魚：キアンコウについて説明

キアンコウのまとめ
項目	内容
生息域	北海道～九州、北極海、太平洋、インド洋、大西洋、地中海など
生息環境	水深30m～500mの砂泥状の海底
食性	肉食性、小魚やプランクトン、小さなサメ、スルメイカ、カレイ、カニ、ウニ、貝など
繁殖	3～6月にゼラチン状の帯の中に包まれた卵を産む
保護活動	漁獲量の制限、禁漁期間の設定、生息環境の保全など
人間との関係	食用として人気、特に冬の鍋の具として珍重される
特徴	頭部が大きく幅広い、体は暗褐色から黒色で柔らかく平たい、擬餌状体で獲物を誘う、泳ぎが苦手

1. キアンコウの生態と分布

キアンコウの生息域

キアンコウは、北海道から九州までの日本列島周辺の海域に広く分布しています。水深は30mから500mの砂泥状の海底を好み、特に水温が17℃から20℃の環境で多く見られます。ただし、水温が12℃以下になると生息数は減少し、極度の低温は好まないようです。キアンコウは、手足のように変形したヒレを使って海底を這うように移動します。

キアンコウは、北極海、太平洋、インド洋、大西洋、地中海など、世界中の海に生息しています。アンコウ目は16科300種ほど存在しますが、漁業資源として利用されるのはアンコウ科に属する種類のみです。アンコウ科には25種ほどが含まれ、すべてが海水魚で、そのほとんどが深海魚です。

ヨーロッパではアングラー、北アメリカではアメリカンアングラーと呼ばれ、いずれもキアンコウと同じキアンコウ属に含まれる種です。日本においては、キアンコウ（ホンアンコウ）とアンコウ（クツアンコウ）が主な食用種として知られています。両種は別の属に分類されていますが、外見はよく似ているため、一般的に市場では区別されていません。

キアンコウは、頭部が大きく幅広いのが特徴です。体は暗褐色から黒色で、柔らかく平たい形状をしています。

キアンコウの生息域
地域	水深	水温
北海道～九州	30m～500m	17℃～20℃
北極海	不明	不明
太平洋	不明	不明
インド洋	不明	不明
大西洋	不明	不明
地中海	不明	不明

キアンコウの生息環境

キアンコウは、水深30mから500mの砂泥状の海底に生息しています。このことから、アンコウ目の魚類全体に対して底生生活のイメージが持たれているのですが、チョウチンアンコウなどは深海域の150mから2500mの中層域に生息し、ハナオコゼのように表層に分布するものもいます。

キアンコウは、擬餌状体という誘引突起による待ち伏せ型の摂餌法をとる魚です。肉食性で、口が大きく、歯が発達しています。海底に潜んで他の魚を襲うのに適するため、口はやや上を向いています。頭には2本のアンテナ状の突起があり、長い方には皮がついています。

キアンコウは泳ぎが下手なため、泳ぎの上手な魚を追い回しても逃げられてしまいます。そこで、海底の砂に潜り、その突起の皮を水面で揺らし、これをエサだと思って寄ってきた魚を、丸呑みにして捕食します。突起の皮は擬餌針のような働きをします。

キアンコウは主に小魚やプランクトンを捕食しますが、種によっては小さなサメ、スルメイカ、カレイ、カニ、ウニ、貝などを捕食するものもいます。さらに、たまに水面に出て海鳥を襲うこともあり、食べるために解体したら胃の中にカモメやウミガラス、ペンギンなどが入っていたという報告もあります。

キアンコウの生息環境
特徴	説明
擬餌状体	誘引突起で獲物を待ち伏せ
口	大きく、歯が発達している
移動方法	手足のように変形したヒレで海底を這う
食性	肉食性、小魚やプランクトン、小さなサメ、スルメイカ、カレイ、カニ、ウニ、貝など
その他	水面に出て海鳥を襲うこともある

キアンコウの分布と漁獲

キアンコウは、日本周辺では北海道から九州までの海域に広く分布しており、全国各地で漁獲されています。安定して数多く獲れる地域でない限り、流通産業に乗せて大消費地に送り出すことの難しい魚種であり、地元での個人的消費に回されることも多いです。

青森県下北半島北部の風間浦村は、地元産のキアンコウを21世紀に入るまでは商業的に十分活かせずにいました。西隣の大間町がブランド魚「大間まぐろ」で成功した取り組みを手本にしつつ、地元産アンコウを一から見直し、当時進捗していた流通革命（冷凍冷蔵技術と輸送技術の目覚ましい進歩）を追い風にして、2010年代前半、ブランド化に成功しています。

