サンガニブ海洋国立公園とドングナブ湾−ムカクル島海洋国立公園とは？世界遺産についての解説

サンガニブ海洋国立公園とドンゴナーブ湾−ムカクル島海洋国立公園の概要
項目	内容
場所	スーダン東部の紅海沿岸
登録年	2016年
登録基準	(vii)(ix)(x)
構成資産	サンガニブ海洋国立公園、ドンゴナーブ湾＝ムカッワー島海洋国立公園
面積	約26万ha
特徴	紅海唯一の環礁、紅海最大級の湾、多様な生態系、ジュゴンの生息地
評価ポイント	自然美、生態系、生物多様性

1. サンガニブ海洋国立公園とは
2. ドングナブ湾の魅力
3. ムカクル島海洋国立公園の歴史
4. 海の生態系と多様性
5. サンガニブ海洋国立公園の観光スポット
6. ムカクル島海洋国立公園の自然と文化

1. サンガニブ海洋国立公園とは

サンガニブ海洋国立公園の概要

サンガニブ海洋国立公園は、スーダン東部の紅海沿岸に位置する、紅海で唯一の環礁です。1990年にスーダン初の海洋保護区として誕生し、2016年にはユネスコの世界自然遺産に登録されました。サンガニブ環礁は、南北に細長い形状で、長さは6.5km、幅は1.6km、礁湖の面積は約4.6km²です。サンガニブ海洋国立公園は、紅海で最も美しいサンゴ礁の一つとして知られており、ダイビングスポットとしても人気があります。透明度の高い水中で、多様なサンゴ礁と海洋生物を観察することができます。

サンガニブ海洋国立公園は、紅海で最もサンゴ礁の発達に適した場所の一つとされています。北側よりも寒くなりすぎず、南側のアデン湾の湧昇流の影響も受けにくいことから、サンゴ礁の生育に適した環境が整っています。サンガニブ環礁には、124種もの刺胞動物が生息しており、その多様性は紅海の中でも際立っています。

サンガニブ海洋国立公園には、サメ、マンタ、ウミガメなど、多くの海洋生物が生息しています。魚類は300種以上、サンゴは260種、海鳥は20種、海棲哺乳類は11種が確認されています。サンガニブ環礁は、これらの海洋生物にとって重要な繁殖地や餌場となっています。

サンガニブ海洋国立公園は、紅海の生態系と地質学的プロセスを理解する上で重要な場所です。サンゴ礁の成長や海洋生態系の進化を観察することができます。また、サンガニブ海洋国立公園は、紅海の生態系における重要な役割を果たしており、特にサンゴ礁の保存と研究において重要な場所です。

サンガニブ海洋国立公園のデータ
項目	内容
場所	スーダン東部の紅海沿岸
面積	17,400ha
特徴	紅海唯一の環礁
登録年	2016年
登録基準	(vii)(ix)(x)

サンガニブ海洋国立公園の歴史

サンガニブ環礁は、1983年の第7回世界遺産委員会で審議されたことがありました。しかし、当時はまだ海洋保護区が設定されておらず、世界遺産委員会の諮問機関である国際自然保護連合（IUCN）は、その価値を認めつつも法的保護状況の不備を指摘しました。そのため、世界遺産委員会は「登録延期」を決議しました。

その後、1990年にサンガニブ海洋国立公園が誕生し、スーダン初の海洋保護区となりました。2009年には、サンガニブ環礁、ドンゴナーブ湾、ムカッワー島を含む約28万haがラムサール条約登録地にもなりました。

2012年には、サンガニブ環礁とドンゴナーブ湾をまとめて世界遺産に推薦するための準備が開始されました。2014年には推薦書が提出されましたが、書類に不備があったため、世界遺産委員会の審議対象からは外れました。

2015年には、改めて完備した推薦書が提出されました。IUCNは、自然美、生態系、生物多様性の点での顕著な普遍的価値を認めうる余地があるとしたものの、範囲の拡大も含めた再考が必要であるとして「登録延期」を勧告しました。2016年の第40回世界遺産委員会では、逆転での登録が認められ、スーダンでは3件目にして初の自然遺産となりました。

