項目 | 内容 |
---|---|
位置 | モンゴル北西部とロシア連邦のトゥヴァ共和国にまたがる |
面積 | 約70万平方キロメートル |
中心 | ウヴス・ヌール湖(オブス湖) |
特徴 | 世界で最も北にある砂漠と、世界で最も南にあるツンドラが並存 |
登録基準 | (ix)重要な生態学的過程、(x)生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地 |
登録年 | 2003年 |
1. オヴスヌール盆地の特徴とは
1-1. オヴスヌール盆地の地理的位置
オヴス・ヌール盆地は、モンゴル北西部とロシア連邦のトゥヴァ共和国にまたがる広大な地域です。盆地の面積は約70万平方キロメートルに及び、その中心にはモンゴル最大の塩水湖であるウヴス・ヌール湖(オブス湖)があります。ウヴス・ヌール湖は、海抜759メートル、面積3
ウヴス・ヌール盆地は、ユーラシア大陸において、自然のままのステップが良好に保存されている地域として知られています。同時に、世界で最も北にある砂漠と、世界で最も南にあるツンドラが並存する場所でもあります。この盆地には、ウヴス・ヌール湖以外にも、ウーレグ・ノール(ウーレグ湖、海抜1
ウヴス・ヌール盆地は、シベリアと中央アジアにとって気候上も地理上も境界になっていることから、気温は非常に極端です。夏は47度を超える一方、冬は-58度近くまで冷え込むこともあります。
項目 | 内容 |
---|---|
面積 | 約70万平方キロメートル |
中心 | ウヴス・ヌール湖(オブス湖) |
海抜 | 759メートル |
面積 | 3,350平方キロメートル |
位置 | モンゴル北西部とロシア連邦のトゥヴァ共和国にまたがる |
1-2. オヴスヌール盆地の自然環境
オヴス・ヌール盆地は、世界で最も北にある砂漠と、世界で最も南にあるツンドラが並存する場所として知られています。この地域には、砂漠、ステップ、落葉樹林、湿地、ツンドラなど、多様な環境が見られます。
ウヴス・ヌール湖は、かつて数千年前にこの一帯にも海が広がっていたときの名残です。湖水は塩分濃度が高く、流入河川はありますが、流出河川はありません。
ウヴス・ヌール盆地は、シベリアと中央アジアの気候・地理的な境界線にもなっていることから、気温差が非常に激しい場所です。夏は40度を超える一方、冬はマイナス60度近くまで冷え込むこともあります。
項目 | 内容 |
---|---|
環境 | 砂漠、ステップ、落葉樹林、湿地、ツンドラ |
湖 | ウヴス・ヌール湖(塩水湖) |
気温 | 夏は47度以上、冬は-58度近くまで |
1-3. オヴスヌール盆地の生態系
ウヴス・ヌール盆地は、厳しい環境にもかかわらず、多様な動植物が生息しています。絶滅危惧種のユキヒョウ、アルガリ、アジア種のアイベックスなど41種の哺乳類や、カオジロオタテガモ、サカツラガンなど173種の鳥類が生息しています。
湖にはヨシ原と川の三角州があり、Oreoleuciscus potanini、Oreoleuciscus humilisなどの固有種の魚類も見られます。
ウヴス・ヌール盆地は、1997年にユネスコの生物圏保護区に、2004年にラムサール条約登録地にそれぞれ指定されました。
項目 | 内容 |
---|---|
哺乳類 | ユキヒョウ、アルガリ、アジア種のアイベックスなど41種 |
鳥類 | カオジロオタテガモ、サカツラガンなど173種 |
魚類 | Oreoleuciscus potanini、Oreoleuciscus humilisなど固有種 |
指定 | ユネスコの生物圏保護区、ラムサール条約登録地 |
1-4. まとめ
オヴス・ヌール盆地は、モンゴルとロシアにまたがる広大な地域で、世界で最も北にある砂漠と、世界で最も南にあるツンドラが並存する場所です。
この地域は、多様な環境と生態系を持ち、絶滅危惧種を含む多くの動植物が生息しています。
ウヴス・ヌール盆地は、その自然の豊かさから、ユネスコの生物圏保護区やラムサール条約登録地にも指定されています。
