項目 | 内容 |
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定義 | 非感染性疾患(Non-Communicable Diseases)の略。不健康な食事、運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる慢性疾患を指す。 |
主な疾患 | がん、糖尿病、循環器疾患、呼吸器疾患、メンタルヘルスなど |
リスクファクター | 喫煙、不健康な食事、運動不足、過度の飲酒など |
重要性 | 世界で最も多くの死亡原因。経済的損失、社会福祉への影響も大きい。 |
影響因子 | 生活習慣、遺伝的要因、環境要因など |
未来展望 | 予防と治療の進歩、社会全体の取り組み、国際的な協力 |
関連性 | 経済成長、社会福祉、環境問題など |
1. NCDとは
NCDの定義
NCDとは、Non-Communicable Diseasesの略で、日本語では非感染性疾患と呼ばれます。世界保健機関(WHO)の定義では、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる、がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患をまとめて総称したものです。
WHOの統計によると、2015年には、世界で3
様々なNCDs関連課題に対処するため、2010年に4つの国際連盟(国際糖尿病連盟(IDF: International Diabetes Federation)、 国際対がん連合(UICC: Union for International Cancer Control)、世界心臓連盟(WHF: World Heart Federation)、国際結核・肺疾患連合(The Union: International Union Against Tuberculosis and Lung Disease))によって市民社会の協働プラットフォームであるNCD Allianceが正式に発足しました。そのネットワークは、現在約170か国・約2000の組織に拡大しています。NCD Allianceは市民社会の連帯・強化を通じて、ステークホルダーが協働した政策提言、働きがけ、説明責任の向上を推進することをミッションとし活動しています。
NCDアライアンス・ジャパン(NCD Alliance Japan)の”NCD”は、NCD(National Clinical Database)様の許諾を得て、使用しています。 © NCD Alliance Japan. All rights reserved.
用語 | 説明 |
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NCD | Non-Communicable Diseasesの略。非感染性疾患を指す。 |
非感染性疾患 | 不健康な食事、運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる慢性疾患を指す。 |
WHO | 世界保健機関。NCDの定義を策定し、対策を推進している。 |
NCDの現状
日本においても、総死亡数のうち約82%はNCDsによるものであり、喫緊の課題となっています。また、特定の疾病や傷害による健康の損失(疾病負荷)を示す指標である障害調整生存年数(DALY)に焦点を当てると、疾病負荷が特に高いのは心血管疾患、がん、筋骨格系障害、精神疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患、神経障害、消化器疾患です。
WHOの統計によると、2016年には、世界で4
またNCDsの治療による家計への影響も大きく、特にLMICsにおいてNCDsは貧困の主たる要因となっている。また経済的にも、今後20年間でNCDsが世界経済にもたらす損害は47兆米ドルとも言われ、グローバルレベルでのNCDs対策が求められている。
NCDs対策においては、喫煙やアルコール、不健康な食事、運動不足、アルコールの有害な使用等のリスク要因を減らす予防・健康増進に向けた取組及び必須医薬品や治療アクセスの確保が必要となる。日本では、予防・健康増進に向けた取組として国民健康づくり対策の取組、また治療アクセス確保に向けた取組として、国民皆保険制度の整備が進められてきた。さらに近年は「がん対策基本法」「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立し、がんや循環器病といった個別疾患領域について、総合的な対策が推進されている。
地域 | 状況 |
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世界 | 2015年には、世界で3,950万人がNCDsに起因し死亡。全死因の約70%を占める。 |
日本 | 総死亡数の約82%がNCDsによるもの。 |
中低所得国 | NCDsによる死亡率が高く、貧困の大きな要因となっている。 |
NCD対策
NCDsの予防対策には、健康を増進し発病を予防する「一次予防」、病気を早期に発見し早期に治療する「二次予防」、病気にかかった後の対応として治療・機能回復・機能維持を行う「三次予防」がある。
