脱退一時金とは?経済用語について説明

脱退一時金制度の概要
項目	内容
対象者	日本国籍を有しない者
支給条件	・国民年金または厚生年金保険に加入している・老齢年金の受給資格期間（10年間）を満たしていない・障害年金などの受給権を有したことがない・日本国内に住所を有しない・最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない
支給額	国民年金または厚生年金保険の加入期間に応じて計算
支給上限	2021年4月以降は60カ月（5年）
申請書類	・脱退一時金請求書・パスポートの写し・日本国内に住所を有しないことが確認できる書類・受取先金融機関の情報・年金手帳その他基礎年金番号が確認できる書類・代理人が請求手続きを行う場合は「委任状」
提出先	日本年金機構本部または各共済組合等
提出期限	日本に住所を有しなくなった日から2年以内
支給時期	申請から約4～6カ月後

1. 脱退一時金とは
2. 脱退一時金の計算方法
3. 脱退一時金の特徴
4. 脱退一時金の税金処理
5. 脱退一時金の受給資格
6. 脱退一時金の将来展望

1. 脱退一時金とは

脱退一時金の概要

脱退一時金とは、日本国籍を有しない方が、国民年金、厚生年金保険（共済組合等を含む）の被保険者（組合員等）資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求することができる制度です。以前は支給計算に用いる月数の上限が3年（36ヵ月）でしたが、特定技能などの在留資格の上限が5年であることを踏まえ現在は5年（60ヵ月）となっています。（2021年4月時点で年金に加入していれば5年分請求が可能。）

脱退一時金は、日本で働いていた期間に納めた年金保険料の一部が返金される制度です。外国人が日本で働いた期間が短く、老齢年金の受給資格を得られない場合に、その期間に納めた年金保険料が無駄にならないように、脱退一時金が支給されます。

脱退一時金は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたかによって、計算方法が異なります。国民年金に加入していた場合は、最後に納めた保険料額と納付期間に基づいて計算されます。厚生年金に加入していた場合は、平均標準報酬額と支給率に基づいて計算されます。

脱退一時金は、日本国籍を有しない方が対象となります。日本国籍を有する方は、脱退一時金の対象外となります。

脱退一時金の概要
項目	内容
定義	日本国籍を有しない方が、国民年金、厚生年金保険（共済組合等を含む）の被保険者（組合員等）資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求することができる制度
目的	日本で働いていた期間に納めた年金保険料が無駄にならないように、その一部を返金すること
対象者	日本国籍を有しない者
支給条件	・国民年金または厚生年金保険に加入している・老齢年金の受給資格期間（10年間）を満たしていない・障害年金などの受給権を有したことがない・日本国内に住所を有しない・最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない
支給額	国民年金または厚生年金保険の加入期間に応じて計算
支給上限	2021年4月以降は60カ月（5年）
申請書類	・脱退一時金請求書・パスポートの写し・日本国内に住所を有しないことが確認できる書類・受取先金融機関の情報・年金手帳その他基礎年金番号が確認できる書類・代理人が請求手続きを行う場合は「委任状」
提出先	日本年金機構本部または各共済組合等
提出期限	日本に住所を有しなくなった日から2年以内
支給時期	申請から約4～6カ月後

脱退一時金の目的

脱退一時金の目的は、日本国籍を有しない方が、日本で働いていた期間に納めた年金保険料が無駄にならないように、その一部を返金することです。

脱退一時金制度は、外国人の労働意欲を高め、日本の経済活性化に貢献することを目的としています。

また、脱退一時金制度は、外国人が安心して日本で働ける環境を整備し、国際的な人材の流動性を促進することを目的としています。

脱退一時金制度は、外国人が日本で働いた期間に対する補償として、非常に有益な制度です。

脱退一時金と退職金の比較
項目	脱退一時金	退職金
定義	日本国籍を有しない方が、国民年金、厚生年金保険（共済組合等を含む）の被保険者（組合員等）資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求することができる制度	企業が従業員に退職時に支払う一時金
対象者	日本国籍を有しない者	日本国籍を問わず、企業の従業員
支給条件	・国民年金または厚生年金保険に加入している・老齢年金の受給資格期間（10年間）を満たしていない・障害年金などの受給権を有したことがない・日本国内に住所を有しない・最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない	企業が独自に定めた条件に基づく
支給額	国民年金または厚生年金保険の加入期間に応じて計算	企業が独自に定めた条件に基づく
支給上限	2021年4月以降は60カ月（5年）	企業が独自に定めた条件に基づく
申請書類	・脱退一時金請求書・パスポートの写し・日本国内に住所を有しないことが確認できる書類・受取先金融機関の情報・年金手帳その他基礎年金番号が確認できる書類・代理人が請求手続きを行う場合は「委任状」	企業が独自に定めた条件に基づく
提出先	日本年金機構本部または各共済組合等	企業
提出期限	日本に住所を有しなくなった日から2年以内	企業が独自に定めた条件に基づく
支給時期	申請から約4～6カ月後	企業が独自に定めた条件に基づく

