ハミギタン山地野生生物保護区とは？世界遺産についての解説

ハミギタン山地野生生物保護区の概要
項目	内容
位置	フィリピン・ミンダナオ島南東部
面積	7,132.76ヘクタール
標高	75m～1,637m
最高峰	マンサドク峰またはハミギタン峰
登録年	2014年
登録基準	(x) 生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する
固有種数	341種
絶滅危惧種	フィリピンワシ、フィリピンオウムなど
管理機関	環境天然資源省（DENR）
主な保護活動	絶滅危惧種の生息地の保護、違法な伐採や狩猟の防止、観光客の管理、地元住民への環境教育

1. ハミギタン山地野生生物保護区の歴史
2. ハミギタン山地の地理と生態系
3. ハミギタン山地の生物多様性
4. ハミギタン山地の保護管理
5. ハミギタン山地の文化遺産との関連性
6. ハミギタン山地の世界遺産登録の意義

1. ハミギタン山地野生生物保護区の歴史

ハミギタン山地野生生物保護区の設立

ハミギタン山地野生生物保護区は、フィリピン南部のミンダナオ島に位置する、標高1

保護区の設立は、この地域の生物多様性を保護し、持続可能な利用を促進することを目的としています。設立当初から、地元住民や政府機関、NGOなどが協力して、保護活動に取り組んできました。

ハミギタン山地野生生物保護区の設立
時期	内容
2001年	設定決定
2004年	正式設立（6,834ヘクタール）
2007年	範囲拡大（7,132.76ヘクタール）

世界遺産登録への道のり

ハミギタン山地野生生物保護区は、2008年9月10日に、アポ山と共に「アポ山とハミギタン山：ミンダナオの固有生物保護区群」という名称で、世界遺産の暫定リストに記載されました。しかし、翌年12月21日には、「アポ山自然公園」と「ハミギタン山域野生生物保護区」という2件に分割して記載し直されました。

ハミギタン山域野生生物保護区は、2012年1月30日に、生物多様性の価値を根拠に正式推薦されました。その後、国際自然保護連合（IUCN）は、2013年4月に勧告を出しました。勧告の内容は、生物多様性について顕著な普遍的価値を認めうる潜在性を指摘しつつも、範囲設定が完全性を満たしていないことなどを挙げ、「登録延期」を勧告しました。

フィリピン当局は、IUCNの勧告を受け、登録範囲の見直しなどを行い、改訂した推薦書を2014年1月13日に提出しました。IUCNは、改訂された推薦書に対して「登録」を勧告し、同年6月23日に開催された第38回世界遺産委員会で、勧告通りに登録が認められました。

ハミギタン山域野生生物保護区は、フィリピンの世界遺産としては、1999年のプエルト・プリンセサ地底河川国立公園とビガン歴史都市の登録以来、15年ぶり6件目（自然遺産としては3件目）の新規登録となりました。

世界遺産登録への道のり
時期	内容
2008年9月10日	暫定リストに記載（アポ山と共同）
2008年12月21日	分割記載
2012年1月30日	正式推薦
2013年4月	IUCN勧告（登録延期）
2014年1月13日	改訂推薦書提出
2014年6月23日	世界遺産登録

世界遺産登録基準

ハミギタン山域野生生物保護区は、世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録されました。

(x) – 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。

ハミギタン山域野生生物保護区は、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地として、世界遺産に登録されました。

世界遺産登録基準
基準	内容
(x)	生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する

まとめ

ハミギタン山域野生生物保護区は、2001年に設定が決まり、2004年に正式に設立されました。その後、2007年に範囲が拡大され、2014年にはUNESCOの世界遺産リストに登録されました。

世界遺産登録に至るまでには、IUCNによる勧告やフィリピン当局による登録範囲の見直しなど、多くのプロセスがありました。

ハミギタン山域野生生物保護区は、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地として、世界遺産に登録されました。

2. ハミギタン山地の地理と生態系

ハミギタン山地の位置と地形

ハミギタン山地野生生物保護区は、フィリピン南部のミンダナオ島南東部に位置し、プジャダ半島に広がっています。保護区は、標高1

ハミギタン山地は、南北に伸びる山稜を持ち、保護区内の最低地点は標高75メートル、最高地点は1

ハミギタン山地は、フィリピン南部のミンダナオ島南東部に位置し、プジャダ半島に広がっています。保護区は、標高1

ハミギタン山地の位置と地形
項目	内容
位置	フィリピン・ミンダナオ島南東部
半島	プジャダ半島
標高	75m～1,637m
最高峰	マンサドク峰またはハミギタン峰

