中小型株とは?経済用語について説明

中小型株の分類基準
分類基準 大型株 中型株 小型株
時価総額 2000億円以上 1000億円~2000億円 1000億円未満
発行済み株式数 2億株以上 6千万~2億株未満 6千万株未満
流動性 高い 中程度 低い

1. 中小型株の定義とは

要約

時価総額による分類

株式市場では、企業の規模を表す指標として、時価総額が用いられます。時価総額は、「株価 × 発行済み株式数」で計算され、その企業の市場価値を示します。東京証券取引所では、この時価総額と流動性を基準に、株式を「大型株」「中型株」「小型株」に分類しています。

具体的には、東証一部に上場している銘柄を時価総額と流動性の高さでランキングし、上位100位までの銘柄を大型株、101位から400位までの銘柄を中型株、それ以外の銘柄を小型株と分類しています。

大型株は、時価総額が大きく、流動性も高いため、売買が活発に行われています。一方、小型株は、時価総額が小さく、流動性も低いため、売買が成立しにくい場合があります。

ただし、時価総額は常に変動するため、銘柄の分類も常に変化します。東京証券取引所では、毎年8月末に銘柄の入れ替えを行っています。

時価総額による分類
分類 時価総額
大型株 2000億円以上
中型株 1000億円~2000億円
小型株 1000億円未満

発行済み株式数による分類

かつては、時価総額ではなく、発行済み株式数によって大型株、中型株、小型株が分類されていました。例えば、発行済み株式数が2億株以上であれば大型株、6千万~2億株未満であれば中型株、6千万株未満であれば小型株というように分類されていました。

しかし、この方法では、発行済み株式数が少なくても時価総額が大きい企業を考慮することができません。そのため、現在では、時価総額を判断基準とするようになりました。

発行済み株式数による分類は、現在ではあまり使われていませんが、株式投資の基礎知識として知っておくと良いでしょう。

発行済み株式数による分類
分類 発行済み株式数
大型株 2億株以上
中型株 6千万~2億株未満
小型株 6千万株未満

日本の株式市場における時価総額

日本の株式市場では、時価総額が大きい企業は、全体のわずか14%を占めるに過ぎませんが、時価総額ベースで計算すると、何と85%ものウェートを占めています。一方、中型株と小型株を合わせた中小型株は、社数では全体の86%を占めていますが、時価総額では全体の15%に過ぎません。

つまり、日本の株式市場は、時価総額ベースで見ると、大型株が圧倒的に大きな存在感を示していると言えるのです。

これは、大型株が、一般的に安定した収益力を持つ企業が多く、投資家の信頼も厚いことから、時価総額が大きくなっていると考えられます。

日本の株式市場における時価総額
分類 社数 時価総額
大型株 500社 85%
中型株 1350社 10%
小型株 1850社 5%

まとめ

中小型株の定義は、時価総額と流動性を基準として、東京証券取引所では、上位100位までの銘柄を大型株、101位から400位までの銘柄を中型株、それ以外の銘柄を小型株と分類しています。

かつては発行済み株式数で分類されていましたが、現在では時価総額が判断基準となっています。

日本の株式市場では、時価総額ベースで見ると、大型株が圧倒的に大きな存在感を示しています。

2. 中小型株の特徴

要約

成長性

中小型株は、大型株に比べて、まだ成長初期段階にある企業が多く、競合が少ないうちに市場での地位を確立することができるため、株価の伸びしろが大きいのが特徴です。

大型株は、すでに成熟した企業が多く、安定した収益を上げている一方で、成長の余地は限られています。一方、中小型株は、新しい技術やサービスを開発したり、新たな市場を開拓したりすることで、大きな成長を遂げる可能性を秘めています。

そのため、中小型株は、ハイリスク・ハイリターンな投資対象と言えます。

中小型株の成長性
特徴 説明
成長性 大型株に比べて成長の余地が大きい
競合 大型株に比べて競合が少ない
株価の伸びしろ 大きい

流動性

中小型株は、大型株に比べて、流動性が低い傾向があります。これは、売買される株式数が少なく、市場に流通している株式が少ないためです。

そのため、中小型株は、売買したいときにすぐに売買が成立するとは限りません。特に、小型株は、流動性が非常に低いため、売買したいときに買い手が見つからず、希望する価格で売買できない可能性があります。

また、流動性が低いということは、株価が大きく変動しやすいことを意味します。ちょっとしたニュースや出来事で、株価が急騰したり、急落したりすることがあります。

中小型株の流動性
特徴 説明
流動性 大型株に比べて低い
売買量 少ない
株価変動 大きい

情報量

中小型株は、大型株に比べて、アナリストのカバー範囲が狭く、情報が少ない傾向があります。これは、大型株に比べて、市場での注目度が低いため、アナリストが調査対象とする企業が少ないためです。

