項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 医学的妥当性や経済性などを考慮した医薬品の使用方針 |
目的 | 患者に良質な薬物療法を提供すること |
種類 | 院内フォーミュラプラン、地域フォーミュラプラン |
歴史 | 米国で1990年代から導入、日本では導入が遅れている |
計算方法 | 有効性、安全性、経済性などを考慮して計算 |
応用例 | 病院、地域における薬物療法の標準化、効率化、コスト削減 |
重要性 | 医療費抑制効果、薬物療法の質の向上、医療従事者の業務効率化 |
今後の展望 | 政府による導入促進、医療機関、製薬企業、薬局への影響 |
1. フォーミュラプランの定義とは
フォーミュラプランとは何か?
フォーミュラプランとは、医療機関や地域において、医学的妥当性や経済性などを考慮して作成された医薬品の使用方針のことです。日本では厳密な定義はありませんが、米国病院薬剤師会では、「疾患の診断、予防、治療や健康増進に対して、医師をはじめとする薬剤師・他の医療従事者による臨床的な判断を表すために必要な、継続的にアップデートされる薬のリストと関連情報」と定義されています。
フォーミュラプランは、薬のリストに加え、関連情報が併記されることで、医療従事者がより良い判断ができるよう工夫されています。例えば、薬の有効性や安全性、副作用情報、投与量、価格などが記載されます。
日本では、フォーミュラプランに関する研究や教育を推進することを目的として、日本フォーミュラリ学会が設立されました。
フォーミュラプランは、医療機関や地域で標準的な薬物治療を推進するために活用されます。
フォーミュラプランの目的
フォーミュラプランの目的は、患者に良質な薬物療法を提供することです。最新の科学的なエビデンスに基づき、医学的・薬学的な観点のほか経済性なども踏まえて、地域における関係者の協働の下で作成・運用されるものです。
フォーミュラプランでは、疾患領域等に応じて使用される医薬品を示しますが、これにより医薬品の使用(処方)が制限されるものではありません。医学・薬学的な理由により必要と判断される場合には、これ以外の医薬品を使用することも可能です。
患者に薬物療法を提供する際には、各疾患領域において学会等が策定する診療ガイドラインを参照しつつ、フォーミュラプランも適宜活用することで、それぞれの患者に最適な薬物療法を提供することが可能となります。
フォーミュラプランは、医療現場における薬物療法の質の向上と効率化に貢献する重要なツールです。
フォーミュラプランの種類
フォーミュラプランには、作成主体によって、「院内フォーミュラプラン」と「地域フォーミュラプラン」の2種類があります。
院内フォーミュラプランは、病院やクリニックなどの医療機関が独自に作成するフォーミュラプランです。
地域フォーミュラプランは、地域全体で共通の薬物療法の指針として作成されるフォーミュラプランです。
地域フォーミュラプランは、複数の医療機関や薬局が連携して作成されるため、院内フォーミュラプランよりも作成が複雑になる傾向があります。
種類 | 説明 |
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院内フォーミュラプラン | 病院やクリニックなどの医療機関が独自に作成 |
地域フォーミュラプラン | 地域全体で共通の薬物療法の指針として作成 |
まとめ
フォーミュラプランは、医療機関や地域において、医学的妥当性や経済性などを考慮して作成された医薬品の使用方針です。
フォーミュラプランは、患者に良質な薬物療法を提供することを目的としており、医療現場における薬物療法の質の向上と効率化に貢献する重要なツールです。
フォーミュラプランには、作成主体によって、院内フォーミュラプランと地域フォーミュラプランの2種類があります。
フォーミュラプランは、医療現場における薬物療法の標準化、効率化、コスト削減に貢献する可能性を秘めています。
2. フォーミュラプランの歴史
フォーミュラプランの起源
フォーミュラプランは、米国で1990年代から導入され始めました。
米国では、医療費の高騰が社会問題化しており、その対策としてフォーミュラプランが導入されました。
フォーミュラプランは、医療費の抑制効果だけでなく、薬物療法の質の向上にも貢献することが期待され、多くの医療機関で導入されるようになりました。
フォーミュラプランは、その後、欧州など世界各国に広がっていきました。
