ヘンダーソン島とは?世界遺産についての解説

ヘンダーソン島に関する項目
項目 内容
概要 地理的位置、自然環境、現状
歴史 発見と命名、ポリネシア人、開発計画
生態系 固有種、生物多様性、環境問題
世界遺産登録過程 登録基準、登録理由、保護活動
観光スポット 観光、アクセス、観光情報
未解明の謎 ポリネシア人の消滅、人骨、謎

1. ヘンダーソン島の概要

要約

ヘンダーソン島の地理的位置

ヘンダーソン島は、南太平洋のポリネシア地域東端のピトケアン諸島に属する無人島です。イギリスの海外領土として知られており、ニュージーランドとペルーの中間あたり、南太平洋に浮かぶ孤島です。周囲には200km離れた場所にあるピトケアン島をはじめ小島はいくつかありますが、大きな島や大陸となるとニュージーランド北島にしても南米大陸にしても5

ヘンダーソン島は、面積約37平方キロメートルの環状サンゴ礁の島で、周囲は岩礁に取り囲まれています。淡水もほとんど存在せず、平地もほぼないという天然の要塞のような島です。

ヘンダーソン島の地理的位置
位置 南太平洋のポリネシア地域東端のピトケアン諸島
面積 約37平方キロメートル
周囲 岩礁で囲まれている
淡水 ほとんど存在しない
平地 ほぼない
最寄りの有人島 ピトケアン島(約200km)
最寄りの大陸 ニュージーランド北島、南米大陸(約5,000km)

ヘンダーソン島の自然環境

ヘンダーソン島は、独自の生態系が残る、手つかずの原始に近い状態の自然が保たれています。陸鳥4種はすべて固有種で、被子植物も51種中10種が固有種です。

ヘンダーソン島は、隆起環礁の生態系が残っている最も優れた例のひとつとして、ユネスコの世界遺産に登録されています。自然美を評価する登録基準(vii)と貴重な生息域を評価する(x)をクリアしています。

ヘンダーソン島の自然環境
固有種 陸鳥4種、被子植物10種
生態系 隆起環礁の生態系
登録基準 (vii)自然美、(x)貴重な生息域

ヘンダーソン島の現状

しかし、この貴重な自然を残すヘンダーソン島に今異変が起きています。何千キロという海をわたって大量のブラスチックごみが島に流れ着いているのです。

オーストラリアの海洋生物学者のジェニファー・レイバースさんらによる研究によると、ヘンダーソン島に漂着したプラスチックごみの数は3770万個におよび、世界で最もプラスチックごみが高密度に集積されている地域だといいます。

ヘンダーソン島の現状
プラスチックごみ 3770万個
密度 1平方メートルあたり671個
漂着量 毎日3,500個

まとめ

ヘンダーソン島は、南太平洋に浮かぶイギリス領の無人島であり、その手つかずの自然と固有の生物種が評価され、世界遺産に登録されています。しかし、近年、世界各地から流れ着くプラスチックごみによって、その貴重な生態系が脅かされているという深刻な問題を抱えています。

ヘンダーソン島は、地球規模で深刻化する海洋プラスチックごみの問題を象徴する場所となっています。

2. ヘンダーソン島の歴史

要約

ヘンダーソン島の発見と命名

ヘンダーソン島は、1606年にスペイン人航海士ペドロ・フェルナンデス・デ・キロスによって発見されました。キロスは島に「サン・ファン・バティスタ」と名付けました。キロスによると、島に上陸した際は無人島であったが、古代ポリネシア人が生活していた思われる痕跡があったという。

その後、島の存在はしばらく忘れ去られていましたが、1819年1月17日にイギリス東インド会社のヘラクレス号のジェームズ・ヘンダーソン船長が島に到着し「ヘンダーソン島」と命名しました。

ヘンダーソン島の発見と命名
発見者 ペドロ・フェルナンデス・デ・キロス
発見年 1606年
最初の名前 サン・フアン・バウティスタ
再発見者 ジェームズ・ヘンダーソン
再発見年 1819年
現在の名前 ヘンダーソン島

ヘンダーソン島のポリネシア人

ヘンダーソン島には、12世紀から15世紀にかけてポリネシア人が住んでいた記録があります。しかし、なんらかの理由によって島を出てしまい、今では無人島になってしまいました。

