カルタゴ遺跡とは？世界遺産についての解説

1. カルタゴ遺跡の歴史

カルタゴの建国と繁栄

カルタゴは、現在のチュニジア共和国の首都チュニスに程近いチュニス湖東岸にあった古代都市国家です。紀元前9世紀頃に、地中海東岸のティルスを本拠地としていたフェニキア人によって建設されました。カルタゴは、フェニキア語の\”カルト・ハダシュト\”（Kart Hadasht）で、日本語で\”新しい町\”という意味です。ティルスがアッシリアに支配されてからは、フェニキア人にとってカルタゴが本拠地となり、西地中海の貿易を支配するようになりました。カルタゴは造船技術や水運、海上貿易に優れ、地中海の貿易によって経済力や軍事力を誇り、地中海の西部の海上交易を支配しました。文化の中心地としても栄え、アフリカ北岸の広域やイベリア半島の南側を領土として支配しました。

カルタゴは、地中海南岸に本拠地を持つ当時の大国であり、地中海北側に本拠地を持つローマと対等に競い合った国家でした。地中海北側から突き出たイタリア半島を本拠地に次第に台頭してきたローマと、地中海の覇権を競うライバル関係となり敵対し、地中海覇権の鍵を握る地中海の中央部の島々（シシリア島など）の支配をめぐってローマと軍事的に激突しました。カルタゴとローマの間の一連の戦争は、\”ポエニ戦争\”と呼ばれています（紀元前264年～紀元前146年）。

カルタゴは、造船技術に非常に優れ、海軍力に優れた国でした。一方、ローマは陸上の歩兵戦では優れていましたが、海戦は苦手としていました。カルタゴからは、ハミルカル・バルカ、ハンニバル・バルカなど、幾人もの卓越した軍事司令官が輩出され、ローマの本拠地を攻撃する目的で\”アルプス越え\”を行って北側から陸伝いに攻撃を行い、歴史に残るような大勝も成し遂げました。

しかし、ローマの本拠地を支配することには成功せず、強大化し続けるローマに対して次第に劣勢になり、ついには本拠地の城塞都市もローマの大軍に包囲されました。それでも3重の強固な城壁に護られた城塞都市のおかげで何年にも渡り籠城戦に耐えましたが、ついにはローマ軍に城壁を乗り越えられ都市を全て焼き払われ、もともと50万人はいたカルタゴ人は5万人になり、残ったカルタゴ人も逃亡したり奴隷になるなどし、カルタゴは滅亡しました。

カルタゴの歴史年表
年	出来事
紀元前9世紀	フェニキア人によるカルタゴの建設
紀元前6世紀	地中海貿易で繁栄
紀元前264年～紀元前146年	ローマとのポエニ戦争
紀元前146年	カルタゴの滅亡
紀元前45年	カエサルによるカルタゴの再建
5世紀	ヴァンダル族によるカルタゴの占領
553年	東ローマ帝国によるカルタゴの支配
683年	ウマイヤ朝によるカルタゴの支配
698年	カルタゴの放棄

カルタゴの滅亡とローマによる再建

カルタゴは、ローマとのポエニ戦争に敗れ、紀元前146年に滅亡しました。ローマはカルタゴの復活を恐れ、街を徹底的に破壊し、塩を撒いたと伝えられています。カルタゴは、その後、紀元前45年にカエサルによって再建され、ローマ帝国の都市として繁栄しました。

ローマが再建したカルタゴは、ローマ帝国の西方でローマに次ぐ第2の都市となり、カルタゴ円形闘技場、アントニヌス浴場、カルタゴ競技場、ローマ劇場、ローマ人の住居跡など、現在にまで残るカルタゴの遺跡のほとんどはこのローマ時代のものであると言われています。

しかし、5世紀にはヴァンダル族の王ガイセリックがカルタゴを占領してヴァンダル王国を建国し、カルタゴはその首都となりました。ヴァンダル王国は、シチリア島、サルデーニャ島、コルシカ島などを征服し、地中海における一大勢力となりました。

その後、東ローマ帝国の皇帝ユスティニアヌス1世は、533年にヴァンダル王国を征服し、カルタゴは再びローマ帝国の領土となりました。しかし、647年にはウマイヤ朝勢力がカルタゴを攻撃し、698年にはウマイヤ朝がカルタゴを占領しました。そして、イスラム勢力の占領したこの時期よりカルタゴの荒廃は急速に進行し、ウマイヤ朝によってカルタゴの衛星都市であったチェニェスの跡にチュニスが築かれると、カルタゴは完全に放棄されました。

