ワディ・ラム保護地域とは？世界遺産についての解説

ワディ・ラム保護地域の構成要素
要素	説明
地理	ヨルダン南部のアカバ県に位置する砂岩と花崗岩でできた谷
面積	74,200ヘクタール（東京23区の広さ）
歴史	約1万2000年前から人が暮らしていた形跡があり、古代の交易路として栄えた
文化	ベドウィンと呼ばれる遊牧民が伝統的な生活を営んでいる
自然	赤い砂漠、奇岩、渓谷、断崖絶壁など、壮大な景観が広がる
世界遺産登録	2011年に複合遺産として登録された
観光	ジープツアー、ラクダツアー、星空観測ツアーなど、様々なツアーが開催されている
アクセス	アンマンから車で約4時間、ペトラ遺跡から車で約2時間

1. ワディラム保護地域の概要と歴史
2. ワディラムの自然環境と生態系
3. ワディラムの文化遺産と遺跡
4. ワディラムの世界遺産登録について
5. ワディラム保護地域の観光情報
6. ワディラムの地元の人々と暮らし

1. ワディラム保護地域の概要と歴史

ワディ・ラムの地理と名称

ワディ・ラム保護地域は、ヨルダン南部のアカバ県に位置する、砂岩と花崗岩でできた谷です。サウジアラビアとの国境近くに位置し、面積は74

ワディ・ラムは、ヨルダン最大のワーディー（涸れ川）であり、かつては川が流れていたことを示す、多くの谷や奇岩、渓谷などが点在しています。これらの地形は、数百万年にわたる地球の進化によって形成されたものであり、ワディ・ラムの壮大で独特な景観を作り出しています。

ワディ・ラムは、別名「月の谷」とも呼ばれ、その名の通り、月面のような荒涼とした風景が広がっています。赤い砂漠と奇岩が織りなす景色は、地球とは思えないほど美しく、多くの映画のロケ地として使用されてきました。

ワディ・ラムの名称と由来
名称	意味
ワディ・ラム	アラビア語で「高い」を意味する語根に由来
ワーディー	アラビア語で「涸れ川」を意味
Wadi ramm	考古学者が通常使用するラテン文字表記

ワディ・ラムの歴史

ワディ・ラムの歴史は古く、約1万2000年前から人が暮らしていた形跡が残っています。5000年ほど前から砂漠化が進みましたが、かつてのワディ・ラムは多くの川が谷間を流れる渓谷で緑があふれていました。

古代には、地中海世界とアジアを繋ぐ交易路となり、ラクダのキャラバンが行き交い、宿場町として栄えていました。ワディ・ラムには、ナバテア王国の人々が残した壁画、落書き、遺構などが残されています。

西洋においては、イギリスの将校トーマス・エドワード・ロレンス（1917～1918年に起きたアラブ反乱中数回に渡りワーディー・ラムを通った）に縁のある場所として名高いです。1980年代、ワーディー・ラムにある砂岩の一つがローレンスの書籍から「知恵の七柱（The Seven Pillars of Wisdom）」と呼ばれるようになりました。

ワディ・ラムの歴史年表
年代	出来事
約1万2000年前	人が住み始めた
5000年前	砂漠化が始まる
古代	交易路として栄える
1917～1918年	イギリスの将校トーマス・エドワード・ロレンスが通過
1980年代	砂岩の一つが「知恵の七柱」と呼ばれるようになる

ワディ・ラムの文化

ワディ・ラムには、現在もベドウィンと呼ばれる遊牧民が暮らしています。ベドウィンは、長年にわたりワディ・ラムの砂岩でできた山を登ってきました。彼らの「ベドウィンの道」と呼ばれる登攀ルートの多くは、現代のロッククライマーにより再発見され文書化されています。

ワディ・ラムは、登山家やトレッカーとともに働くザラビア・ベドウィン（遊牧民）の故郷であり、エコツーリズム開発の成功により、現代では彼らの主な収入源となっています。

ワディ・ラム周辺地域はヨルダンの観光において有数の観光地であり、外国の旅行者年々増加しており、登山家やロッククライマーによる訪問だけではなく、ラクダ乗り体験のためアカバやペトラから日帰りで訪れる旅行者も増加しています。

ワディ・ラムの文化
文化	説明
ベドウィン	ワディ・ラムに暮らす遊牧民
ベドウィンの道	ベドウィンが利用してきた登攀ルート
エコツーリズム	ベドウィンが観光客に提供するサービス
観光客	登山家、トレッカー、ラクダ乗り体験を楽しむ旅行者