2. オヴスヌール盆地の歴史と文化
2-1. オヴスヌール盆地の歴史
オヴス・ヌール盆地は、古くから遊牧民が生活してきた地域です。この地域には、スキタイやテュルクなど、様々な遊牧民族が歴史に登場してきました。
スキタイは、紀元前8世紀から紀元前3世紀にかけて、ウクライナを中心に活動していたイラン系の遊牧騎馬民族です。スキタイは、中央アジアからヨーロッパにかけて広大な勢力を築き、その文化は周辺地域に大きな影響を与えました。
テュルクは、6世紀頃から中央アジアに現れた遊牧民族です。テュルクは、スキタイの後継者として、中央アジアの草原を支配しました。テュルクは、その後、様々な部族に分裂し、モンゴル帝国の成立にもつながりました。
時代 | 民族 | 特徴 |
---|---|---|
紀元前8世紀~紀元前3世紀 | スキタイ | イラン系の遊牧騎馬民族、ウクライナを中心に活動 |
6世紀頃~ | テュルク | 中央アジアに現れた遊牧民族、スキタイの後継者 |
13世紀 | モンゴル帝国 | テュルク系民族が分裂し、モンゴル帝国が成立 |
2-2. オヴスヌール盆地の文化
オヴス・ヌール盆地では、古くから遊牧民の伝統が受け継がれてきました。遊牧民は、家畜とともに季節ごとに移動しながら生活し、ゲルと呼ばれる組み立て式の住居に住んでいました。
遊牧民の文化は、馬との深い関係によって育まれてきました。馬は、移動手段だけでなく、食料や衣料の供給源としても重要な役割を果たしていました。
オヴス・ヌール盆地には、スキタイやテュルクの遺跡が数多く残されています。これらの遺跡は、遊牧民の生活様式や文化を知る上で貴重な資料となっています。
項目 | 内容 |
---|---|
生活様式 | 遊牧民、家畜とともに季節ごとに移動 |
住居 | ゲル(組み立て式の住居) |
文化 | 馬との深い関係、スキタイやテュルクの遺跡が残る |
2-3. オヴスヌール盆地の現代
現在、オヴス・ヌール盆地では、遊牧民の数は減少していますが、伝統的な文化は受け継がれています。
モンゴル政府は、遊牧民の伝統文化を保護するために、様々な取り組みを行っています。
オヴス・ヌール盆地は、自然と文化が調和した貴重な地域として、世界中から観光客が訪れています。
項目 | 内容 |
---|---|
遊牧民 | 数は減少しているが、伝統文化は受け継がれている |
取り組み | モンゴル政府は伝統文化の保護に取り組んでいる |
観光 | 自然と文化が調和した地域として、世界中から観光客が訪れる |
2-4. まとめ
オヴス・ヌール盆地は、古くから遊牧民が生活してきた地域で、スキタイやテュルクなど、様々な遊牧民族の歴史と文化が息づいています。
遊牧民の伝統文化は、現在も受け継がれており、オヴス・ヌール盆地は、自然と文化が調和した貴重な地域として、世界中から観光客が訪れています。
3. オヴスヌール盆地の動植物
3-1. オヴスヌール盆地の哺乳類
オヴス・ヌール盆地には、絶滅危惧種のユキヒョウ、アルガリ、アジア種のアイベックスなど、様々な哺乳類が生息しています。
ユキヒョウは、標高の高い山岳地帯に生息する希少な動物です。アルガリは、山岳地帯に生息する野生ヤギの一種です。アジア種のアイベックスは、山岳地帯に生息する野生ヤギの一種です。
このほかにも、スナネズミ、複数種のトビネズミ、マダライタチ、マヌルネコなど、様々な哺乳類が生息しています。
種 | 特徴 |
---|---|
ユキヒョウ | 絶滅危惧種、山岳地帯に生息 |
アルガリ | 山岳地帯に生息する野生ヤギ |
アジア種のアイベックス | 山岳地帯に生息する野生ヤギ |
その他 | スナネズミ、トビネズミ、マダライタチ、マヌルネコなど |
3-2. オヴスヌール盆地の鳥類
オヴス・ヌール盆地には、カオジロオタテガモ、サカツラガンなど、様々な鳥類が生息しています。
カオジロオタテガモは、湖沼や湿地に生息するカモの一種です。サカツラガンは、湖沼や湿地に生息するガンの一種です。
このほかにも、ユーラシアヘラサギ、オジロワシ、オオハクチョウ、インドガンなどの鳥類が生息しています。
