運用報告書とは?経済用語について説明

運用報告書の内容
項目 説明
運用実績 ファンドの運用成果を示す。分配金再投資基準価額の動きに注目。
純資産総額 投資信託の総資産額から支払いが済んでいない費用の総負債額を引いた金額。
投資環境 投資信託の運用成績に影響を与える経済情勢や為替変動などをまとめたもの。
今後の運用方針 ファンドの将来の運用戦略や目標を示す。
費用明細 運用にかかった費用がまとめられている。信託報酬、売買委託手数料などが記載される。

1. 運用報告書とは

要約

運用報告書とは何か?

運用報告書とは、投資信託の運用会社が、投資家に対して、資金がどのように運用されているか、またその運用の結果としてどのような成果が得られたかを報告する文書のことです。通常、運用報告書には、投資ポートフォリオの現在の価値、期間中の収益や損失、個々の投資商品のパフォーマンス、運用戦略の変更、市場の動向、将来の見通し、手数料やコストなどの情報が含まれます。この報告書は、透明性を高め、投資家と運用者間の信頼関係を築くためにも不可欠であり、多くの国では金融規制当局によってその提供が義務付けられています。

運用報告書は、投資信託の運用成績や資産状況などがまとめられたものです。原則として決算期ごとに作成されますが、決算期間が6ヶ月未満の毎月決算型や3ヶ月決算型、隔月決算型の投資信託は、半年に一度です。作成する度に投資家に交付されますが、交付方法は販売会社によって異なり、郵送や電子交付で見ることができます。なお、投資信託約款でインターネットなどを通じて提供する旨が定められている場合には、ホームページへの掲載でも交付されたものとみなされます。

運用報告書は、投資判断をする上で大切な情報が載っています。どこを見るべきか、ポイントに分けて解説していきます。

運用報告書の2種類
種類 説明
交付運用報告書 簡易的な報告書。必要な情報が記載されている。
運用報告書(全体版) 詳細な報告書。運用会社のホームページから入手できる。

運用報告書の2種類

運用報告書には「交付運用報告書」と「運用報告書(全体版)」の2種類があります。前者が簡易的な報告書で、後者が詳細を記した報告書というふうに理解しておいてください。簡易的とはいっても、交付運用報告書には必要な情報が書かれています。そのため、交付運用報告書だけでも運用状況などを把握することは可能です。

なお、運用報告書は運用会社や販売会社(証券会社など)のホームページからダウンロードできるので、投資信託を購入していなくても見ることができます。実際、私が投資信託の購入を検討するときも、過去の運用報告書を確認していました。

交付運用報告書で確認すべきポイント

交付運用報告書で確認すべきポイントは、「運用実績」「投資環境」「今後の運用方針」「費用明細」の4つです。今回は、私が個人型確定拠出年金(iDeCo)で運用している「DCニッセイ外国株式インデックス」の交付運用報告書を例に示しながら、順に解説していきます。

交付運用報告書で確認すべきポイント
項目 説明
運用実績 基準価額や純資産総額の推移を確認。
投資環境 経済情勢や為替変動などの影響を確認。
今後の運用方針 将来の運用戦略や目標を確認。
費用明細 運用にかかった費用を確認。

まとめ

運用報告書は、投資信託の運用状況を把握するために不可欠な情報源です。投資信託の購入を検討する際には、必ず過去の運用報告書を確認するようにしましょう。

運用報告書には、交付運用報告書と運用報告書(全体版)の2種類があり、それぞれに特徴があります。交付運用報告書は、簡易的な報告書ですが、必要な情報は含まれています。運用報告書(全体版)は、より詳細な情報が記載されています。

交付運用報告書で確認すべきポイントは、運用実績、投資環境、今後の運用方針、費用明細の4つです。これらの情報を参考に、投資信託の運用状況を把握し、投資判断に役立てましょう。

2. 運用報告書の重要性

要約

投資判断の材料となる

投資家はファンド運用者の投資判断の影響を受け、契約時の情報開示のみならず、投資家が運用成果を適切に評価し、投資運用に関する契約を存続させるか否かの判断ができるよう、定期的に投資家に情報開示が行われる必要があります。

そこで、法令や契約では、ファンドの運用状況等を記載した運用報告書の作成、交付義務が規定されています。今回は、ファンドへの投資後に、投資家に対して行われる運用財産に関する報告についてご説明します。

運用報告書交付義務

運用報告書とは、運用財産の運用状況などを記載した書面で、金商法及び契約で定める期間内に投資家に交付しなければならないものです。

運用報告書には、具体的には、①運用財産である金銭の額や有価証券の銘柄、数および価額等、②取引日や取引の内容、③運用財産の運用に係る報酬の額等を記載します。

自己運用業務を行う投資運用会社は、当該自己運用業務に関して、運用報告書を投資家に交付することが、金商法で義務づけられています。運用財産の運用の委託を受けている投資一任業者は、投資一任業者が投資一任契約の相手方に対し、運用報告書を交付する必要があります。

