レッドウッド国立及び州立公園とは？世界遺産についての解説

レッドウッド国立及び州立公園の概要
公園名	指定年	面積	特徴
レッドウッド国立公園	1968年	139,000エーカー	原生温帯雨林
デルノルト・コースト州立公園	1920年代	不明	レッドウッド原生林
ジェデダイア・スミス州立公園	1920年代	不明	レッドウッド原生林
プレーリー・クリーク・レッドウッド州立公園	1920年代	不明	レッドウッド原生林

1. レッドウッド国立及び州立公園の概要
2. レッドウッドの巨木と生態系
3. レッドウッドの歴史と文化的背景
4. レッドウッドの世界遺産登録に至る過程
5. レッドウッドの観光スポットとアクティビティ
6. レッドウッド国立及び州立公園の未来と保全活動

1. レッドウッド国立及び州立公園の概要

レッドウッド国立及び州立公園の構成

レッドウッド国立及び州立公園は、アメリカ合衆国カリフォルニア州北部の沿海部に位置する、国立公園と州立公園が一体となった広大な公園です。1968年に指定されたレッドウッド国立公園と、1920年代に指定されたカリフォルニア州のデルノルト・コースト州立公園、ジェデダイア・スミス州立公園、プレーリー・クリーク・レッドウッド州立公園の4つの公園から構成されています。総面積は139

これらの公園は、デルノルト郡からハンボルト郡にかけて位置し、沿海に残存するセコイア（レッドウッド）原生林の45%を保護しています。その面積は少なくとも38

レッドウッドの森林以外にも、公園内には、その地域固有の植物相や動物相、大草原、文化的資源、河川やその他の小川の流域部分、37マイル（約60キロメートル）に及ぶ原始時代の海岸線などが保存されています。

レッドウッド国立及び州立公園の構成
公園名	指定年	面積	特徴
レッドウッド国立公園	1968年	139,000エーカー	原生温帯雨林
デルノルト・コースト州立公園	1920年代	不明	レッドウッド原生林
ジェデダイア・スミス州立公園	1920年代	不明	レッドウッド原生林
プレーリー・クリーク・レッドウッド州立公園	1920年代	不明	レッドウッド原生林

レッドウッド国立及び州立公園の歴史

1850年には、カリフォルニア州の海岸の200万エーカー（約8

金鉱を掘り当てて豊かになることが出来ず失敗した人々は、サンフランシスコや西海岸の他の場所で急成長していた開発のために、巨木の伐採に目を付けました。何十年にもわたって無制限な皆伐が行われたため、その保護のために真剣な取り組みが始まりました。

1920年代には、1918年に設立されたレッドウッド保全同盟（Save the Redwoods League）の活動により、プレーリー・クリーク、デルノルト・コースト、ジェデダイア・スミス・レッドウッド州立公園などが指定されました。レッドウッド国立公園は1968年に指定されましたが、その頃にはレッドウッドの原生林の90%近くが伐採されていました。

国立公園サービス局（NPS）とカリフォルニア州公園・レクリエーション局（CDPR）は、1994年に森林管理の協力体制と森林や流域の安定化を図ることを目的として、レッドウッド国立公園とそれに隣接する3つのレッドウッド州立公園をひとつの公園として統合しました。

レッドウッド国立及び州立公園の歴史
時期	出来事
1850年	レッドウッド原生林がカリフォルニア州の海岸を覆っていた
1918年	レッドウッド保全同盟設立
1920年代	プレーリー・クリーク、デルノルト・コースト、ジェデダイア・スミス・レッドウッド州立公園が指定
1968年	レッドウッド国立公園が指定
1994年	レッドウッド国立公園と3つの州立公園が統合