日本のフォーミュラプラン導入の現状
日本では、フォーミュラプランの導入は遅れており、2023年現在、導入率は10%以下です。
しかし、近年、医療費の高騰や後発医薬品の使用促進などの課題から、フォーミュラプランの導入が注目されています。
2024年度から始まる第4期医療費適正化計画において、後発医薬品の使用促進のための施策の1つとして、フォーミュラプランの策定が明記されました。
政府は、フォーミュラプランの導入を促進することで、医療費の抑制と薬物療法の質の向上を目指しています。
フォーミュラプラン導入の課題
日本では、フォーミュラプランの導入には、いくつかの課題があります。
まず、医療機関におけるフォーミュラプラン導入の障壁として、関連する診療科の医師の同意取得、検討チームの設立、作成・改定時のデータの収集および分析などに係る業務に対するマンパワー不足が挙げられます。
また、院内ルール整備が困難なことに加え、診療報酬としての加算算定がないことも背景にあります。
さらに、地域フォーミュラプランは、複数の医療機関や薬局が連携して作成されるため、院内フォーミュラプランよりも作成が複雑になる傾向があります。
まとめ
フォーミュラプランは、米国で1990年代から導入され始め、その後、欧州など世界各国に広がっていきました。
日本では、フォーミュラプランの導入は遅れていましたが、近年、医療費の高騰や後発医薬品の使用促進などの課題から、フォーミュラプランの導入が注目されています。
フォーミュラプランの導入には、医療機関におけるマンパワー不足や診療報酬上の評価などが課題として挙げられます。
しかし、フォーミュラプランは、医療費の抑制と薬物療法の質の向上に貢献する可能性を秘めており、今後、導入が進むことが期待されます。
3. フォーミュラプランの計算方法
フォーミュラプランの作成プロセス
フォーミュラプランの作成プロセスは、以下の手順で行われます。
まず、作成主体となる組織が設立され、医師、薬剤師、他の医療従事者などからなる検討チームが結成されます。
検討チームは、最新のエビデンスに基づき、有効性、安全性、経済性などを考慮して、フォーミュラプランに収載する医薬品を決定します。
フォーミュラプランが作成された後は、定期的に見直しが行われ、必要に応じて更新されます。
手順 | 内容 |
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1. 組織設立 | 作成主体となる組織を設立 |
2. 検討チーム結成 | 医師、薬剤師、他の医療従事者などからなる検討チームを結成 |
3. 医薬品選定 | 最新のエビデンスに基づき、有効性、安全性、経済性などを考慮して、フォーミュラプランに収載する医薬品を決定 |
4. フォーミュラプラン作成 | 検討チームが作成 |
5. 定期的な見直し | 必要に応じて更新 |
フォーミュラプランの評価指標
フォーミュラプランの評価指標には、以下のものがあります。
・薬物療法の質の向上:患者の転帰や副作用発生率などの指標で評価されます。
・医療費の抑制:薬剤費や医療費全体の削減効果で評価されます。
・患者の満足度:患者の満足度調査などで評価されます。
指標 | 説明 |
---|---|
薬物療法の質の向上 | 患者の転帰や副作用発生率などの指標で評価 |
医療費の抑制 | 薬剤費や医療費全体の削減効果で評価 |
患者の満足度 | 患者の満足度調査などで評価 |
フォーミュラプランの計算方法
フォーミュラプランの計算方法は、作成主体によって異なります。
一般的には、以下の要素を考慮して計算されます。
・医薬品の有効性:臨床試験データや文献情報などを参考に評価されます。
・医薬品の安全性:副作用情報やリスク管理計画などを参考に評価されます。
まとめ
フォーミュラプランの作成プロセスは、検討チームによる医薬品の選定、評価、決定、更新という手順で行われます。
フォーミュラプランの評価指標には、薬物療法の質の向上、医療費の抑制、患者の満足度などがあります。
フォーミュラプランの計算方法は、作成主体によって異なりますが、一般的には、医薬品の有効性、安全性、経済性などを考慮して計算されます。
フォーミュラプランは、医療現場における薬物療法の質の向上と効率化に貢献する重要なツールです。
4. フォーミュラプランの応用例
病院におけるフォーミュラプランの活用
病院では、フォーミュラプランは、院内における薬物療法の標準化、効率化、コスト削減に活用されています。