投資信託に関しては、投資信託及び投資法人に関する法律(以下「投信法」といいます。)に運用報告書交付義務に関する規定があり、金商法上の運用報告書交付義務の適用は除外されています。

運用報告書交付義務の例外

もっとも、運用報告書を権利者に交付しなくても権利者の保護に支障を生ずることがない場合として金融商品取引業等に関する内閣府令や投信法で規定する場合は、運用報告書の交付を要しないとされています。

たとえば、投資家の同居者が確実に運用報告書の交付を受けると見込まれる場合であって、かつ、当該投資家が当該運用報告書の交付を受けないことについて同意している場合(ただし、運用報告書の作成の基準とした日までに投資家から運用報告書の交付請求があった場合は除く)等が挙げられます。また、運用報告書の作成、交付義務に関する金商法の条文は、顧客が特定投資家である場合には、適用されません。

外国籍PEファンド等で多く採用されるリミテッド・パートナーシップ形式のファンドにおけるLPAにおいても、GPが、定期的に各種レポート(運用報告書、監査済財務諸表等)をLPに交付すべきことが規定されているのが通常です。年次の財務諸表等の作成のほか、半期または四半期での財務諸表等の作成、交付も規定されることが多いです。

また、GP及びインベストメント・マネージャー、アドミニストレーターが保管している帳簿を閲覧する権利をLPに付与している場合もあります。

まとめ

運用報告書は、投資家にとって、投資判断を行う上で非常に重要な情報源となります。運用報告書には、ファンドの運用状況や成果、費用などが記載されており、これらを参考に投資の継続や撤退を判断することができます。

運用報告書は、投資信託法や金商法など、法律によってその作成と交付が義務付けられています。ただし、特定の投資家など、一部の例外を除きます。

投資家は、運用報告書の内容を理解し、投資判断に役立てる必要があります。必要に応じて、ファンドと交渉することも重要です。

3. 運用報告書の内容

要約

運用実績

運用実績は、ファンドの運用成果を知る上で重要です。運用実績を確認する際には、分配金再投資基準価額の動きに注意しましょう。

分配金再投資基準価額は、決算日に分配金を支払わず、税金を引く前の分配金を再投資したと仮定して算出された価額です。通常、ファンドは分配金を支払うと純資産総額は減り、基準価額(ファンドの1口あたりの値段)が下がります。つまり、分配金再投資基準価額の動きを見ることで、実質的な運用成果がわかります。

ベンチマークと比較することで、投資信託の値上がり・値下がりが市場環境によるものなのか、運用によるものなのかが判断できます。ベンチマークとは投資信託が運用する際に目標とする基準のことです。代表的なものとしては、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などが挙げられます。

インデックスファンドはベンチマークと同じ動きを目指して運用がおこなわれているのに対し、アクティブファンドはベンチマークを上回る運用成果を目指しています。目標通りの値動きになっているかを確認しましょう。

運用実績を確認するポイント
項目 説明
基準価額 ファンドの1口あたりの値段。
純資産総額 投資信託の総資産額から支払いが済んでいない費用の総負債額を引いた金額。
ベンチマーク 投資信託が運用する際に目標とする基準。
分配金再投資基準価額 決算日に分配金を支払わず、税金を引く前の分配金を再投資したと仮定して算出された価額。

純資産総額

純資産総額とは投資信託の総資産額から支払いが済んでいない費用の総負債額を引いた金額のことです。資産の価値が上がったり、投資家が増えて保有する口数が増えたりすると、純資産総額は増えていきます。

少しずつ増えていれば、資産が育っていると判断できるでしょう。

投資環境

景気や金利などの経済状況は、投資信託の運用成果に影響を与えます。投資環境では、投資している資産の市場全体の動向がわかり、どのように対処したのかを知ることができ、どういう出来事がファンドに影響を与えるのかもわかります。

まとめ

運用報告書には、投資信託の運用実績、純資産総額、投資環境、今後の運用方針、費用明細など、投資判断に必要な情報が盛り込まれています。

これらの情報を参考に、投資信託の運用状況を把握し、投資判断に役立てましょう。

4. 運用報告書の例

要約

運用実績の例

<決算期間中の基準価額および純資産総額の推移>\n「DCニッセイ外国株式インデックス」はベンチマークにほぼ完全に一致した値動きをしていることから、インデックスファンドとしてはまず問題ありません。なお、アクティブファンドの場合は、ベンチマークよりもよい運用成績であることが望ましいです(高い手数料を支払ってでもベンチマークに勝つことを目的とした投資信託なので)。また、純資産総額は順調に伸びているので、こちらに関しても特に問題ありません。