まとめ

ワディ・ラムは、ヨルダン南部の広大な砂漠地帯に位置する、歴史と自然が織りなす壮大な景観を持つ地域です。かつては緑豊かな渓谷でしたが、長い年月を経て砂漠化が進み、現在では赤い砂漠と奇岩が特徴的な風景が広がっています。

ワディ・ラムは、古代から人々が暮らしてきた場所であり、ナバテア王国の人々やベドウィンと呼ばれる遊牧民が生活を営んできました。彼らの文化や歴史は、ワディ・ラムに残る遺跡や壁画、伝統などに色濃く反映されています。

ワディ・ラムは、映画のロケ地としても有名で、特に「アラビアのロレンス」や「オデッセイ」などの作品が撮影されました。映画を通して、ワディ・ラムの壮大な景色や独特な雰囲気を知ることができます。

2. ワディラムの自然環境と生態系

ワディ・ラムの地形

ワディ・ラムは、砂岩と花崗岩でできた谷であり、その地形は、数百万年にわたる風化と浸食によって形成されました。断崖絶壁、狭い渓谷、自然に形成された岩のアーチ、大規模な地滑りの跡、風紋など、多様な地形が見られます。

ワディ・ラムの地形は、その壮大さと美しさで知られており、地球とは思えないような独特の景観を作り出しています。特に、赤い砂漠と奇岩が織りなす景色は、訪れる人々を魅了します。

ワディ・ラムの地形は、登山家やトレッカーにとって魅力的な場所となっています。険しい岩山や谷、砂漠など、様々な地形に挑戦することができます。

ワディ・ラムの地形
地形	説明
断崖絶壁	風化と浸食によって形成された
狭い渓谷	風化と浸食によって形成された
自然に形成された岩のアーチ	風化と浸食によって形成された
大規模な地滑りの跡	風化と浸食によって形成された
風紋	風によって形成された

ワディ・ラムの気候

ワディ・ラムは、乾燥した砂漠地帯に位置しており、年間を通して降水量は少なく、気温は非常に高いです。夏は気温が40度を超えることも珍しく、冬は夜間は氷点下になることもあります。

ワディ・ラムの気候は、厳しい環境ですが、その一方で、澄み切った空気と美しい星空を楽しむことができます。夜は、満天の星空が輝き、昼間とは全く異なるワディ・ラムの顔を見せてくれます。

ワディ・ラムの気候は、植物の生育に大きな影響を与えています。乾燥に強い植物が、ワディ・ラムの厳しい環境に適応して生育しています。

ワディ・ラムの気候
季節	気温
夏	40度を超えることも
冬	夜間は氷点下になることも
年間を通して	降水量は少ない

ワディ・ラムの生物

ワディ・ラムには、厳しい環境に適応した様々な生物が生息しています。砂漠に生息する動物としては、ラクダ、ヤギ、キツネ、ヘビなどが挙げられます。

ワディ・ラムの植物は、乾燥に強い植物が中心です。サボテン、灌木、草などが、ワディ・ラムの厳しい環境に適応して生育しています。

ワディ・ラムの生物は、その環境に適応した独自の生態系を形成しています。ワディ・ラムの生物多様性は、その厳しい環境の中で生き抜くための知恵と力強さを教えてくれます。

ワディ・ラムの生物
生物	説明
ラクダ	砂漠に生息する動物
ヤギ	砂漠に生息する動物
キツネ	砂漠に生息する動物
ヘビ	砂漠に生息する動物
サボテン	乾燥に強い植物
灌木	乾燥に強い植物
草	乾燥に強い植物

まとめ

ワディ・ラムは、乾燥した砂漠地帯に位置しており、その厳しい環境に適応した様々な地形、気候、生物が生息しています。

ワディ・ラムの地形は、風化と浸食によって形成された、断崖絶壁、渓谷、岩のアーチなど、壮大で独特な景観を作り出しています。

ワディ・ラムの気候は、乾燥し、気温差が激しいですが、澄み切った空気と美しい星空を楽しむことができます。

ワディ・ラムの生物は、乾燥に強い植物や、砂漠に適応した動物など、厳しい環境に適応した独自の生態系を形成しています。

3. ワディラムの文化遺産と遺跡

ワディ・ラムの岩絵

ワディ・ラムには、古代の人々が描いた岩絵が数多く残されています。岩絵には、動物、人間、幾何学模様などが描かれており、古代の人々の生活や信仰の様子を垣間見ることができます。

