項目 | 内容 |
---|---|
生息域 | 北太平洋、ベーリング海、オホーツク海、日本海、北海道、岩手県 |
分布 | 北極海に面したロシアのレナ川からカナダのマッケンジー川の間、北太平洋、ベーリング海、オホーツク海全域、日本海では朝鮮半島北部まで |
全長 | 40~60cm |
体重 | 2~2.5kg |
特徴 | 背部と尾ビレに黒い斑点がある、繁殖期に雄の背が盛り上がる |
産卵 | 9~10月、河川水の浸透する砂礫底の場所 |
孵化 | 4~5月、体長3cmほどの稚魚 |
降海 | 孵化後すぐに川を下り、一晩から数日で降海 |
成熟 | ほぼ全てが2年で成熟 |
母川回帰 | 母川回帰性が弱く、他の川に遡上することもある |
漁獲量 | 北太平洋のサケ・マス類で最も多い |
利用 | 塩蔵、缶詰、マス子など |
保護活動 | 漁獲量の制限、禁漁期間の設定、産卵場の保護、人工孵化放流など |
1. カラフトマスの生態
カラフトマスの生息域
カラフトマスは、北太平洋、ベーリング海、オホーツク海、日本海、北海道、岩手県に分布しています。世界的にはサケ属の中でもっとも分布域が広く、北は北極海に面したロシアのレナ川からカナダのマッケンジー川の間、北太平洋、ベーリング海、オホーツク海全域、日本海では朝鮮半島北部まで分布しています。日本では、北海道と東北の一部に限られており、全体の95%以上がオホーツク海沿岸と根室海峡沿岸の河川に生息しています。
日本海側では北海道北部の河川で、太平洋側では三陸沿岸北部の河川で、毎年わずかながら遡上が認められています。宮城県の大川や茨城県の那珂川で成熟した親魚が捕らえられたことがあるが、これらは南下してきたものが北上の機会を逸して迷い込んだものと思われる。
カラフトマスは、サケ属の中でもっとも海洋生活に適合された種類であるとされています。
地域 | 分布 |
---|---|
北太平洋 | ○ |
ベーリング海 | ○ |
オホーツク海 | ○ |
日本海 | ○ |
北海道 | ○ |
岩手県 | ○ |
ロシア | ○ |
カナダ | ○ |
朝鮮半島北部 | ○ |
北極海 | 一部 |
カラフトマスの生活史
カラフトマスは、ほぼ全個体が2年魚で成熟します。親魚の河川遡上は北海道では7~10月で、産卵期は9~10月です。産卵は河川水の浸透する砂礫底の場所で行われ、ごく小さな河川を含め、中下流域が主要な産卵場となります。平均産卵数は、およそ1300~1700粒です。
浮上した稚魚は直ちに海へ下り、河川内ではほとんど餌をとらない。降海時期は4~5月で、降海直後はごく岸寄りで生息し、海岸線に沿って小規模な群れを作り分布します。
沿岸域でカラフトマス幼魚は、カイアシ類・ハルパクチス類・端脚類等を中心に摂食を行い、7月位迄沿岸域で過ごし、成長と共に沖合へ移動します。日本系カラフトマスの主群は、8~9月になるとオホーツク海全体を生活の場とするようになり、10~12月の海水温の低下と共にオホーツク海から千島列島を抜けて北太平洋へ移動します。
沖合生活期の主餌料はオキアミ類、端脚類、カイアシ類、イカ類、魚類等です。約1年の海洋生活の後、夏から秋にかけて産卵回帰します。資源量が多い年の河川への遡上時期は遅いが、これは成長にかかる時間が長くなる為、遡上時期が遅くなると考えられています。
時期 | 内容 |
---|---|
7~10月 | 親魚の河川遡上 |
9~10月 | 産卵 |
4~5月 | 稚魚の降海 |
8~9月 | オホーツク海全体を生活の場 |
10~12月 | 北太平洋へ移動 |
夏~秋 | 産卵回帰 |
カラフトマスの特徴
カラフトマスは、成魚で全長40~60㎝、重さ2~2.5kgほどです。背部は青緑色、体側から腹にかけては銀白色で、背面、尾ビレ、脂ビレに黒い斑点があるのが特徴です。
繁殖期には、頭部と背部が黒っぽい灰色、体側は赤紫がかった茶色となり、さらに雄は背中が突起状に大きく変形します。そのため、「セッパリ」「セッパリマス」などの別名があります。また、雄は同時に口先が尖って上顎が下方に曲がってくるのも特徴です。その一方、雌は体色が雄と同様に変わるくらいで、体形的な変化はほとんど見られません。
