配当課税とは?経済用語について説明

配当課税の種類と税率
課税方式 所得税率 住民税率 確定申告 配当控除 損益通算
申告不要制度 15.315% 5% 不要 なし なし
申告分離課税 15.315% 5% 必要 なし あり
総合課税 累進課税 10% 必要 あり なし

1. 配当課税の概要

要約

配当所得とは?

配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、投資信託などの収益の分配にかかる所得のことです。具体的には、株式の配当金、投資信託の分配金、剰余金の分配などが該当します。配当所得は、通常は他の所得と総合して課税されます。

配当所得は、企業がその年の利益から株主に分配するものであり、投資家にとって安定的な収入源となる可能性があります。しかし、配当所得は課税対象となるため、投資家は税金対策を検討する必要があります。

配当所得は、投資家にとって魅力的な要素の一つですが、税金対策を怠ると、せっかくの利益が減ってしまう可能性があります。そのため、配当所得の仕組みを理解し、適切な税金対策を検討することが重要です。

配当所得の具体例
項目 説明
法人から受ける剰余金の配当 株式会社の剰余金の配当など
法人から受ける利益の配当 合同会社・合名会社・合資会社の利益の配当など
剰余金の分配 農業協同組合への出資に対する剰余金の配当金など
投資法人から受ける金銭の分配
基金利息 相互保険会社の基金に対する利息など
公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託以外の投資信託の収益分配 ユニット型証券投資信託の期中分配金・オ-プン型証券投資信託の普通分配金など
特定受益証券発行信託の収益の分配

配当所得の計算方法

配当所得の金額は、収入金額から株式などを取得するための借入金の利子を引いて計算します。収入金額とは、所得税などを源泉徴収される前の「税込」の金額です。

配当所得の収入計上時期は、配当の種類によって異なります。例えば、上場株式の配当金は、権利確定日に収入計上されます。

配当所得を計算する場合には、配当所得の特例等に注意する必要があります。例えば、NISA口座で取得した株式の配当金は非課税となります。

配当所得の計算式
項目 計算式
配当所得 収入金額 – 株式取得のための借入金の利子

配当所得と譲渡所得の違い

配当所得と混同しやすいものに「生命保険の配当金」があります。生命保険の配当金とは、生命保険会社で予測されていた利回りや、保険加入者の死亡者数などが実際の数値と差があった場合に、余剰金が保険契約者に分配される配当金のことです。

配当金という名称ですが、投資をしているわけではないため配当所得に該当しません。生命保険の配当金は、原則として課税の対象になりません。しかし、受け取り方法や契約者と保険受取人が違った場合などにより、所得税の対象(一時所得又は雑所得)や贈与税の対象になる場合があるので注意が必要です。

「保有している株式を売却した場合の利益」も配当所得になりません。譲渡所得になりますので、配当所得とは別に計算が必要です。

配当所得と混同しやすいもの
項目 説明
生命保険の配当金 投資ではなく、保険契約者への余剰金分配
株式売却益 譲渡所得として別途計算

まとめ

配当所得は、株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、投資信託などの収益の分配にかかる所得のことです。配当所得は、収入金額から株式などを取得するための借入金の利子を引いて計算します。

配当所得には、上場株式の配当、非上場株式の配当、剰余金の分配、投資信託の分配金などがあります。

配当所得は、原則として他の所得と総合して課税されますが、確定申告をすることで、申告分離課税や配当控除などの税制上の優遇措置を受けることができます。

2. 配当課税の種類と率

要約

総合課税

総合課税とは、配当所得を他の所得と合算したうえで税額を計算する方法です。この所得には配当所得以外にも給与所得・譲渡所得・事業所得などさまざまな種類が挙げられますが、総合課税方式を選択した場合は法人(あるいは個人)が年間で獲得した所得をすべて合算したうえで所得税・住民税を計算します。

例えば、「配当所得を50万円・事業所得を800万円・譲渡所得を100万円」得たケースを想定すると、「50万円+800万円+100万円=950万円」が年間の総所得であり、この950万円に対して課税されます。

総合課税方式では、所得税率は累進課税となり、所得が多いほど税率が高くなります。

総合課税の税率
課税所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円超え 330万円以下 10%
330万円超え 695万円以下 20%
695万円超え 900万円以下 23%
900万円超え 1,800万円以下 33%
1,800万円超え 4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%