例えば、浜松医科大学医学部附属病院では、経済面だけでなく、採用している薬剤の治療効果や注意点などを評価後、院内フォーミュラプランを作成しています。
同院では、事前に薬剤の評価をすることで、経済面に加え、質と安全性の高い薬物療法を効率的に実施できるよう努めています。
また、院内部門や委員会、診療科、薬剤部といったさまざまな職種や立場の医療従事者と連携して作成していることから、あらゆる視点で薬剤を評価し、フォーミュラプランとして推奨する薬剤を選択しているのも特徴です。
地域におけるフォーミュラプランの活用
地域では、フォーミュラプランは、複数の医療機関や薬局が連携して作成され、地域全体で共通の薬物療法の指針として活用されています。
例えば、山形県酒田市の地域医療連携推進法人である日本海ヘルスケアネットは、病院機構や医師会、薬剤師会などと連携して、病院や診療所などが活用できる地域フォーミュラプランを作成しています。
地域医療連携推進法人とは、都道府県知事が認定している法人で、地域における医療機関がお互いに機能を分担したり業務を連携したりできるようサポートすることを目的とした一般社団法人です。
日本海ヘルスケアネットでは、地域フォーミュラプランの作成のための運営フローチャートを設け、薬局薬剤師や病院薬剤師が薬剤の選定を行い、医師会長や薬剤師会長、総合病院長などが地域フォーミュラプランの作成を行います。
フォーミュラプランの活用事例
フォーミュラプランは、医療現場における薬物療法の質の向上と効率化に貢献する可能性を秘めています。
例えば、聖マリアンナ医科大学病院では、重症例や難治症例に対しての有用な新薬を使用できる環境を維持するため、既存治療のある薬剤は費用対効果を重視し、フォーミュラプランを作成しています。
同院では、フォーミュラプラン小委員会を設置し、薬事医院長(副病院長)、診療科薬事委員、病棟薬剤師、医薬品情報科薬剤師で構成されています。
同種同効薬のある新薬を採用する場合に委員会を通して審議を行い、フォーミュラプランに収載する薬剤を決定しています。
医療機関 | 目的 | 特徴 |
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浜松医科大学医学部附属病院 | 経済面だけでなく、治療効果や注意点などを評価 | さまざまな職種や立場の医療従事者と連携して作成 |
聖マリアンナ医科大学病院 | 重症例や難治症例に対しての有用な新薬を使用できる環境を維持 | フォーミュラプラン小委員会を設置し、薬事医院長、診療科薬事委員、病棟薬剤師、医薬品情報科薬剤師で構成 |
日本海ヘルスケアネット | 病院や診療所などが活用できる地域フォーミュラプランを作成 | 病院機構や医師会、薬剤師会などと連携 |
まとめ
フォーミュラプランは、病院や地域において、薬物療法の標準化、効率化、コスト削減に活用されています。
病院では、院内フォーミュラプランを作成することで、薬剤の評価を行い、質と安全性の高い薬物療法を効率的に実施できるよう努めています。
地域では、地域フォーミュラプランを作成することで、複数の医療機関や薬局が連携し、地域全体で共通の薬物療法の指針を共有することができます。
フォーミュラプランは、医療現場における薬物療法の質の向上と効率化に貢献する可能性を秘めており、今後、導入が進むことが期待されます。
5. フォーミュラプランの重要性
医療費抑制効果
フォーミュラプランは、医療費抑制効果が期待されています。
フォーミュラプランでは、有効性、安全性、経済性などを考慮して、医薬品が選定されます。
そのため、高額な医薬品よりも、安価で効果の高い医薬品が優先的に使用されるようになり、医療費の削減につながります。
健康保険組合連合会の試算では、3大生活習慣病治療薬の降圧薬、脂質異常症治療薬、血糖降下薬の3剤のみで計3
薬物療法の質の向上
フォーミュラプランは、薬物療法の質の向上にも貢献します。
フォーミュラプランでは、最新のエビデンスに基づいて、医薬品が選定されます。
そのため、患者にとってより効果的で安全な薬物療法を提供することが可能になります。
また、フォーミュラプランは、医師や薬剤師の薬物療法に関する知識や理解を深める効果も期待できます。
医療従事者の業務効率化
フォーミュラプランは、医療従事者の業務効率化にも貢献します。
フォーミュラプランでは、医薬品の選定基準が明確化されるため、医師や薬剤師は、薬物療法に関する判断を迅速に行うことができます。