茨城県では、特に、ひたちなか市の那珂湊漁港および、日立市の久慈浜漁港、北茨城市の平潟は、底曳網漁が盛んなため（大量の他魚種と共に混獲されるため）、水揚げ量が多いです。アンコウの水揚げ量は、昭和30年代（1955-1964年中）には約749トンという記録が残っていますが、2000年代は数十トン程度です。

アンコウの水揚げ量は、比較的短い周期で局地的な増減があり、2000年代の茨城県内の水揚げ量は増加傾向にあります。また、2000年代には日本各地で漁獲されるようになり、2010年代においては下関市が水揚げ量日本一とされています。東日本では青森県の水揚げ量が一番多いです。

キアンコウの漁獲量
地域	漁獲量
青森県	最も多い
下関市	日本一
茨城県	増加傾向
風間浦村	ブランド化に成功

まとめ

キアンコウは、日本列島周辺の海域に広く分布し、水深30mから500mの砂泥状の海底に生息しています。水温は17℃から20℃を好み、極度の低温は苦手です。

キアンコウは、擬餌状体という誘引突起を使って獲物を待ち伏せし、大きな口で丸呑みにして捕食します。

キアンコウは、漁獲量が安定しないため、地元での消費が中心となっています。近年では、ブランド化や流通技術の進歩により、全国的に流通するようになってきました。

キアンコウは、生態や分布、漁獲方法など、まだ解明されていない部分も多く、今後の研究が期待されます。

2. キアンコウの形態と特徴

キアンコウの体の特徴

キアンコウは、アンコウ目アンコウ科キアンコウ属に属する魚で、アンコウ科には25種ほどが含まれます。キアンコウは、メスの方が大きく、最小サイズはメスが体長55センチ程度、オスが体長35センチ程度です。また、キアンコウの寿命は13年ほどです。

キアンコウは、頭部が大きく幅広いのが特徴です。体は暗褐色から黒色で、柔らかく平たい形状をしています。

キアンコウは、頭部に2本のアンテナのようなものがついており、体を隠してアンテナを水面で揺らしてそれを餌だと思って寄ってきた魚を食べる捕食方法をとります。これはキアンコウの1番の特徴と言えます。

キアンコウは、ヒラメのように体が薄い魚で、地面に獲物となる魚を待ち伏せしています。

キアンコウの体の特徴
特徴	説明
頭部	大きく幅広い
体	暗褐色から黒色、柔らかく平たい
アンテナ	頭部に2本のアンテナ状の突起があり、長い方には皮がついている
ヒレ	手足のように変形したヒレで海底を這う
その他	ヒラメのように体が薄い

キアンコウの識別方法

キアンコウは、アンコウ属アンコウ（Lophiomus setigerus）と非常に良く似ており、流通のうえではほとんど区別されていないほどです。違いは口の中にまだら模様がなく真っ白なことである（口を大きく開けた写真で良く分かる）。

キアンコウは、上膊棘（じょうはくきょく）が単尖頭（たんせんとう）であるのに対し、アンコウは多尖頭（たせんとう）です。また、キアンコウの口腔内には白色斑がないのに対し、アンコウには白色斑があります。

キアンコウは、背鰭の軟条が9〜10本であるのに対し、アンコウは7〜9本です。

キアンコウは、体型と胸鰭の位置がアンコウと異なるという情報もありますが、成長段階や性別によってどの様な比率の差があるのかという研究はされていないため、現段階では確定していません。

キアンコウとアンコウの識別ポイント
項目	キアンコウ	アンコウ
口腔内	白色斑なし	白色斑あり
上膊棘	単尖頭	多尖頭
背鰭の軟条数	9～10本	7～9本

キアンコウの体の構造

キアンコウは、頭部が大きく、体は平たい形状をしています。アンコウの見た目はぶよぶよとしており、うろこもありません。体色は、上面は茶色～赤褐色で、腹はピンクから白っぽい色をしています。

