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1. アカタナゴの生息地
生息域
アカタナゴは、日本の固有種で、本州の関東地方と東北地方の太平洋側に分布しています。秋田県や新潟県からも記録がありますが、疑わしいとされています。分布南限は神奈川県鶴見川水系、北限は青森県鷹架沼とされ、生息地はこの間に散在しています。
かつては関東や東北においてごく普通の存在でしたが、戦後の水質汚染や河川改修圃場整備といった開発に伴い、産卵床となる二枚貝類とともに多くの生息地が破壊されました。
また、ブラックバス・ブルーギルによる食害やタイリクバラタナゴとの競合といった外来魚の圧迫を受けており、各地で生息数が激減しています。
現在、国産タナゴ類ほぼ全般は大きく数を減らし、希少になりつつあるが最も大きな影響は、乱獲の影響より開発等による環境破壊、外来種の食害や競合、水田や繋がる水路等の湧水の枯渇や干コンクリートによる三面護岸等であり、特にタナゴ類の繁殖に欠かせないドブガイなどの二枚貝の減少も影響している。タナゴ類も二枚貝も共に同じ環境で生きる生物の為、少なくとも生息している水域を含めた保護、環境保全整備等が重要である。
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生息地の減少
関東地方の生息地は近年特に減少しています。分布南限の神奈川県ではすでに絶滅し、東京都や埼玉県でも同様とみられ、千葉県においても近年は確実な記録はありません。
現在のまとまった生息地は茨城県と栃木県内の一部水域のみです。かつて多産した霞ヶ浦周辺では水質悪化による二枚貝の減少や外来魚の食害などで減少が続いており、現在ではほとんど見られなくなっています。
2000年以降はオオタナゴ増殖に伴う本種への圧迫も指摘されます。他の関東地方の水系においても、コクチバスの侵入によって脅かしている可能性があります。
ブラックバスの食害が問題となっている伊豆沼(宮城県栗原市・北上川水系)では、かつてゼニタナゴとともに本種が多数生息しタナゴ類の優占種であったが、2000年代になってからはほとんど確認できない状況が続いている。岩手県の一部水域では移入されたイチモンジタナゴとの競合により減少し、青森県東部の湖沼群でもブラックバスの侵入が顕著であり、予断を許さない状況である。
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レッドリスト
2007年版の環境省レッドデータブックはこれらの状況を反映し、従来の準絶滅危惧から2段階ランクを上げ、近い将来に野生絶滅の危険性が高い絶滅危惧IB類となりました。
各都道府県版レッドリストへの記載状況は下表の通りです。
ランク | 環境省レッドリスト | IUCNレッドリスト |
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絶滅危惧IB類 | EN | VULNERABLE |
まとめ
アカタナゴは、かつては関東地方や東北地方でよく見られた魚でしたが、近年では生息数が激減し、絶滅が危惧されています。
生息地の減少は、水質汚染や河川改修、外来魚の侵入など、様々な要因が考えられます。
特に、産卵床となる二枚貝の減少は、アカタナゴの繁殖を困難にしており、深刻な問題となっています。
アカタナゴの保護のためには、生息地の環境保全や外来魚の駆除など、様々な取り組みが必要となります。
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2. アカタナゴの特徴
形態
アカタナゴは、体長6-12cmと小型の魚です。背鰭不分岐軟条は3本と分岐軟条は8-9本、臀鰭不分岐軟条は3本と臀鰭の分岐何条は8本で、タナゴ類としては鰭の条数が少ないです。
側線鱗数は37-39枚で、側線上方横列鱗数は6枚、側線下方横列鱗数は4-5枚です。タナゴ類としては前後に細長く、日本産タナゴ類16種・亜種の中でも体高は低めの部類に入ります。
体色は普段は銀色で、肩部には不鮮明な青緑色の斑紋が入る場合もあり、体側面に長い青緑色と桃色の縦帯、背鰭の鰭条に2本の白い点線が入ります。口角に1対の口髭があります。
西日本原産のイチモンジタナゴとは姉妹種であり、形態的にも似た特徴が多いです。
項目 | 特徴 |
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体長 | 6-12cm |
体高 | 低め |
体色 | 銀色 |
斑紋 | 青緑色の斑紋 |
縦帯 | 青緑色と桃色の縦帯 |
口髭 | 1対 |
婚姻色
繁殖期になるとオスは胸は薄いピンク色、背中側は濃紺色〜青紫色、背鰭と腹鰭、腹面は黒くなり、尻鰭の縁は白く染まります。
種小名 melanogaster は「黒い腹」の意で、オスの婚姻色に由来します。メスには明らかな婚姻色は発現せず、基部が褐色で先端は灰色の産卵管が現れます。
性別 | 特徴 |
