項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 株式や社債などの有価証券の募集や売出しを行う場合に、発行会社が内閣総理大臣に宛てて提出する開示資料 |
提出義務 | 募集及び売出しの価額の総額が1億円以上の場合や、勧誘を行う相手方の人数が50名以上の場合など、一定の基準に該当する場合 |
記載事項 | 証券情報、企業情報、その他情報 |
提出期限 | 決算日から3カ月以内 |
罰則 | 提出義務違反や虚偽記載など、金融商品取引法に違反した場合、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金 |
訂正有価証券届出書 | 有価証券届出書に記載すべき重要な事項に関して変更等が発生した場合に提出する必要がある |
1. 有価証券届出書とは
有価証券届出書の定義
有価証券届出書とは、株式や社債などの有価証券の募集や売出しを行う場合に、発行会社が内閣総理大臣に宛てて提出する開示資料のことです。有価証券の発行条件や発行会社の経営状況、事業内容に関する重要事項などが記載されており、投資家が投資判断を行うための重要な情報源となります。
有価証券届出書は、金融商品取引法第2条第7項以下に規定されており、発行会社は、一定の条件を満たす場合、有価証券届出書を提出せずに有価証券の取得勧誘を行うことはできません。
有価証券届出書は、EDINET(電子情報開示システム)を通じて提出され、インターネットや財務局、証券取引所などで公衆の縦覧に供されます。
投資家は、有価証券届出書の内容を精査することで、投資判断を行うことができます。
基準 | 提出義務 |
---|---|
募集及び売出しの価額の総額が1億円以上 | あり |
勧誘を行う相手方の人数が50名以上 | あり |
非上場会社が新規上場を行う | あり |
発行価額の総額が1億円未満 | なし |
非開示会社の有価証券にかかる売出しであって、その総額が1億円未満 | なし |
開示会社が既に発行している有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込みの勧誘を行う | なし |
適格機関投資家や特定投資家向けに募集又は売出しを行う | なし |
有価証券届出書の提出義務
有価証券届出書の提出は、投資家保護を目的として課せられた金融商品取引法第4条及び第5条に基づく開示規制上の義務となっています。
具体的には、募集及び売出しの価額の総額が1億円以上の場合や、勧誘を行う相手方の人数が50名以上の場合など、一定の基準に該当する場合において、有価証券届出書の提出を行わないままに、取得勧誘を行うことはできません。
仮に、有価証券届出書の提出を行わずに取得勧誘を行った場合、処罰対象となります。
有価証券届出書の提出は、投資家にとって重要な情報源であり、投資判断を行う上で欠かせないものです。
項目 | 内容 |
---|---|
証券情報 | 発行する有価証券の種類、発行数量、発行価格、償還期限など |
企業情報 | 発行会社の事業内容、経営状況、財務状況、リスク要因など |
その他情報 | 募集・売出しの方法、手取金の使途、保証会社に関する情報など |
有価証券届出書の記載事項
有価証券届出書には、以下の項目が記載されます。
* 証券情報:発行する有価証券の種類、発行数量、発行価格、償還期限など
* 企業情報:発行会社の事業内容、経営状況、財務状況、リスク要因など
* その他の情報:募集・売出しの方法、手取金の使途、保証会社に関する情報など
まとめ
有価証券届出書は、投資家保護を目的として、発行会社が内閣総理大臣に提出する重要な開示資料です。
有価証券届出書には、投資判断に必要な情報が網羅的に記載されており、投資家は、有価証券届出書の内容を精査することで、投資判断を行うことができます。
発行会社は、一定の条件を満たす場合、有価証券届出書を提出せずに有価証券の取得勧誘を行うことはできません。
有価証券届出書は、投資家にとって重要な情報源であり、投資判断を行う上で欠かせないものです。
2. 有価証券の種類
株式
株式とは、株式会社の資本金の一部を分割したもので、株式会社の所有権を表す証券です。
株式の所有者は、株式会社の経営に参加する権利(議決権)や、会社の利益配分を受ける権利(配当金)などを有します。
株式には、上場株式と非上場株式があります。上場株式は、証券取引所に上場されており、誰でも自由に売買することができます。非上場株式は、証券取引所に上場されていないため、売買には制限があります。
株式は、投資家にとって、企業の成長に投資する手段として、重要な役割を果たしています。
種類 | 特徴 |
---|---|
上場株式 | 証券取引所に上場されており、誰でも自由に売買できる |
非上場株式 | 証券取引所に上場されていないため、売買には制限がある |
社債
社債とは、株式会社が資金調達のために発行する債券のことです。
社債の所有者は、発行会社に対して、一定の利息を受け取る権利と、償還期限に元本を返還してもらう権利を有します。
社債は、株式に比べて、リスクが低いとされています。これは、社債の所有者は、株式の所有者と比べて、会社の経営に参加する権利や、会社の利益配分を受ける権利を有していないためです。
社債は、投資家にとって、安定的な利回りを得る手段として、重要な役割を果たしています。
その他
有価証券には、株式や社債以外にも、手形、小切手、投資信託など、さまざまな種類があります。