<過去3年間の基準価額および純資産総額の推移>\nこちらは、過去3年間における基準価額および純資産総額の推移を示した表です。表なので、数値でその推移が示されています。赤い四角で囲ったとおり、基準価額の推移(騰落率)はベンチマークとほぼ完全に一致しています。純資産総額も順調に伸びているので、過去3年間の推移においても特に問題はありません。

投資環境の例

投資信託の運用成績に影響を与える経済情勢や為替変動などについてまとめられています。少し難しい表現があるかもしれませんが、経済の勉強のつもりで読むとさまざまな知識が身に付きます。

アクティブファンドの場合は、そのような投資環境下でどのような投資が行われたのか詳しく書かれています。具体的な銘柄名を上げて説明されていることが多いので、どのような銘柄の売買が行われたのか確認しておきましょう。

一方、インデックスファンドの場合は、アクティブファンドほど詳しく書かれていません。ただ、組入上位銘柄は記載されていることが多いので、確認しておくとよいでしょう。

なお、「DCニッセイ外国株式インデックス」の組入上位銘柄は下記のとおりです。米国の大型株が上位を占めていることが確認できます。

今後の運用方針の例

今後の運用方針は、私たち顧客が投資信託を継続保有するか検討する上で大事な判断材料になります。特に、これまでの運用方針から変化があった場合は、新たな運用方針が自分の投資目的に合っているかどうかを確認しましょう。

インデックスファンドの場合は簡単に記載されているだけのことが多いですが、アクティブファンドの場合は細かく書かれているのでよく読むようにしましょう。

まとめ

運用報告書には、投資信託の運用実績、投資環境、今後の運用方針、費用明細など、投資判断に必要な情報が盛り込まれています。

これらの情報を参考に、投資信託の運用状況を把握し、投資判断に役立てましょう。

5. 運用報告書の効果的な活用法

要約

運用報告書を活用して投資判断を

運用報告書は、投資信託の運用状況を把握し、投資判断を行うための重要なツールです。定期的に確認することで、投資信託が期待通りに運用されているか、自分の投資目標に合致しているかなどを確認することができます。

また、運用報告書は、投資信託の選び方にも役立ちます。複数の投資信託の運用報告書を比較することで、運用実績、費用、リスクなどを比較検討し、自分に合った投資信託を選ぶことができます。

運用報告書の内容を理解する

運用報告書には、専門用語が多く、理解するのが難しいと感じる方もいるかもしれません。しかし、重要なのは、運用報告書に記載されている情報を理解し、投資判断に役立てることです。

わからない用語があれば、販売会社や運用会社に問い合わせるなどして、しっかりと理解するようにしましょう。

運用報告書を定期的に確認する

運用報告書は、定期的に確認することが重要です。特に、投資信託の運用方針に変更があった場合や、市場環境が大きく変化した場合などは、最新の運用報告書を確認し、必要があれば投資方針を見直すようにしましょう。

まとめ

運用報告書は、投資信託の運用状況を把握し、投資判断を行うための重要なツールです。

運用報告書の内容を理解し、定期的に確認することで、投資信託の運用状況を把握し、投資判断に役立てることができます。

投資信託の選び方にも役立ちます。複数の投資信託の運用報告書を比較することで、自分に合った投資信託を選ぶことができます。

6. 運用報告書の作成ガイドライン

要約

運用報告書の作成ガイドライン

運用報告書の作成には、金融庁が定めたガイドラインがあります。このガイドラインでは、運用報告書に記載すべき項目や、その内容について詳細な規定がされています。

運用会社は、このガイドラインに基づいて、投資家にわかりやすく、正確な情報を提供する必要があります。

ガイドラインの内容

運用報告書の作成ガイドラインでは、以下の項目について、詳細な規定がされています。

* 運用報告書に記載すべき項目
* 記載内容の具体例
* 記載方法
* 開示方法
* 報告頻度

運用報告書の作成ガイドラインで規定されている項目
項目 説明
記載すべき項目 運用報告書に記載すべき項目を規定。
記載内容の具体例 記載内容の具体例を規定。
記載方法 記載方法を規定。
開示方法 開示方法を規定。
報告頻度 報告頻度を規定。

ガイドラインの目的

運用報告書の作成ガイドラインの目的は、投資家に対して、投資信託の運用状況を正確かつわかりやすく開示することです。

これにより、投資家は、投資信託の運用状況を把握し、投資判断を行うための情報を適切に得ることができます。

まとめ

運用報告書の作成ガイドラインは、投資家保護の観点から重要な役割を果たしています。

運用会社は、このガイドラインに基づいて、投資家にわかりやすく、正確な情報を提供する必要があります。

投資家は、運用報告書の内容を理解し、投資判断に役立てるようにしましょう。

参考文献

運用報告書の見方・読み方 | 三菱ufj銀行

運用報告書 – 投資信託協会

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