大量保有報告書とは?経済用語について説明

大量保有報告書に関する項目
項目 内容
定義 上場会社の株式等を5%以上保有した場合に提出する書類
目的 市場の公平性・透明性の向上、投資家保護
提出義務 5%超の保有者となった日から5営業日以内に提出
内容 保有割合、取得資金、保有目的など
重要性 投資判断の材料、市場への影響、企業への影響
書き方 EDINETを使用して提出、正確な情報入力、期限内に提出

1. 大量保有報告書とは

要約

大量保有報告書の定義

大量保有報告書とは、上場会社の株式等を発行済株式総数の5%を超えて取得した場合に、その保有者が取得日から土日祝日を除く5日以内に内閣総理大臣に提出しなければならない書類のことです。内容は保有割合、取得資金、保有目的などで、共同保有者がいる場合には合算して保有割合を計算します。

この制度は、1990年の証券取引法改正で導入されました。証券市場の公正性・透明性を高め、投資家保護を徹底させることを目的として、欧米諸国における規制も参考にされています。

大量保有報告書は、金融商品取引所にも送付され、それぞれ受理・送付を受けた日から5年間、公衆の縦覧に供さなければならないとされています。

大量保有報告書の定義
項目 内容
定義 上場会社の株式等を発行済株式総数の5%を超えて取得した場合に、その保有者が取得日から土日祝日を除く5日以内に内閣総理大臣に提出しなければならない書類のことです。
内容 内容は保有割合、取得資金、保有目的などで、共同保有者がいる場合には合算して保有割合を計算します。
目的 証券市場の公正性・透明性を高め、投資家保護を徹底させることを目的として、欧米諸国における規制も参考にされています。
提出先 内閣総理大臣(財務局長)に提出

5%ルールの概要

大量保有報告書の前提ともなる5%ルールは、市場の公平性・透明性を高め投資家保護を徹底するため、株式等(株券、投資証券等、新株予約権証券など)を大量に取得、保有、処分した際に、その旨を開示するものです。

投資家が対象企業の発行済株式数の5%を超えて保有した場合などに報告義務が生じます。保有者か否かの判断は、株主名簿の記載とは関係なく、実質的に保有しているかどうかが問われます。

報告書に記載する内容は、提出者(株式等の保有者)の概要、保有目的、最近60日間の取得または処分の状況、保有株券等の取得資金など、精緻なものとなっています。

5%ルールの概要
項目 内容
定義 市場の公平性・透明性を高め投資家保護を徹底するため、株式等(株券、投資証券等、新株予約権証券など)を大量に取得、保有、処分した際に、その旨を開示するものです。
対象 投資家が対象企業の発行済株式数の5%を超えて保有した場合などに報告義務が生じます。
判断基準 保有者か否かの判断は、株主名簿の記載とは関係なく、実質的に保有しているかどうかが問われます。
記載内容 報告書に記載する内容は、提出者(株式等の保有者)の概要、保有目的、最近60日間の取得または処分の状況、保有株券等の取得資金など、精緻なものとなっています。

変更報告書

大量保有報告書の提出後に保有割合が1%以上増減した場合には、そのつど変更報告書を提出しなければならない(ただし、5%を下回った場合は、その旨の変更報告書を提出すれば、ふたたび5%を超えるまで報告書の提出義務はない)。

変更報告書には、たとえば株式等を処分した場合には、譲渡先やその値段を記載する必要があります。

大量保有報告書や変更報告書は、その事由が発生した日から5営業日以内の提出が求められています。

変更報告書
項目 内容
提出義務 大量保有報告書の提出後に保有割合が1%以上増減した場合には、そのつど変更報告書を提出しなければならない(ただし、5%を下回った場合は、その旨の変更報告書を提出すれば、ふたたび5%を超えるまで報告書の提出義務はない)。
記載内容 変更報告書には、たとえば株式等を処分した場合には、譲渡先やその値段を記載する必要があります。
提出期限 大量保有報告書や変更報告書は、その事由が発生した日から5営業日以内の提出が求められています。