ハミギタン山地の気候

ハミギタン山地の年間平均気温は27.8度で、最も低い1月でも20度を上回ります。月ごとの降水量の平均は126ミリメートルで、年平均湿度は98%です。

ハミギタン山地は、高温多湿な熱帯気候に属し、年間を通して温暖な気候です。

ハミギタン山地の気候
項目	内容
年間平均気温	27.8度
最低気温	20度以上
月平均降水量	126mm
年平均湿度	98%

ハミギタン山地の植生

ハミギタン山地は、標高によって植生が変化します。標高の低い順に、熱帯雨林、雲霧林、矮林と植生が変化します。

低地には、農地とフタバガキ科サラノキ属の森林が見られます。海抜420～920メートルの場所には、フタバガキ科の森林が見られます。

より高い山地には、蘚類、地衣類、着生植物が生える山岳林が見られます。標高1

ハミギタン山地は、標高によって植生が変化します。標高の低い順に、熱帯雨林、雲霧林、矮林と植生が変化します。

ハミギタン山地の植生
標高	植生
低地	農地、フタバガキ科サラノキ属の森林
420～920m	フタバガキ科の森林
山岳地	蘚類、地衣類、着生植物が生える山岳林
1,160～1,200m	蘚苔林、矮林

まとめ

ハミギタン山地は、フィリピン南部のミンダナオ島南東部に位置し、プジャダ半島に広がっています。標高75メートルから1

ハミギタン山地は、高温多湿な熱帯気候に属し、年間を通して温暖な気候です。

ハミギタン山地は、標高によって植生が変化し、低地から山岳林、蘚苔林、矮林と多様な植生が見られます。

3. ハミギタン山地の生物多様性

ハミギタン山地の動植物

ハミギタン山地には、植物957種、動物423種の計1380種が確認されています。うち、固有種は341種です。

植物相は、166科427属957種が確認されており、うち163種がフィリピンの固有種です。特にウツボカズラ属は8種生育しており、これはフィリピン国内で見られるものの6割近くに該当し、うち山頂付近に生えるネペンテス・ハミグイタネンシスを含む3種は、ハミギタン山の固有種です。

鳥類は108種が確認されており、ことに近絶滅種のフィリピンワシとフィリピンオウムは世界遺産委員会の決議文でも特筆されています。ミンダナオヒムネバトなども見られます。

哺乳類はフィリピンヒゲイノシシ、ハミギタンモリネズミ、ローレンスフルーツコウモリなど26種で、うち15種はコウモリです。両生類と爬虫類は特に固有種が多く、前者は75%、後者は84%が該当します。

ハミギタン山地の動植物
種別	種数
植物	957種
動物	423種
合計	1380種
固有種	341種

ハミギタン山地の固有種

ハミギタン山地には、多くの固有種が生息しています。特に、ウツボカズラ属のネペンテス・ハミグイタネンシスは、ハミギタン山にのみ生息する固有種です。

また、両生類と爬虫類の固有種も多く、両生類の75%、爬虫類の84%がハミギタン山にのみ生息する固有種です。

ハミギタン山地の固有種
種別	固有種
ウツボカズラ属	ネペンテス・ハミグイタネンシスなど
両生類	75%
爬虫類	84%

ハミギタン山地の絶滅危惧種

ハミギタン山地には、絶滅危惧種も数多く生息しています。特に、フィリピンワシとフィリピンオウムは、世界遺産委員会の決議文でも特筆されているほど、絶滅の危機に瀕しています。

また、フィリピンヒゲイノシシや、ラン科パフィオペディルム属のパフィオペディルム・アッドゥクツムなども、絶滅危惧種に指定されています。

ハミギタン山地は、絶滅危惧種の生息地として、重要な役割を果たしています。

ハミギタン山地の絶滅危惧種
種別	絶滅危惧種
鳥類	フィリピンワシ、フィリピンオウム
哺乳類	フィリピンヒゲイノシシ
植物	ラン科パフィオペディルム属のパフィオペディルム・アッドゥクツム

まとめ

ハミギタン山地には、植物957種、動物423種の計1380種が確認されており、うち341種が固有種です。

特に、ウツボカズラ属のネペンテス・ハミグイタネンシスは、ハミギタン山にのみ生息する固有種です。

ハミギタン山地には、フィリピンワシやフィリピンオウムなどの絶滅危惧種も数多く生息しています。

ハミギタン山地は、生物多様性に富んだ貴重な地域であり、絶滅危惧種の生息地として、重要な役割を果たしています。

4. ハミギタン山地の保護管理

保護区の管理体制

ハミギタン山地野生生物保護区は、フィリピン政府によって管理されています。保護区の管理は、環境天然資源省（DENR）が担当し、DENRの傘下にある保護地域管理局（PAWB）が、保護区の日常的な管理を行っています。

