分離課税とは?経済用語について説明

分離課税と総合課税の比較
項目	分離課税	総合課税
課税方式	特定の所得を他の所得と合算せずに計算	すべての所得を合算して計算
税率	所得の種類ごとに固定	所得が増えるほど税率が上がる累進課税
損益通算	同一区分内の所得のみ可能	すべての所得で可能
確定申告	申告分離課税は必要、源泉分離課税は不要	原則として必要
適用される主な所得	山林所得、譲渡所得、退職所得、利子所得など	事業所得、給与所得、不動産所得など

1. 分離課税の概要とは

分離課税とは何か？

分離課税とは、所得税の課税方法の一つで、特定の所得を他の所得と合算せずに、その所得のみに独自の税率を適用して税金を計算する方法です。例えば、退職所得や山林所得などが分離課税の対象となります。これらの所得が分離課税とされている理由は、特定の所得の税率を変更することで、その所得に関連する市場取引をコントロールするのが目的です。例えば、株式等の譲渡所得を下げることで、株式市場の活性化を促すなどです。退職所得などの場合は、一気に大きな金額が入るため給与所得などと合算して課税されると、納税額が大きくなってしまいます。このような状況は適切ではないという配慮のもと、税負担を軽減させるために分離課税制度が設けられています。

分離課税は、所得税の課税方法の一つで、特定の所得を他の所得と合算せずに、その所得のみに独自の税率を適用して税金を計算する方法です。例えば、退職所得や山林所得などが分離課税の対象となります。これらの所得が分離課税とされている理由は、特定の所得の税率を変更することで、その所得に関連する市場取引をコントロールするのが目的です。例えば、株式等の譲渡所得を下げることで、株式市場の活性化を促すなどです。退職所得などの場合は、一気に大きな金額が入るため給与所得などと合算して課税されると、納税額が大きくなってしまいます。このような状況は適切ではないという配慮のもと、税負担を軽減させるために分離課税制度が設けられています。

分離課税の種類
種類	説明
申告分離課税	確定申告で納税
源泉分離課税	源泉徴収で納税

分離課税の種類

分離課税には、申告分離課税と源泉分離課税の2種類があります。申告分離課税は、他の所得とは分離して税額を計算し、確定申告をして納税することです。申告分離課税の主な対象は、退職所得、山林所得、土地・建物等の不動産売却による譲渡所得、株式等の譲渡所得などが該当します。

源泉分離課税とは、所得を受け取る前に、他の所得と分離して一定の税率が課せられ、所得税が源泉徴収されていることです。源泉分離課税の場合、既に税金が引かれている、つまり納税が完結しているため、確定申告をする必要はありません。

源泉分離課税の対象となる主な所得は、「利子所得」です。具体的には、預貯金や債券の利子、配当所得のうち公社債投資信託の収益分配金、金融類似商品などの収益などが挙げられます。なお、源泉分離課税の対象となった利子等は、20%（所得税15%と住民税5%）の源泉徴収課税で課税され、受取時には税金が天引きされています。

申告分離課税とは、他の所得とは税額を分離して計算し、確定申告をして納税することです。申告分離課税の主な対象は、退職所得、山林所得、土地・建物等の不動産売却による譲渡所得、株式等の譲渡所得などが該当します。なお、上場株式等の配当所得に関しては、申告分離課税と総合課税のどちらかを選択することが可能です。この2つの課税は、適用税率に違いがあります。申告分離課税の場合は20%（所得税15%と住民税5%）、総合課税の場合は所得税5～40%（平成27年以降は上限45%）、住民税10%が適用されます。

分離課税の対象となる所得
所得の種類	説明
山林所得	山林の伐採や譲渡による所得
譲渡所得	土地、建物、株式などの売却による所得
利子所得	預貯金や債券の利子などの所得
配当所得	株式や投資信託の収益分配などの所得
退職所得	退職金や退職一時金などの所得

分離課税の対象となる所得

分離課税の対象となる所得は、山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得、所定の利子所得及び一定の先物取引による雑所得、配当所得、退職所得などが該当します。

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したことによって生じた所得、または山林を伐採しないで譲渡したことによって生じた所得、のことです。「総収入金額－必要経費－特別控除額（最高50万円）×1/2」という計算式で求めます。なお、山林を所得して5年以内の場合は、事業所得もしくは雑所得として扱われます。

