項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
申告方法 | 複式簿記または簡易簿記による記帳 | 簡易な帳簿による記帳 |
税制上の優遇 | 青色申告特別控除、赤字の繰越し・繰戻し、青色事業専従者給与など | なし |
事前申請 | 必要 | 不要 |
帳簿の保存 | 原則7年間 | 原則5年間 |
申告書 | 確定申告書B、青色申告決算書 | 確定申告書A、収支内訳書 |
対象者 | 不動産所得、事業所得、山林所得 | 不動産所得、事業所得、山林所得 |
メリット | 節税効果が高い、赤字を繰り越せる、家族従業員の給与を経費にできる | 手続きが簡単 |
デメリット | 帳簿の記帳が複雑、事前申請が必要 | 税制上の優遇がない |
おすすめ | 節税効果を重視する人、事業所得が安定している人 | 帳簿付けが苦手な人、事業所得が不安定な人 |
1. 青色申告の基本とは
青色申告とは何か?
青色申告とは、確定申告の方法の一つで、税務署長の承認を受けて、一定の帳簿書類を備え付けて正規の簿記もしくは簡易簿記に基づいて帳簿を記載し、その記帳から所得税又は法人税を計算して申告することです。青色申告ではない申告方法は白色申告と呼ばれます。
青色申告は、1949年(昭和24年)8月に発表された日本税制報告書(いわゆる「シャウプ勧告」)にもとづいて施行された制度に由来します。当時コロンビア大学の教授だったカール・シャウプが、約4ヶ月にわたり日本国内を視察中「日本人は青色をどのような感じで受け止めるのでしょうか。」とある日本人に聞いたところ、「青色は気持ちのよい色です。青空のようにすっきりとした色ですからね。」という答えが返ってきたところから、青色にしたと伝えられています。
政府は、帳簿書類の備付けを促し、申告納税制度を普及する目的から、青色申告を奨励しており、租税特別措置法などにおいて各種特典を設けています。
項目 | 内容 |
---|---|
承認 | 税務署長の承認が必要 |
義務 | 所定の帳簿の備付けと記帳 |
取り消し | 帳簿等の記帳保存義務違反、虚偽の記帳、申告期限超過などにより取り消される可能性あり |
青色申告の対象者
青色申告は、不動産所得・事業所得・山林所得(通称:不事山=フジサン)を持つ個人事業主と株式会社などの法人が、各承認申請期限までに所管税務署長の承認を受けて行うことができます。
過去に青色申告の取消を受けたなどの場合でない限り、下記申請期限までに承認申請書を提出すれば青色申告が承認されます。
所得の種類 | 対象となる事業 |
---|---|
不動産所得 | 賃貸物件の賃貸収入 |
事業所得 | 個人事業主、フリーランス |
山林所得 | 山林の所有による収入 |
青色申告の承認と義務
青色申告の承認を受けた納税者は、所定の帳簿の備付けと記帳義務を負います。
なお一度承認を受けても、帳簿等の記帳保存義務を守らなかったこと、相当な虚偽の記帳をしたこと、申告書を期限内に提出しなかったこと(法人税のみ)などに該当するときは、青色申告の承認が取り消されることがあります。
まとめ
青色申告は、税務署長の承認を得て、一定の帳簿を備え付け、複式簿記または簡易簿記で記帳を行い、その記帳に基づいて所得税や法人税を計算して申告する制度です。
青色申告は、税制上の優遇措置を受けることができる一方で、帳簿の備付けや記帳といった義務を負うことになります。
青色申告の対象者は、不動産所得、事業所得、山林所得を持つ個人事業主と法人です。
青色申告の承認を受けるためには、所管税務署長に承認申請書を提出する必要があります。
2. 青色申告の手続き方法
青色申告承認申請書の提出
青色申告を行うには、事前に税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
提出期限は、個人事業の場合、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに提出する必要があります。
ただし、その年の1月16日以後、新たに事業(業務)を開始した場合には、その事業の開始日から2月以内が提出期限となります。
法人の場合、青色申告によって申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日までが提出期限となります。
対象 | 提出期限 |
---|---|
個人事業主 | 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日(1月16日以降に事業を開始した場合は、事業開始日から2月以内) |
法人 | 青色申告によって申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日(この期限が休日等に当たる場合は、休日等の前日が提出期限) |
帳簿の整備と記帳
