項目 | 内容 |
---|---|
標高 | 5,895m |
場所 | タンザニア北東部 |
構成 | シラー峰、キボ峰、マウエンジ峰 |
特徴 | アフリカ最高峰、独立峰としては世界最高峰 |
設立 | 1973年 |
世界遺産登録 | 1987年 |
面積 | 183,181ha |
管理主体 | キリマンジャロ国立公園公社(KINAPA) |
1. キリマンジャロ国立公園の概要
キリマンジャロ国立公園とは?
キリマンジャロ国立公園は、タンザニア北東部にある標高5
キボ峰の山頂には、レブマン氷河などの他、多くの氷河が存在しますが、近年は地球温暖化によって規模が縮小傾向にあります。万年雪で覆われていることから、アフリカでは神聖な山と崇拝されています。キリマンジャロという名称の由来はさまざまですが、一般的には「白く輝く山」という意味です。
キリマンジャロは、標高ごとに気候と植生が異なるのも特徴です。低地はサバンナになっていて、標高1
峰 | 標高 |
---|---|
シラー峰 | 3,962m |
キボ峰 | 5,895m |
マウエンジ峰 | 5,149m |
キリマンジャロ国立公園の設立
キリマンジャロ山とその周囲の森林は、ドイツ植民地時代の20世紀初頭から保護対象となっていました。1921年に、法的な保護対象となり、タンザニア独立後の1973年、山域の一部75
2013年にはアフリカの自然遺産に認定されました。公園本部はマラングにあり、モシの町から約44キロ、キリマンジャロ国際空港から86キロ離れています。
標高 | 管理主体 |
---|---|
900〜1,700m | 村 |
1,700〜2,700m | 地方政府 |
2,700m以上 | 中央政府 |
キリマンジャロ国立公園の管理
キリマンジャロ山は1973年に国立公園が設置されて以来2003年まで、標高約900〜1
このうち森林帯では、過去100年間に約3割の森が失われたと言われており、その傾向は現在も続いています。そして森林保護に対する世界からの圧力もあり、タンザニア政府はその対策に乗り出しますが、そこで「森林破壊の元凶」とされたのは地域住民でした。
政府が森林保護政策としてとったのは森林保護区への国立公園の拡大で、2003年と2005年の2度にわたって実施されました。その結果、森林帯のすべてが国立公園に取り込まれることになりました(これにより国立公園面積は当初の75
しかしこのHMFS は、1941年に地域住民が当時タンザニア(タンガニーカ)を統治していた英国統治領政府に請願して設定された特別な森だったのです。なぜなら1921年に当時の宗主国ドイツがキリマンジャロ山に森林保護区を設定した際、森林をすべて取り込んでしまったことから、日々の最低限のニーズ(薪、家畜用の草、薬草など)確保し生活を維持することが困難となった地域住民の請願により、森林保護区内にわざわざ設けられた、まさに地域住民にとっての特別な“生活の森” だったからです。そしてこの国立公園の拡大がいま、地域住民を苦しめるだけでなく、その目的とする森さえ守れない状況をキリマンジャロ山に生み出しています。
年 | 面積 |
---|---|
設立時 | 75,575ha |
2003年 | 183,181ha |
2005年 | 183,181ha |
まとめ
キリマンジャロ国立公園は、アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山とその周辺の豊かな自然を保護するために設立されました。しかし、国立公園の拡大によって、地域住民の生活と森の保全という相反する課題が浮き彫りになっています。
特に、2005年の国立公園拡大によって、地域住民にとって重要な生活の場であったバッファゾーンの森が国立公園に組み込まれたことが大きな問題となっています。
この拡大によって、地域住民は森へのアクセスを制限され、生活の維持が困難になりました。また、国立公園の管理主体であるKINAPAによる住民排除や暴力行為も問題視されています。
キリマンジャロ国立公園は、自然保護と地域住民の生活の両立という難しい課題を抱えています。
2. キリマンジャロの歴史と文化
キリマンジャロ山の発見
1847年、ケニアの東海岸で布教をしていたヨハン・ルートヴィヒ・クラプフ、ヤーコプ・エアハルト、ヨハネス・レブマンの三人のドイツ人宣教師は、内陸部に頂上が銀でおおわれた高い山があることを聞きました。この話に興味を持った3人は内陸部に調査に出かけることにし、3人のうちのレブマンが内陸部へと向かいました。