キアンコウの口には鋭い歯が並んでいます。胴部から尾部にかけて細くなり、長さは頭部とほぼ同じになります。

キアンコウの背ビレ棘の突起部分には疑似餌がついており、それを立てて揺らし、獲物をおびき寄せるという特徴があります。

キアンコウは、骨とアゴ・目ん玉以外すべて食べることができる魚です。

キアンコウの体の構造
部位	特徴
頭部	大きく、幅広い
口	大きく、鋭い歯が並んでいる
体	平たく、うろこがない
体色	上面は茶色～赤褐色、腹はピンクから白っぽい
背ビレ棘	突起部分に疑似餌がついている
その他	骨とアゴ・目ん玉以外すべて食べられる

まとめ

キアンコウは、アンコウ属アンコウとよく似ていますが、口の中が真っ白で、上膊棘が単尖頭であること、口腔内に白色斑がないことで区別できます。

キアンコウは、頭部が大きく、体は平たい形状をしています。背ビレ棘の突起部分には疑似餌がついており、それを立てて揺らし、獲物をおびき寄せるという特徴があります。

キアンコウは、骨とアゴ・目ん玉以外すべて食べることができる魚です。

キアンコウは、見た目とは裏腹に、食用として人気のある魚です。

3. キアンコウの食性と摂取方法

キアンコウの食性

キアンコウは、肉食性で、口が大きく、歯が発達しています。海底に潜んで他の魚を襲うのに適するため、口はやや上を向いています。

キアンコウは、頭部に2本のアンテナ状の突起があり、長い方には皮がついています。この突起を水面で揺らし、これをエサだと思って寄ってきた魚を、丸呑みにして捕食します。

キアンコウは主に小魚やプランクトンを捕食しますが、種によっては小さなサメ、スルメイカ、カレイ、カニ、ウニ、貝などを捕食するものもいます。

キアンコウは、たまに水面に出て海鳥を襲うこともあり、食べるために解体したら胃の中にカモメやウミガラス、ペンギンなどが入っていたという報告もあります。

キアンコウの食性
餌	説明
小魚	主な餌
プランクトン	主な餌
小さなサメ	まれに捕食
スルメイカ	まれに捕食
カレイ	まれに捕食
カニ	まれに捕食
ウニ	まれに捕食
貝	まれに捕食
海鳥	まれに捕食

キアンコウの栄養価

キアンコウの身は脂質が少なく低カロリーな食材です。アン肝にはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。

キアンコウの栄養素は以下の通りです。\n・DHA（脳細胞の活性化や脳の発達に働きかける）\n・EPA（血液をサラサラにし、中性脂肪を下げる）\n・タンパク質（筋肉細胞の維持、免疫力高上）\n・ナイアシン（血行促進、冷え性改善）\n・ビタミンA（皮膚や粘膜を正常に保つ）\n・ビタミンB群（神経の機能の正常化）\n・ビタミンD（カルシウムの吸収を促進）\n・ビタミンE（抗酸化作用）\n・鉄分（貧血の防止）\n・葉酸（細胞の生まれ変わりを助ける働き）\n・リン（歯や骨を丈夫にする）\n・マグネシウム（カラダの代謝を促す）\n・カルシウム（骨を強くし骨粗鬆症を予防）\n・カリウム（細胞内の浸透圧を調整、むくみ防止）

キアンコウの肝には、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD、DHA、EPAなど、栄養価の高い成分が豊富に含まれています。

キアンコウは、骨とアゴ・目ん玉以外すべて食べることができる魚です。

キアンコウの栄養素
栄養素	効果
DHA	脳細胞の活性化、脳の発達
EPA	血液サラサラ、中性脂肪減少
タンパク質	筋肉細胞の維持、免疫力向上
ナイアシン	血行促進、冷え性改善
ビタミンA	皮膚や粘膜の健康維持
ビタミンB群	神経の機能の正常化
ビタミンD	カルシウムの吸収促進
ビタミンE	抗酸化作用
鉄分	貧血予防
葉酸	細胞の生まれ変わり
リン	歯や骨を丈夫にする
マグネシウム	代謝促進
カルシウム	骨を強くする
カリウム	細胞内の浸透圧調整、むくみ防止

キアンコウの調理方法

キアンコウは、大きな口を開けて、魚が口に入ってくるのを待ちます。そのことから、働かずにじっと待ち利益を得るという意味で、「安居（あんきょ）」と呼ばれ、それが「アンコウ」に転じたという説があります。

キアンコウは、体全体が柔軟性に富み、粘りがあるため、普通の魚と異なり「吊るし切り」という独特の方法で捌かれます。吊るし切りは、下あごにフック（鉤）をかけて体をつるし、アンコウの口から水を流し込んで胃を膨らませ、柔らかい胴体に張りがでたところを解体する方法です。