譲渡所得とは、資産の譲渡で得た所得のことです。ただし、金銭債権や棚卸資産の譲渡による所得、山林の伐採または譲渡による所得は該当しません。なお、譲渡所得のうち分離課税の対象となるものは、土地、建物、借地権、株式などの譲渡です。「収入金額（所得費＋譲渡費用）－特別控除」という計算式で求めます。なお、ゴルフ場の会員権は、総合課税に該当します。

配当所得は通常であれば総合課税の対象ですが、一定のものに関しては申告分離課税を選択することができます。配当所得には、株主などが、株数や出資額に応じて法人から受ける剰余金・利息の配当、投資信託の収益分配、みなし配当、基金利息などによる所得が該当します。「収入金額－その元本を所得するために要した借入金の利子」という計算式で求めます。

まとめ

分離課税とは、特定の所得を他の所得と合算せずに、その所得のみに独自の税率を適用して税金を計算する方法です。分離課税には、申告分離課税と源泉分離課税の2種類があります。申告分離課税は、確定申告によって納税者が税額を計算し、納税する方式です。源泉分離課税は、所得を支払う者が源泉徴収を行い、納税が完了する方式です。

分離課税は、特定の所得の税率を変更することで、その所得に関連する市場取引をコントロールするのが目的です。また、退職所得などの場合は、一気に大きな金額が入るため給与所得などと合算して課税されると、納税額が大きくなってしまいます。このような状況は適切ではないという配慮のもと、税負担を軽減させるために分離課税制度が設けられています。

分離課税は、所得税の課税方法の一つで、特定の所得を他の所得と合算せずに、その所得のみに独自の税率を適用して税金を計算する方法です。分離課税には、申告分離課税と源泉分離課税の2種類があります。申告分離課税は、確定申告によって納税者が税額を計算し、納税する方式です。源泉分離課税は、所得を支払う者が源泉徴収を行い、納税が完了する方式です。

2. 分離課税のメリットについて

税負担の軽減

分離課税の最大のメリットは、税負担を軽減できることです。総合課税では、所得が増えるほど税率も高くなる累進課税が適用されます。一方、分離課税では、所得額に関係なく各所得で定められた税率が適用されるため、負担が軽減します。

例えば、退職所得は分離課税の対象ですが、総合課税で計算すると、他の所得と合算されて高額な税金が課せられてしまう可能性があります。しかし、分離課税では、退職所得のみで計算されるため、税負担が軽減されます。

また、株式等の譲渡所得も分離課税の対象です。株式を売却して得た利益は、総合課税で計算すると、他の所得と合算されて高額な税金が課せられてしまう可能性があります。しかし、分離課税では、株式の譲渡所得のみで計算されるため、税負担が軽減されます。

分離課税は、所得額に関係なく各所得で定められた税率が適用されるため、負担が軽減します。

分離課税による税負担軽減
ケース	総合課税	分離課税
退職所得	他の所得と合算され高額な税金	退職所得のみで計算され税負担軽減
株式譲渡所得	他の所得と合算され高額な税金	株式譲渡所得のみで計算され税負担軽減

税額の予測可能性

分離課税では、税率が固定されているため、税額を予測しやすくなります。総合課税では、他の所得と合算して税額が計算されるため、税額がどれくらいになるのか、事前に把握することが難しい場合があります。

例えば、土地を売却した場合、大抵は金額が大きくなりがちです。そういった場合、総合課税だと他の所得が決まるまで税率もわかりませんから、どれだけの税金を払うことになるか予測がしづらくなります。

一方、分離課税では、あらかじめ税率が決まっているため、確定申告の時期を待たずしてすぐに税額が計算できるわけです。

経済活性化への貢献

分離課税は、特定の所得の税率を下げることで、その所得に関する取引を活性化させる効果も期待できます。例えば、株式等の譲渡所得を分離課税にすることで、株式市場の活性化を促す効果が期待できます。

また、山林所得を分離課税にすることで、山林の所有者が山林を売却しやすくなり、山林の有効活用を促進する効果も期待できます。

まとめ

分離課税は、税負担の軽減、税額の予測可能性、経済活性化への貢献など、様々なメリットがあります。

3. 分離課税のデメリットとは

損益通算の制限

分離課税の最大のデメリットは、他の所得との損益通算ができないことです。損益通算とは、株取引などで1年を通じて損失が出た場合に他の所得と損失を相殺できる仕組みです。損失を相殺することで課税対象となる所得金額を抑えることができることから、損益通算は節税の一つの手段とされています。

例えば、A社の株式を売却して50万円の利益があった一方で、B社の株式の売却で損失が20万円出た場合、これらを相殺した30万円が課税対象の所得となります。ただし、利子所得や配当所得などは計算上マイナスになることがないため、損益通算の対象にはなりません。