1848年5月11日、レブマンは内陸部のチャガ人の土地で、頂上が白くおおわれた高山を「発見」します。海岸に戻ったレブマンはヨーロッパにこの高山のことを報告しましたが、頂上が雪に覆われているというレブマンの報告は、熱帯に雪が存在するはずがないというヨーロッパの地理学者の受け入れるところとはなりませんでした。
年 | 人物 | 内容 |
---|---|---|
1847年 | ヨハン・ルートヴィヒ・クラプフ、ヤーコプ・エアハルト、ヨハネス・レブマン | キリマンジャロ山の存在を報告 |
1848年 | ヨハネス・レブマン | キリマンジャロ山の頂上が雪で覆われていることを報告 |
1887年 | ハンス・メイヤー | キボ峰のふもとまで到達 |
1889年 | ハンス・メイヤー | キボ峰の頂上に到達 |
キリマンジャロ山の初登頂
1887年にはドイツ人地質学者のハンス・メイヤー (地質学者)が登頂を試み、キボ峰のふもとにまで達しましたが、キボ峰の雪や氷に対処する装備を持っておらず、引き返すことを余儀なくされました。翌年の1888年、メイヤーは地図製作者のオスカー・バウマンとともに再び登頂を目指しましたが、タンガニーカ海岸部で勃発したアブシリの乱によって中止を余儀なくされました。二人は反乱軍に捕らえられ、1万ルピーの身代金を支払うまで解放されませんでした。
1889年、メイヤーはオーストリア人の登山家Ludwig Purtschellerとともに3度目の登頂を目指しました。この一行は2人の地元首長と9人のポーター、コック、ガイドからなっていました。モンバサから徒歩ではじめたこの試みは、あらかじめ各地に食糧供給用のキャンプを設置しておいたことからうまくいきました。二人は凍った斜面を登った後、10月3日に火口の縁に到達し、10月6日にキボ峰の頂点に到達しました。
キリマンジャロ山の文化的影響
アーネスト・ヘミングウェイ『キリマンジャロの雪』(原題:The Snows of Kilimanjaro)が1936年に発表された小説で、キリマンジャロが世界に知られるようになりました。
1952年には映画化されました(監督:ヘンリー・キング、主演:グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、スーザン・ヘイワード)。
まとめ
キリマンジャロ山は、19世紀後半にドイツ人宣教師によってヨーロッパに紹介されましたが、その存在はすぐに信じられませんでした。
その後、ドイツ人地質学者ハンス・メイヤーが1889年に初登頂を達成し、キリマンジャロ山の存在が証明されました。
アーネスト・ヘミングウェイの小説『キリマンジャロの雪』によって、キリマンジャロ山は世界的に有名になりました。
キリマンジャロ山は、アフリカの人々にとって神聖な山であり、その歴史と文化は深く結びついています。
3. キリマンジャロの自然と生態系
キリマンジャロの植生
キリマンジャロは、標高ごとに気候と植生が異なるのが特徴です。低地はサバンナになっていて、標高1
高山植物が植生する標高4
標高 | 植生 |
---|---|
低地 | サバンナ |
1,500m | ジャングル |
3,000m | ヒース |
4,500m | 氷河 |
山頂 | 荒野 |
キリマンジャロの動物
キリマンジャロ国立公園には、ゾウ、アフリカスイギュウやリードバックを含むレイヨウなどの哺乳類、カメレオンなどが生息しています。
種類 | 例 |
---|---|
哺乳類 | ゾウ、アフリカスイギュウ、レイヨウ |
爬虫類 | カメレオン |
キリマンジャロの氷河
キリマンジャロの頂上には、氷河が形成されています。この氷河から供給される水で出来た高山湿地帯を始め、標高別に、砂漠、高山湿地帯、高地草原、草原、熱帯雨林と広がっています。
キリマンジャロ山頂の氷河は、近年は地球温暖化の影響により急速に減少しています。かつては山頂を覆っていた氷河は、100年前に比べて8割以上消失しており、2050年には完全に消滅する可能性も指摘されています。
まとめ
キリマンジャロ国立公園は、標高によって異なる気候帯と植生が見られることから、多様な動植物が生息する豊かな自然環境を有しています。
