固定金利とは?経済用語について説明

固定金利と変動金利の比較表
項目 固定金利 変動金利
金利の仕組み 契約時に決まった金利が返済期間中ずっと変わらない 返済期間中に金利が変動する
金利決定の基準 長期金利(10年国債利回り) 短期金利(無担保コール翌日物金利)
メリット 返済額が安定する、返済計画が立てやすい 金利が低い場合、返済額を抑えられる
デメリット 金利が変動しても恩恵を受けられない、金利が高い 金利が上昇すると返済額が増える可能性がある
向いている人 金利上昇リスクを回避したい人、返済額が安定している方が良いと考える人 金利が下がる可能性がある場合や、金利上昇に対応できる人
注意点 金利が固定されている期間中は変更できない、金利が上昇すると返済額が増える可能性がある 金利が上昇すると返済額が増える可能性がある、金利動向に注意が必要
種類 全期間固定金利型、固定金利期間選択型 全期間変動金利型、当初固定金利型
将来性 金利上昇リスクを回避できる、返済計画が立てやすい 金利が下がる可能性がある、金利上昇リスクがある

1. 固定金利とは何か

要約

固定金利とは?

固定金利とは、返済期間のうち、契約時に定めた期間中は金利が変わらない金利タイプの一種です。返済額が固定されて返済計画が立てやすくなる反面、市場金利が低下してもその恩恵が受けられなくなります。

住宅ローンを借りるとき、まず最初に考えるのが「金利タイプ」です。大きく分けて変動金利型と固定金利型という2つのタイプがあります。さらに固定型には借入時の金利が完済まで変わらない全期間固定型と、当初10年など一定期間の金利を固定にした後、変動金利になる固定期間選択型に分かれます。「年○○%」という金利の数字を比較するだけでなく、それぞれの特徴をよく理解し、自分の家計に合った選択をすることが大切です。

住宅金融支援機構の調査によると、現状では7割超の人が変動金利を選んでいます。変動金利の方が固定金利より低いため、同じ額を借り入れる場合、当初の月々の返済額を固定金利に比べて抑えることができるからです。

長期固定ローンの代表格である住宅金融支援機構の「フラット35」の金利は年1%台後半ですが、変動金利は大手銀行で0.4%前後、ネット銀行では0.3%を切るケースもあります。変動金利と固定金利は、それぞれ異なる金利をベースにして決まっています。

固定金利の種類
種類 説明
全期間固定金利型 借入開始から返済終了まで、金利が一定
固定金利期間選択型 固定金利の期間を、2年・5年・10年・20年などから選択して契約当初は固定金利。固定金利期間が終了した時点で、固定金利か変動金利かを選択します。特に選択をしない場合は、自動的に変動金利となります。

固定金利の仕組み

住宅ローンの変動金利は一般に、業績や財務内容がよい企業の中でも最も優良な企業に銀行が1年未満の短期で融資するときの「短期プライムレート」に一定幅を上乗せして金利を決めます。短期プライムレートは、日銀の政策金利の影響を受けやすく、2009年以降はずっと1.475%が続いています。

主な銀行の住宅ローンの変動金利は、これに1%上乗せした2.475%を「店頭表示金利」としています。ここから各銀行が「優遇幅」としてサービスで金利を引き下げ、わたしたちが借り入れる金利(適用金利)を決めています。優遇幅を巡る競争が近年、銀行間で激化していて、結果として変動金利は0%台前半にまで下がっています。

一方、固定金利は、長期の国債利回りが目安となります。変動金利と違って「連動する」というほど動きが一致しませんが、おおむね長期金利が上がれば住宅ローンの固定金利も上がり、長期金利が下がれば固定金利も下がります。ただ、いったん住宅ローンを借りれば、返済期間が35年であっても借りたときの金利がずっと続き、返済中に金利が上がったり下がったりしません。

金利が全般に上昇する局面で長期金利は短期金利に先行して上がる傾向があるため「最初は変動金利で借りて、金利が上がり始めたら固定金利に借り換えよう」と思っても間に合わない可能性があることに注意しましょう。

固定金利と変動金利の比較表
項目 固定金利 変動金利
金利の仕組み 契約時に決まった金利が返済期間中ずっと変わらない 返済期間中に金利が変動する
金利決定の基準 長期金利(10年国債利回り) 短期金利(無担保コール翌日物金利)

固定金利の種類

固定金利には、大きく分けて「全期間固定金利型」と「固定金利期間選択型」の2種類があります。

全期間固定金利型は「長期固定金利型」とも呼ばれ、住宅ローンの借入時から返済完了まで、金利が一切変わらないまま固定されます。代表的なローン商品としては、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して取り扱っている「フラット35」が挙げられます。

