Fedとは?経済用語について説明

1. Fedとは何か

FEDとFRBの違い

FEDは\”Federal Reserve System\”の略称で、アメリカ合衆国の中央銀行制度全体を指します。一方、FRBは\”Federal Reserve Board\”の略称で、FEDの最高意思決定機関である連邦準備制度理事会を指します。FEDは、FRBの他に、FOMC（連邦公開市場委員会）や連邦準備銀行で構成されています。

FEDは、アメリカの中央銀行制度そのものを指し、FRBは実際に意思決定を行う組織です。FRBは、7人の理事によって構成され、議長は大統領が指名します。

FRBは、FEDの最高意思決定機関であり、金融政策の実施等を行うほか、全米12地区の地区連銀を統括しています。

FRBは、連邦準備制度理事会を指す場合と、連邦準備銀行を指す場合があり、混同しやすい点に注意が必要です。

FEDとFRBの違い
項目	FED	FRB
意味	アメリカ合衆国の中央銀行制度	連邦準備制度理事会
役割	制度全体	意思決定機関
構成	FRB、FOMC、連邦準備銀行	理事7人
例	Federal Reserve System	Federal Reserve Board

連邦準備銀行

米国には12の連邦準備銀行（地区連銀）が存在し、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、シカゴ、セントルイス、ミネアポリス、カンザスシティ、ダラス、サンフランシスコのそれぞれに設置されています。

州の独立性が強い米国では、日本とは違い、中央銀行の機能を分散させることで、国の金融制度をうまく機能させようとしているのだ。加えて、ひとつの州だけに中央銀行を置くと、その州の影響力が高まってしまうので、それを防ぐという意味合いもある。

各地区連銀は、FRBの監督のもと、形式的には独立した株式会社です。民間銀行は、所轄の地区連銀に準備預金を積み立てる義務と、そこから借り入れを受ける特権を有していることから、全ての民間銀行は実質的に地区連銀の管轄下にあります。

地区連銀の総裁は地区の代表としてFOMCに出席することになっています。

連邦準備銀行
地区	連邦準備銀行
第1地区	ボストン
第2地区	ニューヨーク
第3地区	フィラデルフィア
第4地区	クリーブランド
第5地区	リッチモンド
第6地区	アトランタ
第7地区	シカゴ
第8地区	セントルイス
第9地区	ミネアポリス
第10地区	カンザスシティ
第11地区	ダラス
第12地区	サンフランシスコ

FOMC

FOMCは、FRBの理事7人と、12地区の連邦準備銀行総裁のうち5人が投票権を持つ会合です。

FOMCは、FRBの金融政策を決定するための重要な会議です。

FOMCで決定された金融政策をそれぞれの地区連銀で実行する仕組みです。

FOMCは、米国の雇用の最大化、物価の安定、長期的な金利の見直しを目的として開催されます。

FOMCの構成
メンバー	人数	投票権
FRB理事	7人	あり
地区連邦準備銀行総裁	5人	あり
その他地区連邦準備銀行総裁	7人	なし

まとめ

FEDは、アメリカ合衆国の中央銀行制度全体を指し、FRBはFEDの最高意思決定機関である連邦準備制度理事会を指します。

FRBは、7人の理事によって構成され、議長は大統領が指名します。

米国には12の連邦準備銀行（地区連銀）が存在し、各地区連銀はFRBの監督のもと、形式的には独立した株式会社です。

FOMCは、FRBの理事7人と、12地区の連邦準備銀行総裁のうち5人が投票権を持つ会合で、米国の雇用の最大化、物価の安定、長期的な金利の見直しを目的として開催されます。

2. Fedの役割と機能

FRBの使命

FRBには果たすべき使命が2つ存在します。それは\”雇用の最大化\”と\”物価の安定\”です。

この2つを達成するためにFRBは金融政策を調整しています。

FRBの使命は、リーマン・ショックによって損なわれたため、政府と中央銀行が景気浮揚策を打つのは一見、当たり前のように感じるが、FRBからすると、2つの使命を果たすために行動していたわけだ。