こうした考え方のもと、日本では、国民健康づくり対策として10年ごとに取り組みがなされている。
日本において、がんは1981年から死因の第1位であり、2015年には年間約37万人が亡くなっていることから、国民の健康にとって重要な問題となっている。こうした状況も鑑み、2006年6月にはがん対策の一層の充実を図ることを目的にがん対策基本法が成立し、2007年4月に施行された。また同年6月には、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、第1期のがん対策推進基本計画が策定された。
このようにがん対策として様々な取組みが行われたが、2007年度からの10年間の目標であった「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」については、達成することができなかった。今後は、こうした状況も踏まえ、予防のための対策をさらに充実させていくことが必要である。がんにかかった場合は、早期発見・早期治療につなげられるように検診の受診率を向上させることも重要である。
対策 | 内容 |
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一次予防 | 健康を増進し発病を予防する。 |
二次予防 | 病気を早期に発見し早期に治療する。 |
三次予防 | 病気にかかった後の対応として治療・機能回復・機能維持を行う。 |
まとめ
NCDは、現代社会における主要な健康問題であり、世界中で大きな課題となっています。WHOは、NCDsの予防とコントロールのために、加盟各国にロードマップを示す「Global Action Plan」を策定し、4大疾患と4大リスクファクターを提唱しています。
日本においても、NCD対策は喫緊の課題であり、国民健康づくり対策や個別疾患領域における対策が推進されています。
NCD対策は、一次予防、二次予防、三次予防の3つの段階で実施され、健康増進、早期発見・早期治療、治療・機能回復・機能維持といった取り組みが行われています。
NCD対策は、個人の健康だけでなく、社会全体にとって重要な課題であり、今後も様々な取り組みが期待されます。
2. NCDの種類
NCDの4大疾患
WHOの「Global Action Plan」では、NCDsを4つの主要な疾患群に分類しています。
循環器疾患:心臓病、脳卒中など。
がん:様々な種類のがん。
慢性呼吸器疾患:COPD、喘息など。
疾患 | 説明 |
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循環器疾患 | 心臓病、脳卒中など |
がん | 様々な種類のがん |
慢性呼吸器疾患 | COPD、喘息など |
糖尿病 | インスリンの分泌不足や働きが悪くなることで起こる病気。 |
NCDの4大リスクファクター
NCDsの発症リスクを高める要因として、WHOは4つの主要なリスクファクターを挙げています。
喫煙:タバコを吸うことは、様々なNCDsの発症リスクを高めます。
不健康な食事:高脂肪、高塩分、高糖質の食事は、肥満や生活習慣病のリスクを高めます。
運動不足:運動不足は、肥満や生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、心肺機能の低下や骨粗鬆症などのリスクも高めます。
リスクファクター | 説明 |
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喫煙 | タバコを吸うことは、様々なNCDsの発症リスクを高めます。 |
不健康な食事 | 高脂肪、高塩分、高糖質の食事は、肥満や生活習慣病のリスクを高めます。 |
運動不足 | 運動不足は、肥満や生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、心肺機能の低下や骨粗鬆症などのリスクも高めます。 |
過度の飲酒 | アルコールの過剰摂取は、様々なNCDsの発症リスクを高めます。 |
その他のNCDs
NCDsには、4大疾患や4大リスクファクター以外にも、様々な疾患が含まれます。
糖尿病:インスリンの分泌不足や働きが悪くなることで起こる病気。
メンタルヘルス:うつ病、不安障害、統合失調症など。
腎臓病:腎臓の機能が低下する病気。
まとめ
NCDsは、その種類や原因が様々ですが、共通して生活習慣と密接な関係があります。
NCDsは、個人の健康だけでなく、社会全体にとって大きな影響を与えるため、予防と治療の両面からの対策が重要となります。
NCDsの予防には、健康的なライフスタイルの改善が不可欠です。
NCDsの治療には、早期発見・早期治療が重要です。
3. NCDの重要性
健康への影響
NCDsは、世界で最も多くの死亡原因となっています。
WHOの統計によると、2016年には、世界で4
NCDsは、死亡だけでなく、生活の質の低下や経済的な損失にもつながります。
NCDsは、個人の健康だけでなく、社会全体にとって大きな影響を与えるため、予防と治療の両面からの対策が重要となります。
影響 | 説明 |
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死亡 | 世界で最も多くの死亡原因。 |
生活の質 | 生活の質の低下。 |
経済的損失 | 医療費の増加、生産性の低下など。 |
