ンゴロンゴロ保全地域とは?世界遺産についての解説

ンゴロンゴロ保全地域概要
項目 内容
登録年 1979年(自然遺産)
2010年(複合遺産)
場所 タンザニア北部
面積 約8,288平方km
特徴 世界最大級のカルデラ地形
多様な生態系
人類発祥の地
マサイ族の伝統的な生活
見どころ ンゴロンゴロ・クレーター
オルドヴァイ渓谷
マサイ族の村
アクセス アルーシャから車で約3時間

1. ダイバーシティ豊かな生態系

要約

ンゴロンゴロ保全地域の概要

タンザニアの世界遺産「ンゴロンゴロ保全地域」は、世界最大級のカルデラと広大なサバンナが広がる自然保護地区です。標高2

ンゴロンゴロ保全地域は、1979年にタンザニアではじめて世界自然遺産に登録されました。兵庫県と同じくらいの広さを持つ保護区で、世界最大級のカルデラと広大なサバンナが広がっています。ンゴロンゴロと呼ばれている巨大なクレーターは、標高2

また、ンゴロンゴロ保全地域の中にあるオルドヴァイ渓谷では、アウストラロピテクスの人骨が発見されました。古生物学的・考古学的にも重要な地域として、2010年に世界複合遺産として登録されています。保護区ではあるものの人間が住むことも許されており、周辺にはマサイ族が住んでいるのも特徴です。自然と人間の共存を目指しているため、観光にも力を入れており周辺にはロッジやホテルなど観光客を迎えるための宿泊施設も存在します。大自然の中でゆったりと過ごす非日常を感じられますよ。

ンゴロンゴロ保全地域の概要
項目 内容
登録年 1979年(自然遺産)
2010年(複合遺産)
場所 タンザニア北部
面積 約8,288平方km
特徴 世界最大級のカルデラ地形
多様な生態系
人類発祥の地
マサイ族の伝統的な生活
見どころ ンゴロンゴロ・クレーター
オルドヴァイ渓谷
マサイ族の村
アクセス アルーシャから車で約3時間

ンゴロンゴロ保全地域の動物たち

ンゴロンゴロ保全地域には、約100種類の動物が生息しています。クレーターだけでなく、ゴル山脈の西・セレンゲティ国立公園の境界近くにあるヌドゥトゥ湖周辺の草地でも動物を見ることができますよ。ライオンやチーター・ヒョウ・ハイエナ・ヒョウ・ジャッカル・サーバルキャット、そしてそれらの肉食動物が狙うシマウマやバッファロー・ヌーなどの草食動物など、テレビで見るようなサバンナの風景が広がります。水辺が多く、鳥類もたくさん集まってくるのも特徴です。その数は約550種類にも及びます。フラミンゴが水辺で群れを成し、湖がピンク一色に染まる景色は圧巻。ダチョウやライラックニシブッポウソウなども生息しています。湖はマガディ湖を訪れるのがおすすめです。

ここでしか見られない絶滅危惧種のクロサイや希少動物のシロサイなど珍しい動物も観察可能です。中でも、アフリカのビッグ5といわれているバッファロー・ライオン・ゾウ・ヒョウ・サイがすべて集まっている唯一の場所でもあるため、ぜひ見つけてみてくださいね。そのほか、エランド・ハーテビースト・ウォーターバック・イボイノシシ・クドゥス・カモシカを見ることができます。アカシアの木が生い茂るヌドゥトゥ湖の近くにはキリンが、森にはニホンザルやサイチョウ、平原には猛禽類であるオオタカやハリアーも棲んでいますよ。動物好きな人はもちろん、動物があまり好きではないという人でもついテンションがあがってしまうほどのたくさんの動物に出会える場所です。

ンゴロンゴロ保全地域で見られる動物
動物名 特徴
ライオン サバンナの王者
ヒョウ 木登りが得意
ゾウ アフリカ最大の動物
カバ 水辺で生活
バッファロー 力強い動物
ヌー 群れで移動
シマウマ 縞模様が特徴
ガゼル 俊敏な動物
ダチョウ 走るの速い鳥
フラミンゴ ピンク色の羽が美しい
クロサイ 絶滅危惧種
シロサイ 希少動物

