哺乳類：アライグマについて説明

アライグマの生態に関する項目
項目	内容
分類	哺乳綱食肉目アライグマ科アライグマ属
学名	Procyon lotor
英名	Northern raccoon, Common raccoon
原産地	メキシコ、アメリカ合衆国、カナダ
体長	41.5～60cm
尾長	20～40.5cm
体重	2～22kg
食性	雑食性
生息地	森林、湿地、農耕地、都市部など
行動	夜行性、木登り、泳ぎ、冬ごもり（半冬眠）
繁殖	一夫多妻制、1～7頭の出産
寿命	野生下：13～16年、飼育下：22.5年
分布	北アメリカ、中央アメリカ、ヨーロッパ、日本など
人間との関係	ペット、狩猟対象、害獣
保護活動	駆除、防除、侵入防止対策

1. アライグマの分類と特徴

アライグマの分類

アライグマは、哺乳綱食肉目アライグマ科アライグマ属に分類される哺乳類です。学名は *Procyon lotor* で、英語では *Northern raccoon* や *Common raccoon* と呼ばれています。アライグマ属に属する動物の中で、最も広く分布している種です。

アライグマは、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカの一部に生息しています。原産地はメキシコ、アメリカ合衆国、カナダで、これらの地域では重要な狩猟獣となっています。

ヨーロッパには1930年代に毛皮獣として移入され、ドイツやフランスなどのヨーロッパ諸国、旧ソ連のベラルーシやアゼルバイジャン、西インド諸島などに外来種として定着しています。

日本では、1962年に岐阜県で野生化が始まったとする説があり、その後1970年代に多く輸入・飼育されるようになり、それに伴って逃亡や放獣などによる野生化が各地で発生したとみられています。

アライグマの分類
分類	内容
界	動物界
門	脊索動物門
綱	哺乳綱
目	食肉目
科	アライグマ科
属	アライグマ属
種	アライグマ

アライグマの形態

アライグマは、頭胴長（体長）41.5～60センチメートル、尾長20～40.5センチメートル、体重2～22キログラムとされています。飼育下では体重が20kgに達するものもいるようです。

灰褐色の体毛を持ち、目のまわりから頬にかけて黒い斑紋があります。タヌキと間違えられることが多いですが、アライグマは長いふさふさとした尾に黒い横縞があるのが特徴です。

足は白っぽく、耳には白い縁取りがあります。また、クマなどと同じく、かかとをつける蹠行性（しょこうせい）という歩き方をするため、足跡は人の子供の手のような長い5本の指がくっきりとつきます。

アライグマは、視覚があまりよくなく、掌の触覚が非常に発達しています。そのため、前足を水中に突っ込んで獲物を探る姿が手を洗っているように見えることから、日本では「アライグマ」という名前がつけられました。

アライグマの形態
項目	内容
頭胴長	41.5～60cm
尾長	20～40.5cm
体重	2～22kg
毛色	灰褐色
特徴	目の周りに黒い斑紋、尾に黒い横縞

アライグマの行動

アライグマは、森林や湿地、農耕地、都市部など、幅広い環境に生息します。夜行性で、自分で巣を掘ることはなく、他の動物が地中に掘った巣穴、木の洞、時には農家の納屋や物置などで休むことが多いです。

泳ぐことが可能で、後ろ足で立つこともでき、木登りもうまく、立体的な行動を見せます。行動圏は基本的に直径1～3キロメートルの範囲で、環境条件によって変化します。

オスの行動圏は広く排他的で、その中に複数のメスの行動圏が共有されています。寒い地方に棲む個体は、気温がマイナス4度以下になると冬ごもり（半冬眠）を行います。

アライグマは、雑食性で、両生類、爬虫類、魚類、鳥類（卵）、哺乳類（死骸を含む）、昆虫類、甲殻類、その他の無脊椎動物、植物（果実など）と非常に幅広い食性を示します。