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オス | 胸は薄いピンク色、背中側は濃紺色〜青紫色、背鰭と腹鰭、腹面は黒くなり、尻鰭の縁は白く染まる |
メス | 明らかな婚姻色は発現せず、産卵管が現れる |
生態
小規模な池や湖沼のような止水域から、ヤマメやカワシンジュガイが同所的に生息する山間部の渓流まで幅広い環境に適応します。
本種の棲む池や河川では、アカヒレタビラやゼニタナゴと共存している場合がある。食性は植物性の強い雑食性で、小型の水生昆虫や甲殻類、藻類等を食べる。
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まとめ
アカタナゴは、体長6~12cmの小型の魚で、体色は銀色をしています。
繁殖期にはオスは婚姻色と呼ばれる鮮やかな色合いになり、メスは産卵管と呼ばれる管を伸ばします。
アカタナゴは、水質や水温に比較的強く、様々な環境に適応できる魚です。
食性は雑食性で、水生昆虫や甲殻類、藻類などを食べます。
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3. アカタナゴの飼育方法
飼育に必要なもの
アカタナゴを飼育するには、水槽、フィルター、ヒーター、水草、砂利などの飼育用品が必要です。
水槽のサイズは、飼育するアカタナゴの数や種類によって異なりますが、45cm水槽以上がおすすめです。
フィルターは、水槽のサイズに合ったものを選び、水質を安定させるために必要です。
ヒーターは、アカタナゴが快適に過ごせる水温を保つために必要です。
項目 | 詳細 |
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水槽 | 45cm以上 |
フィルター | 水槽のサイズに合ったもの |
ヒーター | アカタナゴが快適に過ごせる水温を保つため |
水草 | アナカリスやマツモなど |
砂利 | 大磯砂や田砂など |
水温と水質
アカタナゴの適温は12~28℃で、pHは6~8程度です。
水質は弱酸性から弱アルカリ性であれば問題ありません。
水道水はカルキ抜きをしてから水槽に入れましょう。
水換えは2週間に1度、水槽の1/3程度を目安に行いましょう。
項目 | 詳細 |
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水温 | 12~28℃ |
pH | 6~8 |
水質 | 弱酸性~弱アルカリ性 |
餌
アカタナゴは、イトミミズやミジンコ、藻類などを食べます。
飼育下では、金魚やメダカの餌なども食べます。
1日1~2回程度、アカタナゴの様子を見ながら食べきれる量を与えましょう。
餌の種類 | 詳細 |
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人工餌 | 金魚やメダカの餌 |
活き餌 | アカムシ、イトミミズなど |
まとめ
アカタナゴの飼育は、それほど難しくありません。
適切な水槽、フィルター、ヒーターなどを用意し、水温と水質を管理すれば、比較的簡単に飼育できます。
餌は、金魚やメダカの餌などでも問題なく食べます。
水換えは2週間に1度程度行いましょう。
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4. アカタナゴの繁殖
産卵方法
アカタナゴは、二枚貝に卵を産み付けるというユニークな繁殖方法をとります。
産卵期は春で、オスは婚姻色になり、メスは産卵管を伸ばして二枚貝の中に卵を産みます。
卵は、二枚貝の中で孵化し、稚魚は貝の中で約1ヶ月ほど過ごします。
その後、稚魚は貝から出てきて、親魚と同じように生活を始めます。
時期 | 特徴 |
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春 | オスは婚姻色、メスは産卵管を伸ばす |
産卵場所 | 二枚貝の中 |
孵化 | 二枚貝の中で孵化 |
稚魚 | 貝の中で約1ヶ月過ごす |
二枚貝の飼育
アカタナゴの繁殖には、二枚貝の飼育が不可欠です。
二枚貝は、水質や水温の変化に敏感で、飼育が難しい生き物です。
二枚貝を飼育する場合は、プラケースの中に砂を厚めに敷き、二枚貝を立てておくと管理がしやすいです。
二枚貝は、タナゴの繁殖に欠かせない存在ですが、飼育にはある程度の知識と経験が必要です。
方法 | 詳細 |
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プラケース | 砂を厚めに敷き、二枚貝を立てておく |
注意点 | 水質や水温の変化に敏感 |
人工授精
近年では、人工的に採卵する手法も確立されつつあるようです。
この手法は、二枚貝を必要としないため、環境に負荷をかけずにアカタナゴの繁殖にチャレンジできるといわれています。
人工授精は、まだ研究段階ですが、将来性のある手法として注目されています。
特徴 | 詳細 |
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メリット | 二枚貝を必要としない |
現状 | 研究段階 |
