除権決定とは?経済用語について説明

除権決定の概要
項目 内容
定義 裁判所が公示催告手続を経て行う裁判で、申立てにかかる権利の失権の効力を有する決定
目的 有価証券の盗難や紛失によって権利者が権利行使をする手段を失った場合に、その権利を回復させること
法的根拠 非訟事件手続法の第4編公示催告事件の規定(99条から113条)
手続き 申立て、公示催告手続、権利届出期間、除権決定の宣告
適用対象 手形や小切手などの有価証券の盗難や紛失、抵当権者の行方不明など
影響 権利の回復、権利の失権、登記の抹消
事例 手形・小切手の紛失、抵当権者の行方不明、架空の者の名義による所有権移転登記
展望 インターネットの普及による詐欺や不正行為の複雑化により、需要が高まる可能性
課題 手続きの複雑さ、時間のかかる手続き
改善策 オンラインでの申立てや手続きの電子化、裁判所の体制強化や人員の増員、制度の周知や広報活動

1. 除権決定の定義とは

要約

除権決定とは何か?

除権決定とは、裁判所が公示催告手続を経て行う裁判であり、申立てにかかる権利の失権の効力を有する決定のことです。具体的には、手形や小切手などの有価証券が盗難や紛失によってその所持を失った権利者が、裁判所に申立てを行い、権利と証券との結合を分離することで、真の権利者に形式的資格を回復させるための制度です。

例えば、手形や小切手を紛失した場合、その所持者であることを証明できなければ、支払を受けることができません。そこで、除権決定の手続きによって、手形や小切手の所持者としての資格を回復することで、権利者が支払を受けることができるようになります。

除権決定は、単独で抹消登記を行う場合にも用いられます。例えば、抵当権者が行方不明となり、共同申請による抵当権抹消登記ができない場合、除権決定によって抵当権を抹消することができます。

除権決定は、かつては除権判決と呼ばれていましたが、法改正により公示催告手続が決定手続によることになったため、名称が変更されました。

除権決定の目的
目的 内容
権利回復 有価証券の盗難や紛失によって権利者が権利行使をする手段を失った場合に、その権利を回復させること
形式的資格の回復 権利と証券との結合を分離することで、真の権利者に形式的資格を回復させること

除権決定の目的

除権決定の目的は、有価証券の盗難や紛失によって権利者が権利行使をする手段を失った場合に、その権利を回復させることです。具体的には、権利と証券との結合を分離することで、真の権利者に形式的資格を回復させることで、権利行使を可能にすることを目的としています。

除権決定によって回復するのは、有価証券上の形式的資格のみであり、有価証券上の実質的権利までを回復させるものではありません。

つまり、除権決定を得たとしても、除権決定前に手形などを善意取得した者が存在する場合には、その善意取得者に対しては、権利者としての地位を主張することはできません。

除権決定は、権利者にとって重要な制度ですが、その適用範囲は限定的であり、すべての権利行使を保証するものではありません。

除権決定の法的根拠
法律 条文
非訟事件手続法 第4編公示催告事件の規定(99条から113条)

