、カトリック女王イサベルが事態の解決に乗り出し、カセレスは王家直轄地となりました。

イサベル女王は、カセレスのキリスト教化を進め、新大陸からもたらされる富を活用して教会や宮殿を建設しました。その結果、メスキータやアラブ風の邸宅は姿を消していきました。

19世紀には、リン鉱山の労働者の流入や鉄道の敷設により、カセレスは発展拡大しました。スペイン内戦では、フランコ率いる反乱軍につき、マドリッド侵攻の拠点となりました。現在では、観光と建設業を主な産業として発展しています。

カセレスの歴史年表
時代 出来事
紀元前25年 ローマ人によって都市建設
5世紀頃 西ゴート族がローマ人を駆逐
8,9世紀頃 イスラム教徒が到着
12世紀 要塞化
13世紀 キリスト教徒に降伏
15世紀末 カトリック女王イサベルにより王家直轄地
19世紀 リン鉱山の労働者の流入や鉄道の敷設により発展拡大
20世紀 スペイン内戦ではフランコ率いる反乱軍につき、マドリッド侵攻の拠点
現在 観光と建設業を主な産業として発展

カセレスの地理と気候

カセレスは、スペイン西部エストレマドゥーラ州に位置し、ポルトガルとの国境近くに位置しています。交通の便はそれほど良くなく、マドリッドから急行列車で約4時間、高速バスで約3時間弱かかります。

カセレスの気候は、大陸性気候ですが、比較的太平洋に近いため、寒暖差はそれほど大きくありません。夏は暑く、冬は温暖です。

カセレスの気候
季節 気温
暑い
温暖

カセレスの文化

カセレスは、長い歴史の中で、ローマ、イスラム、キリスト教など、様々な文化の影響を受けてきました。そのため、カセレスの文化は、これらの文化が融合した独特のものです。

カセレスでは、アラブ、ユダヤ文化の影響も見られる変化に富む食文化が発展しました。牧畜業が盛んなことから、素朴な料理が多いですが、修道院の伝統的な料理法が一般に広まったため、ジビエや菓子類のレシピも豊富です。

カセレス県独特のトルタ・デ・カサルというチーズは、クリーム状で独特の風味があり、やみつきになるといわれています。また、エストゥレマドゥーラといえば、イベリコ豚の名産地です。生ハムや腸詰類は、国内でも最高品質を誇っています。

まとめ

カセレスは、ローマ時代からイスラム時代、キリスト教時代と、様々な支配者のもとで発展してきた歴史を持つ街です。その歴史は、街の建築物や文化、そして人々の生活様式に色濃く反映されています。

カセレスは、スペインの他の都市とは異なる、独特の雰囲気を持つ街です。歴史と文化に興味がある人にとって、魅力的な観光地と言えるでしょう。

2. カーセレスの文化遺産

要約

カセレスの旧市街

カセレスの旧市街は、中世からルネサンス期にかけて発展した当時の姿で保存されており、1986年に世界遺産に登録されました。城壁内と城壁外がありますが、主に旧市街と呼ばれるのは城壁内の一帯です。

塔と城壁に守られ、教会や宮殿邸宅群が建ち並ぶ街並みは、まるで中世に迷い込んだかのような錯覚を起こさせてくれます。

サンタ・マリア大聖堂

サンタ・マリア大聖堂は、13世紀のムデハル様式の建物を礎として、14世紀から15世紀にかけて建造されました。ゴシック様式の要素のあるロマネスク様式の建築物で、ルネサンス様式の塔があります。

マヨール広場

マヨール広場は、城壁に隣接する街の中心です。16世紀当時のアーケードが残っており、建物も数世紀を経たものがほとんどですが、多くは19世紀以降かなりの改修が加えられています。

まとめ

カセレスの旧市街は、中世の街並みをそのまま残した、貴重な文化遺産です。

サンタ・マリア大聖堂やマヨール広場など、歴史的な建造物が数多く残っており、訪れる人を魅了します。

3. カーセレスの建築物と景観

要約

城壁

カセレスの旧市街は、城壁に囲まれています。この城壁は、イスラム教徒がカセレスを軍事拠点としていた時代に建設されたものです。

城壁は、敵の襲来に備えるために築かれたため、壁のところどころには敵を見張るための塔が設置されています。現存する塔はおよそ20基あり、塔の上部に作られたギザギザのすき間から、外の様子をうかがっていたそうです。