レッドウッド国立及び州立公園の生態系

レッドウッド国立及び州立公園の生態系は、汽水域に生息するハゼ、マスノスケ（キングサーモン）、ニシアメリカフクロウ、トドなど、多くの絶滅危惧種を保護しています。

公園内には、海岸、河川、草原、密林地帯など、多様な生態系が存在し、40種以上の哺乳類、400種以上の鳥類、爬虫類、両生類、魚類などが生息しています。

レッドウッド国立及び州立公園は、その希少な生態系と文化的歴史が認められ、1980年9月5日に国際連合の世界遺産に登録されました。

レッドウッド国立及び州立公園の生態系
生物種	生息地
ハゼ	汽水域
マスノスケ	汽水域
ニシアメリカフクロウ	森林
トド	海岸
アメリカクロクマ	森林
コヨーテ	森林
ピューマ	森林
ボブキャット	森林
アメリカビーバー	河川
カナダカワウソ	河川
オグロジカ	森林
ワピチ	森林
カリフォルニアアシカ	海岸
トド	海岸
ゼニガタアザラシ	海岸
イルカ	沖合
コククジラ	沖合
ルーズヴェルトワピチ	森林
オオクビワコウモリ	森林
ダグラスリス	森林
オオアメリカモモンガ	森林
カッショクペリカン	海岸
ミミヒメウ	海岸
シギ	海岸
カモメ	海岸
アメリカマダラウミスズメ	海岸
カワアイサ	河川
ミサゴ	河川
カタアカノスリ	森林
オオアオサギ	河川
ステラーカケス	森林
クビワヘビ	森林
アカアシガエル	森林
オオトラフサンショウウオ	森林
サメハダイモリ	森林
メバル科	海
セイヨウキヅタ	森林
ヤグルマギク	草原
ドクニンジン	草原

まとめ

レッドウッド国立及び州立公園は、アメリカ合衆国カリフォルニア州北部の沿海部に位置する、国立公園と州立公園が一体となった広大な公園です。

この公園は、レッドウッドの原生林をはじめ、多様な生態系と文化的資源を保護しており、世界遺産に登録されています。

レッドウッド国立及び州立公園は、自然保護と観光の両面において重要な役割を果たしており、今後もその保護と発展が期待されています。

2. レッドウッドの巨木と生態系

レッドウッドの巨木

レッドウッドは、高さ110メートル以上にも達する世界で最も高い樹木です。レッドウッドが初めて出現したのは、１億6

その後の気候変動及び造山運動により、レッドウッドの森林は次第に減少していきました。今日、コーストレッドウッドは、理想的な生育条件の揃っているカリフォルニア海岸に沿ってのみ生育しています。

この理想的条件とは、１年を通して雨または霧がでていること、及び温暖な気候です。コーストレッドウッドは、干ばつや極端な気温変化を好みません。

また、この大木にはほとんど天敵がいません。樹皮に含まれるタンニンは、菌類や昆虫の侵入を妨げ、厚い樹皮には耐火性もあります。このためレッドウッドは加齢のみにより枯れ、枯れた樹木は強風で林床に倒れます。

レッドウッドの巨木の特徴
特徴	説明
高さ	110メートル以上
樹齢	平均500～700年、中には2,000歳を超えるものも
耐火性	厚い樹皮とタンニンにより、山火事にも強い
耐病性	タンニンにより、菌類や昆虫の侵入を防ぐ
繁殖	種子と萌芽の両方で繁殖する

レッドウッドの生態系

レッドウッドの森林は、レッドウッド以外にも、ベイマツ、シトカトウヒ、タンオーク、マドローネ、ヒロハカエデ、カリフォルニアゲッケイジュ、アメリカアカハンノキ、タイヘイヨウイチイ、ノブコーンパイン、サンザシ属、インテリアライブオーク、ポンデローサマツなどの樹木が生育しています。

森林の下層植生には、ハックルベリー、ブラックベリー、サーモンベリーなどの植物が生育し、多くの動物種に食料を提供しています。

レッドウッド国立及び州立公園の生態系は、多くの希少動物種を保護しています。公園内には、海岸、河川、草原、密林地帯など、多様な生態系が存在し、40種以上の哺乳類、400種以上の鳥類、爬虫類、両生類、魚類などが生息しています。

レッドウッドの生態系
植物	説明
ベイマツ	高さ300フィート（約91メートル）以上になる
シトカトウヒ	海岸沿いに多く生息し、塩分の多い空気に適している
タンオーク	常緑広葉樹で、ドングリに似た実をつける
マドローネ	常緑広葉樹
ヒロハカエデ	落葉広葉樹
カリフォルニアゲッケイジュ	常緑広葉樹
アメリカアカハンノキ	落葉広葉樹
タイヘイヨウイチイ	針葉樹
ノブコーンパイン	針葉樹
サンザシ属	落葉広葉樹
インテリアライブオーク	常緑広葉樹
ポンデローサマツ	針葉樹
ハックルベリー	落葉低木
ブラックベリー	落葉低木
サーモンベリー	落葉低木
カリフォルニア・シャクナゲ	常緑低木
アザレア	常緑低木
ソードシダ	シダ植物