ポエニ戦争
戦争名	期間	結果
第一次ポエニ戦争	紀元前264年～紀元前241年	ローマの勝利
第二次ポエニ戦争	紀元前218年～紀元前201年	ローマの勝利
第三次ポエニ戦争	紀元前149年～紀元前146年	ローマの勝利、カルタゴの滅亡

カルタゴの政治体制

カルタゴの政体についての判明事項は極めて乏しいですが、最も有力な手掛かりは紀元前4世紀の哲学者アリストテレスの著作『政治学』の中の記述です。それによると、カルタゴの国家の代表は一般的にスーフェース（sufet、通例複数形でsufets、司法権と行政権を持った長官）と呼ばれ、ローマのコンスル同様に1年任期であったとされています。

スーフェースには軍事に関する権限はなかったものの、司法と行政の権限を付与された1人か2人のスーフェースが富豪や影響力をもった一族から選出されました。軍事上の特別職として、将軍があり、ローマのコンスルやスパルタの王とは異なり、カルタゴでは軍事は別とされており、ハンニバルもこれに選ばれました。

将軍職は特定の家系の出身が多く、その権限を制限するために百人会が設立されました。貴族たちから選出された代議員によって、ローマの元老院に相当する機関である最高会議（元老院）を構成していました。最高会議は広範囲に渡る権限を有していましたが、スーフェースの選任が最高会議によるのか、市民総会（民会）によるのかは論が分かれるところです。

市民たちは立法権にも影響力を持っていたようですが、このような民主主義的な要素はカルタゴを弱体化させたため、都市の統治では寡頭政治が堅持されることとなりました。

カルタゴの政治体制
役職	説明
スーフェース	司法権と行政権を持った長官、1年任期
将軍	軍事上の特別職、特定の家系出身
最高会議	ローマの元老院に相当する機関、貴族たちから選出された代議員によって構成

まとめ

カルタゴは、フェニキア人が建設した都市国家であり、地中海貿易で繁栄しました。しかし、ローマとのポエニ戦争に敗れ、滅亡しました。その後、ローマによって再建されましたが、ヴァンダル王国、東ローマ帝国、ウマイヤ朝と支配者が変わり、最終的には放棄されました。

カルタゴは、造船技術や海上貿易に優れ、地中海の覇権を争った強国でしたが、ローマとの戦いに敗れ、その歴史に幕を閉じました。カルタゴの遺跡は、フェニキア人、ローマ人、ヴァンダル人、東ローマ帝国、ウマイヤ朝など、様々な文化の影響を受けており、歴史の移り変わりを感じることができます。

カルタゴの政治体制は、スーフェースと呼ばれる長官、将軍、最高会議（元老院）によって構成されていました。しかし、カルタゴの政治体制は、民主主義的な要素と寡頭政治的な要素が混在しており、その複雑な構造がカルタゴの興亡に影響を与えたと考えられています。

カルタゴの歴史は、地中海世界における古代文明の興亡を物語る重要な歴史であり、カルタゴの遺跡は、その歴史を今に伝える貴重な遺産です。

2. カルタゴ遺跡の発掘調査

カルタゴ遺跡の発掘の歴史

カルタゴ遺跡の発掘は、19世紀後半から本格的に始まりました。1875年には、カルタゴ博物館が設立され、発掘された遺物が展示されるようになりました。20世紀に入ると、フランスの考古学者によって、カルタゴの都市計画や建築様式が明らかになってきました。

1970年代には、カルタゴの港の発掘が行われ、古代カルタゴの港の規模や構造が明らかになりました。また、1980年代には、トフェと呼ばれる子供のための共同墓地が発掘され、カルタゴの宗教や文化について新たな知見が得られました。

カルタゴ遺跡の発掘は、現在も続けられており、新たな発見が期待されています。

カルタゴ遺跡の発掘は、古代カルタゴの都市計画、建築様式、宗教、文化などを解き明かす上で重要な役割を果たしています。

カルタゴ遺跡の発掘の歴史
時期	内容
19世紀後半	本格的な発掘開始
1875年	カルタゴ博物館設立
20世紀	フランスの考古学者による調査、都市計画や建築様式の解明
1970年代	カルタゴの港の発掘
1980年代	トフェの発掘
現在	発掘調査継続

カルタゴ遺跡の発掘方法

カルタゴ遺跡の発掘は、考古学的な手法を用いて行われています。発掘調査では、まず、地表調査を行い、遺跡の範囲や構造を把握します。その後、発掘許可を得て、慎重に土を掘り進め、遺物を発掘していきます。