星の門

星の門は、カセレスの旧市街の正面入り口に位置する大きな門です。防衛の要となっていたこの門は、城壁とつながっており、上を歩くこともできます。

星の門は、15世紀に建造され、以来、カセレスの旧市街への正面玄関となっています。

プハコの塔

プハコの塔は、星の門の横にそびえ立つ大きな塔です。この塔は、12世紀に建造されたアラブ様式の塔で、要塞としての機能を果たしていました。

プハコの塔には登ることができ、眼下に広い草原を眺めることができます。また、旧市街の立つ丘全体を見ることができる数少ないスポットです。

まとめ

カセレスの旧市街は、城壁、星の門、プハコの塔など、歴史的な建築物が数多く残っています。

これらの建築物は、カセレスの歴史と文化を物語る貴重な遺産です。

4. カーセレスの生活風景

要約

コウノトリ

カセレスの街には、コウノトリが多く生息しています。コウノトリは、カセレスのシンボル的な存在であり、街の至る所でその姿を見ることができます。

コウノトリは、カセレスの旧市街の屋根の上や、街の周辺の田園地帯に巣を作っています。

静かな街並み

カセレスの旧市街は、静かで落ち着いた雰囲気の街です。

観光客はそれほど多くなく、ゆっくりと街並みを散策することができます。

食文化

カセレスの食文化は、アラブ、ユダヤ文化の影響を受けた、変化に富んだものです。

牧畜業が盛んなことから、素朴な料理が多いですが、修道院の伝統的な料理法が一般に広まったため、ジビエや菓子類のレシピも豊富です。

カセレス県独特のトルタ・デ・カサルというチーズは、クリーム状で独特の風味があり、やみつきになるといわれています。また、エストゥレマドゥーラといえば、イベリコ豚の名産地です。生ハムや腸詰類は、国内でも最高品質を誇っています。

カセレスの食文化
料理名 説明
チャンファイナ 臓物等の煮込み
フリテ ラム肉とジャガイモのシチュー
トルタ・デ・カサル カセレス県独特のチーズ
イベリコ豚 生ハムや腸詰類は国内でも最高品質

まとめ

カセレスは、コウノトリが多く生息し、静かで落ち着いた雰囲気の街です。

歴史的な建造物だけでなく、豊かな自然や食文化も魅力です。

5. カーセレスの世界遺産登録の意義

要約

歴史的価値

カセレスの旧市街は、ローマ時代からイスラム時代、キリスト教時代と、様々な支配者のもとで発展してきた歴史を持つ街です。

その歴史は、街の建築物や文化、そして人々の生活様式に色濃く反映されています。

文化的価値

カセレスの旧市街は、中世の街並みをそのまま残した、貴重な文化遺産です。

サンタ・マリア大聖堂やマヨール広場など、歴史的な建造物が数多く残っており、訪れる人を魅了します。

建築的価値

カセレスの旧市街は、城壁、星の門、プハコの塔など、歴史的な建築物が数多く残っています。

これらの建築物は、カセレスの歴史と文化を物語る貴重な遺産です。

まとめ

カセレスの旧市街は、歴史的、文化的、建築的な価値が高く評価され、1986年に世界遺産に登録されました。

カセレスの旧市街は、スペインの歴史と文化を理解する上で、重要な場所です。

6. カーセレスの観光スポットとおすすめポイント

要約

観光スポット

カセレスの旧市街には、多くの観光スポットがあります。

サンタ・マリア大聖堂は、13世紀のムデハル様式の建物を礎として、14世紀から15世紀にかけて建造された、ゴシック様式の要素のあるロマネスク様式の建築物です。ルネサンス様式の塔があります。

マヨール広場は、城壁に隣接する街の中心で、16世紀当時のアーケードが残っています。

プハコの塔は、星の門の横にそびえ立つ大きな塔で、12世紀に建造されたアラブ様式の塔です。塔には登ることができ、眼下に広い草原を眺めることができます。

カーセレスの観光スポット
スポット名 説明
サンタ・マリア大聖堂 13世紀のムデハル様式の建物を礎として、14世紀から15世紀にかけて建造された、ゴシック様式の要素のあるロマネスク様式の建築物。ルネサンス様式の塔がある。
マヨール広場 城壁に隣接する街の中心で、16世紀当時のアーケードが残っている。
プハコの塔 星の門の横にそびえ立つ大きな塔で、12世紀に建造されたアラブ様式の塔。塔には登ることができ、眼下に広い草原を眺めることができる。
城壁 イスラム教徒がカセレスを軍事拠点としていた時代に建設された。
星の門 カセレスの旧市街の正面入り口に位置する大きな門。防衛の要となっていたこの門は、城壁とつながっており、上を歩くこともできます。

おすすめポイント

カセレスの旧市街は、静かで落ち着いた雰囲気の街なので、ゆっくりと街並みを散策するのがおすすめです。

街の至る所にコウノトリが生息しているので、コウノトリの姿を見つけるのも楽しみの一つです。

カセレスでは、アラブ、ユダヤ文化の影響を受けた、変化に富んだ食文化を楽しむことができます。

アクセス

カセレスへのアクセスは、マドリッドから急行列車で約4時間、高速バスで約3時間弱です。

まとめ

カセレスは、歴史と文化、そして自然が調和した、魅力的な街です。

静かで落ち着いた雰囲気の街なので、ゆっくりと街並みを散策したり、美味しい料理を味わったり、コウノトリの姿を見たりと、様々な楽しみ方ができます。

スペインを訪れた際には、ぜひカセレスにも足を運んでみてください。

参考文献

【世界遺産】カセレス旧市街の観光情報|古代より残る城塞 …

カセレスの旧市街 – 世界遺産データベース

カセレス旧市街 | スペイン | 世界遺産オンラインガイド

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