レッドウッドの再生

レッドウッドは、トマトの種ほどの大きさしかない種子からも繁殖できますが、種子の発芽能力は高くありません。

コーストレッドウッドの幹の基部から萌芽する能力は、針葉樹としては珍しいものです。大きなレッドウッドの根のあたりを見てください。もしかすると、小さなレッドウッドが芽を出しているかもしれません。

ナーサリーログ（Nursery log：苗床の役割を果たしている横倒しになったレッドウッド。幹から若木が萌芽している。）を観察してみると、レッドウッドの若木が芽吹いているかもしれません。

まとめ

レッドウッドは、世界で最も高い樹木であり、その巨木は、1億6

レッドウッドの森林は、多様な植物や動物が生息する豊かな生態系であり、その保護は、地球全体の生物多様性を守る上で重要です。

レッドウッドは、種子から発芽するだけでなく、幹の基部から萌芽する能力も持ち合わせており、その生命力は非常に強いと言えます。

3. レッドウッドの歴史と文化的背景

アメリカ原住民とレッドウッド

レッドウッド国立及び州立公園の地域には、古くからユロック族、トロワ族、カロク族、チルラ族、ウィヨット族などのアメリカ原住民が住んでいました。

考古学的研究によると、彼らがこの地域に到着したのは3

アメリカ原住民は、レッドウッドを生活の糧として利用していました。レッドウッドは、真っ直ぐな木目をしているので、厚板を簡単に拵え、船や家、小さな村の建築材料として使用していました。

アメリカ原住民にとって、レッドウッドは単なる木材ではなく、神聖な生き物であり、彼らの文化と深く結びついていました。

アメリカ原住民とレッドウッド
部族	特徴
ユロック族	最も多く、55の村と推定人口が2,500人
トロワ族	レッドウッドを建築材料として使用
カロク族	レッドウッドを建築材料として使用
チルラ族	レッドウッドを神聖な生き物として崇拝
ウィヨット族	レッドウッドを建築材料として使用

ゴールドラッシュとレッドウッドの伐採

1850年にトリニティ・リバー沿いで金が発見されたことで、カリフォルニアでは小規模な第二次ゴールド・ラッシュが起こりました。

これにより、この地域に鉱夫が集まり、多くの鉱夫は金持ちになり損ねた後も沿岸地方に残りました。

鉱夫たちは、建築用にレッドウッドを伐採し始めました。当初、カリフォルニア州とオレゴン州南西海岸地方の2

自然保護活動家や懸念する市民は、驚くべき速さで伐採されているのを目の当たりにして、残っている樹木を保護する方法を模索し始めました。

ゴールドラッシュとレッドウッドの伐採
時期	出来事
1850年	トリニティ・リバー沿いで金が発見され、ゴールドラッシュが発生
1910年	レッドウッドの原生林の90%近くが伐採される
1911年	カリフォルニア州の下院議員ジョン・E・レイカーが、レッドウッド国立公園を創設するための法案を提出
1918年	セーブ・ザ・レッドウッド・リーグ設立

レッドウッドの保護活動

1918年にブーン・アンド・クロケット・クラブのメンバーによって、レッドウッドの保護を目的とした団体「セーブ・ザ・レッドウッド・リーグ」が設立されました。

セーブ・ザ・レッドウッド・リーグは、1920年代にレッドウッドの林が集中したり複数ある地域、および少数の森林全体を保護することに成功しました。

1960年代初頭には、セーブ・ザ・レッドウッズ・リーグ、シエラクラブ、ナショナル・ジオグラフィック・ソサエティなどが、レッドウッド国立公園の創設に向けて活動を続けました。