一方、固定金利期間選択型では、契約時に決めた一定期間に限り、金利が固定されます。期間の長さは金融機関によって異なりますが、3年、5年、10年、20年など複数のプランがあり、その期間が終わったら、また次の金利タイプを選択します。一般的に、固定金利期間が短いほど、金利は低くなる傾向にあります。

近年、住宅ローンの「変動金利」が人気を集めています。国土交通省が発表した「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると、変動金利が全体の7割以上を占めていることがわかります。

まとめ

固定金利とは、返済期間中の金利が一定の金利タイプです。固定金利には、全期間固定金利型と固定金利期間選択型の2種類があります。

全期間固定金利型は、返済期間中ずっと金利が変わりません。一方、固定金利期間選択型は、契約時に決めた一定期間のみ金利が固定され、期間終了後は変動金利か固定金利かを選択できます。

固定金利は、長期金利に連動して決まります。そのため、長期金利が上昇すると固定金利も上昇する可能性があります。

固定金利は、返済額が安定するというメリットがありますが、変動金利と比べて金利が高い傾向があります。

2. 固定金利のメリットとデメリット

要約

固定金利のメリット

固定金利を選択すれば、以下のようなメリットを得ることができます。

全期間固定金利型の場合、返済完了まで金利が上下することはないので、住宅ローンの契約を結んだ段階で毎月の返済額および総返済額が確定します。将来的に市場金利が上昇したとしても返済額は一切変わらず、返済計画が立てやすいことがメリットです。

また、固定金利期間選択型も、一定期間は返済額が変わりません。そのため、子どもの学費やマイカーローンの返済、老後の生活資金など、ライフプランに合わせて無理のない返済計画を立てやすいでしょう。

住宅ローンは、30年前後の長期にわたって返済していくことになるため、あらかじめ返済額を確定できる固定金利を選択すれば、急な出費にも対応しやすいはずです。

固定金利のメリット
メリット 説明
返済額が安定する 返済期間中の金利が変わらないため、返済額が一定になります。
返済計画が立てやすい 返済額が一定なので、家計の収支計画が立てやすくなります。
金利上昇リスクを回避できる 金利が上昇しても、契約当初の金利が適用されます。

固定金利のデメリット

固定金利には以下のようなデメリットもあります。

固定金利は変動金利に比べると、金利が高く設定されている傾向にあります。なかでも、全期間固定金利型が最も高く、固定金利期間選択型がそれに続きます。

つまり、金利の上昇幅が少ない場合、あるいは将来的に金利が低下した場合は、変動金利より返済の負担が大きくなる可能性もあるのです。

そもそも住宅ローンは借入額が大きく返済期間も長いので、金利が1%上昇するだけでも返済額は大幅に増加します。例えば、「借入額3

固定金利のデメリット
デメリット 説明
金利が高い 変動金利と比べて、金利が高めに設定されています。
金利が低下しても恩恵を受けられない 金利が低下しても、契約当初の金利が適用されます。
返済総額が大きくなる可能性がある 金利が変動金利よりも高いため、返済総額が大きくなる可能性があります。

固定金利に向いている人

固定金利のメリットは金利が固定されている分、返済額が一定であるため、資金計画が立てやすいという点にあります。また、固定金利期間中に住宅ローン金利が上昇している場合でも、借り入れ当初の金利から変動しないため有利になります。

一方で、固定金利期間中に住宅ローン金利が下落していくと契約当初の金利が継続する分、不利になるでしょう。

また、一般的に住宅ローンの金利は以下の順序で高くなる傾向にあります。

長期固定金利>当初固定金利>変動金利 したがって、固定金利期間が長くなればなるほど金利が高くなるため、返済額が増加することになります。

まとめ

固定金利は、返済額が安定するというメリットがありますが、変動金利と比べて金利が高い傾向があります。

固定金利は、金利上昇リスクを回避したい人や、返済額が安定している方が良いと考える人に向いています。

固定金利は、将来の金利動向が不透明な場合や、返済計画を立てやすくしたい場合に有効です。

ただし、固定金利は変動金利よりも金利が高いため、返済総額は多くなる可能性があります。

3. 固定金利と変動金利の違い

要約

固定金利と変動金利の仕組み

固定金利とは、契約した時点から金利がずっと一定になる仕組みで、主に以下の2タイプが存在します。

より理解を深めるために、35年間の借り入れをした場合をイメージして違いを確認してみましょう。

例えば全期間固定金利型を選んで家を買った時の金利が年利1%なら、35年間の返済が終わるまで金利は1%のままです。

固定金利期間選択型では10年などの選んだ期間内は固定金利ですが、期間経過後は変動金利か固定金利を選択できます。

固定金利と変動金利の比較表
項目 固定金利 変動金利
金利の仕組み 契約時に決まった金利が返済期間中ずっと変わらない 返済期間中に金利が変動する
金利決定の基準 長期金利(10年国債利回り) 短期金利(無担保コール翌日物金利)