ンゴロンゴロ保全地域の植物

ンゴロンゴロ保全地域では、天水植物と乾燥種の両方を楽しむことができます。自然そのままの姿である植生・植物群落・牧草地・森林などさまざまな自然が観察可能です。クレーターの斜面は、低木・草原・常緑樹林などに覆われ、ピーコックフラワー・イエローウッド・クッソ・スウィートオリーブなどが見られます。オルディア山には純竹、マカルート山には鉛筆杉が生えています。低地にはハト草・高地の森林にはレッドソーンアカシア・ガムアカシアなど流域保護に重要な植物も生息していますよ。

ンゴロンゴロ保全地域で見られる植物
植物名 特徴
ピーコックフラワー 鮮やかな花
イエローウッド 黄色い木材
クッソ 薬用植物
スウィートオリーブ 甘い実をつける
純竹 背の高い竹
鉛筆杉 鉛筆の芯に使われる
ハト草 家畜の飼料
レッドソーンアカシア 赤い棘がある
ガムアカシア ガムを採取できる

まとめ

ンゴロンゴロ保全地域は、世界最大級のカルデラ地形を持つことから、多様な生態系が育まれています。外輪山に囲まれた環境は、乾季の影響を受けにくく、水と緑豊かな環境が維持されているため、多くの動物たちが生息しています。

特に、絶滅危惧種を含む様々な動物が生息していることから、「世界の動物園」とも呼ばれています。

また、植物も豊富で、天水植物から乾燥種まで、多様な植物が生息しています。

ンゴロンゴロ保全地域は、動物と植物の豊かな生態系を持つ、まさに自然の宝庫と言えるでしょう。

2. 地球の歴史と繋がる遺跡

要約

オルドヴァイ渓谷

オルドヴァイ渓谷は、ンゴロンゴロ保全地域内にある谷幅数百メートル、全長40キロメートルにも及ぶ巨大な渓谷です。マサイ語で現地の野生サイザル植物を指すオルドパイが間違って発音され、オルドヴァイと呼ばれるようになったそう。アウストラロピテクス人の足跡化石が発見されたことから、人類と石器文化の発祥の地として有名です。

100体以上の化石人骨や石器がこの地で発見されており、発見された化石や石器が見学できる博物館もあります。大昔に生きていたゾウやダチョウなどの動物の化石が多数展示されているため、興味のある方はぜひ立ち寄ってみてください。

オルドヴァイ渓谷で見つかった化石
化石名 特徴
アウストラロピテクス 初期人類
ホモ・ハビリス 最初期のヒト属
ジンジャントロプス 約180万年前に生存
打製石器 初期人類が使用した道具

人類の進化の証

オルドヴァイ渓谷では、約400万年前までの人類の化石や生活の跡が発見されており、まさに人類の故郷なのです。

具体的には180万年前に生存していたとされるジンジャントロプスや、ジンジャトロプスから進化を遂げたホモハビリス、当時の人々が使用していたと思われる大量の打製石器が挙げられます。またオルドヴァイ渓谷周辺でも多くの化石が発見され、特にアウストラロピテクスの足跡は、人類が直立二足歩行をしていたという証拠にもなっています。

オルドヴァイ渓谷の重要性

オルドヴァイ渓谷は、人類の進化を理解する上で非常に重要な場所です。

この地で発見された化石や石器は、人類がどのように進化してきたのか、そしてどのように道具を使い始めたのかを知るための貴重な資料となっています。

オルドヴァイ渓谷は、人類の歴史を紐解く鍵を握る場所と言えるでしょう。

まとめ

ンゴロンゴロ保全地域には、人類の進化を物語るオルドヴァイ渓谷が存在します。

この渓谷では、アウストラロピテクスやホモ・ハビリスといった人類の祖先の化石が発見されており、人類の起源を探る上で重要な場所となっています。

オルドヴァイ渓谷は、人類の歴史と文化遺産を理解する上で欠かせない場所です。

3. マサイ族との共生関係

要約

マサイ族の歴史

18世紀前後には、ンゴロンゴロ保全地域にマサイ族が移住してきました。2000年代になった現在では、約4万2000人が牧畜を営んでいます。ンゴロンゴロ保全地域の観光客が増えてからは、ガイドや密猟の監視などの仕事もしているそうです。

マサイ族は、長年ンゴロンゴロで放牧や狩猟を行って生活をしてきました。つまり、マサイ族はンゴロンゴロの野生動物と共存していたことになります。

マサイ族の生活
項目 内容
生業 放牧、狩猟
伝統 戦士的な文化、牛を飼育、伝統的な儀式や歌、踊り
住居 伝統的な家屋
服装 民族衣装
食生活 牛乳、肉、血
信仰 自然崇拝
言語 マサイ語

マサイ族とンゴロンゴロ保全地域

1951年に、当時タンザニアを統治していたイギリスの考えによって、マサイ族は大きな試練を受けることになります。その試練とは、ンゴロンゴロと隣接するセレンゲティ平原をまとめて国立公園に指定するというものです!