そのため、中小型株に投資する場合には、自分で情報を集め、企業分析を行う必要があります。

ただし、情報が少ないということは、隠れた優良企業を発掘するチャンスがあるとも言えます。

中小型株の情報量
特徴 説明
アナリストのカバー範囲 狭い
情報量 少ない
企業分析 自分で行う必要がある

まとめ

中小型株は、成長性が高く、大きなリターンが期待できる一方、流動性が低く、リスクも高いという特徴があります。

また、情報量も少なく、自分で情報を集める必要があるため、初心者には難しい投資対象と言えるでしょう。

しかし、中小型株には、大型株にはない魅力も存在します。

3. 中小型株の投資メリット

要約

高成長の可能性

中小型株は、大型株に比べて、成長の余地が大きいため、大きなリターンが期待できます。

特に、新興市場に上場している企業は、新しい技術やサービスを開発したり、新たな市場を開拓したりすることで、急成長を遂げる可能性があります。

そのため、中小型株は、短期で大きな利益を得るチャンスがあります。

中小型株の高成長の可能性
メリット 説明
成長の余地 大きい
リターン 高い
短期での利益 期待できる

割安な銘柄が多い

中小型株は、大型株に比べて、市場の注目度が低いため、割安な銘柄が多い傾向があります。

これは、機関投資家などが、中小型株よりも大型株に投資する傾向があるためです。

そのため、中小型株は、割安な価格で優良な企業に投資できるチャンスがあります。

中小型株の割安な銘柄が多い
メリット 説明
市場の注目度 低い
割安な銘柄 多い
優良企業への投資 チャンスがある

市場の動向に左右されにくい

中小型株は、大型株に比べて、市場の動向に左右されにくい傾向があります。

これは、中小型株は、大型株に比べて、市場全体の影響を受けにくいからです。

そのため、市場が低迷しているときでも、中小型株は、安定したパフォーマンスを発揮する可能性があります。

中小型株は市場の動向に左右されにくい
メリット 説明
市場の影響 受けにくい
安定したパフォーマンス 期待できる

まとめ

中小型株は、高成長の可能性、割安な銘柄が多い、市場の動向に左右されにくいといったメリットがあります。

これらのメリットを活かすことで、中小型株は、長期的な資産形成に役立つ投資対象となりえます。

4. 中小型株のリスクと注意点

要約

流動性リスク

中小型株は、大型株に比べて、流動性が低いため、売買したいときにすぐに売買が成立するとは限りません。

特に、小型株は、流動性が非常に低いため、売買したいときに買い手が見つからず、希望する価格で売買できない可能性があります。

そのため、中小型株に投資する場合には、売買のタイミングを慎重に検討する必要があります。

中小型株の流動性リスク
リスク 説明
流動性 低い
売買成立 難しい場合がある
希望する価格での売買 難しい場合がある

信用リスク

中小型株は、大型株に比べて、倒産や上場廃止のリスクが高い傾向があります。

これは、中小型株は、大型株に比べて、経営基盤が弱く、業績が悪化した場合に、倒産や上場廃止に陥る可能性が高いからです。

そのため、中小型株に投資する場合には、企業の財務状況をしっかりと確認する必要があります。

中小型株の信用リスク
リスク 説明
倒産リスク 高い
上場廃止リスク 高い
経営基盤 弱い

情報リスク

中小型株は、大型株に比べて、アナリストのカバー範囲が狭く、情報が少ない傾向があります。

そのため、中小型株に投資する場合には、自分で情報を集め、企業分析を行う必要があります。

情報収集には、時間と労力が必要になります。

中小型株の情報リスク
リスク 説明
アナリストのカバー範囲 狭い
情報量 少ない
情報収集 時間と労力が必要

まとめ

中小型株は、流動性リスク、信用リスク、情報リスクといったリスクがあります。

これらのリスクを理解した上で、投資計画を立て、リスク管理を行うことが重要です。

5. 中小型株投資の戦略

要約

分散投資

中小型株は、ハイリスク・ハイリターンな投資対象であるため、分散投資が重要です。

複数の銘柄に分散投資することで、リスクを軽減することができます。

また、中小型株と大型株を組み合わせることで、リスクとリターンのバランスを調整することもできます。

中小型株の分散投資
戦略 説明
分散投資 リスクを軽減
複数銘柄への投資 有効
大型株との組み合わせ リスクとリターンのバランス調整

長期投資

中小型株は、短期的な値動きが激しいため、長期投資が適しています。

長期投資をすることで、短期的な値動きに左右されずに、安定したリターンを得ることが期待できます。