アライグマの行動
項目	内容
活動時間	夜行性
生息場所	森林、湿地、農耕地、都市部など
行動	木登り、泳ぎ、冬ごもり（半冬眠）
行動圏	直径1～3km
社会構造	一夫多妻制

まとめ

アライグマは、北アメリカ原産の雑食性の哺乳類で、世界各地に分布しています。日本では、ペットとして輸入されたものが野生化し、現在では特定外来生物に指定されています。

アライグマは、タヌキに似ていますが、尾に黒い横縞があること、足が白っぽいこと、耳に白い縁取りがあることなどで見分けることができます。

アライグマは、夜行性で、木登りや泳ぎが得意です。行動圏は広く、複数のメスと交尾する一夫多妻制をとります。

アライグマは、雑食性で、様々なものを食べます。そのため、生態系や農林水産業に大きな影響を与えています。

2. アライグマの生息地と分布

アライグマの原産地

アライグマの原産地は、メキシコ、アメリカ合衆国、カナダです。これらの地域では、アライグマは重要な狩猟獣として扱われています。

アライグマは、水辺の森林地帯を好み、湿地や農耕地、都市部など、様々な環境に適応して生息しています。

アメリカでは、都市部への生息範囲の拡大が顕著で、1920年代に最初の都市部への定着が報告されて以来、ワシントンD.C、ニューヨーク、シカゴ、トロントなど、各地の都市に拡大しています。

アライグマは、夜行性で、自分で巣を掘ることはなく、他の動物が地中に掘った巣穴、木の洞、時には農家の納屋や物置などで休むことが多いです。

アライグマの原産地
地域	特徴
メキシコ	原産地
アメリカ合衆国	原産地
カナダ	原産地
ヨーロッパ	移入
日本	移入

アライグマの分布拡大

アライグマは、原産地である北アメリカ以外にも、ヨーロッパや日本など、世界各地に分布を拡大しています。

ヨーロッパには、1930年代に毛皮獣として移入されたのが最初ですが、定着が本格化したのは1970年代になってからです。

現在では、ドイツ周辺の国々（フランス、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、ポーランド、チェコなど）に定着が拡大しています。

日本では、1960年代に愛知県犬山市にある日本モンキーセンターで飼育されていたアライグマが脱走したのが始まりとされています。

日本のアライグマの分布

日本では、1970年代にテレビアニメ『あらいぐまラスカル』の人気から、ペットとしてアメリカから多く輸入されるようになり、飼育されていました。

しかし、アライグマは手先が器用で脱走しやすい動物だったこともあり、多くの飼育個体が逃げ出したことが考えられます。

また、アニメの最終回と同様に、「動物は自然の中で暮らすのが一番良い」という名目で、意図的に自分勝手な飼い主によって自然へ帰された個体も少なくなかったと思われます。

こうして飼い切れなくなった成獣が身勝手な人間によって遺棄されたり、飼い主から逃亡して野生化した個体は各地へ自然分散し、2001年には36都道府県で確認され、2008年には47都道府県でみられるようになりました。

日本のアライグマの分布
時期	状況
1960年代	愛知県犬山市で飼育されていたアライグマが脱走
1970年代	ペットとしてアメリカから多く輸入
2001年	36都道府県で確認
2008年	47都道府県で確認

まとめ

アライグマは、原産地である北アメリカ以外にも、ヨーロッパや日本など、世界各地に分布を拡大しています。

日本では、1970年代にペットとして輸入されたものが野生化し、現在ではほぼ全国に分布しています。

アライグマは、高い繁殖力と環境適応能力を持つため、容易に定着し、分布を拡大させています。

アライグマの分布拡大は、生態系や農林水産業に大きな影響を与えており、深刻な問題となっています。

3. アライグマの繁殖と子育て

アライグマの繁殖

アライグマは、1歳で成熟し、繁殖期は地域によって異なりますが、アメリカ合衆国では12月から8月で、主に2～3月に交尾を行います。

妊娠期間は60～73日で、1～7頭（主に3～4頭）の幼獣を生みます。1度目の繁殖に失敗しても2度目の発情が存在し、その場合は夏に出産します。

アライグマは、多夫多妻制で、複数の雄が複数の雌と交尾し、出産します。雌は、子育てを行います。

アライグマは、繁殖力が強く、天敵がいない日本では、容易に繁殖し、個体数を増やしています。

アライグマの繁殖
項目	内容
交尾時期	12月～8月（主に2～3月）
妊娠期間	60～73日
出産時期	2～10月（ピークは3～4月）
一腹産子数	1～7頭（主に3～4頭）
繁殖形態	多夫多妻制

