バターリャの修道院とは？世界遺産についての解説

バターリャ修道院の概要
項目	内容
建設目的	ポルトガルがカスティーリャ王国から独立を勝ち取ったことを記念し、聖母マリアへの感謝を捧げるため
建設期間	1386年から1517年（約130年間）
建築様式	後期ゴシック様式（レイヨナン・ゴシック、フランボワイヤン様式）、マヌエル様式、ルネサンス様式
主な建築家	アフォンソ・ドミンゲス、フュゲット、フエルニヤーオ・ド・エヴォラ、マテウス・フェルナンデス、ディエゴ・ボイタック、ジョアン・ド・カスティーリョなど
世界遺産登録	1983年
主な観光スポット	創設者の礼拝堂、未完の礼拝堂、王の回廊、参事会室など

1. バターリャの修道院の起源

バターリャ修道院の建設背景

バターリャ修道院は、ポルトガルがカスティーリャ王国からの独立を勝ち取ったことを記念して建てられた修道院です。1385年、ポルトガルはカスティーリャ王国との間でアルジュバロータの戦いを繰り広げ、ジョアン1世率いるポルトガル軍は、カスティーリャ軍を相手に奇跡的な勝利を収めました。この勝利は、ポルトガルの独立を確固たるものとしただけでなく、後の大航海時代へと繋がる重要な出来事となりました。この勝利を記念し、そして聖母マリアへの感謝の気持ちを表すために、ジョアン1世は1386年にバターリャ修道院の建設を開始しました。

バターリャ修道院は、ポルトガルにおける後期ゴシック建築の傑作であり、マヌエル様式も用いられています。修道院は、2世紀にわたって建設され、1517年に完成しました。その間、7人のポルトガル国王が在位し、それぞれの国王の意向が反映された建築様式が融合しています。

バターリャ修道院の建設には、15人の建築家が携わりました。中でも、アフォンソ・ドミンゲス、フュゲット、フエルニヤーオ・ド・エヴォラ、マテウス・フェルナンデス、ディエゴ・ボイタック、ジョアン・ド・カスティーリョといった建築家の名前が知られています。彼らは、ポルトガル国内では未知であった建築技術や芸術様式を導入し、バターリャ修道院は、ポルトガルの建築史において重要な役割を果たしました。

バターリャ修道院は、ポルトガルの独立を象徴する建築物であり、1983年にユネスコの世界遺産に登録されました。修道院は、ポルトガルの人々にとって、歴史と信仰の象徴であり、現在も多くの観光客が訪れています。

バターリャ修道院の建設背景
出来事	内容
アルジュバロータの戦い	1385年、ポルトガル軍がカスティーリャ王国軍を破り、ポルトガルの独立を確固たるものとした
修道院建設開始	1386年、ジョアン1世が聖母マリアへの感謝の気持ちを表すため
完成	1517年
建築家	15人の建築家が携わった

バターリャ修道院の名前の由来

バターリャ修道院は、正式には「聖母マリア修道院（Mosteirode Santa Maria da Vitória）」と呼ばれています。これは、アルジュバロータの戦いで勝利したことを聖母マリアに感謝するために建てられたことに由来しています。

バターリャとは、ポルトガル語で「戦闘」を意味します。修道院の名前は、この戦いを記念して付けられました。

バターリャ修道院は、ポルトガルの歴史と文化を象徴する重要な場所であり、その名前は、ポルトガルの人々の記憶に深く刻み込まれています。

バターリャ修道院の名前の由来
名前	意味
バターリャ	ポルトガル語で「戦闘」
Mosteirode Santa Maria da Vitória	聖母マリア修道院