種 | 特徴 |
---|---|
カオジロオタテガモ | 湖沼や湿地に生息するカモ |
サカツラガン | 湖沼や湿地に生息するガン |
その他 | ユーラシアヘラサギ、オジロワシ、オオハクチョウ、インドガンなど |
3-3. オヴスヌール盆地の魚類
ウヴス・ヌール湖には、Oreoleuciscus potanini、Oreoleuciscus humilisなどの固有種の魚類が生息しています。
これらの魚類は、ウヴス・ヌール湖の特殊な環境に適応して進化したと考えられています。
種 | 特徴 |
---|---|
Oreoleuciscus potanini | ウヴス・ヌール湖に固有の魚類 |
Oreoleuciscus humilis | ウヴス・ヌール湖に固有の魚類 |
3-4. まとめ
オヴス・ヌール盆地は、厳しい環境にもかかわらず、ユキヒョウ、アルガリ、アジア種のアイベックスなどの絶滅危惧種を含む、様々な哺乳類が生息しています。
また、カオジロオタテガモ、サカツラガンなどの鳥類や、ウヴス・ヌール湖に固有の魚類も生息しています。
オヴス・ヌール盆地は、生物多様性に富んだ貴重な地域です。
4. オヴスヌール盆地の地質と地形
4-1. オヴスヌール盆地の地質
オヴス・ヌール盆地は、古生代に形成された地層で構成されています。
この地域は、かつて海であったことがあり、ウヴス・ヌール湖は、その名残です。
盆地は、長い年月をかけて、風化や浸食によって形成されました。
時代 | 特徴 |
---|---|
古生代 | 地層で構成されている |
過去 | かつて海であった |
形成 | 風化や浸食によって形成 |
4-2. オヴスヌール盆地の地形
オヴス・ヌール盆地は、標高の高い山岳地帯から、標高の低い平原まで、様々な地形が見られます。
盆地の中央には、ウヴス・ヌール湖があり、その周囲には、草原、砂漠、森林などが広がっています。
盆地は、シベリアと中央アジアの境界線に位置していることから、気候や地形が大きく変化する場所です。
地形 | 特徴 |
---|---|
山岳地帯 | 標高が高い |
平原 | 標高が低い |
湖 | ウヴス・ヌール湖 |
周囲 | 草原、砂漠、森林 |
4-3. オヴスヌール盆地の地質学的特徴
オヴス・ヌール盆地は、地質学的にも非常に興味深い場所です。
この地域には、様々な地層や岩石が見られ、地球の歴史を知る上で貴重な場所となっています。
また、盆地は、地震や火山活動などの地殻変動の影響を受けてきました。
特徴 | 内容 |
---|---|
地層 | 様々な地層や岩石が見られる |
歴史 | 地球の歴史を知る上で貴重な場所 |
変動 | 地震や火山活動などの影響を受けてきた |
4-4. まとめ
オヴス・ヌール盆地は、古生代に形成された地層で構成され、かつて海であったことがあり、ウヴス・ヌール湖は、その名残です。
盆地は、標高の高い山岳地帯から、標高の低い平原まで、様々な地形が見られます。
オヴス・ヌール盆地は、地質学的にも非常に興味深い場所であり、地球の歴史を知る上で貴重な場所となっています。
5. オヴスヌール盆地の見どころスポット
5-1. ウヴス・ヌール湖
ウヴス・ヌール湖は、オヴス・ヌール盆地の中心に位置する、モンゴル最大の塩水湖です。
湖は、かつて海であったことがあり、その名残として、塩分濃度が高くなっています。
湖の周囲には、草原や砂漠が広がり、美しい景色を楽しむことができます。
項目 | 内容 |
---|---|
特徴 | モンゴル最大の塩水湖 |
過去 | かつて海であった |
周囲 | 草原や砂漠が広がる |
5-2. オルホン渓谷
オルホン渓谷は、ウランバートルから南西に約360キロメートル離れた場所にある、世界遺産に登録されている地域です。
渓谷には、オルホン川が流れ、その両岸には、草原や森林が広がっています。
オルホン渓谷には、スキタイやテュルクの遺跡が数多く残されており、歴史ファンにはたまらない場所です。
項目 | 内容 |
---|---|
位置 | ウランバートルから南西に約360キロメートル |