サンガニブ海洋国立公園の歴史
年	出来事
1983年	世界遺産委員会で審議、登録延期
1990年	スーダン初の海洋保護区として誕生
2009年	ラムサール条約登録地
2012年	世界遺産推薦準備開始
2014年	推薦書提出、不備により審議対象外
2015年	推薦書再提出、IUCNより登録延期勧告
2016年	世界遺産に登録

サンガニブ海洋国立公園の登録基準

サンガニブ海洋国立公園は、世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録されました。

登録基準（vii）：サンガニブ海洋国立公園は、紅海で唯一の環礁であり、深さ800mの海に非常に多様な地層とサンゴ礁で構成され、世界最北端のサンゴ礁でもあります。

登録基準（ix）：紅海は世界最北端の熱帯の海であり、温度が高く、塩分の多い海のため、世界自然保護基金の提唱するグローバル200の優先生物保護地域に指定されています。サンガニブ海洋国立公園には、13もの異なるサンゴ礁地帯が存在し、古代のサンゴの化石から原生のサンゴが多く含まれているほどです。

登録基準（x）：サンガニブ海洋国立公園は、サンゴ礁に生息する魚の固有種のホットスポットでもあります。紅海の生態系でも高い固有性が見られ、西インド洋でも最も多様性に富んだサンゴ礁や希少なサンゴなどが生息しています。

サンガニブ海洋国立公園の登録基準
基準	内容
(vii)	最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する
(ix)	陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である
(x)	学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する

まとめ

サンガニブ海洋国立公園は、紅海で唯一の環礁であり、世界最北端のサンゴ礁として、その自然美と生態学的価値が認められています。サンゴ礁の多様性、海洋生物の豊富さ、そして紅海の生態系における重要な役割を果たしていることから、世界遺産に登録されました。

サンガニブ海洋国立公園は、スーダン政府によって保護されています。しかし、気候変動や海洋汚染などの脅威にさらされており、その保全には国際的な協力が不可欠です。

サンガニブ海洋国立公園は、ダイビングやシュノーケリングなどの観光にも適した場所です。訪れる際には、環境保護に配慮し、自然を大切にする行動を心がけましょう。

サンガニブ海洋国立公園は、紅海の自然の美しさと生態系の重要性を私たちに教えてくれます。この貴重な遺産を未来へ引き継いでいくために、私たち一人ひとりが環境保護の意識を高め、行動していくことが大切です。

2. ドングナブ湾の魅力

ドンゴナーブ湾の概要

ドンゴナーブ湾は、スーダン北東部の海岸から約125kmの位置にある、紅海最大級の湾です。メキシコのカリフォルニア湾のように、紅海州本土と半島にはさまれた細長いU字状の湾で、湾口は南側にある。その幅は東西13km、南北31km、面積は約285km²で、スーダン最大、紅海でも最大級の湾です。

ドンゴナーブ湾は、サンゴ礁、マングローブ、海草藻場、砂浜、小島など、多様な生態系を有しています。また、クジラ、マンタ、ウミガメ、ジュゴンなど、多くの海洋生物が生息しています。特に、ドンゴナーブ湾は、世界的に重要なジュゴンの生息地として知られています。

ドンゴナーブ湾は、スクーバダイビングに適した場所が多く、ダイバーやシュノーケラーに人気があります。しかし、レクリエーション施設が不足しているため、観光客は多くありません。

ドンゴナーブ湾には、ドンゴナーブ村という村があります。この村には、ベジャ人に含まれるビシャーリーン族が暮らしています。ビシャーリーン族は、伝統的に半農半牧の生活を営んでいましたが、近年では漁業が盛んになっています。

ドンゴナブ湾のデータ
項目	内容
場所	スーダン北東部の紅海沿岸
面積	約285km²
特徴	紅海最大級の湾
登録年	2016年
登録基準	(vii)(ix)(x)

ドンゴナーブ湾の生態系

ドンゴナーブ湾は、ジュゴンの重要な生息地です。ジュゴンは、海草を食べるため、海草藻場が餌場となります。ドンゴナーブ湾には、紅海に存在する11種の海草のうち、7種が生育しており、その生育密度も最高です。

ドンゴナーブ湾は、ジュゴンにとって最適な環境であると考えられています。透明度が高く、溶存酸素量も豊富で、石油などの汚染も少ないため、ジュゴンが安心して生活できる環境が整っています。