PAWBは、保護区内の生態系の保全、野生生物の保護、観光客の管理、地元住民との連携など、様々な活動を行っています。

ハミギタン山地野生生物保護区の管理体制
機関	役割
環境天然資源省（DENR）	保護区の管理
保護地域管理局（PAWB）	保護区の日常的な管理

保護活動

ハミギタン山地野生生物保護区では、様々な保護活動が行われています。

絶滅危惧種の生息地の保護、違法な伐採や狩猟の防止、観光客の管理、地元住民への環境教育など、多岐にわたる活動が行われています。

保護活動には、地元住民の参加が不可欠です。PAWBは、地元住民に対して、環境教育や、保護活動への参加を呼びかけています。

ハミギタン山地野生生物保護区の保護活動
活動	内容
絶滅危惧種の生息地の保護	生息地の保全
違法な伐採や狩猟の防止	監視活動
観光客の管理	許可取得、ゴミ持ち帰りなど
地元住民への環境教育	環境保護意識向上

観光客の管理

ハミギタン山地野生生物保護区は、世界遺産に登録されたことで、観光客が増加しています。

PAWBは、観光客の管理を徹底し、保護区への影響を最小限に抑えるよう努めています。

観光客は、保護区に入る前に、PAWBの許可を得る必要があります。また、保護区内では、ゴミの持ち帰りや、動植物の採取などが禁止されています。

PAWBは、観光客に対して、保護区のルールやマナーを説明し、環境保護の意識を高めるための啓発活動を行っています。

ハミギタン山地野生生物保護区の観光客管理
項目	内容
入域	PAWBの許可取得
禁止事項	ゴミの持ち帰り、動植物の採取

まとめ

ハミギタン山地野生生物保護区は、フィリピン政府によって管理されており、環境天然資源省（DENR）の傘下にある保護地域管理局（PAWB）が、保護区の日常的な管理を行っています。

PAWBは、絶滅危惧種の生息地の保護、違法な伐採や狩猟の防止、観光客の管理、地元住民への環境教育など、様々な保護活動を行っています。

ハミギタン山地野生生物保護区は、世界遺産に登録されたことで、観光客が増加しています。PAWBは、観光客の管理を徹底し、保護区への影響を最小限に抑えるよう努めています。

5. ハミギタン山地の文化遺産との関連性

ハミギタン山地と先住民文化

ハミギタン山地には、マンサカ族やマノボ族など、先住民が暮らしています。先住民たちは、古くからこの地域に暮らし、自然と共存する生活を送ってきました。

先住民たちは、ハミギタン山地から食料や薬草を得て、伝統的な文化を継承してきました。

ハミギタン山地は、先住民たちの生活と文化にとって重要な場所です。

ハミギタン山地と先住民文化
民族	特徴
マンサカ族	ハミギタン山地から食料や薬草を得て、伝統的な文化を継承
マノボ族	ハミギタン山地から食料や薬草を得て、伝統的な文化を継承

ハミギタン山地と宗教

ハミギタン山地には、先住民たちの信仰と密接に関係する聖なる場所があります。

先住民たちは、ハミギタン山地を神聖な場所として崇拝し、自然への畏敬の念を抱いています。

ハミギタン山地は、先住民たちの宗教観と自然観を理解する上で重要な場所です。

ハミギタン山地と宗教
宗教	特徴
先住民の信仰	ハミギタン山地を神聖な場所として崇拝

ハミギタン山地と伝統的な知識

先住民たちは、長年の経験を通して、ハミギタン山地の自然について多くの知識を蓄積してきました。

薬草の効能や、動植物の生態など、現代科学では解明されていない知識も数多く存在します。

先住民たちの伝統的な知識は、ハミギタン山地の保護管理に役立つ貴重な情報源です。

ハミギタン山地と伝統的な知識
知識	内容
薬草の効能	薬草の利用
動植物の生態	自然への深い理解

まとめ

ハミギタン山地は、先住民たちの生活と文化にとって重要な場所です。

先住民たちは、ハミギタン山地を神聖な場所として崇拝し、自然への畏敬の念を抱いています。

先住民たちの伝統的な知識は、ハミギタン山地の保護管理に役立つ貴重な情報源です。

ハミギタン山地は、先住民たちの文化と自然が密接に関係している場所です。

6. ハミギタン山地の世界遺産登録の意義

生物多様性の保全

ハミギタン山地は、生物多様性に富んだ貴重な地域です。世界遺産に登録されたことで、ハミギタン山地の生物多様性を保護するための国際的な取り組みが強化されました。

世界遺産登録は、ハミギタン山地の保護管理を強化し、絶滅危惧種の生息地を守るための重要な一歩となりました。

ハミギタン山地は、生物多様性の保全にとって重要な場所であり、世界遺産登録は、その保全活動を促進する役割を果たしています。

ハミギタン山地の世界遺産登録の意義
項目	内容
生物多様性の保全	国際的な取り組み強化
持続可能な観光の促進	地域経済活性化
国際的な認知度向上	世界への発信