現在の米国は、完全雇用状態にあると言われている。言い換えれば、FRBの\”雇用の最大化\”の使命は果たしている状態とも言えるだろう。もう一つの使命である\”物価の安定\”に関しても、直近の物価上昇率は、FRBがターゲットしているプラス2%の近辺を推移している。

FRBの使命
使命	説明
雇用の最大化	失業率を低く抑え、雇用機会を増やす
物価の安定	インフレ率を目標水準に維持する

金融政策の手段

FRBは、政策金利を大胆に下げ、さらに大量にお金を発行する（マネタリーベースを拡大する）ことによって、企業や個人にお金が行きわたり、消費や設備投資が活発になるようにした。

FRBは、金利の引き上げや引き下げで、経済や物価、雇用などを調整します。

経済成長のスピードが速すぎれば金利を引き上げ、経済成長に陰りが見えたり、景気後退に陥ったりすれば金利を引き下げます。

これにより\”雇用の最大化\”と\”物価の安定\”を促進することを目指しています。

金融政策の手段
手段	説明
金利操作	政策金利の引き上げ・引き下げにより、経済活動を調整する
量的緩和	国債などの金融資産を買い入れ、市場に資金を供給する
量的引き締め	国債などの金融資産を売却し、市場から資金を回収する

量的緩和

量的緩和（Quantitative Easing）とは、マネタリーベース（市場に供給されるお金）の\”量\”を操作目標として、市場に大量の資金を供給する金融緩和政策のことです。

QEの目的は、長期金利を引き下げることです。低金利による経済の活性化、株価や住宅といった資産価格の上昇を狙います。

FEDが債券を買い入れることで、長期金利を引き下げます。

これにより市場の総資産が増加するため、相対的に米ドルの価値が下がり売られやすくなります。

まとめ

FRBは、アメリカ合衆国の中央銀行であるFEDの中核組織です。

FRBの主な役割は、FED全体の政策立案を行うことです。

FRBは、金融政策を調整することで、\”雇用の最大化\”と\”物価の安定\”という2つの使命を果たしています。

FRBは、政策金利を操作し、金融市場における流動性と信用条件を調整することで、経済成長率を最適化し、インフレとデフレを制御し、経済全体の安定を図ります。

3. Fedの権限と構成

FRBの構成

FRB（連邦準備制度理事会）を構成するのは、理事7人（うち、議長1人・副議長1人）です。

理事の任期は14年で、議長、副議長の任期は4年です。

いずれも大統領により指名された後、上院で承認され、正式に就任します。

RBメンバーの交代、特に議長が交代となる場合は、次の人選に関する報道で FX市場が過敏に反応することがあります。

FRBの構成
役職	人数	任期
理事	7人	14年
議長	1人	4年
副議長	1人	4年

連邦準備銀行

連邦準備銀行（Federal Reserve Bank）を指す場合もあります。

連邦準備制度理事会の監督のもと、全米12の地区ごとに置かれる連邦準備銀行（地区連銀）は、形式的には独立した株式会社です。

地区連銀の構成には、米国の地方分権主義の流れが色濃く残っています。

民間銀行は、所轄の地区連銀に準備預金を積み立てる義務と、そこから借り入れを受ける特権を有していることから、全ての民間銀行は実質的に地区連銀の管轄下にあります。

連邦準備銀行
地区	連邦準備銀行
第1地区	ボストン
第2地区	ニューヨーク
第3地区	フィラデルフィア
第4地区	クリーブランド
第5地区	リッチモンド
第6地区	アトランタ
第7地区	シカゴ
第8地区	セントルイス
第9地区	ミネアポリス
第10地区	カンザスシティ
第11地区	ダラス
第12地区	サンフランシスコ