分離課税では、損益通算できる所得が同一区分内の所得に限定されていることに注意が必要です。例えば、同じ譲渡所得であっても株式の売却損と不動産の譲渡所得を損益通算することはできません。

計算の複雑さ

分離課税では、所得ごとに税率が異なっていることに加え、損益通算ができる場合とそうでない場合を考慮する必要があり、分離課税か総合課税のどちらがより節税につながるかはケースバイケースです。自分での判断が難しい場合は、税理士などの専門家に確認を依頼するとよいでしょう。

制度の複雑さ

分離課税は、総合課税に比べて制度が複雑です。そのため、分離課税の対象となる所得がある場合、確定申告の手続きが複雑になる可能性があります。

まとめ

分離課税は、他の所得との損益通算ができない、計算が複雑、制度が複雑など、いくつかのデメリットがあります。

4. 分離課税と統合課税の比較

課税方式の違い

総合課税は、対象となる所得をすべて合算して所得税を計算します。一方、分離課税は総合課税のように他の所得と合算せず、他の所得と分離して所得税を計算し、申告するため申告分離課税といいます。

課税方式の比較
項目	分離課税	総合課税
課税方式	特定の所得を他の所得と合算せずに計算	すべての所得を合算して計算

税率の違い

総合課税では、所得が増えるほど税率も高くなる累進課税が適用されます。一方、分離課税では、所得額に関係なく各所得で定められた税率が適用されます。

税率の比較
項目	分離課税	総合課税
税率	所得の種類ごとに固定	所得が増えるほど税率が上がる累進課税

損益通算の可否

総合課税では、損益通算が可能です。損益通算とは、株取引などで1年を通じて損失が出た場合に他の所得と損失を相殺できる仕組みです。損失を相殺することで課税対象となる所得金額を抑えることができることから、損益通算は節税の一つの手段とされています。

分離課税では、他の所得との損益通算ができません。例えば、不動産を売却して損失が出た場合、その損失を他の所得から差し引くことは許されません。

損益通算の可否
項目	分離課税	総合課税
損益通算	同一区分内の所得のみ可能	すべての所得で可能

まとめ

総合課税と分離課税は、課税方式、税率、損益通算の可否など、いくつかの点で異なります。

総合課税は、所得が増えるほど税率も高くなる累進課税が適用されます。一方、分離課税では、所得額に関係なく各所得で定められた税率が適用されます。

総合課税では、損益通算が可能です。分離課税では、他の所得との損益通算ができません。

総合課税と分離課税は、課税方式、税率、損益通算の可否など、いくつかの点で異なります。

5. 分離課税の国内外での事例

日本の分離課税

日本では、山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得、所定の利子所得及び一定の先物取引による雑所得、配当所得、退職所得などが分離課税の対象となっています。

山林所得は、山林を伐採して譲渡したことによって生じた所得、または山林を伐採しないで譲渡したことによって生じた所得、のことです。「総収入金額－必要経費－特別控除額（最高50万円）×1/2」という計算式で求めます。なお、山林を所得して5年以内の場合は、事業所得もしくは雑所得として扱われます。

日本の分離課税の対象となる主な所得
所得の種類	説明
山林所得	山林の伐採や譲渡による所得
譲渡所得	土地、建物、株式などの売却による所得
利子所得	預貯金や債券の利子などの所得
配当所得	株式や投資信託の収益分配などの所得
退職所得	退職金や退職一時金などの所得

海外の分離課税

海外でも、分離課税制度は導入されています。例えば、アメリカでは、資本利得税という分離課税制度が導入されています。資本利得税は、株式や不動産などの資産の売却によって得られる利益に対して課税される税金です。

アメリカでは、資本利得税は、長期保有資産と短期保有資産で税率が異なります。長期保有資産は、1年以上保有した資産を指し、短期保有資産は1年未満保有した資産を指します。長期保有資産の売却益に対する税率は、短期保有資産の売却益に対する税率よりも低くなっています。

また、イギリスでは、キャピタルゲイン税という分離課税制度が導入されています。キャピタルゲイン税は、株式や不動産などの資産の売却によって得られる利益に対して課税される税金です。

イギリスでは、キャピタルゲイン税は、個人と法人によって税率が異なります。個人は、キャピタルゲイン税の税率が、法人よりも低くなっています。

アメリカの分離課税
税金の種類	説明
資本利得税	株式や不動産などの資産の売却によって得られる利益に対して課税される税金
キャピタルゲイン税	株式や不動産などの資産の売却によって得られる利益に対して課税される税金