また、フォーミュラプランは、薬物療法に関する情報共有を促進し、医療従事者間の連携を強化する効果も期待できます。
フォーミュラプランは、医療従事者の負担軽減にもつながります。
まとめ
フォーミュラプランは、医療費抑制効果、薬物療法の質の向上、医療従事者の業務効率化など、多くのメリットをもたらす可能性を秘めています。
フォーミュラプランは、医療現場における薬物療法の質の向上と効率化に貢献する重要なツールです。
フォーミュラプランは、医療費の高騰や後発医薬品の使用促進などの課題解決に役立つ可能性を秘めており、今後、導入が進むことが期待されます。
フォーミュラプランは、医療現場だけでなく、製薬企業や地域の薬局など、さまざまなステークホルダーに影響を与える可能性があります。
6. フォーミュラプランの今後の展望
フォーミュラプラン導入の促進
政府は、フォーミュラプランの導入を促進することで、医療費の抑制と薬物療法の質の向上を目指しています。
厚生労働省は、2023年7月7日にフォーミュラプランの運用に関する通知文を発出しました。
この通知文では、フォーミュラプラン導入の目的を「有効性・安全性・経済性を踏まえ、患者にとって最適な薬物療法を提供すること」と定義しており、医薬品の処方を制限するものではないとしています。
また、最新の情報に基づく更新の必要性や利益相反への対応、運用状況の公表など適時の情報開示を促し、透明性の担保に留意することを明記しています。
フォーミュラプラン導入による影響
フォーミュラプランの導入は、医療機関だけでなく、製薬企業や地域の薬局など、さまざまなステークホルダーに影響を与えると考えられます。
製薬企業は、フォーミュラプランに収載される医薬品の需要が高まることを想定し、効率的な生産・供給体制を確立する必要があります。
また、フォーミュラプランで推奨される医薬品は基本的には有効性と安全性により評価されますが、経済性(薬剤費の削減)も重要な観点の1つになります。
そのため、製薬企業は、新たな収益源となる事業を検討する必要があると考えられます。
ステークホルダー | 影響 |
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製薬企業 | 需要増加、生産・供給体制の強化、新たな収益源の検討 |
薬剤師 | プレゼンス向上、タスクシフトの検討 |
医療機関 | 薬物療法の標準化、効率化、コスト削減 |
患者 | 治療アウトカムの向上、QOL向上 |
フォーミュラプランの未来
フォーミュラプランは、医療現場における薬物療法の質の向上と効率化に貢献する可能性を秘めています。
フォーミュラプランは、医療費の高騰や後発医薬品の使用促進などの課題解決に役立つ可能性を秘めており、今後、導入が進むことが期待されます。
フォーミュラプランは、医療現場だけでなく、製薬企業や地域の薬局など、さまざまなステークホルダーに影響を与える可能性があります。
フォーミュラプランは、医療現場における薬物療法の質の向上と効率化に貢献する重要なツールです。
まとめ
フォーミュラプランは、医療現場における薬物療法の質の向上と効率化に貢献する可能性を秘めています。
フォーミュラプランは、医療費の高騰や後発医薬品の使用促進などの課題解決に役立つ可能性を秘めており、今後、導入が進むことが期待されます。
フォーミュラプランは、医療現場だけでなく、製薬企業や地域の薬局など、さまざまなステークホルダーに影響を与える可能性があります。
フォーミュラプランは、医療現場における薬物療法の質の向上と効率化に貢献する重要なツールです。
参考文献
・フォーミュラ・プランとは? わかりやすく解説 – Weblio 辞書
・フォーミュラ・プラン | 金融・証券用語解説集 | 大和証券
・わかりやすい用語集 解説:フォーミュラ・プラン(ふぉーみゅ …
・フォーミュラ・プランとは?株式用語解説 – お客様サポート – Dmm 株
・フォーミュラ(formula)とは? 意味・読み方・使い方をわかり …
・PCEデフレーターとは?経済指標の基本を解説 | sasa-dango
・フォーミュラ・プラン|企業年金(運用編)の用語集|りそな …
・PDF フォーミュラリの運用について – 地方厚生(支)局
・顧客本位の「よいfp」を見極める3つの方法 – 東洋経済オンライン
・PDF 事務局説明資料 (スタートアップについて) – 経済産業省
・フォーミュラリとは?意味やメリット、課題、導入事例を紹介 …