除権決定の法的根拠

除権決定は、非訟事件手続法の第4編公示催告事件の規定(99条から113条)に基づいて行われます。

非訟事件手続法は、訴訟ではない事件の手続きを定めた法律であり、除権決定は、その中の公示催告事件という手続きによって行われます。

公示催告事件は、権利の失権や有価証券の無効を宣言するための手続きであり、除権決定はその手続きの最終段階で行われる決定です。

除権決定は、裁判所が公示催告手続を経て行う裁判であり、その決定は、申立てにかかる権利の失権の効力を有します。

まとめ

除権決定は、有価証券の盗難や紛失によって権利者が権利行使をする手段を失った場合に、その権利を回復させるための重要な制度です。

除権決定は、非訟事件手続法に基づいて行われ、裁判所が公示催告手続を経て行う裁判であり、その決定は、申立てにかかる権利の失権の効力を有します。

除権決定によって回復するのは、有価証券上の形式的資格のみであり、有価証券上の実質的権利までを回復させるものではありません。

除権決定は、権利者にとって重要な制度ですが、その適用範囲は限定的であり、すべての権利行使を保証するものではありません。

2. 除権決定の手続きと流れ

要約

除権決定の手続き

除権決定の手続きは、以下の流れで行われます。

1. 申立て:権利者は、手形や小切手などの有価証券の盗難や紛失によって権利行使をする手段を失った場合、裁判所に除権決定の申立てを行います。

2. 公示催告手続:裁判所は、申立てが適法であり、かつ、理由があると認めるときは、公示催告手続を開始します。

3. 権利届出期間:裁判所は、公示催告決定を行い、権利届出の期間を定めます。この期間内に、権利を主張する者が現れなければ、除権決定がなされます。

除権決定の手続き
段階 内容
申立て 権利者は裁判所に除権決定の申立てを行う
公示催告手続 裁判所は申立てが適法であり、かつ、理由があると認めるときは、公示催告手続を開始する
権利届出期間 裁判所は、公示催告決定を行い、権利届出の期間を定める。この期間内に、権利を主張する者が現れなければ、除権決定がなされる。
除権決定の宣告 裁判所は、公示催告手続を経て、権利を主張する者が現れなければ、除権決定を行う。

公示催告手続

公示催告手続は、裁判所が、申立ての内容を官報や裁判所の掲示板に掲載することで、権利を主張する者を公示する手続きです。

官報に掲載された内容を見た者は、権利を主張する旨を裁判所に申述することができます。

権利届出期間内に、権利を主張する者が現れなければ、裁判所は、申立てに係る権利について失権の効力を生ずる旨の決定(除権決定)を行います。

公示催告手続は、権利を主張する者を公示することで、権利の失権を確定させるための重要な手続きです。

公示催告手続
方法 内容
官報への掲載 裁判所は、申立ての内容を官報や裁判所の掲示板に掲載することで、権利を主張する者を公示する
権利主張の申述 官報に掲載された内容を見た者は、権利を主張する旨を裁判所に申述することができる
権利届出期間 権利届出期間内に、権利を主張する者が現れなければ、裁判所は、申立てに係る権利について失権の効力を生ずる旨の決定(除権決定)を行う。