まとめ
アカタナゴの繁殖は、二枚貝の飼育が不可欠です。
二枚貝の飼育は難しいですが、プラケースなどで管理することで、ある程度は飼育できます。
近年では、人工授精による繁殖も研究されており、将来的には二枚貝なしで繁殖できるようになるかもしれません。
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5. アカタナゴの食性
食性
アカタナゴは、植物性の強い雑食性で、小型の水生昆虫や甲殻類、藻類などを食べます。
飼育下では、金魚やメダカの餌なども食べます。
アカタナゴは、口が小さく、餌を吸い込むようにして食べます。
項目 | 詳細 |
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食性 | 雑食性 |
餌 | 小型の水生昆虫、甲殻類、藻類など |
餌の選び方
アカタナゴの餌は、市販の金魚やメダカの餌でも問題ありません。
ただし、アカムシやイトミミズなどの活き餌を与えることもできます。
活き餌は、アカタナゴの食いつきが良く、栄養価も高いのでおすすめです。
餌の種類 | 詳細 |
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人工餌 | 金魚やメダカの餌 |
活き餌 | アカムシ、イトミミズなど |
餌の量
餌の量は、アカタナゴのサイズや飼育数によって異なります。
1日1~2回程度、アカタナゴの様子を見ながら食べきれる量を与えましょう。
食べ残しがあると水質が悪化するので、注意が必要です。
目安 | 詳細 |
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量 | 食べきれる量 |
回数 | 1日1~2回 |
まとめ
アカタナゴは、雑食性で、様々な餌を食べます。
飼育下では、金魚やメダカの餌でも問題なく食べますが、活き餌を与えることもできます。
餌の量は、アカタナゴのサイズや飼育数によって調整しましょう。
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6. アカタナゴの魅力
婚姻色
アカタナゴのオスは、繁殖期になると婚姻色と呼ばれる鮮やかな色合いになります。
胸は薄いピンク色、背中側は濃紺色〜青紫色、背鰭と腹鰭、腹面は黒くなり、尻鰭の縁は白く染まります。
この美しい婚姻色は、他のタナゴ類と比べても群を抜いており、観賞魚としても人気が高い理由の一つです。
特徴 | 詳細 |
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色 | 薄いピンク色、濃紺色〜青紫色、黒色、白色 |
時期 | 繁殖期 |
魅力 | 観賞魚としても人気 |
生態
アカタナゴは、二枚貝に卵を産み付けるというユニークな生態を持っています。
この生態は、アカタナゴの繁殖を成功させるために不可欠なものです。
二枚貝に卵を産み付けることで、稚魚は外敵から守られ、安定した環境で成長することができます。
特徴 | 詳細 |
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産卵場所 | 二枚貝の中 |
メリット | 外敵から守られ、安定した環境で成長 |
釣り
アカタナゴは、釣りでも人気のある魚です。
小型の魚なので、繊細な仕掛けとテクニックが必要となります。
アカタナゴ釣りは、初心者から上級者まで楽しめる釣りです。
特徴 | 詳細 |
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対象魚 | アカタナゴ |
難易度 | 繊細な仕掛けとテクニックが必要 |
魅力 | 初心者から上級者まで楽しめる |
まとめ
アカタナゴは、美しい婚姻色とユニークな生態を持つ、魅力的な魚です。
観賞魚としても人気が高く、飼育も比較的簡単です。
釣りでも人気があり、繊細な釣りを楽しむことができます。
アカタナゴは、日本の淡水魚の中でも、特に魅力的な魚の一つです。
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参考文献
・タナゴの種類と特徴 見分け方・分布・飼育・釣り方のコツを …
・PDF 日本にいるコイ科のタナゴの仲間は 18 種類。 定着した外来種 4 属
・タナゴってどんな魚?生態、特徴、飼育方法について | Petpedia
・【タナゴの基本知識】生態・種類・釣り方・稚魚の飼育方法を …
・タナゴの生息地や分布について! | 熱帯魚、淡水魚、海水魚の図鑑
・タナゴの飼い方!育て方!二枚貝の繁殖方法と飼育法もご紹介 …
・タナゴの飼育方法:寿命はどのくらい?餌は何食べる?種類は …
・タナゴ
・海タナゴ釣りの餌選びは、餌の種類よりも餌のサイズに気を …
・アカタナゴ(あかたなご)とは? 意味や使い方 – コトバンク
・タナゴの生態と飼育方法。金魚との混泳を考えよう!水槽で …
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