キアンコウは、骨とアゴ・目ん玉以外すべて食べることができます。キアンコウの可食部は7種類に分けられており、「アンコウの7つ道具」と呼ばれています。7つ道具は、「身・皮・水袋（胃）・肝（肝臓）・ヌノ（卵巣）・エラ・トモ（ヒレ）」です。

キアンコウは、鍋、唐揚げ、煮付け、焼き物など、さまざまな料理に用いられます。

キアンコウの調理方法
方法	説明
吊るし切り	下あごにフックをかけて体をつるし、口から水を流し込んで胃を膨らませ、解体する
鍋	しょうゆ仕立て、みそ仕立て、水炊きなど
唐揚げ	外はサクッ、中はふっくらとした食感
煮付け	じっくり煮込むことで旨味が染み渡る
焼き物	香ばしく焼き上げる

まとめ

キアンコウは、肉食性で、大きな口と鋭い歯を持ち、擬餌状体を使って獲物を待ち伏せして捕食します。

キアンコウは、低カロリーで、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど、栄養価の高い食材です。

キアンコウは、独特の「吊るし切り」という方法で捌かれます。

キアンコウは、鍋、唐揚げ、煮付け、焼き物など、さまざまな料理に用いられ、その美味しさから「海のフォアグラ」とも呼ばれています。

4. キアンコウの繁殖と生活サイクル

キアンコウの繁殖

キアンコウの産卵期は3月から6月です。メスは、ゼラチン状の帯の中に包まれた卵を産みます。この卵は、水中を漂う見た目が「天女の羽衣」とも呼ばれています。

キアンコウは、雌雄ともに大きくなる魚ですが、オスはメスに比べて成長が遅く、体も小さいです。

キアンコウの卵は、クラゲなどの浮遊生物に擬態した、凝集浮性卵（ぎょうしゅうふせいらん）で、生みだされる事が分かっています。

キアンコウの仔魚期・浮遊性幼魚期の一部の生態も知られています。

キアンコウの繁殖
時期	説明
3～6月	産卵期
卵	ゼラチン状の帯の中に包まれて産卵される
その他	卵は水中を漂う見た目が「天女の羽衣」とも呼ばれている

キアンコウの成長

キアンコウは、成長段階によって食味は変わりますが、とても美味しい魚と言える。特に、冬の鍋の具として人気があります。

ホンアンコウと呼ばれて美味と珍重されるのは、キアンコウの雌です。

キアンコウは、成長段階によって体型や特徴が変化します。

キアンコウの成長過程は、まだ完全には解明されていません。

キアンコウの成長
成長段階	特徴
幼魚	小型
成魚	大型
雌	オスより大きく成長が早い
雄	メスより小さく成長が遅い

キアンコウの生活史

キアンコウは、成長段階によって食味は変わるが、とても美味しい魚と言える。特に、冬の鍋の具として人気がある。

ホンアンコウと呼ばれて美味と珍重されるのは、キアンコウの雌である。

キアンコウは、成長段階によって体型や特徴が変化します。

キアンコウの成長過程は、まだ完全には解明されていません。

キアンコウの生活史
段階	説明
仔魚期	浮遊生活
幼魚期	浮遊生活
成魚期	海底生活
その他	成長段階によって食味が異なる

まとめ

キアンコウは、3月から6月にかけて産卵し、ゼラチン状の帯の中に包まれた卵を産みます。

キアンコウは、成長段階によって体型や特徴が変化します。

キアンコウの成長過程は、まだ完全には解明されていません。

キアンコウは、成長段階によって食味が変わりますが、とても美味しい魚と言える。特に、冬の鍋の具として人気があります。

5. キアンコウの保護活動と課題

キアンコウの保護活動

キアンコウは、漁獲量の減少や生息環境の変化など、さまざまな課題に直面しています。

キアンコウの保護活動としては、漁獲量の制限や禁漁期間の設定、生息環境の保全などが行われています。

キアンコウの保護活動は、漁業者や研究者、行政機関などが連携して行われています。

キアンコウの保護活動は、キアンコウの個体数維持と、生態系のバランスを保つために重要です。

キアンコウの保護活動
活動	説明
漁獲量の制限	個体数維持のため
禁漁期間の設定	繁殖期を守るため
生息環境の保全	環境破壊を防ぐため
その他	漁業者、研究者、行政機関などが連携して行われている