1968年10月2日、リンドン・ジョンソン大統領によって、レッドウッド国立公園創設法案が署名されました。

レッドウッドの保護活動
時期	出来事
1918年	セーブ・ザ・レッドウッド・リーグ設立
1920年代	レッドウッドの林が集中したり複数ある地域、および少数の森林全体を保護
1960年代初頭	セーブ・ザ・レッドウッズ・リーグ、シエラクラブ、ナショナル・ジオグラフィック・ソサエティなどが、レッドウッド国立公園の創設に向けて活動を始める
1968年	レッドウッド国立公園創設法案が署名される

まとめ

レッドウッドは、アメリカ原住民にとって神聖な存在であり、彼らの文化と深く結びついていました。

しかし、19世紀後半のゴールドラッシュ以降、レッドウッドは大量に伐採され、原生林は大きく減少しました。

レッドウッドの保護活動は、1918年に設立された「セーブ・ザ・レッドウッド・リーグ」によって本格化し、1968年にはレッドウッド国立公園が設立されました。

レッドウッドの保護活動は、現在も続けられており、レッドウッド国立及び州立公園は、その象徴的な存在として、世界中の人々に知られています。

4. レッドウッドの世界遺産登録に至る過程

レッドウッド国立及び州立公園の世界遺産登録

レッドウッド国立及び州立公園は、その希少な生態系と文化的歴史が認められ、1980年9月5日に国際連合の世界遺産に登録されました。

評価委員会は、4

委員会はまた、フンボルト州立大学の研究者などによる公園内での現在進行中の研究についても言及しています。

世界遺産登録基準

レッドウッド国立及び州立公園は、世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録されました。

(vii) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。

(ix) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。

世界遺産登録基準
基準	説明
(vii)	ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの
(ix)	陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの

世界遺産登録後の変化

2006年に世界遺産登録名が「レッドウッド国立公園」から「レッドウッド国立・州立公園」に変更されました。

登録範囲などの変化はありません。

まとめ

レッドウッド国立及び州立公園は、その希少な生態系と文化的歴史が認められ、1980年に世界遺産に登録されました。

世界遺産登録基準(vii)と(ix)を満たしており、世界で最も高い木であるレッドウッドの原生林と、その周辺の生態系を保護しています。

世界遺産登録後も、公園の保護と管理は続けられており、今後もその価値が世界的に認められていくことが期待されています。

5. レッドウッドの観光スポットとアクティビティ

レッドウッド国立及び州立公園の観光スポット

レッドウッド国立及び州立公園には、多くの観光スポットがあります。

ハイウェイ199に沿って、シンプソンリードの森、ハウランドヒル道路、スタウトの森などの観光スポットがあります。

ハイウェイ101に沿って、クラマス展望地点、ニュートンビードゥルーリーパークウェイ、ビッグトゥリー路傍観察路、レディーバードジョンソンの森などの観光スポットがあります。

レッドウッド国立及び州立公園の観光スポット
ハイウェイ	観光スポット
ハイウェイ199	シンプソンリードの森、ハウランドヒル道路、スタウトの森
ハイウェイ101	クラマス展望地点、ニュートンビードゥルーリーパークウェイ、ビッグトゥリー路傍観察路、レディーバードジョンソンの森

レッドウッド国立及び州立公園のアクティビティ

レッドウッド国立及び州立公園では、ハイキング、ドライブ、キャンプ、ホエールウォッチング、釣りなど、様々なアクティビティを楽しむことができます。

ハイキングコースは、難易度が様々で、初心者から上級者まで楽しめます。

ドライブコースは、レッドウッドの原生林の中を走り抜けることができ、雄大な景色を満喫できます。

キャンプ場は、州立公園内に4つあり、シャワー、トイレ、火焚き場などの設備が整っています。

レッドウッド国立及び州立公園のアクティビティ
アクティビティ	説明
ハイキング	難易度が様々で、初心者から上級者まで楽しめる
ドライブ	レッドウッドの原生林の中を走り抜けることができ、雄大な景色を満喫できる
キャンプ	州立公園内に4つあり、シャワー、トイレ、火焚き場などの設備が整っている
ホエールウォッチング	12月から4月にかけて、コククジラやシロナガスクジラを観察できる
釣り	スミス川やクラマス川で、ニジマス、サーモン、スチールヘッドなどを釣ることができる