脱退一時金と退職金の比較

脱退一時金は、外国人が日本で働いた期間に納めた年金保険料の一部が返金される制度です。一方、退職金は、企業が従業員に退職時に支払う一時金です。

脱退一時金は、外国人が日本を出国する際に受け取ることができる制度です。一方、退職金は、日本国籍を問わず、企業の従業員が退職時に受け取ることができる制度です。

脱退一時金は、年金保険料の返金という性格を持つため、退職金よりも金額が少額になる傾向があります。

脱退一時金は、年金保険料の返金という性格を持つため、退職金よりも税金が少なくなる傾向があります。

まとめ

脱退一時金は、日本国籍を有しない方が、日本で働いていた期間に納めた年金保険料の一部が返金される制度です。

脱退一時金の目的は、外国人が日本で働いた期間に対する補償を行い、安心して日本で働ける環境を整備することです。

脱退一時金は、退職金とは異なる制度であり、金額や税金面でも違いがあります。

脱退一時金は、外国人が日本で働く際に、重要な制度の一つです。

2. 脱退一時金の計算方法

国民年金の脱退一時金の計算方法

国民年金の脱退一時金の計算方法は、最後に納めた保険料額と納付期間に基づいて計算されます。

計算式は、最後に年金保険料を納付した月が属する年度の年金保険料額×1/2×下記表の数字です。

数字一覧

実際に計算してみましょう。例）・納めていた年金保険料は月額16

国民年金：保険料納付済み期間と支給額計算に用いる数
保険料納付済み期間	支給額計算に用いる数
6か月以上12か月未満	6
12か月以上18か月未満	12
18か月以上24か月未満	18
24か月以上30か月未満	24
30か月以上36か月未満	30
36か月以上42か月未満	36
42か月以上48か月未満	42
48か月以上54か月未満	48
54か月以上60か月未満	54
60か月以上	60

厚生年金の脱退一時金の計算方法

厚生年金の脱退一時金の計算方法は、平均標準報酬額と支給率に基づいて計算されます。

平均標準報酬額とは、厚生年金を納めていた期間の給与と賞与の合計額を1カ月当たりの平均額に換算したものです。

支給率は、保険料率×1/2×支給額計算に用いる数で計算されます。

少し難しいので、計算の一例をご紹介します。例）・月給17万円・賞与2カ月（1年に1回支給）・厚生年金に入っていた期間　3年間まずは平均標準報酬額を計算します。月給170

最終月が2022年4月以降の場合
被保険者期間	支給率計算に用いる数	支給率
6か月以上12か月未満	6	9.15%
12か月以上18か月未満	12	18.3%
18か月以上24か月未満	18	27.45%
24か月以上30か月未満	24	36.6%
30か月以上36か月未満	30	45.75%
36か月以上42か月未満	36	54.9%
42か月以上48か月未満	42	64.05%
48か月以上54か月未満	48	73.2%
54か月以上60か月未満	54	82.35%
60か月以上	60	91.5%

脱退一時金の支給上限

脱退一時金の支給上限は、2021年4月以降は60カ月（5年）です。

2021年3月以前は、支給上限は36カ月（3年）でした。

脱退一時金の支給上限が引き上げられたのは、特定技能などの在留資格の上限が5年になったためです。

脱退一時金の支給上限は、外国人が日本で働いた期間に対する補償の範囲を拡大するために引き上げられました。

最終月が2017年9月から2021年3月までの場合
被保険者期間	支給率計算に用いる数	支給率
6か月以上12か月未満	6	8.85%
12か月以上18か月未満	12	17.7%
18か月以上24か月未満	18	26.55%
24か月以上30か月未満	24	35.4%
30か月以上36か月未満	30	44.25%
36か月以上42か月未満	36	53.1%
42か月以上48か月未満	42	61.95%
48か月以上54か月未満	48	70.8%
54か月以上60か月未満	54	79.65%
60か月以上	60	88.5%