カラフトマスの稚魚は、ほかのサケ属の魚の稚魚に共通して見られるパーマークがなく、背部が青緑色で体側は銀色で、ほっそりとした体形をしています。
項目 | 内容 |
---|---|
全長 | 40~60cm |
体重 | 2~2.5kg |
体色 | 背部:青緑色、体側:銀白色 |
特徴 | 背部と尾ビレに黒い斑点がある |
繁殖期 | 頭部と背部が黒灰色、体側は赤紫がかった茶色、腹部は白くなる |
雄の特徴 | 背が盛り上がり、口先が尖って上顎が下方に曲がる |
稚魚の特徴 | パーマークがない |
まとめ
カラフトマスは、北太平洋の広い範囲に生息するサケ属の魚で、日本でも北海道を中心に分布しています。
カラフトマスは、2年で成熟し、産卵のために生まれた川に遡上しますが、母川回帰性はサケよりも弱く、他の川に遡上することもあります。
カラフトマスの特徴は、背部と尾ビレに黒い斑点があること、繁殖期に雄の背が盛り上がることなどです。
2. カラフトマスの特徴
カラフトマスの外見
カラフトマスは、サケ属の中では小型の種類で、全長は40~60cm程度です。背部や尾びれ、脂びれに黒い斑点があるのが特徴です。
繁殖期には、オスの背が盛り上がり、口先が尖って上顎が下方に曲がります。この特徴的な姿から「セッパリマス」と呼ばれることもあります。
一方、メスは体色が雄と同様に変わるくらいで、体形的な変化はほとんど見られません。
稚魚には、他のサケ属魚類稚魚に共通してみられるパーマークがありません。
項目 | 内容 |
---|---|
全長 | 40~60cm |
体色 | 背部:青緑色、体側:銀白色 |
特徴 | 背部と尾ビレ、脂ビレに黒い斑点がある |
繁殖期の雄 | 背が盛り上がり、口先が尖って上顎が下方に曲がる |
稚魚 | パーマークがない |
カラフトマスの生態
カラフトマスは、ほぼ全個体が2年で成熟し、産卵のために生まれた川に遡上します。
しかし、カラフトマスは母川回帰性が弱く、サケがほぼ100%の確率で母川回帰するのに対し、カラフトマスは60%程度です。
そのため、違う川に遡上する個体も多いことがわかっています。
遡上時期は河川によっても異なりますが、通常は7月中旬頃から始まります。
項目 | 内容 |
---|---|
成熟 | ほぼ全てが2年で成熟 |
産卵 | 9~10月、河川水の浸透する砂礫底の場所 |
孵化 | 4~5月、体長3cmほどの稚魚 |
降海 | 孵化後すぐに川を下り、一晩から数日で降海 |
母川回帰 | 母川回帰性が弱く、他の川に遡上することもある |
カラフトマスの名前
カラフトマスは、産卵時の背の張り具合から「セッパリ」と呼ばれるほか、三陸を中心とした岩手県地方ではサクラ、またはサクラマスと呼ばれることがあります。
これは桜の開花時に定置網などでまとまって漁獲されることに由来する呼び名で、種としてのサクラマスは別の魚です。
そのほかにアオマス(岩手県久慈地方)、ホンマス(北海道東部)などの呼称があります。
英語名はピンクサーモンで、これは身の色に由来します。
地域 | 呼び名 |
---|---|
北海道 | セッパリ、セッパリマス |
岩手県 | サクラ、サクラマス |
岩手県久慈地方 | アオマス |
北海道東部 | ホンマス |
英語 | ピンクサーモン |
まとめ
カラフトマスは、サケ属の中では小型の種類で、全長は40~60cm程度です。
背部や尾びれ、脂びれに黒い斑点があり、繁殖期にはオスの背が盛り上がり、口先が尖って上顎が下方に曲がります。
カラフトマスは、ほぼ全個体が2年で成熟し、産卵のために生まれた川に遡上しますが、母川回帰性はサケよりも弱く、他の川に遡上することもあります。
カラフトマスは、地域によって様々な呼び名があり、英語名はピンクサーモンです。
3. カラフトマスの飼育方法
カラフトマスの飼育環境
カラフトマスは、冷水性の魚で、水温が10~15℃の環境を好みます。
飼育には、水槽や池などの広い空間が必要です。
水質は、弱アルカリ性で、水温の変化が少ないことが重要です。
餌は、人工飼料や生餌を与えます。
項目 | 内容 |