経済への影響
NCDsは、医療費の増加や生産性の低下など、経済的な損失をもたらします。
WHOの推計によると、2030年までに、NCDsによる経済的な損失は47兆米ドルに達するとされています。
NCDsは、特に中低所得国において、貧困の大きな要因となっています。
NCDsは、世界経済全体に大きな影響を与えるため、国際的な協力による対策が求められます。
影響 | 説明 |
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医療費 | 医療費の増加。 |
生産性 | 労働力人口の減少による生産性の低下。 |
貧困 | 特に中低所得国において、貧困の大きな要因となっている。 |
社会への影響
NCDsは、個人の健康だけでなく、社会全体に大きな影響を与えます。
NCDsの増加は、医療費の増加や労働力人口の減少など、社会全体に大きな負担となります。
NCDsは、社会福祉の充実や医療体制の強化など、社会全体で対策を進める必要があります。
NCDsは、社会全体の課題として、政府、企業、個人が協力して取り組む必要があります。
影響 | 説明 |
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社会福祉 | 社会福祉の負担増大。 |
医療体制 | 医療体制の強化が必要。 |
社会全体 | 政府、企業、個人が協力して取り組む必要がある。 |
まとめ
NCDsは、健康、経済、社会のあらゆる面において、大きな影響を与える重要な課題です。
NCDsの予防と治療は、個人の健康だけでなく、社会全体の持続可能な発展のために不可欠です。
NCDs対策は、政府、企業、個人が協力して取り組むことで、より効果的に進めることができます。
NCDsに関する知識を深め、予防と治療に積極的に取り組むことが重要です。
4. NCDの影響因子
生活習慣
NCDsの発症には、生活習慣が大きく影響します。
不健康な食事、運動不足、喫煙、過度の飲酒などは、NCDsの発症リスクを高めます。
健康的な食生活、適度な運動、禁煙、節酒など、生活習慣を改善することで、NCDsの発症リスクを減らすことができます。
生活習慣の改善は、NCDsの予防において最も重要な要素の一つです。
生活習慣 | 説明 |
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不健康な食事 | 高脂肪、高塩分、高糖質の食事は、肥満や生活習慣病のリスクを高めます。 |
運動不足 | 運動不足は、肥満や生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、心肺機能の低下や骨粗鬆症などのリスクも高めます。 |
喫煙 | タバコを吸うことは、様々なNCDsの発症リスクを高めます。 |
過度の飲酒 | アルコールの過剰摂取は、様々なNCDsの発症リスクを高めます。 |
遺伝的要因
NCDsの発症には、遺伝的な要因も影響します。
家族歴にNCDsを持つ人は、そうでない人に比べて、NCDsを発症するリスクが高い傾向があります。
遺伝的な要因は、生活習慣によって発症リスクが変化します。
遺伝的な要因は、NCDsの発症リスクを完全に予測することはできませんが、発症リスクを理解し、予防対策を強化する上で重要な要素となります。
遺伝的要因 | 説明 |
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家族歴 | 家族歴にNCDsを持つ人は、そうでない人に比べて、NCDsを発症するリスクが高い傾向があります。 |
環境要因
NCDsの発症には、環境要因も影響します。
大気汚染、水質汚染、騒音など、環境の悪化は、NCDsの発症リスクを高めます。
環境要因は、個人の努力だけでは改善できない場合もあります。
環境要因の改善は、社会全体で取り組むべき課題です。
環境要因 | 説明 |
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大気汚染 | 大気汚染は、呼吸器疾患や心血管疾患などのリスクを高めます。 |
水質汚染 | 水質汚染は、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。 |
騒音 | 騒音は、ストレスや睡眠障害などのリスクを高めます。 |
まとめ
NCDsの発症には、生活習慣、遺伝的要因、環境要因など、様々な要因が複雑に関係しています。
NCDsの予防には、これらの要因を理解し、それぞれに対する対策を講じることが重要です。
NCDsの予防は、個人の努力だけでなく、社会全体で取り組むべき課題です。
NCDsの予防と治療は、健康な社会を実現するために不可欠です。
5. NCDの未来展望
予防と治療の進歩
NCDsの予防と治療は、近年大きく進歩しています。
健康的なライフスタイルの普及、早期発見・早期治療の促進、新たな治療法の開発など、様々な取り組みが進められています。
NCDsの予防と治療の進歩は、NCDsによる死亡率や生活の質の低下を抑制する上で大きな期待が寄せられています。
NCDsの予防と治療の進歩は、今後も継続していく必要があります。
分野 | 説明 |
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健康的なライフスタイル | 健康的なライフスタイルの普及。 |