まとめ

脱退一時金の計算方法は、国民年金と厚生年金で異なります。

国民年金の脱退一時金は、最後に納めた保険料額と納付期間に基づいて計算されます。

厚生年金の脱退一時金は、平均標準報酬額と支給率に基づいて計算されます。

脱退一時金の支給上限は、2021年4月以降は60カ月（5年）です。

3. 脱退一時金の特徴

脱退一時金の受給資格

脱退一時金の受給資格は、次の7つの要件をすべて満たしている必要があります。

①日本国籍を有していない ②公的年金制度（厚生年金保険または国民年金）の被保険者ではない ③厚生年金保険（共済組合等を含む）の加入期間の合計が6月以上ある ④老齢年金の受給資格期間（10年間）を満たしていない ⑤障害厚生年金（障害手当金を含む）などの年金を受ける権利を有したことがない ⑥日本国内に住所を有していない ⑦最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない　（資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していない）

脱退一時金の受給資格は、外国人が日本で働いた期間や状況によって異なります。

脱退一時金の受給資格を満たしているかどうかは、日本年金機構に問い合わせることをおすすめします。

脱退一時金の受給資格要件
項目	内容
日本国籍	日本国籍を有しない
公的年金制度	公的年金制度（厚生年金保険または国民年金）の被保険者ではない
加入期間	厚生年金保険（共済組合等を含む）の加入期間の合計が6カ月以上
老齢年金受給資格	老齢年金の受給資格期間（10年間）を満たしていない
障害年金受給権	障害厚生年金（障害手当金を含む）などの年金を受ける権利を有したことがない
住所	日本国内に住所を有しない
資格喪失からの期間	最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない（資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していない）

脱退一時金の申請手続き

脱退一時金の申請手続きは、日本年金機構に脱退一時金請求書と必要な書類を提出することで行います。

脱退一時金請求書は、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。

必要な書類は、パスポートの写し、住民票の除票の写し、受取先金融機関の情報、基礎年金番号通知書などです。

脱退一時金の申請手続きは、日本を出国後2年以内に完了させる必要があります。

脱退一時金の申請に必要な書類
書類名	内容
脱退一時金請求書	日本語と外国語が併記された様式
パスポートの写し	氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ
日本国内に住所を有しないことが確認できる書類	住民票除籍の写しやパスポートの出国日が確認できるページの写しなど
受取先金融機関の情報	金融機関が発行した証明書等。または請求書の「銀行の証明」欄に銀行の証明
年金手帳その他基礎年金番号が確認できる書類	年金手帳や基礎年金番号通知書など
委任状	代理人が請求手続きを行う場合

脱退一時金の支給時期

脱退一時金の支給時期は、申請から約4～6カ月程度です。

脱退一時金の支給時期は、申請書類の審査状況や、日本年金機構の業務状況によって前後することがあります。

脱退一時金の支給時期が遅れている場合は、日本年金機構に問い合わせることをおすすめします。

脱退一時金の支給時期は、申請者にとって重要な情報です。

まとめ

脱退一時金の受給資格は、日本国籍を有しない方が、日本で働いていた期間に納めた年金保険料が無駄にならないように、その一部を返金することです。

脱退一時金の申請手続きは、日本年金機構に脱退一時金請求書と必要な書類を提出することで行います。

脱退一時金の支給時期は、申請から約4～6カ月程度です。

脱退一時金は、外国人が日本で働く際に、重要な制度の一つです。

4. 脱退一時金の税金処理

脱退一時金の課税

脱退一時金は、所得税の課税対象となります。

脱退一時金は、退職所得として扱われ、退職所得控除が適用されます。

退職所得控除は、勤続年数に応じて計算されます。

脱退一時金から退職所得控除額を差し引いた金額が、課税対象となります。

脱退一時金の源泉徴収

脱退一時金は、支給時に源泉徴収されます。

源泉徴収率は、20.42％です。

源泉徴収された税金は、確定申告を行うことで還付を受けることができます。

確定申告は、脱退一時金を受け取った年の翌年から5年間、日本国内に銀行口座を持っている場合に行うことができます。

脱退一時金の税金処理の注意点

脱退一時金の税金処理は、複雑な場合があります。

脱退一時金の税金処理について、不明な点は、税務署に問い合わせることをおすすめします。

脱退一時金の税金処理は、外国人が日本で働く際に、重要なポイントの一つです。

脱退一時金の税金処理について、事前に理解しておくことで、トラブルを回避することができます。

まとめ