ドンゴナーブ湾には、ジュゴン以外にも、クジラ、マンタ、ウミガメなど、多くの海洋生物が生息しています。また、メジロカモメやウスズミハヤブサなどの海鳥も繁殖地としています。

ドンゴナーブ湾は、紅海の生態系における重要な役割を果たしており、特にジュゴンやウミガメなどの保護活動が重要です。

ドンゴナブ湾の生態系
生物	特徴
ジュゴン	世界的に重要な個体群
クジラ	生息
マンタ	生息
ウミガメ	生息
海鳥	繁殖地
魚類	300種以上
サンゴ	260種
海草	7種
海草藻場	生育密度最高

ドンゴナーブ湾の文化

ドンゴナーブ湾には、ムカッワー島という島があります。ムカッワー島は、ドンゴナーブ村の人々が儀式を行うイスラムの聖者の墓所の一つであり、信仰上の意義も持っています。

ムカッワー島周辺の海域は、スジハタの漁場になっています。スジハタは、ドンゴナーブ湾で獲れる魚の中で最も高価な魚です。

ムカッワー島とドンゴナーブ湾は、2001年にバードライフ・インターナショナルによって重要野鳥生息地に登録されました。メジロカモメやウスズミハヤブサなどの海鳥が繁殖地としています。

ドンゴナーブ湾は、自然と文化が調和した場所です。地元の人々は、伝統的な生活様式を守りながら、自然環境と共存しています。

ドンゴナーブ湾の文化
項目	内容
村	ドンゴナーブ村
民族	ビシャーリーン族
信仰	イスラム教
聖者	ムカッワー島に墓所
漁業	スジハタなど
伝統	半農半牧
重要野鳥生息地	2001年登録

まとめ

ドンゴナーブ湾は、紅海最大級の湾であり、サンゴ礁、マングローブ、海草藻場、砂浜、小島など、多様な生態系を有しています。

ドンゴナーブ湾は、世界的に重要なジュゴンの生息地として知られています。また、クジラ、マンタ、ウミガメなど、多くの海洋生物が生息しています。

ドンゴナーブ湾は、自然と文化が調和した場所です。地元の人々は、伝統的な生活様式を守りながら、自然環境と共存しています。

3. ムカクル島海洋国立公園の歴史

ムカッワー島の概要

ムカッワー島は、ドンゴナーブ湾の少し南に位置する島で、ドンゴナーブ湾＝ムカッワー島海洋国立公園の一部です。ムカッワー島は、ドンゴナーブ村の人々が儀式を行うイスラムの聖者の墓所の一つであり、信仰上の意義も持っています。

ムカッワー島周辺の海域は、スジハタの漁場になっています。スジハタは、ドンゴナーブ湾で獲れる魚の中で最も高価な魚です。ムカッワー島周辺は、スジハタの産卵期に多くのスジハタが集まる場所となっています。

ムカッワー島と近隣の小さな島々は、メジロカモメやウスズミハヤブサなどの海鳥の繁殖地になっています。また、ベンガルアジサシやヒバリ科の野鳥なども生息しています。

2001年には、ムカッワー島とドンゴナーブ湾の12

ムカッワー島のデータ
項目	内容
場所	ドンゴナーブ湾の南
特徴	イスラムの聖者の墓所
漁業	スジハタ
海鳥	繁殖地
重要野鳥生息地	2001年登録

ムカッワー島の開発計画

2012年には、スーダンの副大統領がムカッワー島を視察しました。その背景には、サウジアラビアの富豪によるムカッワー島の一部の買収・開発計画の存在が噂されていました。