申告分離課税

申告分離課税とは、配当所得を他の所得と分離したうえで個別に税額を計算する方法です。つまり、「配当所得は配当所得・譲渡所得は譲渡所得」のもとで、それぞれ個別的に所得税・住民税を計算します。

ここで総合課税方式で取り上げたケースを用いると、配当所得の50万円を他の所得の合計900万円(事業所得800万円+譲渡所得100万円)と切り離したうえで、所得税・住民税を計算します。

申告分離課税方式では、配当所得の金額に関係なく一律で上記の税率が適用されます。住民税率は総合所得よりも低いため、申告分離課税方式を選択すると良いです。

申告分離課税の税率
税率 内訳
20.315% 所得税15.315% + 住民税5%

申告不要制度

申告不要制度とは、自身で確定申告を行わずとも自動的に課税(源泉徴収)される制度のことです。例えば、配当所得を10万円獲得したケースを想定すると、源泉徴収されたうえで手元に入金されているため、所得に関する課税関係は完結しています。

ちなみに、特定口座(源泉徴収あり)を利用して上場株式売買を行う場合には、確定申告が不要です。

この制度は、個別的に税金の計算をせずに済む点において非常にメリットの大きい制度だといえます。

申告不要制度の税率
税率 内訳
20.315% 所得税15.315% + 住民税5%

まとめ

配当所得の課税方式には、総合課税、申告分離課税、申告不要制度の3種類があります。

総合課税は、配当所得を他の所得と合算して税額を計算する方法です。申告分離課税は、配当所得を他の所得と分離して税額を計算する方法です。申告不要制度は、確定申告を行わずに源泉徴収のみで課税を完了させる方法です。

それぞれの課税方式には、メリットとデメリットがあります。

3. 配当課税の影響を受けるもの

要約

配当控除

配当控除とは、国内株式等の配当等について、総合課税分として確定申告をした場合に適用される税額控除です。

出資者がその出資先の法人から受け取る配当金は、実はすでに法人税が課税された後のお金を分配したものです。

しかし、出資者(株主)に配当の際、所得税などが源泉徴収されます。すると、法人税と所得税の二重課税という現象が起こります。この二重課税部分を出資者に還元するのが配当控除です。

配当控除の対象となる配当
対象 説明
国内上場株式の配当金 発行済株式の総数等の3%以上に相当する数または金額の株式等を有する個人(大口株主等)が支払を受ける上場株式等の配当等を除く
投資信託の普通分配金 公社債投資信託を除く
非上場株式の配当金

損益通算

損益通算とは、株式等の売却によって生じた損失を、配当所得や他の所得と相殺して税金を減らすことができる制度です。

損益通算は、申告分離課税を選択した場合にのみ適用されます。

損益通算によって、税負担を軽減することができます。

損益通算の対象となる損失
対象 説明
上場株式等の譲渡損失

少額配当

少額配当とは、非上場株式の配当金のうち、1銘柄につき1回に支払いを受ける金額が、10万円に配当計算期間の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額以下の配当金をいいます。

少額配当の場合、所得税の課税方式は「確定申告不要」または「総合課税」のうちいずれかを選ぶことができます。

少額配当は、確定申告が不要になる場合があるため、投資家にとって有利な制度です。

少額配当の条件
条件 説明
1銘柄につき1回に支払いを受ける金額 10万円×配当計算期間の月数÷12以下
配当計算期間 1年以上は12ヵ月、1ヵ月に満たない端数は1ヵ月として計算

まとめ

配当課税は、配当控除、損益通算、少額配当などの制度によって影響を受けます。

配当控除は、総合課税を選択した場合に適用される税額控除です。損益通算は、申告分離課税を選択した場合に適用される制度です。少額配当は、非上場株式の配当金が一定の金額以下の場合に、確定申告が不要になる制度です。