ワディ・ラムの岩絵は、約2万5000点にも及び、その数は世界でも有数の規模を誇ります。岩絵は、古代の人々の生活や文化を理解するための貴重な資料となっています。

ワディ・ラムの岩絵は、その保存状態の良さでも知られています。厳しい砂漠の環境の中で、長い年月を経て、鮮やかな色彩を保っている岩絵も多く見られます。

ワディ・ラムの岩絵
モチーフ	説明
動物	古代の人々の生活の様子を表す
人間	古代の人々の生活の様子を表す
幾何学模様	古代の人々の信仰を表す

ワディ・ラムの碑文

ワディ・ラムには、岩絵だけでなく、古代の人々が刻んだ碑文も数多く残されています。碑文は、古代の人々の言語や文字を理解するための貴重な資料となっています。

ワディ・ラムの碑文は、様々な言語で書かれており、古代の人々の交流や文化交流の様子を垣間見ることができます。

ワディ・ラムの碑文は、古代の人々の生活や文化を理解するための重要な資料となっています。

ワディ・ラムの碑文
言語	説明
古代の人々の言語	古代の人々の言語を理解するための資料
古代の人々の文字	古代の人々の文字を理解するための資料

ワディ・ラムの遺跡

ワディ・ラムには、古代の人々が生活していた遺跡も数多く残されています。遺跡には、住居跡、墓地、寺院跡などが含まれます。

ワディ・ラムの遺跡は、古代の人々の生活や文化を理解するための貴重な資料となっています。

ワディ・ラムの遺跡は、その保存状態の良さでも知られています。厳しい砂漠の環境の中で、長い年月を経て、遺跡は良好な状態で保存されています。

ワディラムの遺跡
遺跡	説明
住居跡	古代の人々の生活の様子を表す
墓地	古代の人々の信仰を表す
寺院跡	古代の人々の信仰を表す

まとめ

ワディ・ラムには、古代の人々が描いた岩絵、刻んだ碑文、そして生活していた遺跡など、貴重な文化遺産が数多く残されています。

これらの文化遺産は、古代の人々の生活や文化を理解するための重要な資料となっています。

ワディ・ラムの文化遺産は、その保存状態の良さでも知られており、厳しい砂漠の環境の中で、長い年月を経て、良好な状態で保存されています。

4. ワディラムの世界遺産登録について

ワディラムの世界遺産登録

ワディ・ラム保護地域は、2011年にユネスコの世界遺産に登録されました。登録基準は、(iii) 顕著な普遍的価値を有する文化遺産の証であること、(v) 人類と環境の相互作用の優れた例であること、(vii) 顕著な普遍的価値を有する自然美の景観であることの3つです。

ワディ・ラムは、その壮大な自然景観と、古代の人々の文化遺産が認められ、複合遺産として登録されました。

ワディ・ラムの世界遺産登録は、この地域の文化的・自然的な価値を世界に認めさせただけでなく、保護と保全のための取り組みを強化するきっかけとなりました。

ワディ・ラムの世界遺産登録基準
基準	説明
(iii)	顕著な普遍的価値を有する文化遺産の証であること
(v)	人類と環境の相互作用の優れた例であること
(vii)	顕著な普遍的価値を有する自然美の景観であること

ワディラムの世界遺産登録の意義

世界遺産登録によって、ワディ・ラムの観光開発が促進され、地域経済の活性化にも貢献しています。

ワディ・ラムの世界遺産登録は、この地域の文化的・自然的な価値を次世代に継承していくための重要な一歩となりました。

ワディ・ラムの世界遺産登録の意義
意義	説明
文化的・自然的な価値の国際的な認知	世界に認められた
保護と保全の強化	世界遺産登録によって保護が強化された
観光開発の促進	観光客の増加につながった
地域経済の活性化	観光客の増加によって経済が活性化した
次世代への継承	未来へつなぐ

ワディラムの保護と保全

ワディ・ラム保護地域は、世界遺産登録によって、その保護と保全が強化されました。

ワディ・ラムの保護と保全には、観光客の増加による環境負荷への対策、遺跡や岩絵の保護、ベドウィンの伝統文化の継承などが含まれます。

ワディ・ラムの保護と保全は、地域住民や政府、観光事業者など、様々な主体が協力して行われています。

ワディ・ラムの保護と保全
取り組み	説明
環境負荷への対策	観光客の増加による環境負荷を軽減
遺跡や岩絵の保護	文化遺産の保護
ベドウィンの伝統文化の継承	伝統文化の保護