国立公園に指定されることで、よりンゴロンゴロ一帯の保護が強化されます。しかし保護が強化されることによって、マサイ族にとっては下記のようなデメリットが出てくるのです。

いかなる場合においても国立公園内で放牧や狩猟などを行えない これはつまり、国立公園に指定されることでマサイ族の伝統的な生活が失われてしまうということです!

マサイ族とンゴロンゴロ保全地域
出来事
1951年 セレンゲティ国立公園が設立され、マサイ族は土地を追われる
1959年 マサイ族の権利を守るため、ンゴロンゴロ保全地域が設立
1979年 世界自然遺産に登録
2010年 世界複合遺産に登録
現在 マサイ族の移住問題が深刻化

マサイ族の文化

マサイ族は誇り高い戦士的要素があり、男性はかつて狩りと牧畜以外行いませんでした。成人男性にはライオン狩りが義務づけられ、槍と盾のみで立ち向かいました。一方で女性は美を競っており、豪華な装飾やボディペインティング、衣装が特徴です。

マサイ族の村は、ンゴロンゴロクレーターの外輪に位置しています。マサイ族ならではの伝統儀式は現在も残っており、民族衣装を身につけ、歌や踊りで観光客を出迎えてくれますよ。女性が身につけているアクセサリーはお土産として購入することも可能です。マサイ族の文化に直に触れられるのはこの地域ならではの体験になりますよ。

まとめ

ンゴロンゴロ保全地域は、マサイ族の伝統的な生活と野生動物の保護を両立させるために設立されました。

マサイ族は、ンゴロンゴロ保全地域で長年暮らしており、野生動物と共存しながら独自の文化を育んできました。

しかし、近年、マサイ族の生活と野生動物の保護のバランスが崩れつつあり、マサイ族の移住問題が深刻化しています。

ンゴロンゴロ保全地域は、マサイ族の文化と野生動物の保護の両方を守るための難しい課題に直面しています。

4. 絶景のクレーターと湖

要約

ンゴロンゴロ・クレーター

ンゴロンゴロ保全地域には、ンゴロンゴロ、オルモティ、エンパカーイの3つのクレーターが存在します。なかでもンゴロンゴロクレーターは世界最大級のカルデラで、広大な草原が広がっています。世界の動物園とも称されるほど多くの野生動物が生息しており、その数は約2万5000頭に及ぶそうです。

多くの動物はクレーターの中で一生を過ごすため、季節に関係なくさまざまな動物を観察できます。目の前を通るゾウやライオンは圧巻!運が良ければ絶滅危惧種のクロサイなど珍しい動物も間近で見られるでしょう。さまざまな種類の動物が生息しているのは、ミネラルを多く含んだ火山灰が栄養分となり、豊かな自然を作りだしているためと考えられます。広大な自然の中で生きる野生動物をぜひ間近で楽しんでくださいね。

ンゴロンゴロ・クレーターの大きさ
項目 内容
直径 約20km
深さ 約610m
面積 約300平方km

ンゴロンゴロ・クレーターの湖

ンゴロンゴロ・クレーターには、いくつかの湖や沼があります。

これらの湖や沼は、動物たちの水飲み場として重要な役割を果たしています。

特に、フラミンゴの群れでピンク色に染まる「マカトゥー湖」は、ンゴロンゴロ・クレーターの絶景のひとつです。

ンゴロンゴロ・クレーターの湖
湖名 特徴
マカトゥー湖 フラミンゴの群れでピンク色に染まる
ゴイトクトクの泉 カバが水浴びをする
その他 クレーター内にはいくつかの湖や沼がある