また、長期投資をすることで、企業の成長をじっくりと見守ることができます。

中小型株の長期投資
戦略 説明
長期投資 短期的な値動きに左右されない
安定したリターン 期待できる
企業の成長 じっくりと見守る

テーマ投資

中小型株は、成長性の高い分野に特化した企業が多いです。

そのため、テーマ投資を行うことで、高いリターンが期待できます。

例えば、近年注目されている分野としては、AI、IoT、再生可能エネルギーなどがあります。

中小型株のテーマ投資
戦略 説明
成長性の高い分野 特化した企業が多い
高いリターン 期待できる
テーマ例 AI、IoT、再生可能エネルギー

まとめ

中小型株投資では、分散投資、長期投資、テーマ投資といった戦略が有効です。

これらの戦略を組み合わせることで、リスクを抑制しながら、高いリターンを目指しましょう。

6. 中小型株市場の動向と今後の展望

要約

最近の市場動向

2023年は、米国ではダウ工業株30種平均が史上最高値を更新したほか、S&P500やナスダック指数も今年の高値を抜いて来ています。翻って日本株も、もたつき感はあるものの、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)は年初来でそれぞれ25%前後の上昇を記録する等、一見すると絶好調な年だったように見えます。

一方で、中小型成長株投資家にとって、2023年は近年稀に見る厳しい年でした。小型株の株価パフォーマンスは全体として大型株に比べて著しく劣後しましたし、グロース株(成長株)は、バリュー株(割安株)に大きく置いて行かれる展開だったのです。

このような展開になったのは、米国景気の堅調持続、根強いインフレ、そして米連邦準備理事会(FRB)による度重なる利上げが要因の一つと考えられます。

2023年の株式市場
指数 動向
ダウ工業株30種平均 史上最高値更新
S&P500 高値更新
ナスダック指数 高値更新
日経平均株価 年初来25%上昇
TOPIX 年初来25%上昇

今後の展望

2024年は、国内景気は引き続き好調で、企業業績も増益基調が続くと見込まれています。

ただし、米国を中心に海外の利上げ打ち止めが視野に入ってきたこともあり、金利差から円安がどんどん進む状況にはないことや、生産活動の正常化は進捗すること等から、24年度の企業業績は、23年度の二桁増益から一桁台の増益に減速すると思われます。

また、2024年に日銀が金融政策の正常化に踏み出しても不思議ではありません。実現すれば大きな話題となることは間違いありませんが、仮に日銀が現行のマイナス金利解除に踏み切ったとしても物価情勢を考慮すれば金融環境は十分に緩和的です。

2024年の経済見通し
項目 見通し
国内景気 好調
企業業績 増益基調
金利 上昇の可能性は低い
円安 加速は難しい

中小型株への注目

2024年は、しっかりと業績を伸ばして行ける独自の強みを有する企業、「ちょうちん買い」では見向きもされなかった優良小型株、バリュー株が人気化する中で売り込まれたグロース株等、投資家による目利き力がより問われる銘柄毎に跛行色が強い相場展開になるでしょう。

中小型株は、成長性が高く、大きなリターンが期待できる一方、流動性が低く、リスクも高いという特徴があります。

しかし、中小型株には、大型株にはない魅力も存在します。

2024年の注目ポイント
ポイント 説明
中小型株 目利き力が問われる
バリュー株 人気化
グロース株 売り込まれた銘柄が注目される

まとめ

2024年は、日本株には良い風が吹くでしょう。景気も企業業績も好調です。でもこれまでとはちょっと違う風となります。

しっかりと業績を伸ばして行ける独自の強みを有する企業、「ちょうちん買い」では見向きもされなかった優良小型株、バリュー株が人気化する中で売り込まれたグロース株等、2024年は投資家による目利き力がより問われる銘柄毎に跛行色が強い相場展開になるでしょう。

中小型株は、成長性が高く、大きなリターンが期待できる一方、流動性が低く、リスクも高いという特徴があります。

しかし、中小型株には、大型株にはない魅力も存在します。

参考文献

新nisaで中小型株。相場下落でどうすれば?信用買い残が …

Jpx日経400、銘柄入れ替え実施 中小型株指数も – 日本経済新聞

Jpx日経インデックス400及びjpx日経中小型株指数の構成銘柄の …

大型株・中型株・小型株 | iFreeETF | 大和アセットマネジメント …

大型株、中型株、小型株|証券用語解説集|野村證券

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