手形や小切手は、支払いを約束する証券であり、主に企業間取引で使用されます。
投資信託は、複数の投資家から資金を集めて、株式や債券などの有価証券に投資する金融商品です。
投資信託は、投資家にとって、専門的な知識や経験がなくても、分散投資を行うことができる手段として、重要な役割を果たしています。
まとめ
有価証券には、株式、社債、手形、小切手、投資信託など、さまざまな種類があります。
それぞれの有価証券は、投資家にとって、異なるリスクとリターンを伴います。
投資家は、自分の投資目標やリスク許容度に合わせて、適切な有価証券を選択する必要があります。
有価証券への投資は、リスクを伴うため、投資を行う前に、十分な情報収集と検討を行うことが重要です。
3. 有価証券届出書の目的
投資家保護
有価証券届出書の目的は、投資家を保護することです。
投資家は、有価証券に投資する前に、発行会社に関する情報を十分に理解する必要があります。
有価証券届出書は、発行会社が投資家に開示すべき情報を網羅的に記載しており、投資家は、有価証券届出書の内容を精査することで、投資判断を行うことができます。
これにより、投資家は、発行会社に関する情報を十分に理解した上で、投資判断を行うことができるようになり、投資のリスクを軽減することができます。
市場の健全な発展
有価証券届出書は、市場の健全な発展にも貢献しています。
有価証券届出書によって、投資家への情報開示が促進され、市場の透明性が高まります。
市場の透明性が高まることで、投資家の信頼度が高まり、市場の活性化につながります。
また、有価証券届出書は、発行会社が不正行為を行うことを抑制する効果も期待できます。
企業の資金調達
有価証券届出書は、企業の資金調達を円滑に行うためにも重要です。
投資家は、有価証券届出書の内容を参考に、投資判断を行うため、発行会社は、有価証券届出書に正確な情報を記載する必要があります。
これにより、投資家の信頼を得ることができ、企業は、より多くの資金を調達することが可能になります。
有価証券届出書は、企業にとって、資金調達を行う上で、重要な役割を果たしています。
まとめ
有価証券届出書の目的は、投資家保護、市場の健全な発展、企業の資金調達を促進することです。
有価証券届出書は、投資家にとって、投資判断を行うための重要な情報源であり、市場の健全な発展に貢献しています。
また、企業にとっても、資金調達を行う上で、重要な役割を果たしています。
有価証券届出書は、投資家と企業双方にとって、重要な役割を果たす制度です。
4. 記入必須事項
発行する有価証券に関する情報
有価証券届出書には、発行する有価証券に関する情報が記載されます。
具体的には、有価証券の種類、発行数量、発行価格、償還期限、利回りなどが記載されます。
投資家は、これらの情報に基づいて、投資判断を行うことができます。
発行会社は、これらの情報を正確に記載する必要があります。
発行会社の経営状況に関する情報
有価証券届出書には、発行会社の経営状況に関する情報が記載されます。
具体的には、事業内容、経営方針、財務状況、リスク要因などが記載されます。
投資家は、これらの情報に基づいて、発行会社の将来性を判断することができます。
発行会社は、これらの情報を正確に記載する必要があります。
その他
有価証券届出書には、発行する有価証券に関する情報や発行会社の経営状況に関する情報以外にも、募集・売出しの方法、手取金の使途、保証会社に関する情報などが記載されます。
これらの情報は、投資家にとって、投資判断を行う上で、重要な情報となります。
発行会社は、これらの情報を正確に記載する必要があります。
有価証券届出書は、投資家保護を目的として作成されるため、発行会社は、これらの情報を正確に記載する必要があります。
まとめ
有価証券届出書には、発行する有価証券に関する情報、発行会社の経営状況に関する情報、その他必要な情報が記載されます。
投資家は、これらの情報に基づいて、投資判断を行うことができます。
発行会社は、これらの情報を正確に記載する必要があります。
有価証券届出書は、投資家保護を目的として作成されるため、発行会社は、これらの情報を正確に記載する必要があります。
5. 誰が提出しなければならないか
提出義務のある企業
有価証券届出書の提出義務は、一定の条件を満たす企業に課せられます。
具体的には、募集及び売出しの価額の総額が1億円以上の場合や、勧誘を行う相手方の人数が50名以上の場合などです。
また、非上場会社が新規上場を行う場合も、有価証券届出書の提出が義務付けられます。
これは、非上場会社が新規上場を行う場合、公開後には当該株式が投資家間で流通する可能性が高い一方で、公開前には当該会社の企業情報や証券情報が投資家に開示されていないためです。
基準 | 提出義務 |
---|---|
募集及び売出しの価額の総額が1億円以上 | あり |
勧誘を行う相手方の人数が50名以上 | あり |
非上場会社が新規上場を行う | あり |
発行価額の総額が1億円未満 | なし |
非開示会社の有価証券にかかる売出しであって、その総額が1億円未満 | なし |
開示会社が既に発行している有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込みの勧誘を行う | なし |
適格機関投資家や特定投資家向けに募集又は売出しを行う | なし |
提出義務のない企業