発掘された遺物は、丁寧に記録され、保存処理されます。保存処理された遺物は、博物館に展示されたり、研究資料として活用されたりします。

カルタゴ遺跡の発掘は、考古学的な手法を用いて行われていますが、遺跡の保存状態や周辺環境などを考慮して、慎重に進められています。

カルタゴ遺跡の発掘は、古代カルタゴの文化や歴史を解き明かすための重要な作業であり、今後も継続していく必要があります。

カルタゴ遺跡の発掘成果

カルタゴ遺跡の発掘によって、古代カルタゴの都市計画、建築様式、宗教、文化などが明らかになってきました。例えば、カルタゴの都市計画は、碁盤目状に道路が配置され、街の中心に市場や神殿が置かれるなど、当時の都市計画の高度さを示しています。

また、カルタゴの建築様式は、フェニキア文化の影響を受けながらも、独自の様式を確立していたことが明らかになりました。カルタゴの宗教は、バアル崇拝やアスタルト崇拝など、フェニキア文化の影響が強い一方で、独自の宗教形態も存在していました。

カルタゴ遺跡の発掘は、古代カルタゴの文化や歴史を理解する上で重要な成果を上げています。

カルタゴ遺跡の発掘は、今後も続けられていくことで、古代カルタゴの文化や歴史について、さらに多くのことが明らかになっていくことが期待されます。

カルタゴ遺跡の発掘成果
分野	成果
都市計画	碁盤目状の道路配置、市場や神殿の中心配置
建築様式	フェニキア文化の影響を受けた独自の様式
宗教	バアル崇拝、アスタルト崇拝、タニト崇拝など
文化	当時の生活様式や文化の解明

まとめ

カルタゴ遺跡の発掘は、19世紀後半から本格的に始まり、現在も続けられています。発掘調査によって、古代カルタゴの都市計画、建築様式、宗教、文化などが明らかになってきました。

カルタゴ遺跡の発掘は、考古学的な手法を用いて行われており、慎重に進められています。発掘された遺物は、博物館に展示されたり、研究資料として活用されたりしています。

カルタゴ遺跡の発掘は、古代カルタゴの文化や歴史を理解する上で重要な役割を果たしており、今後も継続していく必要があります。

カルタゴ遺跡の発掘は、古代カルタゴの文化や歴史を解き明かすための重要な作業であり、今後も新たな発見が期待されます。

3. カルタゴの文化遺産

カルタゴの宗教

カルタゴの宗教は、フェニキアから伝わったバアル崇拝やアスタルト崇拝と旧来の土着信仰に由来するタニト崇拝とが融合し、独自の宗教形態を作り出していました。これにエジプトの神々やギリシャのデメテル崇拝が加わり、ますます多様化していきました。

カルタゴの宗教は、ローマ支配下に置かれた後も引き継がれ、ローマの神々と共に信仰の対象とされました。ウマイヤ朝によってイスラム教が伝えられると急速に廃れていきました。

カルタゴの宗教は、フェニキア文化と地中海世界の様々な文化が融合したものであり、カルタゴの文化を理解する上で重要な要素です。

カルタゴの宗教は、古代地中海世界の宗教文化を研究する上で貴重な資料を提供しています。

カルタゴの宗教
宗教	説明
バアル崇拝	フェニキアから伝わった神
アスタルト崇拝	フェニキアから伝わった女神
タニト崇拝	カルタゴの守護神
エジプトの神々	エジプト文化の影響
ギリシャのデメテル崇拝	ギリシャ文化の影響

カルタゴの芸術

カルタゴの芸術は、フェニキア文化の影響が強い一方で、独自の様式も確立していました。カルタゴの芸術作品は、陶器、彫刻、モザイクなど、様々な分野で見られます。

カルタゴの芸術は、地中海世界の様々な文化の影響を受けており、その多様性が特徴です。カルタゴの芸術作品は、古代地中海世界の芸術文化を研究する上で貴重な資料を提供しています。

カルタゴの芸術は、その美しさだけでなく、当時のカルタゴの人々の生活や文化を伝える重要な資料です。

カルタゴの芸術は、現代の芸術にも影響を与えており、その魅力は今もなお人々を魅了しています。

カルタゴの建築

カルタゴの建築は、フェニキア文化の影響が強い一方で、独自の様式も確立していました。カルタゴの建築物は、城壁、神殿、住居、港など、様々な種類があります。

カルタゴの建築は、地中海世界の様々な文化の影響を受けており、その多様性が特徴です。カルタゴの建築物は、古代地中海世界の建築文化を研究する上で貴重な資料を提供しています。