FOMC

連邦公開市場委員会（Federal Open Market Committee）、略してFOMCは日銀の政策委員会に相当する最高意思決定機関です。

FOMCは年に8回、約6週間ごとにワシントンの理事会会議室で開催されます（※ただし、新型コロナウイルス感染拡大時のロックダウンなど、緊急時には電話会議が行われます）。

金融調節の代表的手段である公開市場操作の基本方針は、FOMCで決定されます。

FOMCで投票権を有する参加者は、下記の12名です。

まとめ

FRBは、7名の理事から構成され、その理事の中から1名のFRB議長、2名（金融政策担当、銀行監督担当）のFRB副議長が任命されます。

連邦準備銀行は、FRBの監督のもと、全米12の地区ごとに置かれる形式的には独立した株式会社です。

FOMCは、FRBの理事全員（7名）、地区連銀から総裁5名（1名はニューヨーク連銀総裁が常任、4名はその他11地区の連銀総裁が1年交代の輪番で務める）の計12名の単純多数決で、金融政策を決定します。

FOMCは、年に8回開催され、開催の直後に、現在の景況判断と政策金利（FF金利）の上げ下げなどの方針が、声明文として発表されます。

4. Fedと金融市場の関係

金利とその他の指標との関係性

FOMCを理解する上で欠かせないのが、金利とその他の指標との関係性です。

理論上では、金利が変化すると以下のようなことが起こるとされています。

ここではわかりやすいように、FOMCで利上げの方針が決定した場合を考えてみましょう。

アメリカで利上げが決定されると、アメリカ国内の金利が上昇します。金利が高い通貨は保有メリットが大きいため、需要が高まります。このため、ドルに買い注文が集まり、ドル高円安を引き起こします。

FOMCが日本で注目される理由

それではなぜ、FOMCは日本においても注目されるのでしょうか。

その理由は以下の3点です。

アメリカの利上げ、利下げの判断により為替が変動するため、FOMCの動向は日本の輸出入にも影響を与えます。

特に影響を受けるのは輸入サイドです。

FOMCが日本で注目される理由
理由	説明
株価への影響	FOMCの決定は、アメリカの株価に影響を与え、それが日本の株価にも波及する
為替への影響	FOMCの決定は、ドル円の為替レートに影響を与え、日本の輸出入に影響を与える
世界経済への影響	FOMCの決定は、世界経済の動向に影響を与え、日本の経済にも影響を与える

FOMCの影響

FOMCが影響を与えるのは日本経済だけではありません。

利上げ、利下げが進むことで世界経済にも十分影響を及ぼします。

例えば、アジア経済は新型コロナウイルスの影響により被害を受けつつも、2021年は成長率を + 7.1%と順調に伸ばしています。

日本総研の調べによれば、2022年の経済成長率は + 5.4%となる見込みですが、アジアの安定成長を阻害するリスクが、アメリカの利上げにあると説明されています。

まとめ

FOMCは、米国の金利政策が日本のみならず、世界へも影響を与える可能性があるため、日本で注目されています。

FOMCは、アメリカの金利政策が日本のみならず、世界へも影響を与える可能性があるため、日本で注目されています。

5. Fedの歴史と重要性

FEDの歴史

米国が建国以来、分権主義を標榜し、中央集権的な組織に対して抵抗感があったため、地方分権主義の名残が残っています。

その制度の中でも、金融政策の基本方針決定に中心的な役割を果たす組織が、FRB（連邦準備制度理事会）です。

FRBの主たる任務は、下記の3つです。

FRBとは「Federal Reserve Board」の略で、米国の金融政策を策定する連邦準備制度理事会のことです。

FEDの歴史
時期	出来事
1913年	連邦準備法制定、FED設立
1970年代	スタグフレーション発生、インフレ抑制を重視するようになる
2008年	リーマンショック発生、量的緩和政策導入
2012年	インフレ目標として2%を導入
2020年	平均インフレ目標（AIT）導入
2022年	金融政策の正常化に向けた利上げ開始