発行価額の総額が1億円未満の場合や、非開示会社の有価証券にかかる売出しであって、その総額が1億円未満の場合は、有価証券届出書の提出は不要です。
これは、このような少額の募集や売出しにまで、有価証券届出書の提出を義務づけることは過剰なものと考えられているためです。
また、仮にこのような義務を課した場合、有価証券届出書の作成や提出のために発行会社が負う経済的負担や事務負担が、資金調達で得られる額と比較して過度な物となることも、この特例が設けられている理由です。
ただし、非上場会社が新規上場を行う場合は、公開後には当該株式が投資家間で流通する可能性が高い一方で、公開前には当該会社の企業情報や証券情報が投資家に開示されていないため、有価証券届出書の提出が必要となります。
提出義務の免除
開示会社が既に発行している有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込みの勧誘を行う場合については、その売出しの規模が1億円以上であったとしても、金融商品取引法第4条第1項第3号により、有価証券届出書の提出は不要となっています。
これは、開示会社は、既に有価証券報告書などを提出しており、投資家は、発行会社に関する情報を十分に理解していると考えられるためです。
また、適格機関投資家や特定投資家は投資に関する専門知識を有する投資家であるため、あえて一般投資家等への募集又は売出しの際と同様の開示を行う必要がないことから、適格機関投資家や特定投資家等向けに募集又は売出しを行う場合は有価証券届出書の提出は不要です。
ただし、有価証券届出書の提出と開示無くして発行された有価証券が一般投資家の手に渡ってしまうと、規制の潜脱行為にもなってしまいかねないため、このような有価証券を一般投資家に転売される事が無いようにすることが求められます。
まとめ
有価証券届出書の提出義務は、発行する有価証券の種類、発行規模、勧誘対象者などによって異なります。
発行会社は、金融商品取引法の規定を理解し、有価証券届出書の提出義務の有無を判断する必要があります。
有価証券届出書の提出は、投資家保護を目的としており、発行会社は、投資家の信頼を得るために、必要な開示を行う必要があります。
投資家は、有価証券届出書の提出義務の有無を確認することで、投資判断を行うことができます。
6. 提出期限と罰則
提出期限
有価証券届出書の提出期限は、決算日から3カ月以内です。
例えば、3月末決算の企業であれば、同年6月中に提出しなければなりません。
提出期限までに提出が遅れた場合、金融商品取引法に基づき、罰則が科される可能性があります。
発行会社は、提出期限を守り、投資家に必要な情報を適切な時期に提供する必要があります。
罰則
有価証券届出書の提出義務違反や虚偽記載など、金融商品取引法に違反した場合、**10年以下の懲役または1
また、発行会社は、その代表者が法人の財産や業務に関する虚偽記載を行った場合は、金融商品取引法第207条に則り、最大で7億円の罰金が科される可能性があります。
さらに、虚偽記載のある有価証券届出書を提出した発行会社は、募集に応じてその有価証券届出書の対象となる株式等を取得した者に対しては、損害賠償責任を負うことになります。
発行会社は、金融商品取引法の規定を遵守し、正確な情報を投資家に提供する必要があります。
訂正有価証券届出書
有価証券届出書の提出日以降、当該有価証券届出書の効力が発生する以前において、有価証券届出書に記載すべき重要な事項に関して変更等が発生したために、訂正が必要となった場合は、金融商品取引法第7条に基づき、訂正有価証券届出書の提出を行う必要があります。
主な訂正事項及びその効力発生までに要する期間は以下のとおりです。
* 発行価格等の変更:訂正有価証券届出書の提出日またはその翌日に届出の効力が発生します。
* 株式の発行数や社債の券面総額の変更:提出後、行政機関の休日を除いて3日を空けた日、すなわち、提出の翌日から起算して4日目に効力が発生します。
変更事項 | 効力発生までの期間 |
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発行価格等の変更 | 訂正有価証券届出書の提出日またはその翌日 |
株式の発行数や社債の券面総額の変更 | 提出後、行政機関の休日を除いて3日を空けた日 |
手取金の使途や事業等のリスク等に関して、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす恐れのある変更 | 提出後、行政機関の休日を除いて3日を空けた日 |
まとめ
有価証券届出書の提出期限は、決算日から3カ月以内であり、提出期限までに提出が遅れた場合、罰則が科される可能性があります。
また、有価証券届出書に虚偽記載など、金融商品取引法に違反した場合、懲役または罰金が科される可能性があります。
発行会社は、金融商品取引法の規定を遵守し、正確な情報を投資家に提供する必要があります。
投資家は、有価証券届出書の内容を精査することで、投資判断を行うことができます。
参考文献
・「有価証券届出書」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
・有価証券届出書(ユウカショウケントドケデショ)とは? 意味や …
・企業内容等開示(ディスクロージャー)制度の概要 – 財務省
・有価証券届出書とは?株式用語解説 – お客様サポート – Dmm 株
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