バターリャ修道院の建設期間

バターリャ修道院の建設は、1386年から1517年にかけて、約130年間にわたって行われました。

この長い建設期間は、ポルトガルの歴史における激動の時代と重なり、多くの困難を伴いました。

しかし、ポルトガルの人々は、この修道院を完成させるために、世代を超えて努力を続けました。

バターリャ修道院は、ポルトガルの人々の不屈の精神と、聖母マリアへの信仰の象徴です。

バターリャ修道院の建設期間
期間	内容
1386年～1517年	約130年間

まとめ

バターリャ修道院は、ポルトガルがカスティーリャ王国からの独立を勝ち取ったことを記念して建てられた修道院です。アルジュバロータの戦いの勝利を聖母マリアに感謝するために建設されたこの修道院は、ポルトガルの歴史と文化を象徴する重要な場所です。

バターリャ修道院は、1386年から1517年にかけて、約130年間にわたって建設されました。この長い建設期間は、ポルトガルの歴史における激動の時代と重なり、多くの困難を伴いました。

しかし、ポルトガルの人々は、この修道院を完成させるために、世代を超えて努力を続けました。バターリャ修道院は、ポルトガルの人々の不屈の精神と、聖母マリアへの信仰の象徴です。

2. バターリャの修道院の建築様式

ゴシック様式

バターリャ修道院は、ポルトガルにおける後期ゴシック建築の傑作です。特に、レイヨナン・ゴシック様式とフランボワイヤン様式の影響が強く見られます。

レイヨナン・ゴシック様式は、フランスで13世紀後半に発展したゴシック様式です。バターリャ修道院では、アフォンソ・ドミンゲスが、この様式を取り入れました。

フランボワイヤン様式は、フランスで14世紀後半に発展したゴシック様式です。バターリャ修道院では、フュゲットが、この様式を取り入れました。

バターリャ修道院は、これらのゴシック様式の特徴である、尖塔、アーチ、ステンドグラスなどを駆使して、壮麗な建築を実現しています。

ゴシック様式
様式	特徴
レイヨナン・ゴシック	フランスで13世紀後半に発展、アフォンソ・ドミンゲスが採用
フランボワイヤン様式	フランスで14世紀後半に発展、フュゲットが採用

マヌエル様式

バターリャ修道院には、ポルトガル独自の建築様式であるマヌエル様式も用いられています。マヌエル様式は、16世紀初頭にポルトガルで発展した建築様式です。

マヌエル様式は、大航海時代におけるポルトガルの繁栄と、海外との交流を反映した建築様式です。

バターリャ修道院では、マテウス・フェルナンデスが、未完の礼拝堂の入り口にマヌエル様式を取り入れました。

マヌエル様式は、ゴシック様式とは異なる、華やかで装飾的な様式です。バターリャ修道院では、ゴシック様式とマヌエル様式が融合し、独特の美しさを生み出しています。

マヌエル様式
様式	特徴
マヌエル様式	ポルトガル独自の建築様式、16世紀初頭に発展、マテウス・フェルナンデスが採用

ルネサンス様式

バターリャ修道院には、ルネサンス様式の影響もわずかに見られます。

ルネサンス様式は、14世紀にイタリアで始まった芸術運動です。

バターリャ修道院では、ジョアン・ド・カスティーリョが、ルネサンス様式の要素を取り入れました。

ルネサンス様式は、ゴシック様式とは異なる、古典的な美しさを追求した様式です。バターリャ修道院では、ゴシック様式、マヌエル様式、ルネサンス様式が融合し、多様な建築様式が調和した美しい空間を生み出しています。