---|---|
水温 | 10~15℃ |
水質 | 弱アルカリ性 |
空間 | 水槽や池などの広い空間 |
餌 | 人工飼料や生餌 |
カラフトマスの飼育方法
カラフトマスを飼育する際は、水温や水質を管理することが重要です。
水温は、10~15℃に保ち、水質は弱アルカリ性で、水温の変化が少ないように注意します。
餌は、人工飼料や生餌を与えます。
カラフトマスは、他の魚と混泳させる場合は、同程度の大きさの魚を選び、水槽に十分な隠れ場所を用意する必要があります。
項目 | 内容 |
---|---|
水温管理 | 10~15℃に保つ |
水質管理 | 弱アルカリ性で、水温の変化が少ないように注意 |
餌 | 人工飼料や生餌を与える |
混泳 | 同程度の大きさの魚を選び、隠れ場所を用意する |
カラフトマスの繁殖
カラフトマスを繁殖させるには、オスとメスをペアにして、産卵床を用意する必要があります。
産卵床は、砂利や小石を敷き詰めたもので、水深は10~20cm程度が適しています。
産卵後、卵は水温によって異なりますが、約2ヶ月で孵化します。
孵化した稚魚は、最初は卵黄を吸収して成長しますが、その後は人工飼料や生餌を与えます。
項目 | 内容 |
---|---|
ペア | オスとメスをペアにする |
産卵床 | 砂利や小石を敷き詰めたもの、水深10~20cm程度 |
孵化 | 約2ヶ月で孵化 |
稚魚の餌 | 最初は卵黄を吸収、その後は人工飼料や生餌 |
まとめ
カラフトマスを飼育するには、冷水性の魚であることを考慮し、水温や水質を管理することが重要です。
飼育環境としては、水槽や池などの広い空間が必要で、水質は弱アルカリ性で、水温の変化が少ないことが重要です。
餌は、人工飼料や生餌を与えます。
カラフトマスを繁殖させるには、オスとメスをペアにして、産卵床を用意する必要があります。
4. カラフトマスの繁殖行動
カラフトマスの産卵
カラフトマスは、産卵のために生まれた川に遡上します。
遡上時期は河川によっても異なりますが、通常は7月中旬頃から始まります。
産卵床は、サケの産卵場所よりも流れが速い場所に作られることが多く、サケのように地下水が湧き出ている場所である必要もありません。
そのため、サケの産卵場所とは棲み分けがされています。
項目 | 内容 |
---|---|
時期 | 9~10月 |
場所 | 河川水の浸透する砂礫底の場所 |
産卵数 | 1,000~1,500粒 |
寿命 | 産卵後寿命を終える |
カラフトマスの受精と孵化
カラフトマスは、一ヶ所に1
受精からの積算水温が400~500℃になると孵化し、4~5月頃になって体長3㎝ほどの稚魚になると川底から抜け出して泳ぎ始めます。
浮上後はあまりエサを捕食せずに川を下り、一晩から数日で降海します。
項目 | 内容 |
---|---|
孵化 | 受精からの積算水温が400~500℃で孵化 |
孵化時期 | 4~5月 |
稚魚の体長 | 3cm |
降海 | 孵化後すぐに川を下り、一晩から数日で降海 |
カラフトマスの世代交代
カラフトマスはほぼ全てが2年で成熟することから、偶数年と奇数年で繁殖集団が異なります。
そのため、カラフトマスの漁獲量は、奇数年に多く、偶数年に少ないという現象が続いていました。
しかし、近年ではその関係が逆転しており、北太平洋全体の漁獲量とも逆相関になっています。
項目 | 内容 |
---|---|
成熟 | ほぼ全てが2年で成熟 |
繁殖集団 | 偶数年と奇数年で異なる |
漁獲量 | 奇数年に多く、偶数年に少ない傾向がある |
まとめ
カラフトマスは、産卵のために生まれた川に遡上し、流れの速い場所に産卵床を作ります。
受精卵は、約4~5ヶ月で孵化し、稚魚はすぐに川を下って海へ降ります。
カラフトマスは、ほぼ全てが2年で成熟するため、偶数年と奇数年で繁殖集団が異なり、漁獲量に影響を与えています。
5. カラフトマスと関連する生態系
カラフトマスの生態系における役割
カラフトマスは、生態系において重要な役割を果たしています。
カラフトマスは、他の魚や鳥類などの餌となり、食物連鎖を支えています。