しかし、地球温暖化の影響で、キリマンジャロ山頂の氷河が急速に減少しており、その将来が危ぶまれています。
キリマンジャロ国立公園は、アフリカの貴重な自然遺産であり、その保護が求められています。
4. キリマンジャロ登山の魅力
キリマンジャロ登山の難易度
キリマンジャロは、アフリカ大陸最高峰とは言え、素人でも挑戦できる山と言われています。アイゼンやピッケルなどの雪山登山用の装備や技術は必要なく、道のりとしての難易度は低いという事です。
だから、登山経験のない初心者も、多く挑戦しています。
特殊な技術は必要ないとはいえ、標高6
私の感覚では、道のり自体の難易度は低いです。途中で手を使わなければ登れない岩場もありましたが、ガイドがサポートしてくれるので不可能では全くありません。細い道では、滑落に注意が必要です。1日4時間~8時間の山道を6日間歩き続ける体力が必要です。アタックの日は、山頂まで8時間30分、下山に5時間30分。この日の私は14時間歩きました。
項目 | 内容 |
---|---|
難易度 | 比較的容易 |
必要な技術 | 特殊な技術は不要 |
体力 | 6日間歩き続ける体力が必要 |
登頂率 | 50~60% |
キリマンジャロ登山のルート
キリマンジャロはルートがいくつかあるのだけど、多くの人が選ぶのは2コースから。
・マラングルート:4泊5日(通称:コカ・コーラルート)\nこのルートは、全て山小屋泊。4泊5日という短い行程で登るため「高山病」を発症しやすく、登頂率は高くはないらしい。
・マチャメルート:5泊6日(通称:ウィスキールート)\nこのルートは、全てテント泊。こちらの方が高度順応がしやすく、登頂率が高い。景色もこちらの方がよく、帰りはムウェカルートという別のルートを通るので、変化も楽しめる。
マチャメルートの方が日数も長くて、テント泊の為にポーター(荷物運びの人)の人数も増えるから、マラングルートに比べれば費用がかかります。私は極度に「高山病」を心配していたので、マチャメルートに挑戦しました。
ルート | 特徴 |
---|---|
マラングルート | 山小屋泊、4泊5日 |
マチャメルート | テント泊、5泊6日 |
ムウェカルート | テント泊、5泊6日 |
キリマンジャロ登山の準備
キリマンジャロは「個人での入山」が禁止されていて、必ずツアー会社に申し込んでパーティーを組んで登らなければならない。
私が申し込んだツアー会社は、マタタツアーズ(Matata Tours)。一人旅の場合の選択肢は2つ。話を聞きに行った時に、私の希望日には4人組の申し込みがあり、彼らに聞いてみてOKなら参加可能という事だった。1人で参加した場合との差額が100ドルだったので、私は1人参加を選択しました。交渉の結果、下記の通りになりました。
1人参加でなく複数で申し込めば、私が払った$1
この会社を使った感想は、「まぁまぁ」と言ったところです。凄くオススメ!という事もなく、絶対やめた方がいい!という事もない。スタッフは親切で、格安ツアー会社でよく聞く「最終日にチップの金額で揉める」などという事もなかった。だけど、ガイドのレベルは低いと感じました。ガイドは「道案内」くらいに考え、自分の体調や体力は自分で管理する必要がある。ペース配分であったり、呼吸法であったり…富士山に挑戦する程度の「最低限の登山知識」がないと、登頂率は下がるかなといった感じ。今回たまたま素人ガイドだっただけかもしれないけど。ちなみに、欧米人が参加しているようなツアー会社だと、テントが豪華になったり、ガイドが酸素ボンベを携帯してくれていて、いざという時に迅速に対処してくれたりと…登山の快適さが格段に違う。予算があるなら、そういったツアーもいいかも。
項目 | 金額 |
---|---|
ツアー代金 | 1,100~1,280ドル |
国立公園入園料 | 830ドル |
チップ | 1~5ドル |
行動食代 | 500円 |
日用品代 | 1,000円 |
まとめ
キリマンジャロ登山は、標高が高く、体力的に厳しいですが、比較的登りやすい山として知られています。
登山ルートはいくつかあり、それぞれ特徴があります。初心者向けのマラングルートから、より高度順応しやすいマチャメルートまで、自分の体力や希望に合わせて選ぶことができます。
登山には必ずガイドとポーターの同行が必要で、ツアー会社に申し込む必要があります。ツアー会社によって料金やサービスが異なるので、事前にしっかりと比較検討することが大切です。