固定金利と変動金利のメリット・デメリット

変動金利とは、一定期間ごとに金利が変動する仕組みのことで、一般的に住宅ローンなら5年ごとに変更されます。

「銀行の銀行」とも呼ばれる、日本銀行が決める政策金利に連動する傾向がある点に注目ですね。

それなら…。固定金利と変動金利はどっちが得なのかな?

と感じた方もいると思いますが、あなたのライフプランによって、どちらが合っているかどうかは変わります。

固定金利と変動金利の選び方

まずは固定金利と変動金利のメリット・デメリットから考えてみましょう。

2021年時点では日銀のマイナス金利政策の影響を受け、変動金利の方が金利は安くなっている状態です。

とはいえ将来的には金利上昇の可能性もあるため、今後を見据えて安定した固定金利を選ぶのも選択の一つでしょう。

住宅ローン利用者全体では、「変動金利」を選んでいる人の方が多いワン!

まとめ

固定金利は、契約した時点から金利がずっと一定になる仕組みです。

変動金利は、一定期間ごとに金利が変動する仕組みです。

固定金利は、金利が上昇するリスクを回避したい人に向いています。

変動金利は、金利が下がる可能性がある場合や、金利上昇に対応できる人に向いています。

4. 固定金利を選ぶ際のポイント

要約

固定金利期間の選び方

固定金利にはいくつか種類がありますが、どのような基準で選べば良いのでしょうか。固定金利・短期と固定金利・長期金利の特徴の違いを含め、解説していきます。

固定金利・短期では、固定金利期間としては、2年、5年、10年などがあります。一般的には、固定金利期間が長い契約であるほど、住宅ローン金利は高くなります。

固定金利特約期間終了後は変動金利にするか、固定金利にするかを再度選択します。その際に、住宅ローン金利が上がっていた場合は返済額が増加することになります。また、金利引下幅は、固定金利特約期間終了後の金利引下幅が適用されます。

固定金利・長期であれば長期間返済額は一定で、返済額の変動を考える必要性が低くなります。

固定金利期間と金利の関係
固定期間 金利
2年
5年
10年
20年 最高

固定金利の返済額シミュレーション

ここで、固定金利・短期型と固定金利・長期型の返済額について、具体的な返済例を見ていきましょう。

【前提】借入額:3

適用金利 全期間1.54% 当初3年間0.59% 当初5年間0.62% 当初10年間0.525% 4年目以降1.59% 6年目以降1.62% 11年目以降1.525% 毎月返済額 92

現在の住宅ローン固定金利は、期間3年、5年、10年ともにほとんど変わりがありません。固定金利特約期間終了後にどの期間も同様に1%上がるという前提で考えた場合、以上の表を見ると2021年3月現在の金利情勢であれば、固定10年が総返済額のうえで最も有利な条件となっていることがわかります。

固定金利の返済額シミュレーション
条件 全期間固定 当初3年固定 当初5年固定 当初10年固定
適用金利 1.54% 0.59% 0.62% 0.525%
毎月返済額 92,444円 79,074円 79,477円 78,207円
総返済額 38,826,313円 38,160,660円 37,742,576円 35,837,915円

固定金利の注意点

固定金利・短期、固定金利・長期についてはそれぞれ注意点があります。

まず、固定金利・長期の場合は、基本的に固定金利・短期に比べて金利が高いため返済の総額が大きくなります。

一方、固定金利・短期の場合は、固定金利期間終了後の金利情勢に応じて返済額が大きく変化する可能性があります。つまり、金利の大幅上昇により負担が大きくなってしまう恐れがあるということです。

将来的にもし金利が上昇しても返済可能か、検討しておくことが重要といえるでしょう。

まとめ

固定金利を選ぶ際には、固定期間の長さによって金利が異なること、固定期間終了後の金利変動リスクがあることを理解しておく必要があります。

固定金利期間が長いほど金利は高くなりますが、返済額が安定します。

固定金利期間が短いほど金利は低くなりますが、返済額が変動する可能性があります。

固定金利を選ぶ際には、自分のライフプランやリスク許容度を考慮して、適切な固定期間を選択することが大切です。

5. 固定金利の利用シーン

要約

固定金利が向いている人

固定金利のメリットは金利が固定されている分、返済額が一定であるため、資金計画が立てやすいという点にあります。また、固定金利期間中に住宅ローン金利が上昇している場合でも、借り入れ当初の金利から変動しないため有利になります。

