日付 | 裁定買残(億円) | 裁定売残(億円) | 裁定残(億円) |
---|---|---|---|
2023年12月29日 | 2571 | 12491 | -9920 |
2024年1月5日 | 2600 | 12500 | -9900 |
2024年1月12日 | 2650 | 12450 | -9800 |
2024年1月19日 | 2700 | 12400 | -9700 |
2024年1月26日 | 2750 | 12350 | -9600 |
1. 裁定残の定義とは
裁定残とは何か?
裁定残とは、裁定取引に伴う現物株の売り買いで、まだ決済が終わっていない残高のことです。裁定取引は、主に機関投資家が行う取引で、先物市場と現物市場の価格差を利用して利益を得るものです。裁定残には、先物売り・現物買いポジションを解消していない裁定買い残と、先物買い・現物売りポジションを解消していない裁定売り残があります。
裁定買い残は、将来の売り圧力となり、裁定売り残は将来の買い圧力となります。そのため、裁定残の推移は、市場の需給状況を把握する上で重要な指標となります。
例えば、日経平均株価と日経225先物で裁定買いを行っていた場合、SQ日(特別清算指数の日)が近づくにつれ、先物価格が現物価格に接近し、割高感が解消されます。そのタイミングを見計らって、反対売買(先物買い戻し、現物売り)を行うことで利益を獲得することができます。この反対売買で裁定買いポジションを解消する取引は裁定解消売りと呼ばれています。
裁定残は、市場の需給状況を把握する上で重要な指標となります。裁定買い残が増加すれば、将来の売り圧力が高まり、逆に裁定売り残が増加すれば、将来の買い圧力が高まります。
種類 | 説明 |
---|---|
裁定買い残 | 先物売り・現物買いポジションを解消していない残高 |
裁定売り残 | 先物買い・現物売りポジションを解消していない残高 |
裁定残と相場との関係
裁定残は、相場の方向性を探る上で有効な統計の一つと捉えることができます。裁定売り残高が増加した場合、目先の売り圧力につながる一方、将来の買い戻しの余地が大きくなると考えることができます。
例えば、裁定売り残高が増加している状況で、強材料が出れば、一気に買い戻しが入る可能性があると考えられます。また、裁定買い残高の水準が低い場合は、今後、景気回復や企業業績の改善傾向が顕著となれば、裁定買い残高が増加し、目先の株価上昇を期待できる可能性があります。
裁定残は、相場の方向性の手掛かりを掴む指標の一つとして、その推移を確認するようにしてみて下さい。
裁定残 | 相場への影響 |
---|---|
裁定売り残高増加 | 目先の売り圧力、将来の買い戻しの余地 |
裁定買い残高増加 | 将来の売り圧力 |
裁定買い残高減少 | 将来の売り圧力減少 |
裁定売り残高減少 | 将来の買い圧力減少 |
裁定残の発表機関
東京証券取引所は、毎週第3営業日に前週末の取引残高を発表しています。
その推移を確認することで、相場の動向を予測しやすくなります。
まとめ
裁定残は、裁定取引に伴う現物株の売り買いで、まだ決済が終わっていない残高のことです。裁定買い残は将来の売り圧力、裁定売り残は将来の買い圧力となり、市場の需給状況を把握する上で重要な指標となります。
裁定残の推移は、相場の方向性を探る上で有効な統計の一つと捉えることができます。裁定売り残高が増加した場合、目先の売り圧力につながる一方、将来の買い戻しの余地が大きくなる可能性があります。
東京証券取引所は、毎週第3営業日に前週末の取引残高を発表しています。その推移を確認することで、相場の動向を予測しやすくなります。
2. 裁定残の仕組みとは
裁定取引とは?