ルネサンス様式
様式	特徴
ルネサンス様式	14世紀にイタリアで始まった芸術運動、ジョアン・ド・カスティーリョが採用

まとめ

バターリャ修道院は、ゴシック様式、マヌエル様式、ルネサンス様式といった、さまざまな建築様式が融合した建築物です。

これらの建築様式は、それぞれ異なる時代背景と文化の影響を受けて発展したものです。

バターリャ修道院は、これらの建築様式を巧みに融合させることで、壮麗で個性的な建築を実現しています。

3. バターリャの修道院の美術

彫刻

バターリャ修道院には、数多くの彫刻が施されています。

特に、入り口のアーチ・ヴォールトには、78体の聖像が飾られています。

これらの聖像は、旧約聖書に登場する王、天使、預言者、聖者などをモチーフとしています。

また、創設者の礼拝堂には、ジョアン1世と王妃のフィリパ・デ・レンカストレの棺が置かれており、彼らの墓には、それぞれのモットーが繰り返し彫られています。

彫刻
場所	内容
入り口のアーチ・ヴォールト	78体の聖像が飾られている
創設者の礼拝堂	ジョアン1世と王妃の棺、モットーが彫られている

ステンドグラス

バターリャ修道院は、ポルトガルで最初にステンドグラスが設置された教会建築です。

ステンドグラスは、フランケン地方やニュルンベルク地方のドイツ人の芸術家によって持ち込まれたとされています。

バターリャ修道院のステンドグラスは、1430年代末に作られたものが最古です。

ステンドグラスは、教会内部に光を採り込み、神聖な雰囲気を演出しています。

ステンドグラス
特徴	内容
ポルトガル初のステンドグラス	フランケン地方やニュルンベルク地方のドイツ人の芸術家によって持ち込まれた
最古のステンドグラス	1430年代末

狭間飾り

バターリャ修道院には、狭間飾りも数多く見られます。

狭間飾りは、中世の城郭建築に見られる装飾です。

バターリャ修道院では、王の回廊のアーケードに、狭間飾りが施されています。

狭間飾りは、建築物に華やかさを添えるだけでなく、防御機能も兼ね備えています。

狭間飾り
場所	内容
王の回廊のアーケード	狭間飾りが施されている

まとめ

バターリャ修道院は、彫刻、ステンドグラス、狭間飾りといった、さまざまな美術作品が施された建築物です。

これらの美術作品は、それぞれ異なる技法と美意識によって作られています。

バターリャ修道院は、これらの美術作品によって、壮麗で個性的な空間を創り出しています。

4. バターリャの修道院の世界遺産登録

世界遺産登録の基準

バターリャ修道院は、1983年にユネスコの世界遺産に登録されました。

世界遺産登録の基準は、以下の2つです。

(i) 人類の創造的才能の傑作であること

(ii) 建築様式や技術の重要な発展を示すもの、または景観の重要な例であること

世界遺産登録の基準
基準	内容
(i)	人類の創造的才能の傑作であること
(ii)	建築様式や技術の重要な発展を示すもの、または景観の重要な例であること

世界遺産登録の理由

バターリャ修道院は、ポルトガルにおける後期ゴシック建築の傑作であり、マヌエル様式も用いられています。

また、ポルトガルの独立を象徴する建築物であり、歴史的、芸術的価値が高いことから、世界遺産に登録されました。

バターリャ修道院は、ポルトガルの歴史と文化を象徴する重要な場所であり、世界遺産に登録されることで、その価値が広く認められました。

世界遺産登録の理由
理由	内容
建築様式	ポルトガルにおける後期ゴシック建築の傑作であり、マヌエル様式も用いられている
歴史的価値	ポルトガルの独立を象徴する建築物

世界遺産登録後の影響

世界遺産に登録されたことで、バターリャ修道院は、世界中から多くの観光客が訪れるようになりました。

また、世界遺産登録は、バターリャ修道院の保存と修復にも大きく貢献しました。

バターリャ修道院は、世界遺産登録によって、その価値がさらに高まりました。

世界遺産登録後の影響
影響	内容
観光客増加	世界中から多くの観光客が訪れるようになった
保存・修復	世界遺産登録は、バターリャ修道院の保存と修復にも大きく貢献した