古代ポリネシア人の社会がなぜ消滅してしまったのかは、現在も謎のままです。

ヘンダーソン島のポリネシア人
居住時期 12世紀から15世紀
消滅理由 不明

ヘンダーソン島の開発計画

1980年代初期にアメリカのビジネスマンのアーサー・M・ラトリフ氏が、ヘンダーソン島を開発しようと計画しました。ラトリフは、島に牧場や別荘、空港を建設することを計画していました。

しかし、イギリスの科学者や環境保護団体が、島の自然生態と環境を保護するため、ラトリフの開発計画の中止を求めるロビー活動を行いました。

結果、イギリス外務省はラトリフの計画を認める決定を覆し、ラトリフはヘンダーソン島に別荘を建てる島の開発計画の中止を余儀なくされました。

ヘンダーソン島の開発計画
計画者 アーサー・M・ラトリフ
計画内容 牧場、別荘、空港の建設
中止理由 環境保護団体の反対

まとめ

ヘンダーソン島は、発見されてから長い間、無人島として存在してきました。かつてポリネシア人が住んでいた時期もあったようですが、その理由は不明です。

近年では、アメリカのビジネスマンによる開発計画が持ち上がりましたが、環境保護団体の反対によって計画は中止されました。

ヘンダーソン島は、現在も手つかずの自然環境が残されている貴重な場所として、世界遺産に登録されています。

3. ヘンダーソン島の生態系

要約

ヘンダーソン島の固有種

ヘンダーソン島には、10種の固有種の植物とムネムラサキインコ、ヘンダーソンクイナなど4種の固有種の陸生鳥類が生息しています。

これまでに確認できた昆虫や腹足類の約3分の1は固有種ですが、無脊椎動物の動物相はいまだによく知られていません。

ヘンダーソン島の固有種
植物 10種
鳥類 ムネムラサキインコ、ヘンダーソンクイナなど4種
昆虫・腹足類 約3分の1が固有種

ヘンダーソン島の生物多様性

ヘンダーソン島は、隆起環礁の生態系が残っている最も優れた例のひとつとして、ユネスコの世界遺産に登録されています。

島には、固有種だけでなく、海鳥の大きな繁殖コロニーも存在するなど、手つかずの自然が残っています。

ヘンダーソン島の生物多様性
特徴 隆起環礁の生態系
生息状況 手つかずの自然が残っている
海鳥 大きな繁殖コロニーが存在

ヘンダーソン島の環境問題

しかし、近年、ヘンダーソン島では、世界各地から流れ着くプラスチックごみによって、その貴重な生態系が脅かされています。

プラスチックごみは、海鳥や海洋生物の生息環境を破壊し、食物連鎖を通じて人間にも影響を与える可能性があります。

ヘンダーソン島の環境問題
問題 プラスチックごみの増加
影響 海鳥や海洋生物の生息環境破壊
懸念 食物連鎖を通じて人間への影響

まとめ

ヘンダーソン島は、固有種が豊富で、手つかずの自然が残されている貴重な場所です。

しかし、海洋プラスチックごみの増加は、ヘンダーソン島の生態系に深刻な影響を与えています。

ヘンダーソン島は、海洋プラスチックごみの問題を象徴する場所であり、私たちが地球環境について真剣に考える必要があることを示しています。

4. ヘンダーソン島の世界遺産登録過程

要約

ヘンダーソン島の登録基準

ヘンダーソン島は、1988年に世界遺産の自然遺産に登録されました。

登録基準は、自然美を評価する(vii)と貴重な生息域を評価する(x)です。

ヘンダーソン島の登録基準
基準 (vii)自然美 (x)貴重な生息域

ヘンダーソン島の登録理由

ヘンダーソン島は、隆起環礁の生態系が残っている最も優れた例のひとつであり、固有種が豊富で、手つかずの自然が残されている貴重な場所です。

これらの理由から、ヘンダーソン島は世界遺産に登録されました。

ヘンダーソン島の登録理由
理由 隆起環礁の生態系が残っている最も優れた例のひとつ 固有種が豊富 手つかずの自然が残されている

ヘンダーソン島の保護活動

ヘンダーソン島は、世界遺産に登録されたことで、その自然環境が保護されています。

しかし、近年、海洋プラスチックごみの増加は、ヘンダーソン島の生態系に深刻な影響を与えています。