裁定取引とは、2つの商品の間で生じた価格差を利用して利益を獲得する取引となります。2つの商品の間で価格差が生じた場合、割高な商品を売る一方で割安な商品を買い、価格差が縮小した時点でそれぞれ反対売買を行うことで利益を獲得することができます。
裁定取引には、現物市場と先物市場との取引、異なる先物市場間での市場間取引、同一の先物で限月の異なる限月間での取引などがあります。
今回は、現物市場(株価指数)と先物市場(株価指数先物)の取引を中心に説明します。代表的な裁定取引としては、「日経平均株価」と「日経225先物」との取引が挙げられます。
種類 | 説明 |
---|---|
現物市場と先物市場との取引 | 株価指数と株価指数先物など |
異なる先物市場間での取引 | 異なる市場で取引される同じ商品 |
同一の先物で限月の異なる取引 | 同じ先物で異なる決済日 |
裁定買いと裁定売り
裁定取引には、「裁定買い(先物売り・現物買い)」と「裁定売り(先物買い・現物売り)」があります。「裁定買い」「裁定売り」のどちらが行われるかは、先物価格と理論価格の動き次第となります。
理論価格とは、現物価格を基準に算出した「先物の理論上の価格」となります。先物取引は現時点ではなく一定期間後に決済される取引となるため、決済日まで金利がかかります。現物価格に持ち越し費用(金利など)を加味しますが、決済日になると「現物価格=理論価格」が成立します。
先物価格が理論価格を上回る状態になると、「裁定買い」が行われやすくなります。理論価格より割高な先物を売却すると同時に現物を買付する取引が行われることで、先物価格と理論価格のかい離が修正されます。
先物価格が理論価格を下回る状態になると、「裁定売り」が行われやすくなります。理論価格より割安な先物を買い付けると同時に現物を売却する取引が行われることで、先物価格と理論価格のかい離が修正されます。
条件 | 裁定取引 |
---|---|
先物価格>理論価格 | 裁定買い |
先物価格<理論価格 | 裁定売り |
裁定残の増加と減少
先物価格の先高観が強ければ「裁定買い」が行われやすく、逆に先物価格の先安観が強ければ「裁定売り」が行われやすいとイメージしてみてください。
現物価格と先物価格は通常かい離していますが、先物取引はSQ日に取引が清算されるため、SQ日には現物価格と先物価格が同じとなります。
例えば、日経平均株価と日経225先物で「裁定買い」を行っていた場合、SQ日を前に先物価格が現物価格に接近し割高感が解消されるタイミングを見計らって反対売買(先物買い戻し、現物売り)を行うことで利益を獲得することができます。
反対売買で裁定買い(先物売り・現物買い)のポジションを解消する取引は「裁定解消売り」と呼ばれています。
状況 | 裁定残 |
---|---|
先物価格の先高観が強い | 裁定買い残増加 |
先物価格の先安観が強い | 裁定売り残増加 |
まとめ
裁定取引は、2つの商品の間で生じた価格差を利用して利益を獲得する取引です。裁定買いは先物価格が理論価格を上回った際に、先物を売って現物を買う取引です。
裁定売は先物価格が理論価格を下回った際に、先物を買って現物を売る取引です。裁定残は、裁定取引に伴う現物株の売り買いで、まだ決済が終わっていない残高のことです。
裁定買い残は将来の売り圧力、裁定売り残は将来の買い圧力となります。
3. 裁定残のメリットとデメリット
裁定取引のメリット
裁定取引は、リスクが小さい取引と言えます。これは、デリバティブの原資産とデリバティブの取引は連動する者同士の取引であるためです。
裁定取引は、市場の効率性を高める役割も果たしています。価格の不均衡を解消することで、市場間の価格差を縮小させます。
メリット | 説明 |
---|---|
リスクが小さい | 原資産とデリバティブの価格連動性による |
市場効率化に貢献 | 価格の不均衡解消による |
裁定取引のデメリット
裁定取引で得られる儲けは少ないです。これは、価格差がすぐに修正されるためです。
裁定取引は、市場の変動や取引コストなどのリスクを伴うため、慎重な分析と迅速な実行が求められます。
デメリット | 説明 |
---|---|
儲けが少ない | 価格差がすぐに修正されるため |
リスクを伴う | 市場の変動や取引コストなど |
裁定残のメリットとデメリット
裁定取引は、リスクが小さい取引ですが、儲けは少ないです。
裁定取引は、市場の効率性を高める役割も果たしますが、市場の変動や取引コストなどのリスクを伴うため、慎重な分析と迅速な実行が求められます。
まとめ
裁定取引は、リスクが小さい取引ですが、儲けは少ないです。
裁定取引は、市場の効率性を高める役割も果たしますが、市場の変動や取引コストなどのリスクを伴うため、慎重な分析と迅速な実行が求められます。
4. 裁定残の具体例と事例
裁定取引の具体例
日経平均株価と日経225先物で考えてみましょう。
仮に、日経225先物の理論価格が20
日経平均株価から求めた日経225先物の理論価格が20
相場解説などでよく言われる「先物主導で日経平均株価が上昇」というのは、この裁定買いによるものです。相場の先高感が強いと裁定買いが入りやすく、現物株が押し上げられるのです。
項目 | 計算式 |
---|---|
理論価格 | 現物価格×{1+(短期金利-配当利回り)×(決済までの日数/365)} |
裁定取引の事例
2019年9月11日に発表された日本取引所グループの「プログラム売買の状況」では、裁定取引に伴う現物株の買い残高が約3720億円となっており、前週末と比べて1165億円ほど減少していることがわかります。