まとめ

バターリャ修道院は、ポルトガルにおける後期ゴシック建築の傑作であり、マヌエル様式も用いられています。

また、ポルトガルの独立を象徴する建築物であり、歴史的、芸術的価値が高いことから、1983年にユネスコの世界遺産に登録されました。

世界遺産登録によって、バターリャ修道院は、世界中から多くの観光客が訪れるようになり、その価値がさらに高まりました。

5. バターリャの修道院の観光スポット

創設者の礼拝堂

創設者の礼拝堂は、バターリャ修道院の最も重要な場所の一つです。

この礼拝堂には、ジョアン1世と王妃のフィリパ・デ・レンカストレの棺が置かれています。

また、エンリケ航海王子など、歴代のポルトガル王族の墓もあります。

創設者の礼拝堂は、ゴシック様式とフランボワイヤン様式が融合した美しい建築様式で造られています。

創設者の礼拝堂
内容	説明
ジョアン1世と王妃の棺	中央に安置されている
エンリケ航海王子など	歴代のポルトガル王族の墓がある
建築様式	ゴシック様式とフランボワイヤン様式が融合

未完の礼拝堂

未完の礼拝堂は、バターリャ修道院の象徴的な場所です。

この礼拝堂は、ドゥアルテ1世によって建設が開始されましたが、完成することはありませんでした。

礼拝堂の入り口は、マヌエル様式の彫刻で飾られており、非常に華やかです。

未完の礼拝堂は、ポルトガルの歴史と建築のドラマを物語る場所です。

未完の礼拝堂
内容	説明
建設開始	ドゥアルテ1世によって開始された
特徴	天井がない
入り口	マヌエル様式の彫刻で飾られている

王の回廊

王の回廊は、バターリャ修道院の美しい回廊です。

回廊は、ゴシック様式とマヌエル様式が融合した建築様式で造られています。

回廊には、繊細な彫刻が施された柱やアーチ窓があり、見ごたえがあります。

王の回廊は、バターリャ修道院の静寂と美しさを堪能できる場所です。

王の回廊
内容	説明
建築様式	ゴシック様式とマヌエル様式が融合
見どころ	繊細な彫刻が施された柱やアーチ窓

まとめ

バターリャ修道院には、創設者の礼拝堂、未完の礼拝堂、王の回廊など、多くの見どころがあります。

これらの観光スポットは、それぞれ異なる建築様式と歴史的背景を持っています。

バターリャ修道院を訪れる際には、これらの観光スポットをじっくりと見学することをお勧めします。

6. バターリャの修道院の未来展望

観光客増加による影響

バターリャ修道院は、世界遺産に登録されたことで、世界中から多くの観光客が訪れるようになりました。

観光客の増加は、バターリャ修道院の経済活性化に貢献する一方で、修道院の保存にも課題を突き付けています。

観光客の増加によって、修道院の劣化が進む可能性もあります。

そのため、バターリャ修道院の管理者は、観光客の増加に対応しながら、修道院の保存にも力を入れていく必要があります。

観光客増加による影響
影響	内容
経済活性化	観光客の増加は、バターリャ修道院の経済活性化に貢献する
保存への課題	観光客の増加によって、修道院の劣化が進む可能性もある

修道院の保存と修復

バターリャ修道院は、長い歴史の中で、地震や戦争などの被害を受けてきました。

そのため、修道院の保存と修復は、重要な課題です。

修道院の管理者は、専門家と協力して、修道院の保存と修復に取り組んでいます。

バターリャ修道院は、ポルトガルの歴史と文化を象徴する重要な場所であり、今後もその価値を後世に伝えるために、保存と修復が続けられていくでしょう。

修道院の保存と修復
内容	説明
課題	地震や戦争などの被害を受けてきた
取り組み	専門家と協力して、修道院の保存と修復に取り組んでいる

観光客への情報提供

バターリャ修道院を訪れる観光客に対して、適切な情報提供を行うことも重要です。

観光客は、修道院の歴史や建築様式について理解することで、より深く修道院の魅力を感じることができます。

修道院の管理者は、観光客向けのパンフレットやウェブサイトなどを整備し、情報提供を充実させていく必要があります。

また、観光客が修道院を安全に楽しめるように、適切な案内や警備体制を整えることも重要です。

観光客への情報提供
内容	説明
重要性	観光客は、修道院の歴史や建築様式について理解することで、より深く修道院の魅力を感じることができる
取り組み	観光客向けのパンフレットやウェブサイトなどを整備し、情報提供を充実させていく必要がある