まとめ

大量保有報告書は、上場会社の株式等を5%以上保有した場合に提出が義務付けられる書類です。

5%ルールは、市場の公平性・透明性を高め、投資家保護を徹底するために導入されました。

大量保有報告書には、保有割合、取得資金、保有目的などの詳細な情報が記載されます。

保有割合が1%以上増減した場合や、報告書の内容に変更があった場合には、変更報告書の提出が必要となります。

2. 大量保有報告書の目的

要約

市場の公平性・透明性の向上

大量保有報告制度は、市場の公平性・透明性を高め、投資者保護を徹底することを目的としています。

株式市場には、キャピタルゲインを得ようとする投資家だけでなく、経営参加や取引関係の強化などといった目的で上場株式を大量に購入する投資家も存在します。

もし、何者かによって大量に株式が購入された場合、株価が急激に上昇もしくは下落し、市場がパニックに陥る可能性があります。

元の株主は、大量に株式が購入されたことを知らないまま何も対策を取らないでおくと、不測の事態に巻き込まれてしまう可能性があります。

市場の公平性・透明性の向上
項目 内容
目的 市場の公平性・透明性を高め、投資家保護を徹底することを目的としています。
背景 株式市場には、キャピタルゲインを得ようとする投資家だけでなく、経営参加や取引関係の強化などといった目的で上場株式を大量に購入する投資家も存在します。
問題点 もし、何者かによって大量に株式が購入された場合、株価が急激に上昇もしくは下落し、市場がパニックに陥る可能性があります。
対策 元の株主は、大量に株式が購入されたことを知らないまま何も対策を取らないでおくと、不測の事態に巻き込まれてしまう可能性があります。

投資家の保護

大量保有報告制度は、株式を大量に保有している方の情報を投資家に広く公開することで、投資判断に必要な情報を提供し、投資家の保護を図ることを目的としています。

投資家は、大量保有報告書を通じて、誰がどの企業の株式をどれだけ保有しているのか、その目的は何かといった情報を得ることができます。

これにより、投資家は、投資判断をより適切に行うことができ、不測の事態に巻き込まれるリスクを軽減することができます。

投資家の保護
項目 内容
目的 投資判断に必要な情報を提供することで、投資家の保護を図ります。
方法 大量保有報告書を通じて、誰がどの企業の株式をどれだけ保有しているのか、その目的は何かといった情報を得ることができます。
効果 これにより、投資家は、投資判断をより適切に行うことができ、不測の事態に巻き込まれるリスクを軽減することができます。

その他

大量保有報告制度は、上場会社自身にとっても、自社の大株主の状況、自社に対する敵対的買収の可能性、いわゆる株主アクティビズムの動向などを確認する上で役立ちます。

ただし、大量保有報告制度は、上場会社の買収防衛などを目的とする制度ではありません。

あくまでも市場の公正性・透明性や、投資者保護を目的とする制度です。

まとめ

大量保有報告書の目的は、市場の公平性・透明性を高め、投資者保護を徹底することです。

大量保有報告書は、投資判断に必要な情報を提供することで、投資家の保護を図ります。

また、上場会社自身にとっても、自社の状況を把握する上で役立ちます。

3. 大量保有報告書の提出義務

要約

提出義務の発生

株券等保有割合が5%を超えたときに「大量保有報告書」を提出する必要があります。

その後、1%ポイント以上変動した場合や、記載内容に「重要な事項の変更」があった場合には、「変更報告書」を提出しなければなりません。

大量保有報告書及び変更報告書の報告の方法としては、原則的な方法である「一般報告」と、機関投資家などに認められる簡便な報告方法である「特例報告」があります。

提出義務の発生
項目 内容
提出義務 株券等保有割合が5%を超えたときに「大量保有報告書」を提出する必要があります。
変更報告書 その後、1%ポイント以上変動した場合や、記載内容に「重要な事項の変更」があった場合には、「変更報告書」を提出しなければなりません。
報告方法 大量保有報告書及び変更報告書の報告の方法としては、原則的な方法である「一般報告」と、機関投資家などに認められる簡便な報告方法である「特例報告」があります。

提出期限

一般報告の場合、大量保有報告書は、5%超の保有者となった日から、5営業日以内に提出する必要があります。

変更報告書は、変更があった日から、5営業日以内に提出する必要があります。

特例報告の場合、基準日(毎月2回以上設けられる日の組合せのうち、保有者が届出を行った日)から5営業日以内に提出する必要があります。

提出期限
項目 内容
一般報告 大量保有報告書は、5%超の保有者となった日から、5営業日以内に提出する必要があります。
変更報告書 変更報告書は、変更があった日から、5営業日以内に提出する必要があります。
特例報告 特例報告の場合、基準日(毎月2回以上設けられる日の組合せのうち、保有者が届出を行った日)から5営業日以内に提出する必要があります。