世界遺産条約に基づき、ヘンダーソン島を含む世界遺産の保護活動が強化されています。

ヘンダーソン島の保護活動
活動内容 世界遺産条約に基づく保護活動
目的 貴重な自然環境の保護
課題 海洋プラスチックごみの問題

まとめ

ヘンダーソン島は、その手つかずの自然と固有の生物種が評価され、世界遺産に登録されました。

世界遺産登録によって、ヘンダーソン島の自然環境は保護されていますが、海洋プラスチックごみの問題など、新たな課題も出てきています。

世界遺産条約に基づき、ヘンダーソン島の保護活動が強化され、その貴重な自然環境が守られていくことが期待されています。

5. ヘンダーソン島の観光スポット

要約

ヘンダーソン島の観光

ヘンダーソン島は、無人島であり、観光目的での上陸は許可されていません。

ヘンダーソン島を訪れるには、ピトケアン島で発行される許可証が必要で、科学的な調査目的や特別な許可を得た場合のみ、上陸が可能です。

ヘンダーソン島の観光
上陸許可 観光目的での上陸は不可
許可証 ピトケアン島で発行
上陸条件 科学的な調査目的や特別な許可を得た場合のみ

ヘンダーソン島のアクセス

ヘンダーソン島へのアクセスは、船舶のみとなります。

最も近い有人島であるピトケアン島からでも約190km離れており、アクセスは容易ではありません。

ヘンダーソン島のアクセス
アクセス方法 船舶のみ
最寄りの有人島 ピトケアン島(約190km)

ヘンダーソン島の観光情報

ヘンダーソン島は、手つかずの自然が残されている貴重な場所ですが、観光客向けの施設は整備されていません。

ヘンダーソン島を訪れる際は、事前に十分な情報収集を行い、環境保護に配慮した行動を心がける必要があります。

ヘンダーソン島の観光情報
施設 観光客向けの施設は整備されていない
情報収集 事前に十分な情報収集が必要
行動 環境保護に配慮した行動を心がける

まとめ

ヘンダーソン島は、観光目的での上陸は許可されていません。

ヘンダーソン島を訪れるには、ピトケアン島で発行される許可証が必要で、科学的な調査目的や特別な許可を得た場合のみ、上陸が可能です。

ヘンダーソン島は、手つかずの自然が残されている貴重な場所ですが、観光客向けの施設は整備されていません。

6. ヘンダーソン島の未解明の謎

要約

ポリネシア人の消滅

ヘンダーソン島には、12世紀から15世紀にかけてポリネシア人が住んでいた記録があります。

しかし、なんらかの理由によって島を出てしまい、今では無人島になってしまいました。

古代ポリネシア人の社会がなぜ消滅してしまったのかは、現在も謎のままです。

ポリネシア人の消滅
居住時期 12世紀から15世紀
消滅理由 不明

ヘンダーソン島の人骨

ヘンダーソン島では、1821年に漂着したアメリカ人捕鯨船の乗組員が、島で8体の人骨を発見しました。

その後も、海岸や洞窟で人骨が発見されており、その中には、かつて島に定住していたポリネシア人のものでは無く、十分な食べ物と水を得られず、脱水症状で死んだと思われる正体不明の難破船の白人の乗組員達の人骨ではないかと見られています。

ヘンダーソン島の人骨
発見場所 海岸や洞窟
人骨の種類 ポリネシア人、白人
推測 脱水症状で死んだと思われる

ヘンダーソン島の謎

ヘンダーソン島は、その歴史や生態系、そして現在直面している環境問題など、多くの謎に包まれています。

ポリネシア人がなぜ島を去ったのか、人骨の謎、そしてプラスチックごみの問題など、解明されていない点は多くあります。

まとめ

ヘンダーソン島は、その歴史や生態系、そして現在直面している環境問題など、多くの謎に包まれています。

これらの謎を解き明かすことで、ヘンダーソン島の歴史や生態系についてより深く理解できるだけでなく、地球環境問題についても新たな知見が得られるかもしれません。

ヘンダーソン島は、私たちに多くの謎と課題を突きつけています。

参考文献

ヘンダーソン島 – 世界遺産データベース

ヘンダーソン島 (ピトケアン諸島) – Wikipedia

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