一方で、固定金利期間中に住宅ローン金利が下落していくと契約当初の金利が継続する分、不利になるでしょう。

また、一般的に住宅ローンの金利は以下の順序で高くなる傾向にあります。

長期固定金利>当初固定金利>変動金利 したがって、固定金利期間が長くなればなるほど金利が高くなるため、返済額が増加することになります。

固定金利が向いているケース

固定金利が向いているのはどのような方でしょうか。いくつか見ていきましょう。

・子育て世代まだお子さまが小さく、学費など将来の支出が多くなっていくことが予想される子育て世代は、子供が独り立ちするまでの期間を見据えた長期の固定金利で契約をした方が良いでしょう。住宅ローンなど、月々の支払いについて予想外の上昇は避けたほうが良いためです。

・共働き夫婦夫婦共働きの場合や、数年後に配偶者が仕事復帰するなど、将来にあたって返済余力がある場合は、2~3年などの短い固定期間でも良いでしょう。短期の固定金利は、最近では変動金利と変わらないレベルまで低下しており、さらなる金利低下が期待できない限り、あえて変動金利を使う必要性はないかもしれません。

・50歳で住宅を取得する方近い将来、定年退職を迎える予定の方が住宅を取得する場合は、退職金の取得により資金的余裕が増えることが予想されます。こういったケースでは、現在の超低金利下であれば、固定10年などの中期間での固定金利の住宅ローンを組むことが合理的でしょう。50歳のときに固定10年の固定金利で住宅ローンを組めば、退職後の状況に応じて返済方法を再検討できます。

固定金利が向いているケース
ケース 説明
子育て世代 学費など将来の支出が多いため、返済額が安定する固定金利が安心
共働き夫婦 将来の返済余力があるため、短期の固定金利でも良い
50歳で住宅を取得する方 退職金で資金的余裕があるため、中期間の固定金利がおすすめ

固定金利の注意点

ここまで固定金利を中心に、住宅ローン金利についてメリット・デメリットを述べてきました。住宅ローン金利は市場金利などをもとに各金融機関が決定していますが、現在の市場金利は低金利の状態が続いています。

このような状況の中、住宅ローン金利の支払いを固定することは合理的で有利となる可能性が高いといえるでしょう。しかし、各家庭の状況は十人十色であり、ファミリープランも様々です。

ご自身とご家族の将来を見据え、幸せな家庭生活のために的確な住宅ローンの支払い方を検討していきましょう。

プロフィール:有限会社IS.projects代表取締役。プライマリープライベートバンカー。東京で大学を卒業後新卒で大手証券会社に入社。その後大手金融機関、欧州系プライベートバンクで富裕層向けの資産運用業務に従事した後有限会社IS.projects代表取締役に就任。有限会社IS.projectsは金融商品仲介業者として登録が完了し、富裕層向けの資産運用業務を開始。併せて、中小企業向けM&Aアドバイザリー業務も展開。名古屋、東京を中心に全国で営業を展開している。

まとめ

固定金利は、返済額が安定するというメリットがあるため、将来の収入や支出が不安定な人、金利上昇リスクを回避したい人、返済計画を立てやすくしたい人に向いています。

固定金利は、将来の金利動向が不透明な場合や、返済計画を立てやすくしたい場合に有効です。

ただし、固定金利は変動金利よりも金利が高いため、返済総額は多くなる可能性があります。

固定金利を選ぶ際には、自分のライフプランやリスク許容度を考慮して、適切な固定期間を選択することが大切です。

6. 固定金利の将来性について

要約

固定金利の将来展望

固定金利のメリット・デメリットや、どんな人が固定金利に向いているのか見てきました。ご自身やご家族の将来設計を見据えて、金利を選択してくださいね。

まずは固定金利を選んだ場合、月々の返済額はいくらになるのか、シミュレーションで確認してみましょう!

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固定金利の動向

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固定金利のメリット・デメリットや、どんな人が固定金利に向いているのか見てきました。ご自身やご家族の将来設計を見据えて、金利を選択してくださいね。

まとめ

固定金利は、返済額が安定するというメリットがあるため、将来の収入や支出が不安定な人、金利上昇リスクを回避したい人、返済計画を立てやすくしたい人に向いています。

固定金利は、将来の金利動向が不透明な場合や、返済計画を立てやすくしたい場合に有効です。

ただし、固定金利は変動金利よりも金利が高いため、返済総額は多くなる可能性があります。

固定金利を選ぶ際には、自分のライフプランやリスク許容度を考慮して、適切な固定期間を選択することが大切です。

参考文献

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