特徴 | オルホン川が流れ、草原や森林が広がる |
遺跡 | スキタイやテュルクの遺跡が残る |
5-3. モンゴル・アルタイ山脈の岩絵群
モンゴル・アルタイ山脈の岩絵群は、バヤンウルギー県のアルタイ山脈に残る3つの岩絵です。
最も古いものは紀元前1万1000年~6000年頃に描かれたと見られており、当時の人々の暮らしぶりや狩猟の様子などが描かれています。
岩絵群は、世界遺産に登録されており、歴史的価値は計り知れません。
項目 | 内容 |
---|---|
位置 | バヤンウルギー県のアルタイ山脈 |
年代 | 最も古いものは紀元前1万1000年~6000年頃 |
内容 | 当時の人々の暮らしぶりや狩猟の様子などが描かれている |
価値 | 歴史的価値は計り知れない |
5-4. まとめ
オヴス・ヌール盆地には、ウヴス・ヌール湖、オルホン渓谷、モンゴル・アルタイ山脈の岩絵群など、様々な見どころがあります。
これらのスポットを訪れることで、オヴス・ヌール盆地の自然と文化を満喫することができます。
6. オヴスヌール盆地の世界遺産登録について
6-1. オヴスヌール盆地の世界遺産登録基準
オヴス・ヌール盆地は、世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録されました。
(ix) – 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
(x) – 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。
基準 | 内容 |
---|---|
(ix) | 重要な生態学的過程を代表する見本 |
(x) | 生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地 |
6-2. オヴスヌール盆地の世界遺産登録の意義
オヴス・ヌール盆地は、中央アジアの自然がほとんど手付かずで残っていることが評価され、世界遺産に登録されました。
この地域は、世界で最も北にある砂漠と、世界で最も南にあるツンドラが並存する場所であり、生物多様性に富んでいます。
オヴス・ヌール盆地は、人類共通の遺産として、保護・保全していく必要があります。
項目 | 内容 |
---|---|
評価 | 中央アジアの自然がほとんど手付かずで残っている |
特徴 | 世界で最も北にある砂漠と、世界で最も南にあるツンドラが並存 |
重要性 | 人類共通の遺産として保護・保全していく必要がある |
6-3. オヴスヌール盆地の世界遺産登録後の取り組み
オヴス・ヌール盆地は、世界遺産に登録された後、保護・保全のための様々な取り組みが行われています。
モンゴル政府は、この地域を保護するために、国立公園や自然保護区を設立しました。
また、地元住民との協力体制を強化し、持続可能な観光の推進に取り組んでいます。
項目 | 内容 |
---|---|
取り組み | 保護・保全のための様々な取り組みが行われている |
対策 | 国立公園や自然保護区の設立 |
推進 | 持続可能な観光の推進 |
6-4. まとめ
オヴス・ヌール盆地は、その自然の豊かさから、世界遺産に登録されました。
世界遺産登録は、この地域を保護・保全していくための重要な一歩です。
モンゴル政府は、世界遺産登録を機に、様々な取り組みを行い、オヴス・ヌール盆地の保護・保全に力を入れています。
参考文献
・世界最北の砂漠と最南のツンドラが共存する世界遺産ウヴス …
・オヴス-ヌール盆地(オヴスヌールぼんち)とは? 意味や使い方 …
・ウヴス・ヌール盆地 | モンゴル・ロシア | 世界遺産オンライン …
・ウヴス・ヌール – 世界遺産 – わかりやすく解説 Weblio辞書
・『モンゴルの世界遺産 ウブス・ヌール盆地』モンゴルの旅行記 …
・大草原の国モンゴルの世界遺産を全て紹介 | Tabippo.net
・春次賢太朗が世界遺産をナビ!オヴス・ヌール盆地 – 春次賢 …
・ギャラリー:壮観!ロシアの多彩な自然遺産と文化遺産 25点 …