これらの制度を理解することで、配当所得にかかる税負担を軽減することができます。

4. 配当課税の節税方法

要約

総合課税と申告分離課税の選択

配当所得の確定申告をする際には、総合課税の他に「申告分離課税」を選択することができます。総合課税とは違い、他の所得と合計せず分離して税額を計算します。

この税額は、確定申告をしない場合と同じく20.315%で源泉徴収が行われます。

申告分離課税を申請することによって、他の上場株式等で生じた損失と損益通算をすることができるようになります。

総合課税と申告分離課税の比較
項目 総合課税 申告分離課税
税率 累進課税 20.315%
配当控除 あり なし
損益通算 なし あり

配当控除の活用

配当控除は、総合課税を選択した場合に適用される税額控除です。

配当控除を受けるためには、確定申告を行い、総合課税を選択する必要があります。

配当控除は、二重課税を解消するために設けられた制度であり、投資家にとって有利な制度です。

配当控除の計算例
課税総所得金額 配当所得 配当控除額
600万円 50万円 5万円
1,025万円 50万円 5万円
1,150万円 50万円 2.5万円

損益通算の活用

損益通算は、申告分離課税を選択した場合に適用される制度です。

損益通算によって、株式等の売却によって生じた損失を、配当所得や他の所得と相殺して税金を減らすことができます。

損益通算は、税負担を軽減する効果があります。

損益通算の計算例
配当所得 譲渡損失 損益通算後の配当所得 税金
80万円 40万円 40万円 81,260円
80万円 0万円 80万円 162,520円

まとめ

配当課税の節税方法には、総合課税と申告分離課税の選択、配当控除の活用、損益通算の活用などがあります。

総合課税と申告分離課税は、それぞれメリットとデメリットがあります。

配当控除は、総合課税を選択した場合に適用される税額控除です。損益通算は、申告分離課税を選択した場合に適用される制度です。

5. 配当課税とキャピタルゲイン

要約

キャピタルゲインとは?

キャピタルゲインとは、資産の売却によって得られる利益のことです。

株式投資では、株式の売却によって得られる利益がキャピタルゲインに該当します。

キャピタルゲインは、譲渡所得として課税されます。

配当所得とキャピタルゲインの課税の違い

配当所得とキャピタルゲインは、課税方法が異なります。

配当所得は、総合課税、申告分離課税、申告不要制度のいずれかの課税方式を選択できます。

キャピタルゲインは、譲渡所得として課税され、申告分離課税が適用されます。

配当所得とキャピタルゲインの課税方法
項目 課税方法
配当所得 総合課税、申告分離課税、申告不要制度
キャピタルゲイン 申告分離課税

配当所得とキャピタルゲインの組み合わせ

株式投資では、配当所得とキャピタルゲインの両方を獲得することができます。

配当所得は、安定的な収入源となります。キャピタルゲインは、大きな利益を生み出す可能性があります。

投資家は、配当所得とキャピタルゲインのバランスを考慮して投資戦略を立てる必要があります。

まとめ

配当所得とキャピタルゲインは、株式投資における重要な要素です。

配当所得は、安定的な収入源となります。キャピタルゲインは、大きな利益を生み出す可能性があります。

投資家は、配当所得とキャピタルゲインのバランスを考慮して投資戦略を立てる必要があります。

6. 配当課税の最新動向と予測

要約

税制改正による影響

配当課税は、近年、税制改正の影響を受けています。

2017年度の税制改正によって、総合課税、申告分離課税、申告不要制度の3つの課税方式を所得税と住民税でそれぞれ任意に選べることができるようになりました。

この改正により、投資家は、より柔軟に課税方式を選択できるようになりました。

税制改正による課税方式の選択
項目 改正前 改正後
所得税 総合課税、申告分離課税、申告不要制度 総合課税、申告分離課税、申告不要制度
住民税 総合課税、申告分離課税、申告不要制度 総合課税、申告分離課税、申告不要制度

今後の配当課税の予測

今後の配当課税は、政府の財政状況や経済状況によって変化する可能性があります。

政府は、財政状況が悪化すれば、税収を増やすために配当課税を強化する可能性があります。

経済状況が良化すれば、投資を促進するために配当課税を緩和する可能性があります。

投資家への影響

配当課税の変更は、投資家の投資戦略に影響を与える可能性があります。

税制改正によって、配当所得にかかる税負担が増加すれば、投資家は配当利回りの高い銘柄への投資を控える可能性があります。

逆に、税制改正によって、配当所得にかかる税負担が軽減されれば、投資家は配当利回りの高い銘柄への投資を積極的に行う可能性があります。

まとめ

配当課税は、政府の財政状況や経済状況によって変化する可能性があります。

投資家は、配当課税の最新動向を注視し、投資戦略を柔軟に調整する必要があります。

配当課税の変更は、投資家の投資戦略に影響を与える可能性があります。

参考文献

配当金にかかる税金、配当所得とは? | Zeimo

配当所得|総合課税・分離課税の区分と税金の計算|freee …

配当所得の課税方法|国税庁

配当所得とは?計算方法や課税方式をわかりやすく解説

配当所得とは|税金の基礎知識|iFinance

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