除権決定の宣告

裁判所は、公示催告手続を経て、権利を主張する者が現れなければ、除権決定を行います。

除権決定は、官報に掲載され、その告知をもって、手形や小切手などの有価証券は無効になります。

除権決定がなされると、申立人は、その正本を債務者に示すことで、権利を行使することができます。

除権決定は、権利者にとって重要な権利回復手段ですが、その手続きは複雑であり、専門的な知識が必要となります。

まとめ

除権決定の手続きは、申立て、公示催告手続、権利届出期間、除権決定の宣告という流れで行われます。

公示催告手続は、裁判所が、申立ての内容を官報や裁判所の掲示板に掲載することで、権利を主張する者を公示する手続きです。

除権決定は、裁判所が、公示催告手続を経て、権利を主張する者が現れなければ、行う決定です。

除権決定は、権利者にとって重要な権利回復手段ですが、その手続きは複雑であり、専門的な知識が必要となります。

3. 除権決定の適用対象とは

要約

除権決定の適用対象

除権決定は、手形や小切手などの有価証券の盗難や紛失、または抵当権者の行方不明など、特定の状況においてのみ適用される制度です。

具体的には、以下の場合に適用されます。

1. 手形や小切手などの有価証券の盗難や紛失

2. 抵当権者の行方不明

除権決定の適用対象
対象 内容
手形・小切手 手形や小切手などの有価証券の盗難や紛失
抵当権 抵当権者の行方不明

株券喪失登録制度

かつては、株券の喪失についても除権決定が適用されていましたが、2003年の商法改正によって、株券の喪失には、株券喪失登録制度が導入されました。

株券喪失登録制度は、株券を紛失した株主が、証券会社に申告することで、株券を無効にする制度です。

この制度の導入によって、株券の喪失による権利行使の困難が解消されました。

現在、除権決定は、株券の喪失には適用されません。

株券喪失登録制度
制度 内容
株券喪失登録制度 株券を紛失した株主が、証券会社に申告することで、株券を無効にする制度

除権決定の適用範囲

除権決定は、特定の状況においてのみ適用される制度であり、すべての権利行使を保証するものではありません。

除権決定の適用範囲は、法律によって厳格に定められており、その適用には、一定の要件を満たす必要があります。

除権決定の適用を検討する際には、法律の専門家に相談することが重要です。

除権決定は、権利者にとって重要な制度ですが、その適用には、慎重な検討が必要です。

まとめ

除権決定は、手形や小切手などの有価証券の盗難や紛失、または抵当権者の行方不明など、特定の状況においてのみ適用される制度です。

株券の喪失については、株券喪失登録制度が導入されたため、除権決定は適用されません。

除権決定の適用範囲は、法律によって厳格に定められており、その適用には、一定の要件を満たす必要があります。

除権決定の適用を検討する際には、法律の専門家に相談することが重要です。

4. 除権決定における影響とは

要約

除権決定による権利回復

除権決定は、権利者が権利行使をする手段を失った場合に、その権利を回復させるための重要な制度です。

除権決定によって、権利者は、有価証券を所持していなくても、その権利を行使することができます。

例えば、手形や小切手を紛失した場合、除権決定によって、その手形や小切手を所持しているのと同じ地位が与えられます。

除権決定は、権利者にとって、権利行使を可能にする重要な手段となります。

除権決定による権利回復
影響 内容
権利回復 権利者が権利行使をする手段を失った場合に、その権利を回復させる
形式的資格の回復 有価証券を所持していなくても、その権利を行使することができる

除権決定による権利の失権

除権決定は、申立てにかかる権利の失権の効力を有する決定です。

つまり、除権決定がなされると、申立てにかかる権利は、失権することになります。

例えば、抵当権者が行方不明となり、除権決定によって抵当権が抹消された場合、その抵当権は、失権することになります。

除権決定は、権利の失権を確定させるための重要な決定です。

除権決定による権利の失権
影響 内容
権利の失権 申立てにかかる権利は、失権することになる
登記の抹消 抵当権者が行方不明となり、除権決定によって抵当権が抹消された場合、その抵当権は、失権することになる

除権決定による登記の抹消

除権決定は、単独で抹消登記を行う場合にも用いられます。

例えば、抵当権者が行方不明となり、共同申請による抵当権抹消登記ができない場合、除権決定によって抵当権を抹消することができます。

除権決定は、登記の抹消を可能にする重要な手段となります。

除権決定による登記の抹消は、登記簿上の権利関係を修正するための重要な手続きです。

まとめ

除権決定は、権利者にとって、権利行使を可能にする重要な手段となります。

除権決定は、申立てにかかる権利の失権を確定させるための重要な決定です。

除権決定は、登記の抹消を可能にする重要な手段となります。

除権決定は、権利関係を明確化し、権利行使を円滑に行うための重要な制度です。

5. 除権決定の実際の事例

要約

手形・小切手の紛失

手形や小切手を紛失した場合、除権決定によって、その手形や小切手を所持しているのと同じ地位が与えられます。

申立人は、除権決定の正本を債務者に示すことで、支払を受けることができます。

除権決定は、手形や小切手の紛失によって権利行使をする手段を失った場合に、その権利を回復させるための有効な手段となります。

手形や小切手の紛失は、日常的に起こりうる問題であり、除権決定は、このような問題に対する有効な解決策となります。

手形・小切手の紛失
事例 内容
手形・小切手の紛失 除権決定によって、その手形や小切手を所持しているのと同じ地位が与えられ、申立人は、除権決定の正本を債務者に示すことで、支払を受けることができる