ンゴロンゴロ・クレーターの景観

ンゴロンゴロ・クレーターは、その雄大な景観で知られています。

外輪山に囲まれた広大な草原、湖や沼、そしてそこに暮らす野生動物たちは、まさに自然の芸術作品です。

ンゴロンゴロ・クレーターは、訪れる人々に忘れられない感動を与えてくれるでしょう。

まとめ

ンゴロンゴロ保全地域の中心にあるンゴロンゴロ・クレーターは、世界最大級のカルデラ地形です。

クレーター内には、湖や沼、草原など、多様な自然環境が広がり、多くの野生動物が生息しています。

特に、フラミンゴの群れでピンク色に染まるマカトゥー湖は、ンゴロンゴロ・クレーターの象徴的な景観です。

ンゴロンゴロ・クレーターは、自然の壮大さと美しさを体感できる場所です。

5. 保全活動と未来への展望

要約

保全活動の課題

ンゴロンゴロ保全地域は、野生動物の保護とマサイ族の伝統的な生活の両立という難しい課題に直面しています。

マサイ族の人口増加と家畜の増加は、生態系への負荷を高めており、野生動物との資源競争が激化しています。

また、観光客の増加も、環境への影響が懸念されています。

保全活動の課題
課題 内容
マサイ族の人口増加 生態系への負荷増加
家畜の増加 野生動物との資源競争の激化
観光客の増加 環境への影響

保全活動の取り組み

ンゴロンゴロ保全地域では、野生動物の保護とマサイ族の生活の両立を目指した様々な取り組みが行われています。

例えば、マサイ族の伝統的な生活を維持しながら、環境保護に配慮した農業や畜産を促進するプログラムが実施されています。

また、観光客への環境教育や、密猟対策なども行われています。

保全活動の取り組み
取り組み 内容
環境保護に配慮した農業・畜産 マサイ族の伝統的な生活を維持しながら環境保護
観光客への環境教育 環境保護の重要性を啓発
密猟対策 野生動物の保護
その他 持続可能な観光の推進

未来への展望

ンゴロンゴロ保全地域は、今後も野生動物の保護とマサイ族の生活の両立を目指した取り組みを続けていく必要があります。

そのためには、政府、地元住民、観光客など、様々な関係者の協力が不可欠です。

持続可能な観光の推進や、環境保護への意識向上など、様々な取り組みを通じて、ンゴロンゴロ保全地域の未来を守っていく必要があります。

まとめ

ンゴロンゴロ保全地域は、野生動物の保護とマサイ族の生活の両立という難しい課題に直面しています。

しかし、様々な関係者の協力によって、持続可能な保全活動が進められています。

ンゴロンゴロ保全地域は、今後も野生動物と人間の共存を目指し、未来へと繋がる取り組みを続けていくでしょう。

6. 豊かな文化遺産と伝統

要約

マサイ族の文化

マサイ族は、タンザニア北部やケニア南部に暮らす遊牧民です。

彼らは、伝統的な生活様式を維持しており、牛を飼育し、狩猟を行い、独自の文化を育んできました。

マサイ族の文化は、自然との調和を重視しており、伝統的な儀式や歌、踊りなどが受け継がれています。

マサイ族の文化
項目 内容
生業 放牧、狩猟
伝統 戦士的な文化、牛を飼育、伝統的な儀式や歌、踊り
住居 伝統的な家屋
服装 民族衣装
食生活 牛乳、肉、血
信仰 自然崇拝
言語 マサイ語

マサイ族の伝統

マサイ族の男性は、戦士として、ライオン狩りなどを行い、勇猛果敢な精神で知られています。

女性は、家事や子育てを行い、伝統的な装飾品や衣装を身につけます。

マサイ族の伝統的な生活は、現代社会の影響を受けながらも、今もなお受け継がれています。

マサイ族の文化と観光

ンゴロンゴロ保全地域では、マサイ族の村を訪れることができます。

観光客は、マサイ族の伝統的な生活を垣間見ることができ、彼らの文化に触れることができます。

マサイ族の伝統的な儀式や歌、踊りを見学したり、マサイ族の女性が作ったアクセサリーを購入したりすることができます。

まとめ

ンゴロンゴロ保全地域は、マサイ族の伝統的な文化と生活を保護する重要な場所です。

マサイ族は、ンゴロンゴロ保全地域で、野生動物と共存しながら、独自の文化を維持しています。

観光客は、マサイ族の村を訪れることで、彼らの文化に触れることができます。

マサイ族の文化は、ンゴロンゴロ保全地域の魅力のひとつです。

参考文献

ンゴロンゴロ保全地域 | Wikipedia

タンザニアの世界遺産「ンゴロンゴロ保全地域(国立公園 …

【現地写真付き】ンゴロンゴロ保全地域(自然保護区)とは …

【ンゴロンゴロ保全地域

ンゴロンゴロ保全地域 | アフリカ, タンザニア

ンゴロンゴロ保全地域(タンザニア)

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