青色申告の承認を受けた納税者は、所定の帳簿を備え付け、記帳義務を負います。
帳簿には、正規の簿記と簡易簿記の2種類があります。
正規の簿記では、複式簿記を用いて貸借対照表と損益計算書を作成する必要があります。
簡易簿記では、貸借対照表を作成する必要はありません。
帳簿の種類 | 内容 |
---|---|
正規の簿記 | 複式簿記による記帳、貸借対照表と損益計算書の作成 |
簡易簿記 | 簡易簿記による記帳、貸借対照表の作成は不要 |
青色申告決算書の作成
青色申告決算書は、1年間の事業の収支をまとめた書類です。
青色申告決算書には、損益計算書と貸借対照表の2種類があります。
青色申告決算書は、税務署の窓口で無料で交付を受けることができます。
また、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。
まとめ
青色申告の手続きは、まず青色申告承認申請書を提出することから始まります。
その後、所定の帳簿を備え付け、記帳を行い、青色申告決算書を作成します。
青色申告決算書は、確定申告の際に提出する書類です。
青色申告の手続きは、一見複雑に思えるかもしれませんが、会計ソフトなどを活用すれば、それほど難しいものではありません。
3. 青色申告をするメリットとは
青色申告特別控除
青色申告の最大のメリットは、青色申告特別控除を受けることができることです。
青色申告特別控除は、所得金額から最大65万円を控除できる制度です。
65万円の控除を受けるためには、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行っている必要があります。
複式簿記の記帳や添付書類は65万円の特別控除の要件を満たしているものの、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行っていない者は、55万円の特別控除となります。
条件 | 控除額 |
---|---|
複式簿記で記帳、貸借対照表と損益計算書を添付、e-Taxによる申告または電子帳簿保存 | 65万円 |
複式簿記で記帳、貸借対照表と損益計算書を添付、e-Taxによる申告または電子帳簿保存以外 | 55万円 |
簡易簿記で記帳、損益計算書を添付 | 10万円 |
赤字の繰越し・繰戻し
青色申告では、事業所得が赤字の場合、その赤字を翌年以降3年間繰り越すことができます。
また、前年が青色申告で、当年に赤字が発生した場合、その赤字を前年に繰り戻し、前年分の所得税の還付を受けることができます。
赤字を繰り越したり、繰り戻したりすることで、税金の負担を軽減することができます。
対象 | 内容 |
---|---|
繰越し | 青色申告者、翌年以降3年間 |
繰戻し | 前年が青色申告で、当年に赤字が発生した場合、前年の所得税の還付 |
青色事業専従者給与
青色申告では、事業主と生計を一にする配偶者や親族が事業に従事している場合、その給与を必要経費として計上することができます。
ただし、事前に税務署に届出が必要です。
青色事業専従者給与は、事業主の所得を減らす効果があり、税金の負担を軽減することができます。
まとめ
青色申告には、青色申告特別控除、赤字の繰越し・繰戻し、青色事業専従者給与など、さまざまなメリットがあります。
これらのメリットを活用することで、税金の負担を軽減することができます。
青色申告は、事業所得、不動産所得、山林所得がある個人事業主や法人に適した申告方法です。
4. 青色申告と白色申告の違いとは
帳簿の記帳方法
青色申告では、複式簿記または簡易簿記で記帳する必要があります。
白色申告では、簡易な帳簿で記帳することができます。
複式簿記は、貸借対照表と損益計算書を作成する必要があるため、簡易簿記よりも複雑です。
しかし、近年では会計ソフトが普及しており、複式簿記の記帳もそれほど難しくありません。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
記帳方法 | 複式簿記または簡易簿記 | 簡易な帳簿 |
帳簿の種類 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳、経費帳など | 法定帳簿と任意帳簿 |
税制上の優遇
青色申告では、青色申告特別控除などの税制上の優遇措置を受けることができます。
白色申告では、税制上の優遇措置を受けることはできません。
青色申告は、税制上の優遇措置を受けることができる一方で、帳簿の記帳や書類作成などの手間がかかります。
白色申告は、税制上の優遇措置を受けることはできませんが、帳簿の記帳や書類作成などの手間が少なく、比較的簡単に申告することができます。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
税制上の優遇 | 青色申告特別控除、赤字の繰越し・繰戻し、青色事業専従者給与など | なし |