キリマンジャロ登山は、アフリカ大陸最高峰に挑戦できる貴重な体験です。しっかりと準備をして、安全に登山を楽しんでください。
5. キリマンジャロ国立公園の世界遺産登録について
キリマンジャロ国立公園の世界遺産登録基準
キリマンジャロ国立公園は、1987年に世界遺産に登録されました。
登録基準は(ⅶ)優れた自然美です。
キリマンジャロは世界最大級の火山の一つで、標高ごとに気候と植生が異なり、氷河や絶滅危惧種を含めた哺乳類なども見られ、最上級の自然が見られるという点で評価されました。
基準 | 内容 |
---|---|
(ⅶ) | 優れた自然美 |
キリマンジャロ国立公園の価値
アフリカ大陸の最高峰のキリマンジャロは、頂上に氷河が集まり、その溶けた水によって標高が下がると、植生が徐々に変わっていき、それぞれのエリアに独特の生態系が見られるという点で評価されています。
キリマンジャロ国立公園の課題
キリマンジャロ国立公園は、世界遺産として貴重な自然環境を保護する一方で、地域住民の生活との調和という課題を抱えています。
特に、国立公園の拡大によって、地域住民の生活の場であったバッファゾーンの森が国立公園に組み込まれたことが大きな問題となっています。
この拡大によって、地域住民は森へのアクセスを制限され、生活の維持が困難になりました。また、国立公園の管理主体であるKINAPAによる住民排除や暴力行為も問題視されています。
まとめ
キリマンジャロ国立公園は、その優れた自然美と多様な生態系から世界遺産に登録されました。
しかし、近年は地球温暖化による氷河の減少や、国立公園の拡大による地域住民との摩擦など、様々な課題に直面しています。
世界遺産としての価値を守りながら、地域住民との共存を実現していくことが、今後の課題です。
6. キリマンジャロ国立公園の観光情報とアクセス方法
キリマンジャロ国立公園へのアクセス
日本からタンザニアのキリマンジャロ空港まではダルエスサラーム経由で約22時間です。キリマンジャロ国立公園の観光拠点「モシ」までは車両で約1時間です。
場所 | 移動手段 | 時間 |
---|---|---|
キリマンジャロ空港 | モシ | 約1時間 |
ナイロビ | ナマンガ | バスで約4時間30分 |
ナマンガ | モシ | バスで約1時間 |
キリマンジャロ国立公園の観光
キリマンジャロ国立公園では、登山以外にも、サファリやキャンプなどのアクティビティを楽しむことができます。
キリマンジャロ山の麓には、サバンナが広がり、象やライオン、キリン、シマウマなどの野生動物を観察することができます。
また、ブルーの美しい火山湖・チャラ湖(Lake Chala)では、釣りを楽しむこともできます。
アクティビティ | 場所 |
---|---|
登山 | キリマンジャロ山 |
サファリ | シラ高原 |
キャンプ | 国立公園内 |
釣り | チャラ湖 |
キリマンジャロ登山の注意点
キリマンジャロ登山には、必ず現地人ガイド同行が義務付けられているので、登りたい場合はガイド・ポーター・コックが付随するツアーに参加する必要があります。
登山ルートも整備されているため、大陸最高峰の中では登山がしやすい山とも言われています。
しかし、標高が高いため、高山病に注意が必要です。事前にしっかりと準備をして、体調管理をしっかり行いましょう。
まとめ
キリマンジャロ国立公園は、アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山を擁する世界遺産です。
登山以外にも、サファリやキャンプなどのアクティビティを楽しむことができます。
キリマンジャロ登山は、挑戦しがいのある素晴らしい体験ですが、事前にしっかりと準備をすることが大切です。
安全に配慮し、アフリカの大自然を満喫してください。
参考文献
・7日間のマチャメルートでキリマンジャロを登る – トラベルコ
・キリマンジャロ国立公園/タンザニア [世界遺産] All About
・タンザニアの世界遺産「キリマンジャロ国立公園」とは?山頂 …
・世界遺産キリマンジャロ山 自然保護と人々の暮らしへの影響 …
・5つの顔を持つアフリカの最高峰!世界遺産キリマンジャロ国立 …
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・死ぬまでに一度は行きたい世界の絶景:キリマンジャロ – Tabit Life