アライグマの子育て

生まれたばかりの子どもは、生後3週間前後で目が開き、70日の授乳期間があります。母親は、子どもを巣穴や木の洞などで保護し、子育てを行います。

子どもは、母親から食物の探し方や危険から身を守る方法を学び、約1年間母親と生活します。

アライグマは、子育てに多くの時間とエネルギーを費やし、子どもが独立するまで保護します。

アライグマの子育ては、厳しい環境の中でも、生き延びるための重要な役割を果たしています。

アライグマの子育て
時期	内容
生後3週間	目が開く
生後70日	授乳期間
生後約1年	母親と生活

アライグマの寿命

アライグマの寿命は、野生下では13～16年、飼育下では22.5年という記録があります。

しかし、北米など狩猟が行われている地域の野生個体群の平均年齢は2歳以下とされています。

アライグマの寿命は、生息環境や個体によって異なります。

アライグマは、人間にとって身近な動物ですが、その寿命は長く、野生下でも10年以上生きる個体もいます。

アライグマの寿命
環境	寿命
野生下	13～16年
飼育下	22.5年

まとめ

アライグマは、繁殖力が強く、1年で複数回繁殖することがあります。

妊娠期間は約2か月で、1回の出産で1～7頭の子を産みます。

母親は、子どもを約1年間保護し、子育てを行います。

アライグマは、天敵がいない日本では、容易に繁殖し、個体数を増やしています。

4. アライグマの食性と捕食行動

アライグマの食性

アライグマは、雑食性で、様々なものを食べます。両生類、爬虫類、魚類、鳥類（卵）、哺乳類（死骸を含む）、昆虫類、甲殻類、その他の無脊椎動物、植物（果実など）と非常に幅広い食性を示します。

水生生物の中では、特にザリガニ類を好むことが知られています。

人間の居住地近くでは、生ごみを利用するアライグマもいます。

アライグマは、食性において非常に柔軟性があり、様々な環境に適応することができます。

アライグマの食性
分類	例
両生類	サンショウウオ、カエル
爬虫類	ヘビ、トカゲ
魚類	ブラックバス、コイ、ナマズ、ウナギ
鳥類	卵、ヒナ
哺乳類	ネズミ、モグラ、ウサギ
昆虫類	甲虫、バッタ、トンボ
甲殻類	ザリガニ、カニ
無脊椎動物	ミミズ、カタツムリ
植物	果実、種子、葉

アライグマの捕食行動

アライグマは、前足を使い、水中の獲物を捕まえたり、巣穴からネズミや昆虫を引っ張り出したりします。

また、巣の中に進入して卵を盗んだり、果実や植物を食べることもあります。

アライグマは、器用な前足と鋭い爪を使って、様々な獲物を捕まえ、食べます。

アライグマは、捕食行動において、高い適応能力と柔軟性を持っています。

アライグマの食害

アライグマは、農作物や家畜に被害を与えることがあります。

トウモロコシ、メロン、イチゴ、スイカなど、様々な農作物が被害に遭っています。

また、乳牛の乳首が噛み切られたり、養殖魚が食べられたりする被害も発生しています。

アライグマによる農作物被害は、深刻な問題となっています。

アライグマの食害
対象	被害例
農作物	トウモロコシ、メロン、イチゴ、スイカなど
家畜	乳牛の乳首が噛み切られる、養殖魚が食べられるなど
生態系	在来種の捕食、生息域の競合