抵当権者の行方不明

抵当権者が行方不明となり、共同申請による抵当権抹消登記ができない場合、除権決定によって抵当権を抹消することができます。

除権決定は、抵当権者の行方不明によって、抵当権の抹消が困難な場合に、その問題を解決するための有効な手段となります。

除権決定は、不動産の所有者にとって、抵当権の抹消を可能にする重要な手段となります。

抵当権者の行方不明は、不動産の売却や相続などの際に、大きな問題となることがあります。除権決定は、このような問題に対する有効な解決策となります。

抵当権者の行方不明
事例 内容
抵当権者の行方不明 共同申請による抵当権抹消登記ができない場合、除権決定によって抵当権を抹消することができる

架空の者の名義による所有権移転登記

架空の者の名義でなされた所有権移転登記を、除権決定によって抹消し、売主名義に戻すことが可能です。

除権決定は、不正な登記によって、所有権が奪われた場合に、その問題を解決するための有効な手段となります。

除権決定は、不動産の所有者にとって、所有権の回復を可能にする重要な手段となります。

架空の者の名義による所有権移転登記は、不動産の売買などの際に、大きな問題となることがあります。除権決定は、このような問題に対する有効な解決策となります。

架空の者の名義による所有権移転登記
事例 内容
架空の者の名義による所有権移転登記 除権決定によって抹消し、売主名義に戻すことが可能

まとめ

除権決定は、手形や小切手の紛失、抵当権者の行方不明、架空の者の名義による所有権移転登記など、様々な問題に対する有効な解決策となります。

除権決定は、権利者にとって、権利行使を可能にする重要な手段であり、不動産の所有者にとって、所有権の回復を可能にする重要な手段となります。

除権決定は、法律の専門的な知識が必要となるため、専門家に相談することが重要です。

除権決定は、権利関係を明確化し、権利行使を円滑に行うための重要な制度です。

6. 除権決定の今後の展望と課題

要約

除権決定の今後の展望

除権決定は、権利者にとって重要な制度であり、今後もその重要性はますます高まると考えられます。

特に、近年では、インターネットの普及によって、詐欺や不正行為が複雑化しており、除権決定の需要は高まると予想されます。

除権決定は、権利者にとって、権利行使を可能にする重要な手段であり、今後もその役割はますます重要になると考えられます。

除権決定は、社会の安全・安心を守るための重要な制度であり、今後もその役割はますます重要になると考えられます。

除権決定の今後の展望
展望 内容
需要増加 インターネットの普及による詐欺や不正行為の複雑化により、需要が高まる可能性
役割の重要性 権利者にとって、権利行使を可能にする重要な手段であり、今後もその役割はますます重要になると考えられる

除権決定の課題

除権決定は、手続きが複雑であり、専門的な知識が必要となるため、利用者が少ないという課題があります。

また、除権決定の手続きには、時間がかかるという課題もあります。

除権決定の利用を促進するためには、手続きの簡素化や迅速化が求められます。

除権決定は、権利者にとって重要な制度ですが、その利用を促進するためには、さらなる改善が必要です。

除権決定の課題
課題 内容
手続きの複雑さ 手続きが複雑であり、専門的な知識が必要となるため、利用者が少ない
時間のかかる手続き 除権決定の手続きには、時間がかかる

除権決定の改善策

除権決定の手続きを簡素化するためには、オンラインでの申立てや手続きの電子化が有効です。

また、除権決定の手続きを迅速化するためには、裁判所の体制強化や人員の増員が求められます。

さらに、除権決定の利用を促進するためには、制度の周知や広報活動が重要です。

除権決定は、権利者にとって重要な制度であり、その利用を促進するためには、さらなる改善が必要です。

除権決定の改善策
改善策 内容
手続きの簡素化 オンラインでの申立てや手続きの電子化
手続きの迅速化 裁判所の体制強化や人員の増員
制度の周知 制度の周知や広報活動

まとめ

除権決定は、権利者にとって重要な制度であり、今後もその重要性はますます高まると考えられます。

しかし、除権決定の手続きは複雑であり、時間がかかるという課題があります。

除権決定の利用を促進するためには、手続きの簡素化や迅速化、制度の周知や広報活動が求められます。

除権決定は、権利者にとって重要な制度であり、その利用を促進するためには、さらなる改善が必要です。

参考文献

除権決定 | 金融・証券用語解説集 | 大和証券

除権決定 – Wikipedia

わかりやすい用語集 解説:除権決定(じょけんけってい …

除権決定とは|金融業務用語集|iFinance

除権決定(じょけんけってい) | 証券用語集 | 東海東京証券株式会社

除権決定(じょけんけってい)とは? 意味や使い方 – コトバンク

除権決定とは?株式用語解説 – お客様サポート – Dmm 株

除権決定とは – わかりやすく解説 Weblio辞書

除権決定 – Wikiwand

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