また、カラフトマスは、河川や海の環境を維持する役割も担っています。
例えば、カラフトマスは、産卵のために川を遡上する際に、川底の砂利を掘り返すことで、水質の改善に役立っています。
項目 | 内容 |
---|---|
食物連鎖 | 他の魚や鳥類などの餌となる |
環境維持 | 産卵のために川を遡上する際に、川底の砂利を掘り返すことで水質の改善に役立つ |
カラフトマスと他の生物との関係
カラフトマスは、他の生物との様々な関係を持っています。
例えば、カラフトマスは、サケやマスなどの他のサケ属魚類と競合関係にあります。
また、カラフトマスは、カワウやオオワシなどの鳥類の餌となっています。
さらに、カラフトマスは、寄生虫や病気などの影響を受けることもあります。
関係 | 生物 |
---|---|
競合 | サケ、マスなどの他のサケ属魚類 |
餌 | カワウ、オオワシなどの鳥類 |
影響 | 寄生虫、病気 |
カラフトマスの生態系への影響
カラフトマスの生態系への影響は、様々な要因によって変化します。
例えば、漁獲量の増加や環境の変化は、カラフトマスの個体数や分布に影響を与える可能性があります。
また、気候変動も、カラフトマスの生態系に影響を与える可能性があります。
要因 | 影響 |
---|---|
漁獲量の増加 | 個体数や分布に影響 |
環境の変化 | 個体数や分布に影響 |
気候変動 | 生態系に影響 |
まとめ
カラフトマスは、生態系において重要な役割を果たしており、他の生物との様々な関係を持っています。
漁獲量の増加や環境の変化、気候変動など、様々な要因がカラフトマスの生態系に影響を与える可能性があります。
カラフトマスの生態系への影響を理解し、適切な管理を行うことが重要です。
6. カラフトマス保護活動について
カラフトマス保護の必要性
カラフトマスは、近年、漁獲量の減少や環境の変化などにより、その個体数が減少しています。
そのため、カラフトマスを保護することが重要です。
カラフトマスを保護することで、生態系のバランスを保ち、水産資源の持続的な利用を可能にすることができます。
問題 | 内容 |
---|---|
漁獲量の減少 | 個体数が減少 |
環境の変化 | 個体数が減少 |
生態系のバランス | 維持が必要 |
水産資源 | 持続的な利用が必要 |
カラフトマス保護活動
カラフトマス保護活動には、様々な取り組みがあります。
例えば、漁獲量の制限や禁漁期間の設定、産卵場の保護、人工孵化放流などがあります。
これらの活動は、政府や漁業関係者、研究機関などが連携して行われています。
活動 | 内容 |
---|---|
漁獲量の制限 | 個体数調整 |
禁漁期間の設定 | 産卵期の保護 |
産卵場の保護 | 生息環境の維持 |
人工孵化放流 | 個体数増加 |
私たちにできること
私たちも、カラフトマスの保護活動に貢献することができます。
例えば、カラフトマスを食べる際には、適切な漁獲方法で獲られたものかどうかを確認しましょう。
また、カラフトマスの生息環境を守るために、ゴミを捨てたり、環境汚染の原因となるような行為はやめましょう。
行動 | 内容 |
---|---|
適切な漁獲方法 | 確認する |
ゴミを捨てる | やめる |
環境汚染 | 原因となる行為をやめる |
まとめ
カラフトマスは、漁獲量の減少や環境の変化などにより、その個体数が減少しています。
カラフトマスを保護するためには、漁獲量の制限や禁漁期間の設定、産卵場の保護、人工孵化放流などの取り組みが必要です。
私たちも、カラフトマスを食べる際には、適切な漁獲方法で獲られたものかどうかを確認したり、生息環境を守るためにゴミを捨てたり、環境汚染の原因となるような行為をやめたりすることで、保護活動に貢献することができます。
参考文献
・カラフトマスってどんな魚?釣り方や食味、おすすめ料理をご …
・カラフトマスとは – 生態や形態の特徴解説 – Zukan(図鑑)
・カラフトマス(樺太鱒)の生態・釣り方・食味について | Tsuri …
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