事前申請
青色申告を行うには、事前に税務署に青色申告承認申請書を提出する必要があります。
白色申告を行うには、事前申請は必要ありません。
青色申告は、税制上の優遇措置を受けることができる一方で、事前申請の手間がかかります。
白色申告は、税制上の優遇措置を受けることはできませんが、事前申請の手間が少なく、比較的簡単に申告することができます。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
事前申請 | 必要 | 不要 |
まとめ
青色申告と白色申告は、帳簿の記帳方法、税制上の優遇、事前申請の必要性など、さまざまな点で異なります。
青色申告は、税制上の優遇措置を受けることができる一方で、帳簿の記帳や書類作成などの手間がかかります。
白色申告は、税制上の優遇措置を受けることはできませんが、帳簿の記帳や書類作成などの手間が少なく、比較的簡単に申告することができます。
どちらの申告方法を選ぶかは、事業の内容や規模、納税者の状況などを考慮して判断する必要があります。
5. 青色申告が導入された背景
シャウプ勧告
青色申告制度は、戦後のシャウプ勧告にもとづく税制改革のなかで誕生しました。
それまで正確に記帳できていなかった零細事業主にも適切な帳簿付けを推奨し、課税漏れを回避することで公平さを実現しようとしたのです。
シャウプ勧告は、アメリカの経済学者カール・シャウプが率いる調査団が、日本の税制を調査し、1949年に発表した報告書です。
この報告書は、日本の税制改革の指針となり、青色申告制度の導入もその一つでした。
申告納税制度の普及
青色申告制度は、申告納税制度の普及を目的として導入されました。
申告納税制度とは、納税者が自ら所得金額を計算し、税額を申告して納税する制度です。
青色申告制度は、申告納税制度を普及させることで、税務行政の効率化を図るとともに、納税者の税務意識を高めることを目指していました。
税制上の優遇措置
青色申告制度は、申告納税制度を普及させるために、税制上の優遇措置を設けています。
青色申告特別控除や赤字の繰越し・繰戻しなどの優遇措置は、青色申告を行う納税者にとって大きなメリットとなっています。
これらの優遇措置は、青色申告を促進し、納税者の帳簿の備付けを促す効果があります。
まとめ
青色申告制度は、戦後の税制改革のなかで、申告納税制度の普及と納税者の税務意識向上を目的として導入されました。
青色申告制度は、税制上の優遇措置を設けることで、納税者に帳簿の備付けを促し、申告納税制度の普及に貢献しています。
青色申告制度は、日本の税務行政において重要な役割を果たしています。
6. 青色申告の注意点とは
帳簿の記帳義務
青色申告では、複式簿記または簡易簿記で記帳する義務があります。
帳簿の記帳は、税務調査の際に必要となるため、正確に、かつ、継続的に行う必要があります。
帳簿の記帳が不備な場合、青色申告の承認が取り消される可能性があります。
申告期限
青色申告の申告期限は、個人事業の場合、翌年の3月15日です。
法人の場合、事業年度終了後2か月以内です。
申告期限までに申告書を提出しないと、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。
対象 | 提出期限 |
---|---|
個人事業主 | 翌年の3月15日 |
法人 | 事業年度終了後2か月以内 |
税務調査
青色申告を行っている場合でも、税務調査を受ける可能性があります。
税務調査では、帳簿の内容が詳しく調べられます。
帳簿の記帳が不備な場合、税務調査で指摘を受ける可能性があります。
まとめ
青色申告は、税制上の優遇措置を受けることができる一方で、帳簿の記帳義務や申告期限などの注意点があります。
青色申告を行う際には、これらの注意点に十分注意し、正確な申告を行うようにしましょう。
青色申告は、税務調査の対象となる可能性が高いです。
税務調査に備えて、帳簿の記帳を正確に行い、必要な書類をきちんと保管しておくことが重要です。
参考文献
・青色申告とは? 知っておきたい基礎知識、 白色申告との違いに …
・青色申告とは?確定申告時のメリットや白色申告との違いを …
・青色申告とは?白色申告との違い・青色のメリット・申請書の …
・青色申告とは?やり方や白色申告との違いをわかりやすく解説 …
・青色申告とは|青色申告ができる人、メリットを解説 | Zeimo
・青色申告とは?制度の概要をはじめメリットやデメリットに …
・青色申告とは?白色申告との違いや必要書類・準備について解説
・青色申告と白色申告の違いは?メリット・デメリットもわかり …
・青色申告・白色申告とは?それぞれの違いなどわかりやすく …
・確定申告の「青色申告」とは?白色申告との違いやメリットを …
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