提出方法

大量保有報告書や変更報告書の提出は、2007年4月以降、開示用電子情報処理組織(EDINET)の使用が義務付けられており、インターネットで提出しなければなりません。

書面での提出は認められていません。

EDINETの利用には、事前に届出書を提出し、システム利用のためのIDとパスワードを取得する必要があります。

提出方法
項目 内容
方法 大量保有報告書や変更報告書の提出は、2007年4月以降、開示用電子情報処理組織(EDINET)の使用が義務付けられており、インターネットで提出しなければなりません。
書面提出 書面での提出は認められていません。
EDINET利用 EDINETの利用には、事前に届出書を提出し、システム利用のためのIDとパスワードを取得する必要があります。

まとめ

大量保有報告書の提出義務は、株券等保有割合が5%を超えた場合に発生します。

その後、1%ポイント以上変動した場合や、記載内容に重要な事項の変更があった場合にも、変更報告書の提出が必要となります。

提出期限は、一般報告の場合、5営業日以内です。特例報告の場合、基準日から5営業日以内です。

提出方法は、EDINETによるインターネットでの提出が義務付けられています。

4. 大量保有報告書の内容

要約

記載事項

大量保有報告書には、以下の事項が記載されます。

①提出者の概要(氏名・名称、住所・本店所在地など)

②保有目的

③重要提案行為等(発行者の事業活動に重大な変更を加え、又は重大な影響を及ぼす行為を提案する場合)

提出者に関する事項
項目 内容
提出者の概要 ①提出者の概要(氏名・名称、住所・本店所在地など)
保有目的 ②保有目的
重要提案行為等 ③重要提案行為等(発行者の事業活動に重大な変更を加え、又は重大な影響を及ぼす行為を提案する場合)

保有株券等の内訳

④保有株券等の内訳(保有株券等の数、株券等保有割合)

⑤当該株券等の発行者の発行する株券等に関する最近60日間の取得又は処分の状況

⑥当該株券等に関する担保契約等重要な契約

⑦保有株券等の取得資金(取得資金の内訳、借入金の内訳など)

保有株券等の内訳
項目 内容
保有株券等の内訳 ④保有株券等の内訳(保有株券等の数、株券等保有割合)
取得・処分状況 ⑤当該株券等の発行者の発行する株券等に関する最近60日間の取得又は処分の状況
担保契約等 ⑥当該株券等に関する担保契約等重要な契約
取得資金 ⑦保有株券等の取得資金(取得資金の内訳、借入金の内訳など)

共同保有者に関する事項

⑧共同保有者の概要(氏名・名称、住所・本店所在地など)

⑨上記共同保有者の保有株券等の内訳(保有株券等の数、株券等保有割合)

共同保有者に関する事項
項目 内容
共同保有者の概要 ⑧共同保有者の概要(氏名・名称、住所・本店所在地など)
保有株券等の内訳 ⑨上記共同保有者の保有株券等の内訳(保有株券等の数、株券等保有割合)

まとめ

大量保有報告書には、提出者の概要、保有目的、保有株券等の内訳、取得資金、共同保有者などに関する情報が記載されます。

これらの情報は、投資判断を行う上で重要な情報となります。

また、重要提案行為等を行う予定がある場合には、その旨も記載する必要があります。

5. 大量保有報告書の重要性

要約

投資判断の材料

大量保有報告書は、投資判断を行う上で重要な材料となります。

例えば、短期売買を中心におこなうファンドが大量保有報告書として名を挙げた場合には、株価が上昇したらファンドは保有株をすべて売って、株価下落の原因になる可能性があります。

逆に、長期的に保有して安定的な資産形成をするトレーダーが大量保有者として名を挙げた場合には、景気が悪くなったとしてもほかの企業ほど株価が大きく下落することはない可能性があります。

投資判断の材料
項目 内容
短期売買 短期売買を中心におこなうファンドが大量保有報告書として名を挙げた場合には、株価が上昇したらファンドは保有株をすべて売って、株価下落の原因になる可能性があります。
長期保有 逆に、長期的に保有して安定的な資産形成をするトレーダーが大量保有者として名を挙げた場合には、景気が悪くなったとしてもほかの企業ほど株価が大きく下落することはない可能性があります。