まとめ

ワディ・ラム保護地域は、その文化的・自然的な価値が認められ、2011年にユネスコの世界遺産に登録されました。

世界遺産登録は、ワディ・ラムの保護と保全を強化し、観光開発を促進するきっかけとなりました。

ワディ・ラムの保護と保全は、地域住民や政府、観光事業者など、様々な主体が協力して行われています。

5. ワディラム保護地域の観光情報

ワディ・ラムへのアクセス

ワディ・ラムへのアクセスは、ヨルダンの首都アンマンから車で約4時間、ペトラ遺跡からは車で約2時間です。

ワディ・ラムには、公共交通機関はあまり発達していないため、ツアーを利用するか、レンタカーを借りることをおすすめします。

ワディ・ラムには、ビジターセンターがあり、ここで入場料を支払う必要があります。ビジターセンターでは、ワディ・ラムの観光情報やツアーの予約などもできます。

ワディ・ラムへのアクセス
場所	時間
アンマン	車で約4時間
ペトラ遺跡	車で約2時間

ワディ・ラムの観光スポット

ワディ・ラムには、多くの観光スポットがあります。有名な観光スポットとしては、「七つの知恵の柱」、「ロレンスの泉」、「ハザリ渓谷」などがあります。

「七つの知恵の柱」は、ワディ・ラムの象徴的な景観であり、映画「アラビアのロレンス」でも登場しました。

「ロレンスの泉」は、映画「アラビアのロレンス」で、ロレンスが水を発見した場所として有名です。

「ハザリ渓谷」は、古代の壁画や碑文が残されている場所です。

ワディ・ラムの観光スポット
スポット	説明
七つの知恵の柱	ワディ・ラムの象徴的な景観
ロレンスの泉	映画「アラビアのロレンス」で有名な泉
ハザリ渓谷	古代の壁画や碑文が残されている場所

ワディ・ラムの観光ツアー

ワディ・ラムでは、様々な観光ツアーが開催されています。ジープツアー、ラクダツアー、星空観測ツアーなどがあります。

ジープツアーでは、ワディ・ラムの壮大な景色を満喫することができます。

ラクダツアーでは、ベドウィンの伝統的な生活を体験することができます。

星空観測ツアーでは、ワディ・ラムの美しい星空を満喫することができます。

ワディ・ラムの観光ツアー
ツアー	説明
ジープツアー	ワディ・ラムの壮大な景色を満喫
ラクダツアー	ベドウィンの伝統的な生活を体験
星空観測ツアー	ワディ・ラムの美しい星空を満喫

まとめ

ワディ・ラムは、アクセスは少し不便ですが、その壮大な景色と文化体験を楽しむことができる魅力的な観光地です。

ワディ・ラムには、多くの観光スポットがあり、ジープツアー、ラクダツアー、星空観測ツアーなど、様々な観光ツアーが開催されています。

ワディ・ラムを訪れる際は、事前にツアーを予約しておくことをおすすめします。

6. ワディラムの地元の人々と暮らし

ベドウィンの人々

ワディ・ラムには、古くからベドウィンと呼ばれる遊牧民が暮らしています。ベドウィンは、砂漠の厳しい環境に適応した生活を送っており、ラクダの飼育や遊牧を営んでいます。

ベドウィンは、ワディ・ラムの自然と深く結びついた生活を送っており、その伝統的な文化や生活様式は、現代でも受け継がれています。

ベドウィンは、ワディ・ラムの観光客に、伝統的なテントでの宿泊や、ラクダ乗り体験、砂漠でのキャンプなどのサービスを提供しています。

ベドウィンの生活
活動	説明
ラクダの飼育	砂漠での生活に欠かせない
遊牧	季節によって移動する
観光客へのサービス	テント宿泊、ラクダ乗り体験、砂漠でのキャンプ

ベドウィンの文化

ベドウィンの文化は、砂漠の厳しい環境に適応した、独自の文化です。ベドウィンは、厳しい環境の中で、家族や部族の絆を大切にしてきました。

ベドウィンの文化には、伝統的な音楽やダンス、詩歌、物語などが存在します。

ベドウィンの文化は、ワディ・ラムの観光客にとって、貴重な体験となります。

ベドウィンの文化
文化	説明
家族や部族の絆	厳しい環境の中で大切にしてきた
伝統的な音楽	砂漠の生活を歌い継ぐ
伝統的なダンス	砂漠の生活を表現する
詩歌	砂漠の生活を歌い継ぐ
物語	砂漠の生活を語り継ぐ

ワディ・ラムの暮らし

ワディ・ラムの暮らしは、砂漠の厳しい環境に適応した、シンプルな暮らしです。ベドウィンは、ラクダの飼育や遊牧を営み、自然の恵みを生かして生活しています。

ワディ・ラムの暮らしは、現代社会とは異なる、ゆったりとした時間の流れの中で営まれています。

ワディ・ラムの暮らしは、自然と共存する、伝統的な生活様式を垣間見ることができます。

ワディ・ラムの暮らし
特徴	説明
シンプル	砂漠の厳しい環境に適応した暮らし
自然の恵み	自然の恵みを大切にする
ゆったりとした時間の流れ	現代社会とは異なる時間の流れ
伝統的な生活様式	自然と共存する生活