早期発見・早期治療 | 早期発見・早期治療の促進。 |
新たな治療法 | 新たな治療法の開発。 |
社会全体の取り組み
NCDs対策は、政府、企業、個人が協力して取り組む必要があります。
政府は、NCDsの予防と治療のための政策を推進し、医療体制の強化を進める必要があります。
企業は、従業員の健康増進のための取り組みを強化し、健康的な商品やサービスを提供する必要があります。
個人は、健康的なライフスタイルを意識し、NCDsの予防と治療に積極的に取り組む必要があります。
主体 | 役割 |
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政府 | NCDsの予防と治療のための政策を推進。医療体制の強化。 |
企業 | 従業員の健康増進のための取り組みを強化。健康的な商品やサービスを提供。 |
個人 | 健康的なライフスタイルを意識。NCDsの予防と治療に積極的に取り組む。 |
国際的な協力
NCDsは、国境を越えた課題です。
国際的な協力により、NCDsの予防と治療に関する情報共有や技術開発を進める必要があります。
WHOは、NCDs対策のための国際的な協力体制を強化し、世界全体のNCDs対策を推進しています。
国際的な協力は、NCDs対策を効果的に進める上で不可欠です。
協力内容 | 説明 |
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情報共有 | NCDsの予防と治療に関する情報共有。 |
技術開発 | NCDsの予防と治療に関する技術開発。 |
国際的な協力体制 | WHOは、NCDs対策のための国際的な協力体制を強化。 |
まとめ
NCDsは、今後も世界中で大きな課題となることが予想されます。
NCDsの予防と治療は、健康な社会を実現するために不可欠です。
政府、企業、個人が協力し、国際的な協力体制を強化することで、NCDs対策を効果的に進めることができます。
NCDsに関する知識を深め、予防と治療に積極的に取り組むことが重要です。
6. NCDの関連性
経済成長
NCDsは、経済成長に大きな影響を与えます。
NCDsの増加は、医療費の増加や労働力人口の減少など、経済的な損失をもたらします。
NCDs対策は、経済成長を促進する上で重要な要素となります。
NCDs対策は、健康な労働力を確保し、経済活動を活性化させるために不可欠です。
影響 | 説明 |
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医療費 | 医療費の増加。 |
労働力 | 労働力人口の減少。 |
経済活動 | 経済活動の活性化。 |
社会福祉
NCDsは、社会福祉にも大きな影響を与えます。
NCDsの増加は、社会福祉の負担を増大させます。
NCDs対策は、社会福祉の充実を図る上で重要な要素となります。
NCDs対策は、社会福祉の持続可能性を確保するために不可欠です。
影響 | 説明 |
---|---|
社会福祉負担 | 社会福祉の負担増大。 |
社会福祉充実 | 社会福祉の充実。 |
環境問題
NCDsは、環境問題とも密接な関係があります。
大気汚染や水質汚染などの環境問題が悪化すると、NCDsの発症リスクが高まります。
NCDs対策は、環境問題と健康問題の両面から取り組む必要があります。
NCDs対策は、環境問題の解決にも貢献します。
影響 | 説明 |
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環境悪化 | 大気汚染や水質汚染などの環境問題が悪化すると、NCDsの発症リスクが高まります。 |
環境改善 | 環境問題の解決。 |
まとめ
NCDsは、経済成長、社会福祉、環境問題など、様々な分野に影響を与えます。
NCDs対策は、これらの分野を総合的に考慮して進める必要があります。
NCDs対策は、持続可能な社会を実現するために不可欠です。
NCDsに関する知識を深め、社会全体で対策に取り組むことが重要です。
参考文献
・譲渡性預金(NCD)とは? いつでも換金できる定期預金の仕組み | ZUU online
・わかりやすい用語集 解説:Ncd(えぬしーでぃー) | 三井住友dsアセットマネジメント
・Ncdとは?株式用語解説 – お客様サポート – Dmm 株
・Japan Health Policy NOW – 非感染性疾患(NCDs)
・事業概要|NCDについて|National Clinical Database 外科系の専門医制度と連携した症例データベース
・ビッグデータが変える日本の医療 5,000超の医療施設に広がるncdとは?
・PDF 資料3 「WHO NCDs Global Action Planについて」 – mhlw.go.jp
・【記事公開】NCDアライアンス・ジャパン:COVID-19がもたらす NCDsと共に生きる人々への影響について
・一般社団法人 National Clinical Database (NCD) の 手術・治療情報データベース事業への参加について | 国立 …
・Ncdの手術・治療情報データベース事業について – Ncgm
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