市場への影響

大量保有報告書は、市場に大きな影響を与える可能性があります。

特に、大口の投資家が株式を取得した場合には、株価が大きく変動する可能性があります。

そのため、投資家は、大量保有報告書の内容を注視し、投資判断に役立てる必要があります。

市場への影響
項目 内容
影響 大量保有報告書は、市場に大きな影響を与える可能性があります。
大口投資家 特に、大口の投資家が株式を取得した場合には、株価が大きく変動する可能性があります。
対策 そのため、投資家は、大量保有報告書の内容を注視し、投資判断に役立てる必要があります。

企業への影響

大量保有報告書は、企業にとっても重要な情報となります。

企業は、大量保有報告書を通じて、自社の大株主の状況、自社に対する敵対的買収の可能性、株主アクティビズムの動向などを把握することができます。

これにより、企業は、経営戦略をより適切に策定することができます。

企業への影響
項目 内容
情報 企業は、大量保有報告書を通じて、自社の大株主の状況、自社に対する敵対的買収の可能性、株主アクティビズムの動向などを把握することができます。
効果 これにより、企業は、経営戦略をより適切に策定することができます。

まとめ

大量保有報告書は、投資判断、市場、企業にとって重要な情報となります。

投資家は、大量保有報告書の内容を参考に、投資判断を行う必要があります。

企業は、大量保有報告書を通じて、自社の状況を把握し、経営戦略を策定する必要があります。

6. 大量保有報告書の書き方

要約

EDINETの利用

大量保有報告書は、EDINET(開示用電子情報処理組織)を使用して提出する必要があります。

EDINETを利用するには、事前に登録届出書を提出し、システム利用のためのIDとパスワードを取得する必要があります。

提出書類は、定められた仕様に基づき行う必要があり、初めての場合には予想外に時間がかかる可能性もありますのでご注意ください。

EDINETの利用
項目 内容
方法 大量保有報告書は、EDINET(開示用電子情報処理組織)を使用して提出する必要があります。
利用方法 EDINETを利用するには、事前に登録届出書を提出し、システム利用のためのIDとパスワードを取得する必要があります。
注意点 提出書類は、定められた仕様に基づき行う必要があり、初めての場合には予想外に時間がかかる可能性もありますのでご注意ください。

記載内容

大量保有報告書には、提出者の概要、保有目的、保有株券等の内訳、取得資金、共同保有者などに関する情報が記載されます。

これらの情報は、正確かつ詳細に記載する必要があります。

記載内容に誤りがあったり不十分な点があったりした場合には、訂正報告書の提出が必要になります。

記載内容
項目 内容
内容 大量保有報告書には、提出者の概要、保有目的、保有株券等の内訳、取得資金、共同保有者などに関する情報が記載されます。
重要性 これらの情報は、正確かつ詳細に記載する必要があります。
訂正報告書 記載内容に誤りがあったり不十分な点があったりした場合には、訂正報告書の提出が必要になります。

提出先

大量保有報告書は、提出する者が所在する住所又は居所(法人については本店所在地)を管轄する財務(支)局に提出することとされております。

非居住者の場合は、関東財務局となります。

また、大量保有報告書の写しを、株券等の発行会社及び当該発行会社が上場する金融商品取引所のすべてに対して、遅滞なく送付しなければなりません。

提出先
項目 内容
提出先 大量保有報告書は、提出する者が所在する住所又は居所(法人については本店所在地)を管轄する財務(支)局に提出することとされております。
非居住者 非居住者の場合は、関東財務局となります。
送付 また、大量保有報告書の写しを、株券等の発行会社及び当該発行会社が上場する金融商品取引所のすべてに対して、遅滞なく送付しなければなりません。

まとめ

大量保有報告書は、EDINETを使用して提出する必要があります。

記載内容には、提出者の概要、保有目的、保有株券等の内訳、取得資金、共同保有者などに関する情報が記載されます。

提出先は、提出する者が所在する住所又は居所(法人については本店所在地)を管轄する財務(支)局です。

大量保有報告書は、正確かつ詳細に記載し、期限内に提出することが重要です。

参考文献

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