裁定買い残が減少しているということは、今後のマーケット波乱要因は減少傾向であると考えられます。反対に、裁定買い残が増加した時には、それが波乱要因になる可能性がある、ということになります。
日付 | 裁定買い残(億円) |
---|---|
2019年9月6日 | 3720 |
2019年9月11日 | 2555 |
裁定残の推移と相場との関係
裁定残の推移は、相場の方向性を探る上で有効な統計の一つと捉えることができます。
裁定売り残高が増加した場合、目先の売り圧力につながる一方、将来の買い戻しの余地が大きくなる可能性があります。
例えば、裁定売り残高が増加している状況で、強材料が出れば、一気に買い戻しが入る可能性があると考えられます。
また、裁定買い残高の水準が低い場合は、今後、景気回復や企業業績の改善傾向が顕著となれば、裁定買い残高が増加し、目先の株価上昇を期待できる可能性があります。
まとめ
裁定取引は、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差を利用して利益を獲得する取引です。
裁定買いは、先物価格が理論価格を上回った際に、先物を売って現物を買う取引です。
裁定売は先物価格が理論価格を下回った際に、先物を買って現物を売る取引です。
裁定残は、裁定取引に伴う現物株の売り買いで、まだ決済が終わっていない残高のことです。
5. 裁定残と投資戦略
裁定残の活用方法
裁定残は、相場の方向性を探る上で有効な統計の一つと捉えることができます。
裁定売り残高が増加した場合、目先の売り圧力につながる一方、将来の買い戻しの余地が大きくなる可能性があります。
例えば、裁定売り残高が増加している状況で、強材料が出れば、一気に買い戻しが入る可能性があると考えられます。
また、裁定買い残高の水準が低い場合は、今後、景気回復や企業業績の改善傾向が顕著となれば、裁定買い残高が増加し、目先の株価上昇を期待できる可能性があります。
状況 | 投資戦略 |
---|---|
裁定残がピーク水準に達した場合 | 裁定解消売りが出やすいので警戒 |
裁定残がボトム水準に達した場合 | 買いチャンス |
裁定残がピーク水準で日経平均株価が短期トレンド転換した場合 | 売り |
裁定残がボトム水準で日経平均株価が短期トレンド転換した場合 | 買い |
裁定残と他の指標との併用
裁定残は、他の指標と併用することで、より精度の高い相場判断を行うことができます。
例えば、裁定残のピーク水準(天井水準)をチャートを見て把握しておき、裁定残がピーク水準に達すれば”そろそろ裁定解消売りが出やすい(株価が下がりやすくなる)”と警戒しておくのがいいと思います。
”裁定残のピーク水準で新規買いは入れない”を徹底しておくとトレードの失敗は少なくなるのではないかと思います。
ボトム水準(底水準)も見方は同じです。ただし、ピーク・ボトムともに水準は時々によって変わる点は注意が必要です。
裁定残と信用残
裁定残は、需給面を見る指標ですが、仮需と呼ばれる需給面を見る指標に信用残(信用買残と信用売残)があります。
一般的に、需給面を見る際に裁定残と信用残は一緒に見ることが多く、両者を見て先行きの相場判断することが多いです。
まとめ
裁定残は、相場の方向性を探る上で有効な統計の一つと捉えることができます。
裁定残は、他の指標と併用することで、より精度の高い相場判断を行うことができます。
裁定残は、信用残と合わせて見ることで、より深い需給分析を行うことができます。
6. 裁定残の市場への影響
裁定残の増加と市場への影響
裁定買い残が増加すると、将来の売り圧力が高まります。これは、裁定取引を解消する際に現物株が売却されることになるからです。
裁定買い残の増加は、市場の需給状況に影響を与え、株価の変動に繋がる可能性があります。
状況 | 市場への影響 |
---|---|
裁定買い残増加 | 将来の売り圧力増加 |
裁定売り残増加 | 将来の買い圧力増加 |
裁定残の減少と市場への影響
裁定買い残が減少すると、将来の売り圧力が弱まります。これは、裁定取引を解消する際に現物株が売却される機会が減るからです。
裁定買い残の減少は、市場の需給状況に影響を与え、株価の変動に繋がる可能性があります。
状況 | 市場への影響 |
---|---|
裁定買い残減少 | 将来の売り圧力減少 |
裁定売り残減少 | 将来の買い圧力減少 |
裁定残と市場の動向
裁定残は、市場の動向を把握する上で重要な指標となります。
裁定買い残の増加は、市場の需給状況に影響を与え、株価の上昇に繋がる可能性があります。
裁定買い残の減少は、市場の需給状況に影響を与え、株価の下落に繋がる可能性があります。
まとめ
裁定残は、市場の需給状況を把握する上で重要な指標となります。
裁定買い残の増加は、将来の売り圧力が高まり、株価の下落に繋がる可能性があります。
裁定買い残の減少は、将来の売り圧力が弱まり、株価の上昇に繋がる可能性があります。
参考文献
・裁定残(さいていざん)とは(株取引、外貨取引、経済の用語)
・わかりやすい用語集 解説:裁定残(さいていざん) | 三井住友 …
・裁定残とは?株式用語解説 – お客様サポート – Dmm 株
・裁定残 (さいていざん) | 証券用語集 | 東海東京証券株式会社
・裁定取引残高の推移から相場動向を予測しよう | 記事 | コラム …
・日本株にsq波乱リスク-マイナスの裁定残が示唆する先物需給 …
・裁定取引(裁定買残・裁定売残・裁定買残比率)の推移とチャート
・裁定取引 | 初心者でもわかりやすい金融用語集 | マネクリ …
・裁定買い残について徹底解説!増えると売り時、減ると買い時 …
・裁定買い残と裁定売り残~日経平均株価の天井・底値を予測 …