しかし、世界遺産推薦時点で、サンガネーブ海洋国立公園と同様、ムカッワー島海洋国立公園もスーダン政府が直接的に管理責任を担っています。

ムカッワー島は、自然環境と文化遺産が共存する貴重な場所です。開発計画が実現した場合、その自然環境や文化遺産が失われる可能性があります。

ムカッワー島の未来は、スーダン政府の政策によって左右されます。

ムカッワー島の開発計画
年	出来事
2012年	副大統領の視察
2012年	サウジアラビアの富豪による買収・開発計画の噂

ムカッワー島の保護

ムカッワー島は、ドンゴナーブ湾＝ムカッワー島海洋国立公園の一部として、スーダン政府によって保護されています。

ムカッワー島は、世界遺産に登録されたことで、国際的な注目を集め、その保護活動が強化されることが期待されています。

ムカッワー島の保護には、スーダン政府だけでなく、国際的な協力も必要です。

ムカッワー島は、自然環境と文化遺産が調和した場所です。その価値を未来へ引き継いでいくために、私たち一人ひとりが環境保護の意識を高め、行動していくことが大切です。

まとめ

ムカッワー島は、ドンゴナーブ湾＝ムカッワー島海洋国立公園の一部であり、イスラムの聖者の墓所があることから、信仰上の意義も持っています。

ムカッワー島周辺の海域は、スジハタの漁場であり、メジロカモメやウスズミハヤブサなどの海鳥の繁殖地でもあります。

ムカッワー島は、自然環境と文化遺産が調和した貴重な場所です。開発計画が実現した場合、その自然環境や文化遺産が失われる可能性があります。

ムカッワー島の保護には、スーダン政府だけでなく、国際的な協力も必要です。

4. 海の生態系と多様性

サンゴ礁の生態系

サンガニブ海洋国立公園とドンゴナーブ湾＝ムカッワー島海洋国立公園は、紅海の生態系を代表する場所です。紅海は、世界最北端の熱帯の海であり、温度が高く、塩分の多い海です。

サンガニブ海洋国立公園には、紅海で唯一の環礁があり、世界最北端のサンゴ礁として知られています。サンゴ礁は、多様な海洋生物の生息地であり、紅海の生態系を支える重要な役割を果たしています。

ドンゴナーブ湾は、サンゴ礁、マングローブ、海草藻場、砂浜、小島など、多様な生態系を有しています。これらの生態系は、互いに複雑に関係し合い、豊かな生物多様性を育んでいます。

サンガニブ海洋国立公園とドンゴナーブ湾＝ムカッワー島海洋国立公園は、紅海の生態系における重要な役割を果たしており、特にサンゴ礁の保存と研究において重要な場所です。

紅海の生態系
項目	内容
特徴	世界最北端の熱帯の海
温度	高い
塩分	多い
生物多様性	豊か
サンゴ礁	世界最北端
サンゴ礁の生育	適した環境

海洋生物の多様性

サンガニブ海洋国立公園とドンゴナーブ湾＝ムカッワー島海洋国立公園には、サメ、マンタ、ウミガメ、ジュゴンなど、多くの海洋生物が生息しています。

魚類は300種以上、サンゴは260種、海鳥は20種、海棲哺乳類は11種が確認されています。これらの海洋生物は、紅海の生態系を豊かにしています。

特に、ドンゴナーブ湾は、世界的に重要なジュゴンの生息地として知られています。ジュゴンは、海草を食べるため、海草藻場が餌場となります。ドンゴナーブ湾には、紅海に存在する11種の海草のうち、7種が生育しており、その生育密度も最高です。

サンガニブ海洋国立公園とドンゴナーブ湾＝ムカッワー島海洋国立公園は、多くの希少種、固有種、および絶滅危惧種の重要な生息地として評価されています。

海洋生物の多様性
生物	特徴
魚類	300種以上
サンゴ	260種
海鳥	20種
海棲哺乳類	11種
ジュゴン	世界的に重要な個体群
スジハタ	高価な魚
メジロカモメ	繁殖地
ウスズミハヤブサ	繁殖地

気候変動の影響

サンガニブ海洋国立公園とドンゴナーブ湾＝ムカッワー島海洋国立公園は、気候変動の影響を受けやすい場所です。地球温暖化による海水温の上昇は、サンゴの白化現象を引き起こし、サンゴ礁の死滅につながります。

また、海洋酸性化もサンゴ礁の死滅の原因となります。さらに、台風やサイクロンといった災害の大型化や海水面の上昇による海底環境の変化も、サンゴのストレスに直結しています。

気候変動は、サンガニブ海洋国立公園とドンゴナーブ湾＝ムカッワー島海洋国立公園の生態系に深刻な影響を与えています。

これらの影響を軽減するためには、地球温暖化対策を進め、海洋汚染を防止することが重要です。

気候変動の影響
影響	内容
海水温上昇	サンゴの白化現象
海洋酸性化	サンゴの死滅
台風・サイクロン	大型化
海水面上昇	海底環境の変化
結果	生態系への深刻な影響