カルタゴの建築は、その壮大さだけでなく、当時のカルタゴの人々の生活や文化を伝える重要な資料です。

カルタゴの建築は、現代の建築にも影響を与えており、その魅力は今もなお人々を魅了しています。

まとめ

カルタゴの文化遺産は、フェニキア文化、ローマ文化、ヴァンダル文化、東ローマ帝国文化、ウマイヤ朝文化など、様々な文化の影響を受けており、その多様性が特徴です。

カルタゴの文化遺産は、宗教、芸術、建築など、様々な分野で見られます。カルタゴの文化遺産は、古代地中海世界の文化を理解する上で重要な資料を提供しています。

カルタゴの文化遺産は、その美しさだけでなく、当時のカルタゴの人々の生活や文化を伝える重要な資料です。

カルタゴの文化遺産は、現代の文化にも影響を与えており、その魅力は今もなお人々を魅了しています。

4. カルタゴの世界遺産登録の意義

カルタゴ遺跡の世界遺産登録基準

カルタゴ遺跡は、1979年に世界遺産に登録されました。登録基準は、(ii)人類の創造的才能を表現する傑作、(iii)過去のある期間または文化圏における、建築様式、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの面で、人類の価値観を表現する建築物群または技術の集積、(vi)顕著な普遍的価値を持つ文化的伝統または生きている文化的伝統、または絶滅の危機にある文化的伝統の代表例である、という3つの基準を満たしています。

カルタゴ遺跡は、フェニキア文化、ローマ文化、ヴァンダル文化、東ローマ帝国文化、ウマイヤ朝文化など、様々な文化の影響を受けており、その多様性が特徴です。カルタゴ遺跡は、古代地中海世界の文化を理解する上で重要な資料を提供しています。

カルタゴ遺跡は、その壮大さだけでなく、当時のカルタゴの人々の生活や文化を伝える重要な資料です。

カルタゴ遺跡は、現代の文化にも影響を与えており、その魅力は今もなお人々を魅了しています。

カルタゴ遺跡の世界遺産登録基準
基準	説明
(ii)	人類の創造的才能を表現する傑作
(iii)	人類の価値観を表現する建築物群
(vi)	文化的伝統の代表例

カルタゴ遺跡の世界遺産登録の目的

カルタゴ遺跡の世界遺産登録は、カルタゴ遺跡の価値を世界に認めさせ、その保護と保存を促進することを目的としています。カルタゴ遺跡は、人類の共有財産であり、未来の世代に引き継いでいくべき貴重な遺産です。

カルタゴ遺跡の世界遺産登録は、カルタゴ遺跡の観光振興にも役立っています。カルタゴ遺跡は、世界遺産に登録されたことで、世界中から観光客が訪れるようになりました。

カルタゴ遺跡の世界遺産登録は、カルタゴ遺跡の研究にも役立っています。カルタゴ遺跡は、世界遺産に登録されたことで、世界中の研究者から注目されるようになりました。

カルタゴ遺跡の世界遺産登録は、カルタゴ遺跡の保護と保存、観光振興、研究など、様々な面で貢献しています。

カルタゴ遺跡の世界遺産登録の影響

カルタゴ遺跡の世界遺産登録は、カルタゴ遺跡の保護と保存、観光振興、研究など、様々な面で影響を与えています。カルタゴ遺跡は、世界遺産に登録されたことで、世界中から注目されるようになり、その保護と保存に対する意識が高まりました。

カルタゴ遺跡は、世界遺産に登録されたことで、観光客が増加し、地域経済の活性化にも貢献しています。カルタゴ遺跡は、世界遺産に登録されたことで、世界中の研究者から注目されるようになり、カルタゴに関する研究が活発化しました。

カルタゴ遺跡の世界遺産登録は、カルタゴ遺跡の価値を世界に認めさせ、その保護と保存を促進する上で大きな役割を果たしています。

カルタゴ遺跡の世界遺産登録は、カルタゴ遺跡の未来にとって重要な転換点となりました。

まとめ

カルタゴ遺跡は、人類の創造的才能を表現する傑作であり、過去のある期間または文化圏における、建築様式、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの面で、人類の価値観を表現する建築物群または技術の集積であり、顕著な普遍的価値を持つ文化的伝統または生きている文化的伝統、または絶滅の危機にある文化的伝統の代表例である、という3つの基準を満たしています。

カルタゴ遺跡の世界遺産登録は、カルタゴ遺跡の価値を世界に認めさせ、その保護と保存を促進することを目的としています。

カルタゴ遺跡の世界遺産登録は、カルタゴ遺跡の観光振興、研究、保護と保存など、様々な面で貢献しています。

カルタゴ遺跡の世界遺産登録は、カルタゴ遺跡の未来にとって重要な転換点となりました。